震災死 生き証人たちの真実の告白

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478017937

作品紹介・あらすじ

遺族、検死医、消防団員、救助犬調教師、潜水士、防災学者…数々の証言から死者・行方不明者2万人の実態に迫る。死を見つめなければ、生は始まらない-3・11の喪失を描く迫真のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 著者が週刊ダイヤモンドに連載していた、「震災死」にまつわる色んな関係者へのインタビューと、それに対する著者の視点でのまとめ(反省や今後への提言等)が書かれた珍しい形式の本。

    似た内容に「遺体」があるけど、こちらはもう少し広い観点での取り扱い。
    ただ、既読(記事などで)の内容が結構多かったので、新しく何か知るということはなかった。
    また、著者の「まとめ」とか「提言」のようなものが、ちょっとくどい気もしてきたが、それは自分がボランティアに通っていたから現地を知ってるせいなのかもしれない。
    全く現地を知らない人が読めば、役立つのかもしれない。

    が、全体的に、提言内容が少しレベルが低い気がした。
    (誰でも思いつくような感じの内容が多いように感じる)
    結果として、本自体の印象が薄くなってしまっているのが残念。

  • なぜここまでの被害が出たのか、どうすれば被害を少なくする事ができるのか、そこまで突き詰めない限り人災は無くならない。

  • 先日読んだ『遺体 震災、津波の果てに』に通じる作品。津波による犠牲者の遺体を中心に置き、検死医、遺族、消防団員、自衛隊関係者、救助犬調教師などを取材している。どちらか?と比較すると、『遺体 震災、津波の果てに』の方が良書ではあるが、こちらも新たに考えさせられる内容ではある。

    特に、災害救助犬「レイラ」についての章や、自衛隊の活動についての章は読んでよかったと思うところ。

    震災の後、「津波てんでんこ」という言葉があることを知ったけれど、この本を読んでまたこの言葉が頭に浮かんできた。
    まずは各々が“憂う”こと。そうして自分の命は自分で守ること。「1000年に一度の災害だからこんなに多くの犠牲が出ても仕方がない」と割り切ってしまうのではなく、また防災を政府や自治体任せにするのではなく、生き抜く努力を各々がすることが大切なのだろうと思う。

  • 東日本大震災
    ノンフィクション



  • mmsn01-

    【要約】


    【ノート】
    ・日経アソシエ7月

  • 14.読んでよかった。いつの間にかというよりも、最初から自分は傍観者であったなぁとつくづく思いました。特集のテレビも見るのも悲しい気持ちになるだけと避けていたりしたけど、その現実を見てそうか、こんな事があったんだ~って思ったらそれもただの傍観者。現実に起こったことを見て、次に繋げていかなくてはいけないんだと思いました。死者・行方不明者2万人。すっごいなぁって思っていたけど、そんな簡単に発する言葉じゃなかった。ひとりひとりに人生がある、そのひとりひとりに悲しむ家族がある。胸に何か突き刺さる思いがして悲しさを

  • 美談で語られることが多い震災における死に、ご遺体の状況や死に様から美談ではすまされない死の実態に迫っていた。多くの人が決死の覚悟でいたわけではなく、気づいたときに「そんなはずでは…」と突如、死に直面させられたのではないかというのは深くかんがえさせられた。生死の別れ目の 怖さをである。
    死ぬのも嫌だし、遺されるのも嫌だ。
    「自分の命は自分で守る」命に対する一定の責任は持たなければならない。

  • (2012.09.03読了)(2012.08.24借入)
    【東日本大震災関連・その100】
    東日本大震災関連の本をせっせと読んで、100冊目となりました。
    東日本大震災から、1年半となり、最近はさすがにそろそろもういいかなという気分になってきました。東日本大震災関連で読む本の割合が少なくはなっても、まだまだ読む本はありそうなので、少しずつは読んでゆくことになるでしょう。
    この本は、今後の教訓となるものを探したいという事で書かれたようですが、防災の専門家が書いたものではないので、意欲は立派ですが、多少空回りになっているのではないでしょうか。どんな教訓を読み取れるかは、読む方の問題ではあるのですが、……。
    余談ですが、本を読んでいて、時々違和感のある言葉遣いに出会います。方言のため自分の育った地域と違うものだったり、自分の思い違いで、書いてある方が正しかったり、著者だけの独特の使い方だったり、いろいろです。
    シーソーのことをギッコンバッタンと言いますが、ある地方では、ギッタンバッコンというようです。ほかの表現もあります。
    袖振り合うも多生の縁、という言い方があります。僕は、袖擦り合うも他生の縁、だと思っていました。ほかの表現もあります。
    この本で気になったのは、「心のバイオリズム」という表現です。「精神的バランスが崩れている」という事を言いたいようなのですが、皆さんはこういう表現をご存知でしょうか。

