元法制局キャリアが教える 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方
- ダイヤモンド社 (2014年9月12日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478021781
作品紹介・あらすじ
法律を学ぶ目的を知る、条文に隠された「公平性」と「論理性」を読み解く、実現しようとする「価値」に着目して条文を読む-3つのパートで、法律を読み解く力が飛躍的に高まる!
感想・レビュー・書評
-
私は理系ということもあり法律の勉強方法についてはあまり勉強してこなかった。
法律の勉強というと、条文を覚えて、判例を覚えて、実際の事件でどういう判決があったかといったことを覚えてと、おぼろげながら思っていたのだが、こういった勉強をしながら、法とその解釈を覚え、リーガルマインドを培っていくことで、法律が制定される目的が、究極は人権の保障であることを念頭に置きながら、異なる利益に対して公平とは何かを考えながら、条文を解釈し、それがさらなるリーガルマインドの醸成につながるものだと理解した。
あと、法律を勉強していくうえで知っておかなければならない知識も詰め込まれていて、この本の前著も読みたくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『感想』
〇法律を説明してくれる本って、憲法何条にはこういうことが書いてある、民法何条には・・・とテストの答えになることを教えてくれるものばかりだったが、どういう考え方をするのか、その裏にはどういう意味があるのかを説明しているこの本は違う刺激をもらえた。
〇ただこれは初級本ではなく、ある程度法律に触れている人でないと、著者のいう意味がわかりにくいと思う。そしてこの後に壁を乗り越えて真の理解が進むのではと思う。
〇これはもっと若いころに出会いたかったな。今の自分ではもう一度法律の基本に立ち返って調べ直すまでの気持ちはない。だが今後出合う法律に対して、もっと深く読み込める気がする。
『フレーズ』
・「何があてはまるかを想定したうえで『等』をつかう」こうしたルールが徹底しているのが法律です。法律の条文で「等」を使う場合、必ず、「等」とは「〇〇」と「××」と「△△」です、と具体的に列挙できなければなりません。(p.57)
・法律の条文では、ひとつのことがらは「。(句点)」をはさまず書いてしまおうとする傾向があります。一旦文章を切ると、前の文相とあとの文章とのつながりをめぐって、いろいろな読み方が生じてしまいます。(略)「主語を述語に近づける」工夫をします。(p.62)
・共通する要素を先に出すと、論理性を高め、しかも記述量を減らすことができます。(略)この方式のことを「パンデクテン方式」といいます。(p.74)
・私法は、(略)お互いの関係をお互いの意志で決めることができます。(略)それを許さない規定が民法やその他の法律に置かれています。これを「強行規定」といいます。(p.121)
・「又は」「並びに」は一番大きなグループどうしをつなぎます。「及び」「若しくは」は一番小さなグループどうしをつなぎます。(p.137)
・大きな条件には「場合」を、小さな条件には「とき」を使って、2つの仮定的な条件が重なった状態であることを表現しています。(p.147)
・法令で「者」という用語は、自然人や法人といった法律上、自らの名前で権利を有したり、行使したりできる存在に使われます。(略)権利主体になれない存在はひらがなで「もの」と表現して「者」と区別しています。(p.148)
・民法140条は「~から」という場合にはその初日は参入しないことを原則としているのです。これを「初日不算入の原則」といいます。(p.151)
・「憲法附属法」といわれるものがあります。憲法が定める基本的人権の保障や統治のしくみに関する規定を直接実現する法律群のことをそう呼ぶのです。ただ困ったことに、では、どの法律が憲法附属法なのかということになると、主張する学者などによってバラつきがあります。(p.204)
・「お金で損害の穴埋めをする」場合には、「賠償(損害賠償)」のほかに「補償(損失補償)」の場合があります。「賠償」が違法な行為で引き起こされた損害の穴埋めであるのに対して、「補償」は、適法な行為で引き起こされた損失の穴埋めを指す言葉です。(p.211)
・条文の理解には、まず、その法律が大切にしている価値を理解することが大事だとお話ししましたが、憲法では「権力に向けられた人権保障のための規定」という性格がその価値にあたります。(p.244) -
初学ほんとして、字も大きくサラッと読める。
-
法律を読むにあたってのルールというか読み易さのためのセオリーを非常にわかりやすい例えと文章で書かれた一冊。素人でも充分に理解できる内容なので、法律について勉強したいと思うなら真っ先に読んでおいて損はない。
法律に足を踏み入れる前の準備運動といった感じ。 -
法律
-
●法律の読み方について書かれた本。法令用語やどう解釈するのかなどを説明している。
-
著者の前著と同趣旨のものなので前著読んでからだと新鮮味には欠けるが、サクッと読めて、元不真面目法学部生にとってはハッと気づかされる記述があり、しかも易しく書かれていてありがたい。
これまで漫然と法律を自分なりに解釈したり、解釈論を読んだりしていたが、本書の締めの部分にある、妥当と思われる結論と条文をつなぐものが「法解釈」なのだという話はなるほど。 -
321-ヨシ 300381761