30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478021606

作品紹介・あらすじ

東大卒・経産省キャリアが「三十路の官僚のブログ」で給料を公開して話題騒然。官僚批判からは絶対に知ることのできないリアルな想い。

感想・レビュー・書評

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  • 本人が迷っているのは分かるけど、何とも中途半端。何だか経済産業省に気を遣っているような言い回しが、いちいち気持ち悪い。政治家や省庁間の根回しや調整のために何百時間も費やしていること自体が全くの無駄であって、税金の無駄遣いということに気が付いていない。国民からすればそんな事は一切やって欲しくない訳で、そういう意味でもまだ世間一般の感覚とはズレがある。とにかく国を良くするために官僚が何をできるか、という観点で延々と書かれている事が気に入らない。余計な事はしなくていいのである。この本を読むまでは、そこまでは思っていなかったが、この本を読んで官僚制度、政治家というのは本当にこの国の成長や勢いを削いでいると感じた。それが分かったという意味ではこの本の価値がある。東大生に言おう。決して官僚になってはいけない。国の将来を真剣に考えるのであれば、国に頼らずこの国を変えることができるようなビジネスを自ら起こして欲しい。最後に付け加えるとすれば、そんな著者も役所を辞めたので、そういう方向に進んでくれるのではないか、と期待しているということである。

  • 【読書その115】入省同期の経産省の宇佐美典也氏の本。書いてあることは同感できることが多い。彼がいうように、これ以上前途ある若い官僚が志半ばで霞が関を去るのはなんとかしないといけないと思う。宇佐美氏も今年の9月で役所を退職したようであるが、面識はないものの、入省同期が霞ヶ関を去るのはやはり寂しい。しかし、宇佐美氏の能力であればどの舞台でもしっかり自分のカラーを出していけるのだろう。今後の宇佐美氏の活躍に期待したい。彼に負けないよう霞が関に残る自分も頑張らないと。

  • ・簡単な背景を説明しますと、当時は安倍政権下で、小泉政権の新自由主義的な政策の反動からか、地域と都市の経済格差に対する批判が激しくなってきたころでした。また、次の年に参院選を控えていたため、経済産業省としても政治的に何らかの地域活性化策を打ち出すことが求められるようになり、急きょ政策の検討が始まったのです。
    →省庁で政治的に政策を打ち出す必要性を感じるんだ!なるほど。

    ・平成23年度末に決まった公務員給与の一律大幅な削減の決定は、若手官僚が霞が関から離脱する一つの契機になりそうです。これまでは、政治家が官僚のバッシングに加わることがあっても、労働条件に直接に手を出すことはありませんでした。
    …公務員の給与を減らすという決定そのものよりも、この決定の際に「公務員の仕事とはかくあるべし」というような骨太の議論がまったくなされず、はじめから給与の一律削減ありきでことが進められた状況のほうが僕はショックでした。

    ・国のお金の流れの大部分を占める平成24年度の一般予算案の規模は90.3兆円です。その内かろうじて5割を超える46.1兆円が税収を中心とする自前の財源、44.2兆円が国債。
    歳出の比率は、社会保障関係費26.3兆円(29.2%)、国債の元利払い21.9兆円(24.3%)、地方交付税交付金16.6兆円(18.4%)で政治的融通が利かないこの3種類ですでに約7割を占める。
    その他は文教および科学振興費5.4兆円(6.0%)、防衛関係費4.7兆円(5.2%)、公共事業費4.6兆円(5.1%)。
    最も伸びが顕著なのは社会保障関係費で、2000年に16.7兆円(19.7%)だったものが、10兆円近く拡大している。年々1兆円程度(2025年ころまで)自然増が見込まれている。

    ・行政改革に必要な視点は、
    ①行政改革の目指す姿はインフレ誘導、殖産興業、歳入改革の一体的な推進を可能とする政府である。
    ②縦割り行政の打破を目指すのではなく、むしろ縦割り行政を前提として、財政再建における重大な課題について行政機関同士の連携の必要性が最小限で済むような行政機構の再編を図る。
    ③殖産興業の方向性は「社会保障関係費」の削減に直接的に資することを目指す。
    ①→建設事業や研究開発など投資に限定される国債を作り、日本銀行による赤字国債への強い懸念への積極的回答とする。
    ②→100億円超などの大規模プロジェクトは省庁の予算から切り離し、5~10年でマネジメントから産業化までの責任を持った別個の組織を作る。キャリア官僚の人事ローテーションからも切り離す。
    ③「農業だけで食べていける専業農家を育てる」方向の農政事業を、削減した年金とセットつまり兼業での農業を支援する事で、農業のすそ野拡大+社会保障費の負担軽減を目指す。そのための高齢者産業創出庁を創設する。


    ブログで経済産業省での自身の給与を公開して話題に。
    本書でも平成24年6月の給与、基本278,000円、超過勤務手当103,000円、手取り332,000円と載せられている。「30歳8年目の職員の給料としては妥当な範囲かな」とあるが、大半の大手企業の同級生よりは低水準だ。
    日々の仕事の内情や、提言もとても説得力があり興味深い。財務省や文科省、外務省など各省庁の同じ趣旨の本を読みたいくらい。またそれ以上に著者の謙虚さと、日本全体の事を考えている志に、感動というか驚嘆を覚えます。