    【目次】
    はじめに
    第1章 医師がみた「大震災の爪痕」
    検視医が目の当たりにした津波遺体のメッセージ
    歯科医が遺体安置所で感じた矛盾と焦り
    精神科医が警鐘を鳴らす、出口の見えない悲しみ
    第1章の教訓
    第2章 遺族は「家族の死」をどうとらえたか
    「原発の町」で娘を捜し続けた父親の苦しみ
    生きている限り、夫、娘、息子が生きた証を残したい
    取り残されたマンションで祈り続けた家族の無事
    避難誘導中に家族3人を失った店主の「枯れ果てた涙」
    遺族を告訴に踏み切らせた震災被害の迷宮
    第2章の教訓
    第3章 捜索者が「津波の現場」で感じたこと
    消防団員253人の犠牲者を生んだ「社会構造の矛盾」
    津波の上空を飛んだ警察官の絶望と絶えぬ執念
    嗅覚を失うまで行方不明者を捜し続けた〝小さな勇者〟
    危険な海底で潜水士が見た「津波の教訓」とは?
    自衛官が〝実弾を撃たない実戦〟で経験した激務
    第3章の教訓
    第4章 メディアは「死」をいかに報じたか
    毎日新聞が「3月11日」に挑み続ける理由
    〝理不尽な死〟と向かい合う「週刊文春」の写真報道
    被災者・遺族を包み込む、無邪気で残酷な空気
    第4章の教訓
    第5章 なぜ、ここまで死者が増えたのか
    世界一残酷だった「引き波」と「滝つぼ現象」の破壊力
    なぜ、津波の常襲地帯で被害が拡大したのか
    「釜石の軌跡」の立役者が語る、安全神話の虚構
    死を無駄にしないために、被災地の現実を見て欲しい
    第5章の教訓

    ●津波をなめていた(100頁)
    「当初、防災無線は『津波の高さは3メートル』と言っていた。この警報は確かに問題なのかもしれないけど、それ以前のところに大きな原因がある。みんなが津波の怖さを知らなかった。亡くなった人も生き残った人も、津波をなめていた」
    ●大変ですね(104頁)
    お客さんからは、「大変ですね」とも言われる。「ああ、大変ですよ。俺と代わってもらえませんか」と言いたくなるようだ。だが、相手がお客さんである以上、何も言わない。
    (お客さんとしては、何と言ってあげたらいいんでしょう。)
    ●消防団(139頁)
    被災地の団員を取材すると、〝貧乏くじ〟を引いているような気がして仕方がない。多くの団員は家族を犠牲にしながら防災活動をしても、「特権」が与えられるわけではない。苦しく、理不尽な生活をひっそりと続けていく。
    (消防団についてもっと掘り下げが必要なんじゃないのかなあ。)
    ●命をかけて(164頁)
    己より富んだ者に助けられたなら、心から礼を言え。しかし、そうでない者から助けられたなら、己が命をかけてでも礼を尽くせ
    ●自衛隊の役割(180頁)
    本来、自衛隊がするべきは、ご遺体を発見した後は安置所のような集合点まで運ぶこと。そこから先の、たとえば、洗うことは厚生労働省が業者などに依頼し、進めていくべきだった
    (非常時にも、いろいろ分担があるんですね。)
    ●自衛隊は国防(183頁)
    自衛隊=災害派遣部隊、自衛隊=災害時に何でもしてくれる、というとらえ方は誤解だ。自衛隊の任務の第一義は国防にある。このことが忘れさられている
    (災害時に自衛隊が動くのも国防の一環ではないのでしょうか。東日本大震災に際しての自衛隊は、やり過ぎだった、というのでしょうか)
    ●死者・行方不明者2万人の原因?(190頁)
    私たちは「命は大切」と言う。だが、自分の命はともかく、他人の命は軽く扱っているのかもしれない。さらには、他人の命を守ろうとする消防、警察、海上保安庁、そして自衛隊などには本音のところでは、感謝の念を持っていないのかもしれない。この意識が、死者・行方不明者2万人を生んだ一因ではないのだろうか。
    (この文章の意味が読み取れませんでした。)
    ●噂話(214頁)
    あの体育館には霊がいる、と聞く。津波で死んだ人の霊だ。近寄らないほうがいい……
    (霊に敏感な人と、そうでない人がいるようです。敏感な人は近寄らないほうがいいでしょう。)
    ●すぐに避難しなかった(248頁)
    「すぐに非難しなかったのはなぜですか」に対し、「地震で散乱したものを片付け」たり、「家族や同僚などの安否を確認していた」と答えた人が多い。
    ●死者・行方不明者(253頁)
    足腰を弱くしたり身体の具合が悪く、一人では迅速に非難ができない「要援護者」。
    職責をまっとうした人たち。警察官や消防団員、民生委員、自治体の職員、さらには自宅で治療を続ける親を介護する家族など。
    避難意識が徹底されていなかった人や、その犠牲になった人。

