ドラマ「半沢直樹」原作 ロスジェネの逆襲

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478020500

作品紹介・あらすじ

『下町ロケット』『鉄の骨』の池井戸潤のエンタテイメント企業小説!

ときは2004年。銀行の系列子会社東京セントラル証券の業績は鳴かず飛ばず。そこにIT企業の雄、電脳雑技集団社長から、ライバルの東京スパイラルを買収したいと相談を受ける。アドバイザーの座に就けば、巨額の手数料が転がり込んでくるビッグチャンスだ。
ところが、そこに親会社である東京中央銀行から理不尽な横槍が入る。責任を問われて窮地に陥った主人公の半沢直樹は、部下の森下雅弘とともに、周囲をアッといわせる秘策に出た――。

『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』の続編に位置する作品です。

感想・レビュー・書評

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  • 2020年放送!TBSドラマ日曜劇場「半沢直樹」堺雅人主演の原作小説。
    平成の民放連続ドラマ視聴率1位を記録。
    血沸き肉躍る戦いが、法の名の下に理不尽に行われるが…。
    ここに半沢直樹が登場すると…。

    音読用に大活字本「ロスジェネの逆襲」第1巻~第3巻を借りて来ました。
    手に取ったのは、前に大活字本で音読した池井戸潤さんの「下町ロケット」が大変良かったので、読んでみようと思ったからです。なお、本書は半沢直樹シリーズの第3作目ですが、他の半沢直樹シリーズは字が小さくて読んでいません。

    電脳雑技集団が、アドバイザーの東京中央銀行の伊佐山部長から1500億円の融資を受けて、時間外取引で東京スパイラル株の30%を電撃的に買い占め、株式の公開買い付けを行います。それに対して東京スパイラルの瀬名社長は、これは敵対的買収だと拒否し。アドバイザーの太洋証券の助言に従って、第三者に対する新株予約権の発行を検討していると発表します。

    太洋証券は、ホワイトナイトとして「フォックス」を紹介するが。東京中央銀行の子会社である東京セントラル証券の半沢部長が、今回の買収劇は、銀行が筋書きを描き、電脳に提案し、太洋証券が東京スパイラルのアドバイザーとしてフォックスを紹介し、新株予約権の発行を受ける。
    そして電脳がフォックスを吸収合併して完了となるスキムを考えていることを話す。その結果として、電脳は、東京スパイラルとフォックスを手に入れます。そのフォックスが、巨額損失を出して自主再建が不可能であると報じられると。電脳の平山社長夫妻は、用の無くなったフォックスを切り捨てます。

    東京スパイラルは、フォックスへ買収提案をします。買収目的は、急成長しているフォックスの米国子会社コペルニクスにあります。東京スパイラルとフォックスの合併によって成長を加速できると判断からです。その記事が掲載されると東京スパイラルの株価が、急上昇し、電脳が設定した公開価格を大きく上回ります。
    銀行は公開価格を上げ、500億円の追加支援の稟議を出すことを三笠副頭取が決断する。その稟議を諮る銀行の取締役会に半沢が乗り込んで、電脳が粉飾決算をしていることを役員に説明する。と、電脳への追加支援は中止となり。全ての貸付金の回収を頭取が伊佐山部長に命じる。この事で、三笠副頭取、伊佐山部長の将来が閉ざされる。

    中野渡頭取から今回の責任を取って伊佐山部長は、電脳の取締役財務部長として出向し。その後、平山社長が退任したら三笠副頭取が、社長含みとして電脳へ出向することを命じられる。異例であるが出向中の半沢直樹に対して、中野渡頭取から直接に銀行の営業第二部第一グループ次長を命じると辞令が下された。栄転です。