  • すばらしい

  • 官僚のリアルな仕事内容がわかった。実際に施策を動かすことができるのが、キャリア官僚の醍醐味とはいえ、若手にとってはやりがい搾取に近い。優秀な若者が1回辞めて民間にでて、そのあと戻ってこられるような仕組みができればだいぶ違うのだろうと思った。

  • この人がブログでいろいろと発信し始めたとき、けっこう話題になったよなぁと懐かしく思う。書いてあることはだいたい間違っていない。公務員の良さというのは、批判ばかり受けるけれども、あくまで実行者として予算にしろ法律にしろ、決めることができるということだと思う。そういう意味でも、辞めたあとに同じ業界で評価者として生きていくのはどうなんだろうか。楽しいのかな。どうしても売れるためには過激な方向に行かざるを得ないし、けっこう大変そうだ。

  • 労働環境はやはり良くない。
    肉体の余裕は失われ、健康も損ねる先にあるものはなにか。
    それまでしてもやることなのか。
    私心を殺して折衷案を作る究極の調整仕事。

    いかに大臣や副大臣が省庁をこえた調整を主体的にするかが大事。

    ただ、あまり労働環境をよくすることについての具体的なことは書いてなかった。

  • 社会

  • 東大経済→経済産業省キャリア
    仕事内容、政治とのからみ。特に民主党政権時
    キャリア官僚制と天下りの必要性、功罪

  • 去年話題だった1冊。やっと読めた。

    自分は官僚的なモノが嫌いなのだけれど、官僚(キャリア官僚)について何も知らなかったなと改めて感じた。例えば著者がBLOGで公開して話題になった給与や勤務実態について(こちらはモノの本で何となくしっていたけれど)。

    受験と国家試験を潜り抜け、ブラック企業さながらの過酷な勤務と様々な重圧に耐え、様々な利害関係「万人が少しづつ不公平を感じるように」調整するという仕事はとても自分には出来そうもないな。

    著者が解釈したキャリア完了に必要な能力は以下のような能力。
    <blockquote>一.役人の基本は文章にあり(場面場面に適した文章を書く分析力と表現力)。
    一.役人の真髄は交渉力にあり(交渉にあたって状況をすばやく把握する勘のよさと、いかなる状況にも落ち着いて対応する冷静さ)。
    一.役人は組織で仕事をする(組織の一員として働く協調性)。
    一.役人はプロとしての自覚を持つべし(日本の官僚としての矜持)。
    一.役人は健康管理に心すべし(日々の生活を節制する自己管理能力)。
    一.役人は国際競争力の滋養に努めるべし(広く世界の状況を把握する目と、そのなかで日本の立ち位置を考える戦略的思考力)。
    一.役人は首をナナメに振るべし(軽率に断定的な表現をしない慎重さ)。P.57</blockquote>

    キャリア官僚に東京大学出身が多いというのは確かだけれど、著者の見立てによると入館するまでに求められる能力を既に東京大学入学の段階で身につけているからだという。

    <blockquote>・文章の微妙な表現からその真意を読み解く国語力
    ・関係主体の複雑な関係を把握し分析する歴史の知識・分析力
    ・世の中のもんだおを理解する前提となる分離を問わない幅広い教養
    ・受験に至るまでコツコツと勉強を続ける粘る強さ
    (p.59)</blockquote>


    30歳で手取り32万という給与を公開して高いだのなんだの話題になったけれど、これだけの能力があったら、民間企業でもっと楽に稼げるだろう。安定しているじゃないかという指摘もピラミッド型の人事制度やそれに伴った自主退職を考慮すると磐石ではないだろう。そもそも過酷すぎて勤め上げれるのもなかなか……だろう。
    若手は100時間/月の残業だというし(繁忙時は300時間)。思ったのだけれど、ブラック企業に対する行政の対応が上手く進まないのは。立案する官僚自身がブラック企業と同じような労働環境だからだろうな。もっとも「そこから抜け出せるか」ということと報酬が天と地ほどに差があるのだけれど。

    事実著者の学生時代の同級生の中では手取りは最も低かったという。経産省同期の中には年収1千万を蹴って入省したものもいるという。それでも、国のためになる、やりがいを求めて入省したという(著者を面接をしたある面接官は「クソつまらない仕事だけれど、3年に1度くらい震えるほど感動する仕事を出来るといったとか)。

    そういうやる気を何よりスポイルしてきたのが、ここ数年の「官僚叩き」の風潮だという。著者も含めて若手の優秀なキャリア官僚の退官があいつでいるようだ。どうやら民主党政権下でそれは更に進んだようで。

    日本という国家は官僚が動かしているわけで、政治家、マスコミの人気取り、ヤッカミ、責任転嫁で悪戯に官僚を貶めたら、そりゃガタガタになるようなぁと思った。

    それでも官僚というのは好きになれそうにないのだけれど。

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著者プロフィール

制度アナリスト。1981年東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、経済産業省に入省し、企業立地促進政策などに携わる。在職中にブログ「三十路の官僚のブログ」で注目を集める。新エネルギー・産業技術総合開発機構で電機・IT分野の国家プロジェクトの立案およびマネジメントを担当したのち2012年に退職。現在は太陽光発電などの再生可能エネルギーについてのコンサルティングとともに、著述活動やメディア出演を行っている。著書に『30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと』『菅政権 東大話法とやってる感政治』など。

「2023年 『電力危機 私たちはいつまで高い電気代を払い続けるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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