    ☆関連図書(既読)
    「がれきの中で本当にあったこと」産経新聞社著、産経新聞出版、2011.06.02
    「ふたたび、ここから-東日本大震災・石巻の人たちの50日間-」池上正樹著、ポプラ社、2011.06.06
    「TSUNAMI 3・11-東日本大震災記録写真集-」豊田直巳編、第三書館、2011.06.30
    「罹災の光景-三陸住民震災日誌-」野里征彦著、本の泉社、2011.06.30
    「3・11東日本大震災奇跡の生還」上部一馬著、コスモトゥーワン、2011.07.01
    「前へ!-東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録-」麻生幾著、新潮社、2011.08.10
    「東日本大震災の教訓-津波から助かった人の話-」村井俊治著、古今書院、2011.08.10
    「被災地の本当の話をしよう」戸羽太著、ワニブックスPLUS新書、2011.08.25
    「明日へ-東日本大震災命の記録-」NHK東日本大震災プロジェクト著、NHK出版、2011.08.30
    「生きる。-東日本大震災-」工藤幸男著、日本文芸社、2011.09.20
    「三陸物語-被災地で生きる人びとの記録-」萩尾信也著、毎日新聞社、2011.09.30
    「負げねっすよ、釜石」松瀬学著、光文社、2011.10.20
    「遺体-震災、津波の果てに-」石井光太著、新潮社、2011.10.25
    「河北新報のいちばん長い日」河北新報社著、文藝春秋、2011.10.30
    「海に沈んだ故郷(ふるさと)―北上川河口を襲った巨大津波 避難者の心・科学者の目」堀込光子著・堀込智之著、連合出版、2011.11.05
    「記者は何を見たのか-3・11東日本大震災-」読売新聞社、中央公論新社、2011.11.10
    「あの人にあの歌を-三陸大津波物語-」森哲志著、朝日新聞出版、2011.11.30
    「ファインダー越しの3.11」安田菜津紀・佐藤慧・渋谷敦志著、原書房、2011.12.03
    「心のおくりびと 東日本大震災復元納棺師」今西乃子著・浜田一男写真、金の星社、2011.12.
    「さかな記者が見た大震災石巻讃歌」高成田享著、講談社、2012.01.06
    「笑う、避難所」頓所直人著・名越啓介写真、集英社新書、2012.01.22
    (2012年9月4日・記)

  • 東日本大震災の多角的な証言集として、読む価値はある。ただ後半は「この震災から学ばねばならない」というトーンが前面に出すぎて鼻に付いた。

  • 防災で重要なこと:「自分の身は自分で守る」という「内発的な自助」の意識
    (P260)

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著者プロフィール

1967年、岐阜県生まれ。2006年からフリージャーナリスト。特に人事・労務の観点から企業の取材を重ねる。事件・事故など社会問題の取材も精力的に続けている。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死その「真相」』(世界文化社)、『震災死』『あの日、「負け組社員」になった…』(ともにダイヤモンド社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)など。

「2014年 『ビジネス書の9割はゴーストライター』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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