    【読後】
    音読で読んでいますと、理不尽さに憤り、半沢に喝采を送りと、興奮しながら読んでいるため所々で膝を叩きすぎて、思わず痛いと叫んでいます(笑) 本当に、面白い本です。半沢は、親会社である巨大な東京中央銀行に果敢に戦いを挑みます。
    半沢が東京スパイラルの瀬名社長に「本件に関する限り、東京中央銀行は、我々の競合であり、敵です」「私は、御社のアドバイザーになって、連中を見返してやりたい。電脳雑技集団の買収工作を粉砕して、東京セントラル証券の実力を示したいです」と言うくだりは胸が躍りました。

    【音読】
    2021年7月29日から8月12日まで、音読で読みました。
    大活字本の底本は、2012年6月ダイヤモンド社発行の「ロスジェネの逆襲」です。
    このため登録も同本で行います。
    2021.07.29~08.12の15日間で音読読了

  • «置かれた環境で全力を尽くす。全ては顧客のために»
    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    「置かれた場所で咲きなさい」

    この言葉がしっくりくる本は今年何冊か読みましたが、彼、半沢直樹はやはりそのモデルとなる人物だなとあらためて強く感じました。
    親会社に案件を横取りされるという、私なら人間不信で寝込むのではと思われる状況でも、負けずに立ち向かっていく半沢の姿に、今回も大きな勇気を貰いました。

    私自身も転職を経験した今年。
    今仕事をしていると、「あの人がやっている仕事、いつ私にも振ってもらえるのか」とヤキモキしてしまうことがありますが、私自身も「顧客のために」今与えられた仕事に誠実に向き合っていきたいなと感じました。来年も燻らずひたむきに頑張ります!


    【おまけ:個人的なニンマリポイント】
    ・半沢の部下の扱い方は勉強になります。
    今回副主人公(?)として大活躍した森山だけでなく、今までの半沢の部下も、彼によく懐いていたなとふと思い出しました。
    少し前の「怒鳴って言うことを聞かせる」やり方が主流だった時期であっても、半沢は指示のだし方は冷静で的確だったなと思いました。


    ・時代の変化をキャッチ
    上の話にも少し繋がりますが、「やられたらやり返す」即ち、前巻まで(特に一巻は)比較的「怒鳴られたら怒鳴り返して」いた半沢でしたが、今回の話は「怒鳴る」→「(相手が)謝罪」のパターンがほとんどなかったなと感じています。
    2004年頃の企業のコンプライアンス意識がどうなっていたのか詳しくない身ですが、怒鳴るやり方から冷静に問い詰める方向に変わりつつあったであろう情勢を、池井戸先生は上手いこと反映しているのかなと思いました。若しくは半沢の内面及び対峙する相手の立場による変化なのか?
    次巻以降この辺がどう取り入れられていくのか。次巻を読む時の楽しみが増えました。

  • 期待通り面白かったです。
    ただ、ドラマを見てしまった後なので、常に堺雅人さんの顔がちらつく~(笑)。

    団塊世代にバブル世代。そしてロスジェネ世代。
    ついつい、世代論で片づけてしまいそうになるけれど、結局は人なんだよねぇ・・・

    その昔、上司から「新人類」と呼ばれていた時のことを思い出しました。
    当時は自分自身では当然のことと思って行動していたことを今になって思い出してみると
    あんなことよくやってたなぁ・・・と、恥ずかしくなることも。
    そんな自分のことはすっかり忘れ、「今の若い人は・・・」、な~んてえらそうなことを言っていたこともあったっけ・・・

    そんなことも思い出しつつ読んだ半沢直樹シリーズ第3弾。
    やっぱり、半沢直樹は男前だ~!!

  • 今回の半沢直樹もおもしろかった!!半沢直樹とロスジェネの部下たちとの逆襲に読み応えありました^ ^

    後半ラストは半沢直樹の仕事に対しての熱い想いが描かれていて胸に響きました。
    仕事に対して真っ向から挑んでる人って今の世の中どれほどいるんだろう?

