- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478021477
作品紹介・あらすじ
明治維新も第二次大戦後の復興も、革命の担い手はいつの時代も、企業でいえば課長クラス、ミドルリーダーだ。日本も今の混迷期を脱するには、ミドルリーダーの踏ん張りが欠かせない。社長も含めて上司はコマとして使い、最大の成果を上げる--。自分がトップのつもりで考え行動するリーダーシップの鍛え方とは?
感想・レビュー・書評
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もう10年以上前に出版されていることを感じさせない。
今読んでも学びがあるし、これからリーダーになろうとしている人が読むべき一冊。
どこまでも、思考の訓練だと思う。
葛藤があっても、答えを出すのは自分でしかない。
この本は著者の考えを押し付けるでもなく、
やり方を示したうえで、自分で答えを出すよう訓練させてくれる。
そうした姿勢に好感が持てる。
文字通り、伴走型の一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一次情報が現場から経営から入るミドルマネジャーこそ肝であり、日本のムラ社会を壊さなければならないジャッジが必要。それを行うには、ムラ社会を出ても戦っていける実力と自信が必要。
中間層がいなくなる、所得格差が広がるのは、グローバル化や、資本主義経済ではなく、産業構造の変化である。
知識集約型産業に変わったから。労働集約型、設備集約型産業のある一定レベルきちんとこなせる。はもはや機械と安価な労働力により代替された。
情緒的直感はならない。合理的思考で、ジャッジし、伝え方は情緒的が理想的。その際に陥る事はサンクコストト、サンクタイムに対する時。
戦前のゲゼルシャフトから、ゲマインシャフトに変化し、企業の倒産は社会悪になったが、入れ替わることが大事。
捨てることこそ、成長すること。
何が一番の競争優位か?が一番大事。そしてそれに、時代の流れを勘案する。日本の取締役会には、ブレーキを強める監査役設置会社や、社外取締役というよりも、どうアクセルを踏ませるかを考えるべき。アメリカは株主主権ではなく、取締役会主権。この構造を間違えてはいけない。
R社は、会社の中だけがムラ社会ではなく、卒業者も含めてムラ社会が形成できている。なので、卒業などの新陳代謝や、その覚悟が出来やすいので、イノベーション提案が起こりやすい。次世代の新しいムラ社会や、カイシャのあり方では無いか? -
ミドルリーダーに特化して執筆されており、いつの時代も革命の原動力はミドルポジションだという考えは面白かった。最も興味深かったのは、日本の場合革命を起こすトップリーダーは与党から生まれるという点。日本にはフランス革命的な改革派の飲み込みは生まれず、主流の中から生まれてくるという示唆は興味深かった。おそらくこれは組織内の話に留まらないだろう。
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平社員や20代がむしろ読んだ方がいいと思いました。一朝一夕には身につきませんからね。参考にする、というよりも自戒する、といった腹落ち。理解して読み進めるには少し時間がかかりました。がんばる。
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「結果を出すリーダーはみな非情である」冨山和彦
リーダー論。特になし。
産業再生機構でJALやカネボウの再建に携わった著者の、2000年代以降の日本社会リーダー論。
主に、ミドルリーダー層≡現場の部課長クラスを対象にして書いています。
僕にはまだ早い、などと言っててはいけなくて、将来使えるリーダーになるためには、早いうちから論理的思考力や日本的コミュニケーション能力を鍛えていかないといけない。
表題どおり、組織の中で決断を担う役割になったときに合理的な判断をするためには、「情理」を捨てて「道理」を通さないといけないことがあるでしょう。
それを実際に実行するためには何が必要か。
著者の考えるリーダーの条件を、実践に則して語っています。
今回、佐々木常夫さんの著作とセットで読みました。タイトルからするとリーダーの二面性:
飴とムチ、性善と性悪、仏と鬼、そんな対比になるかと思って読み終えたのですが、案外そんなこともなく。
佐々木さんの著作では社会人として基本的な心構えを忘れずに、というキソであったとすれば、
冨田さんの内容は、より上を目指すビジネスマンに対してハッパをかけている。
合理に沿って判断することを是としつつも、実際のコンセンサス取りにあたっては、現場の調整・経営者の調整が重要だということを説く。
そのために、上からも下からも一次情報の入ってくるミドルクラス=課長が最も機動的に会社を変えられる。だそうです。
確かに各キャリア段階の都度、ヒラらしいヒラ、課長らしい課長、などに収まってしまうと物の考え方が拡がらないなあと思いました。
(4) -
以前、学生時代に受けた企業採用説明会のゲスト講演者が富山さんで、その話が辛辣だが面白かったことを思い出して読んでみた本。
富山さんがこの本で言いたいと思われるポイントは冒頭で完結に述べられているので時間がない人は冒頭だけでいいかもしれない。
①若いうちから経営者の視点(与党の視点)で物事を考えること
野党的視点・スタンスは楽で気持ちいいかもしれないが、それでは実際に権力に握ったときに何をしないといけないのか、組織の動かしかた等が見につかない。常に与党的立場で状況を整理し、自分がリーダーだったらどうするか、という視点で考え、実行する。
実行に移せないような環境であれば、今の権力にある人たちの行動、彼らを何が動かしているのかをよく観察・洞察すること。それがのちのち生きる。
②責任転嫁しないこと/引き受け戦うこと(=ストレス耐性を高める)
①と近いが、責任転嫁しないこと。失敗もそうだが、不作為による失敗(無能)を上司や部下に責任転嫁しないこと。
また、そうした機会から逃げないこと。
戦った経験がない人間は、立場が上になったからと言ってすぐ戦えるようになるものではない。
とりあえず、今の私に響いたのはこの2点。
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本題とは別なところで、他に読んでいた本との兼ね合いで面白かった記述。
日本的革命の要諦として「イデオロギッシュなものがエンジンとなることは滅多にない。もっとあいまいな、空気のようなもの、さらにはその背景にある個々人の実利と情緒、すなわち、合理と情理が重なり合ったところにおいて空気が一変し、改革は付和雷同的に加速する」
「昨日まであれだけ主義主張を振りかざして抵抗していた人たちが、いつの間に課全く逆のことを言いだす」p189
これが日本的ムラ社会の特徴らしい。
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数年前に『会社は頭から腐る』を読んで以来、
久々に冨山和彦さんの著書を手にとってみた。
冨山さんの価値観は妙に自分にフィットするところがあり、
『会社は頭から腐る』で書かれていた“性弱説”の概念は
今でも考える上での規範とさせられる機会が多い。
今回の著書もタイトルこそ挑発的なものであるが
実際に書かれてある内容は合理的で納得させられまくる部分が多かった。
情に流されて判断を誤っていないか、
論理で片がつかないと判断するために論理的に考え尽くしたか、
摩擦を恐れず、かつ摩擦から生まれるコストや混乱を最小化する様に
努めているか。
本当の経営の姿とはどういうものか、
冨山さんならではの脱・馴れ合い的な切り口から語られている。
唯一この本で引っかかったところを挙げるとすると、
理論派寄りな印象を与えがちな自分がこのような
タイトルの本を読んでいると心ない人間と尚更
思われてしまうのではないかという若干の不安が、
この本を手にする時に一瞬頭をよぎったことである。 -
ちょっと刺激的なタイトルなので手にとってみました。ミドルリーダーをテーマにしたリーダーシップ論です。
「論理的思考力」「合理的判断力」「戦略・組織論」等、章立てとしては特段目新しくはないのですが、現代の日本企業の沈滞に対する危機感を基軸に、変革の時代の担い手として企業のミドルマネジメント層をターゲットに据えた、著者の実践的なアドバイスが開陳されています。
「ミドルリーダー」への教科書的ではない具体的な示唆には首肯するところが数多くありますが、それら以外でも、著者流の物事の捉え方は、綺麗事に止まらずなかなか刺激的でしたね。