金融緩和で日本は破綻する

著者 :
  • ダイヤモンド社
3.76
  • (9)
  • (14)
  • (11)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 175
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478024058

作品紹介・あらすじ

安倍政権の政策では、制御不能なインフレが起きる。安易な緩和策は、問題を先送りする「麻薬」。金融政策の限界を検証し、真の改革を断行せよ。日本経済論の第一人者が通説の誤りを正す。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 金融素人にも、現在の日本の現状と今後の展開をわかりやすく説明している。

  • 金融緩和で日本は破綻する 単行本(ソフトカバー) – 2013/2/1

    「デフレからの脱却」ではなく、「所得低下からの脱却」が必要
    2013年3月31日記述

    超整理法、超勉強法、1940年体制などで有名な野口悠紀雄氏の本。

    2012年12月の総選挙で登場した安倍晋三新内閣の金融政策への警鈴の書である。
    なぜなら金融緩和のみで経済成長を促進するのは困難であるし何よりバブル崩壊以後行われてきた金融緩和そのものの効果も疑問があるからだと説く。

    一般にデフレというけれども値下がりしているものはPC、デジカメなどの製品で
    文房具、自動車教習代金などは逆に値上がりしている。
    (新興国の工業化がデフレの一因になっている)

    また現在日銀は安倍内閣と呼応して物価目標として2%をあげている。
    しかしそもそもの物価目標、インフレターゲットの目的は物価抑制であるという解説は基本的なことを忘れがちな私達に重要な指摘だ。

    本書内では実際のデータから示されることを解説していく。
    他の野口氏の経済本もそうであるけれどもなかなか難しい。
    一般人がスッと理解できるレベルではないので注意。

    本書内にあった「デフレからの脱却」ではなく、「所得低下からの脱却」が必要という指摘には頷く他ない。

    他の書籍、記事でも著者が指摘しているように新産業が起こりやすいように規制緩和を進め古い体質の企業を存続させる政策を取りやめることが必要である。

    安直な方法で深刻な問題が解決されるはずがない。
    良薬口に苦し。
    考えてみれば当たり前のことである。
    しかし政治は痛みを伴う改革を避けてばかりだ。
    この10年で国民に不都合なことがあっても改革を進めたのは小泉純一郎、野田佳彦くらいだろうか。

    今、安倍新内閣は支持率もやや上向き加減で近年で見れば順調そうに見える。
    しかし地道で愚直な改革を成し遂げるよう方向転換することを祈らずにはいられない。

    このレビューを書いている今日、既に黒田東彦日銀新総裁は2%の物価目標が困難であることを認めている。
    本書を読むと日銀のニュースから目が離せなくなるだろう。

  • はじめに
    第1章 金融政策はどう行なわれるか
    第2章 効果がなかった量的緩和
    第3章 大規模為替介入と円安バブル
    第4章 日銀による財政赤字のファイナンス
    第5章 金融緩和でデフレ脱却はできない
    第6章 世界を混乱させるアメリカ金融緩和QE
    第7章 金融緩和のエンドレスゲームに突入する世界
    第8章 金利高騰は大問題
    第9章 財政赤字と金融緩和で国家は破綻する

  • これまでの金融緩和策は実体経済を活性化できなかった。実は真の目的は日銀による財政赤字のファイナンス(国債の貨幣化)であり、それをいつまでも続けるためである。(知らなかった。)
     日銀による国債の直接引き受けが認められれば、財政支出はとめどもなく膨張する。インフレによって国債の実質価値が低下できる。国民は、資産を円建てから外貨建てに移せばリスクを回避できる。この資本逃避が起きると急激な円安をもたらし、それが輸入価格を高騰させてインフレを加速させる。
     このようなプロセスがおきないよう自国通貨で資産を保有できる環境を整備する経済運営が重要である。
     新しい産業を興して雇用を創出することによって、日本経済を活性化する構造改革が不可欠である。