  •  今回も半沢部長の機転のききの早さと、決断力の早さと、行動の突飛さには度肝を抜かれた・・・


     今回のテーマは、企業買収。TOB(敵対的買収)や、株式公開買い付け、逆買収などなど、専門用語がいっぱい出てきたけれど、それでも飽きずに読ませるところが、さすが池井戸作品。

     しかし、半沢部長。 
     「人事が怖くて、サラリーマンが務まるかっ」って・・・人事は、怖いです・・・
     今回は、電脳に粉飾の事実があって、、半沢さんがそれを見抜いたことを頭取が評価してくれたからこそ良かったものの、上に見向きもされなくて、閑職に追いやられていたら、あの半沢節は保っていられるたんだろうか・・・

     
     それは置いておいて、1994年~2004年の就職氷河期に世に出たロスジェネ世代の代表、森山君。彼はきっと、今回の件で半沢さんに強い影響を受けたと思う。彼は、これから、半沢さんと同じように

     「正しいことを正しいという」

    ことを一義をして、進んでいくんだと信じたい。

     そして、かく言う私も、同じくロスジェネ世代。バブルに搾取される世代。


     だけど、逃げずに闘っていきたい。とりあえず、仕事やめたいけど、やめずに、闘っていこうと思う。ほんと、なんて、考えさせられる作品ばかりなのか。池井戸作品!!

    • フッタさん
      サイコーに面白かったです。しばらく池井戸さんにハマり続けるかも、、、又面白いものがあれば教えてください。
      サイコーに面白かったです。しばらく池井戸さんにハマり続けるかも、、、又面白いものがあれば教えてください。
      2013/08/01
  • やっぱり半沢直樹シリーズは裏切らない。
    東京セントラル証券に出向させられた半沢は、そこでも難題に立ち向かい、見事な業績を上げてみせた。
    数々の困難が立ち塞がる中、戦う事をやめないサラリーマン精神が保守的な考えを打ち砕く。仕事へのプライド、情熱は、職種の壁を超え人々の心を動かしていく。

    毎度見事な痛快さがクセになる半沢シリーズだが、今作では半沢が東京中央銀行・営業第二グループへの出戻りが決まり、後味が良い終わり方だった。

    次作への期待と高揚感が募る。
    早く続きが読みたくて仕方がない。

  • 面白かった。

    半沢がシブい大人になっていき、その想いを継ぐ次の世代が出てくる。
    バブル世代からロスジェネ世代へと。

    今回の金と命運の転がり方は興味深い。
    対立構造が明確でシンプル。
    シンプルすぎると薄っぺらくなりがちだが、チームにおける絆がそれを防ぐ。

    半沢の妻、花の軽妙さがなかったのが残念だけど。

    面白かったです。

  • 相変わらず半沢直樹シリーズはスカッとする。
    そして、銀行を題材にしたミステリーの中で一番銀行の仕組みを紹介してくれています。
    元銀行員としてとても面白いと思いました。

  • ドラマを観始めて再読! ドラマと違う部分も俳優さんを頭であてたり、脚本でのアレンジも楽しめて二度おいしい。読み始めたら止まらない、面白い!最後はスカッと爽快!もう半沢直樹は堺雅人しか考えられないなぁ(笑)。 伊佐山、三笠、笑ってられるのも今のうちだぁ。半沢直樹がいつか頭取になるまで、このシリーズ続いてくれないかなー。

  • おもしろかった!そして何より読後が爽快!主人公の半沢さんがとても魅力的に書かれている。また、彼を認め信頼できる友人、最初は反感を持っていながらも仕事を通して半沢さんを尊敬するようになる部下、それぞれの仕事に誇りと信念を持つ人。この人たちの努力が報われて結果が出ますようにと、思いながら読んだ。

    池井戸さんの本は、個人の力も魅力的だけれど、互いを結集して大きな力を生み出し、不利な点をひっくり返して結果を勝ち取るストーリー展開が大好き。読んでいる途中苦しくなることも多いけれど、頼りがいがあり勇気を持った主人公やいっしょに仕事をしてみたいと思わせる周りの人々の困難に立ち向かい切り拓いていく姿が心に残る。

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著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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