日本の新たな「第三の道」

  • ダイヤモンド社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478012161

作品紹介・あらすじ

日本は、資本主義経済と議会制民主主義の歴史においては後発国であるが、それゆえに西欧諸国の過去一世紀の経験に学び、彼らと同じ轍を踏むことを避けることができる。今後、日本が経済再生を果たし、市場の繁栄と健全な福祉制度を両立させ、激しく変化する世界の中で自らの意見や立場を主張していくということはけっして容易ではないだろう。しかしそれは「可能である」と私たちは考える。本書は、こうした目標を実現するために今後日本がとるべき方向性と方法論を提示するものである。

感想・レビュー・書評

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  • 世界にはすごい知性を持った人がいる。しかし、イギリスで第三の道が成功したのは、本格的福祉国家と、本格的自由主義国家の両方を経験したから。その点、日本はこれを争点にしていては、ダラダラとしか進まないのだろう。

  • 「第三の道」とは、自由市場主義と福祉国家主義とを結合しつつ、非効率的な従来の社会民主主義を抜本的に改革することを意味する。
    欧米では、自由市場主義と福祉国家主義とを交互に繰り返し、それぞれの深刻な弊害を経験してきた。日本は、欧米の歴史を学ぶことで同じ過ちを避けることができるはず。
    「第三の道」実現のの鍵は、持続可能な低炭素型社会への転換、そして、市民自らが社会や共同体に貢献しなければならないことを自覚することである。

  • 「第3の道」で有名なギデンズ。
    タイトルに日本の~って付けてるくらいだから、日本の事情を機微に捉えた著作なのだろうと期待していたのだが、見当はずれであった。
    日本に顕著な問題などには大したページがさかれておらず、「第3の道」の理論や現状の状況説明に終始。
    1~3章に至っては、ギデンズではなくお知り合いが書いてるらしく、中身も実際イマイチ。訳も全般にわたってこの人がやっているようだが、正直読みづらい。
    オススメしないです。

  • 当たり前の話が多かった。
    C02-温暖化の問題=普通に対応すべし
    市場主義と福祉のバランス
    ・・・・

    主題は自由市場主義と福祉国家主義の統合
    どちらも日本は中途半端だから云々・・

    消化不良でした

  • 2010.02.14 朝日新聞に掲載されました。

  •  ギデンズとの共同研究を渡辺さんが書き下ろした本です。以前から、第三の道は日本のあるべき姿だと捉えていましたが、現状、民主党政権が誕生した今、何をなすべきか、大目標が見えない中の支柱になりうると思います。

     基本的には、ギデンズの「第三の道」を踏襲していますが、その過程はおのずと日本と他の西欧諸国とは異なるといいます。日本は本格的な市場主義もとったことがないし、逆に福祉国家をとったこともない。そのため、小泉政権が市場主義に舵を切った時に、一気にワーキングプアなどの増大をもたらしたと整理しています。そのため、日本は規制改革(市場主義)と福祉改革を同時に行わなければならないと結論付けています。

     その福祉改革では、「ポジティブウェルフェア」という考え方を基調に、就労のための福祉を目指します。あくまで福祉は一時的な措置であり、健康な状態の大人であれば、就労すべきというのが基本にあります。そのために、就労環境を整えたり、能力開発プログラムをコーディネートするのが政府の役割だといいます。

     英国では、就労支援を広範に民間委託しているようですが、基本的に就労したかどうかという明確な成果指標に基づき、以下のような時期に報酬を与えるようです。
    ・就職活動を開始した時点
    ・職業訓練を開始した時点
    ・職業訓練を修了した時点
    ・就職した時点
    ・半年経過した時点

     私が考える日本が取り入れるべき政策形成の視点は、以下のようなものでしょう。
      1.政府は一時的に税金を投入しても、「損して得とれ」的発想を持っていること
      2.そもそも人間は受益するだけの存在になれば堕落するという性悪説に立った制度構築

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著者プロフィール

アンソニー・ギデンズ( Anthony Giddens )
1938年、イギリス生まれ。社会学者。ケンブリッジ大学教授などを経て、LSEの学長を務めた。現在はLSE名誉教授、イギリスの上院議員。著書に『親密性の変容』、『第三の道』、『社会学』など多数。

「2021年 『モダニティと自己アイデンティティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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