  • 国債の日銀引き受けが実施されれば政府の財政支出に歯止めがかからなくなりインフレを引き起こす。インフレと円安は資本逃避を生じせしめる。実質価値を低下させない円安では輸出も増えない。過度の金融緩和は日本経済を活性化させるどころか、日本経済の体力を奪い体力喪失は資本逃避を通じて急速に進展していく。日本がそれなりに信認されている今こそ最悪のシナリオを回避する最後のチャンス。最後の歯止めくらいはできるものと信じたい。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:338.3//N93

  • 「金融緩和は狂気の沙汰だ」
    恐ろしく明晰な頭脳。
    この人は、浜田宏一よりずっと頭良い。

    野口は、1980年代のバブル期に、日本国民の多くが浮かれてバブル踊りに熱中している中で、一貫して「現在の地価はバブルである」と断言できた、稀有な科学者だ。

    一方、同じ頃、日経新聞は今と同じように「内需関連株」のブームを煽りまくっていた。
    日経新聞って、しばしば世論をミスリーディングするけど、国民にどれほど被害者が出ようと、自らの言説の間違いについて一言も謝らず、知らん顔して済ませる。
    詐欺師のようなイカガワシイ新聞だ。

    -----------------------------------

    読んでる最中に、2013年5月23日、東京株式市場で日経平均株価が急落してビックリ。
    終値は前日比1143円28銭(7.32%)安の1万4483円98銭。

    前場に1万5942円60銭の年初来高値をつけた後、中国の景気停滞を示す指標の発表が引き金になり、株価指数先物に売りが殺到、つられて現物株も投げ売り状態に。

    FRBのベン・バーナンキ議長が22日の議会証言で、市場の想定以上に早く債券買い入れ規模の縮小について示唆したことも株売りを誘発したとみられる。

    ------------------------------------------

    2016年1月

    この人の、ビットコインの説明を聞いてたんだけど、話が論理的。知識が幅広い。論理の展開が数学的。
    こんな頭の良い人っている?
    すごいわ。
    ホレボレしちゃう。
    IQいくら?

    https://www.youtube.com/watch?v=o0s4u-LVhrA

  • マネタリーベースにマネーストック…、などなど何度読み返しても構造イメージがまったく脳みそに落ち着かず、ちんぷんかんぷん。ほんとにトホホーだわ。
    何となく雰囲気でわかったかも?としかいいようがない。
    まぁ、インフレになったら債務はチャラになるかしらんが(超安易な道=地獄を見る)、国家は破綻するってことはよーくわかったし、今のところその道まっしぐらな日本であることもよーくわかった。
    で?
    インフレ対策には貨幣で持っててもしょうがなくなるなら、金か不動産あたりに変えとくとよいのか?

  • まとめ
    ・金融緩和では物価を上げることは出来ない。つまり物価目標2%は達成できないので、日銀はいつまでも金融緩和(国債購入)を続ける理由を保てる。
     しかし、欧州危機が収まり、欧州資金の日本への逃避が逆流すると、日本国債はたちまち下落(金利上昇)する。
     これを抑えるために国債の日銀引き受け(国会決議があれば可能)の可能性が浮上してきた頃が危険!!
     円安を恐れて、日本から海外へいっきに資本が流れ、円安が加速し、輸入インフレが起こる。

  • 難解なかきまわしも多いので、ある程度金融の理解力がある方でないと面白くない本かも知れませんね。

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業。64年大蔵省入省。72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て2017年9月より早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター顧問。専攻はファイナンス理論、日本経済論。ベストセラー多数。Twitterアカウント:@yukionoguchi10

「2023年 『「超」整理手帳 スケジュール・シート スタンダード2024』 で使われていた紹介文から引用しています。」

野口悠紀雄の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヨルゲン・ランダ...
ジャレド・ダイア...
ポール・クルーグ...
シーナ・アイエン...
古賀 茂明
池井戸 潤
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×