ビッグバン・イノベーション――一夜にして爆発的成長から衰退に転じる超破壊的変化から生き延びよ

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制作 : 江口 泰子 
  • ダイヤモンド社 (2016年2月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478026625

ビッグバン・イノベーション――一夜にして爆発的成長から衰退に転じる超破壊的変化から生き延びよの感想・レビュー・書評

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  • ○この本を一言で表すと?
     デジタル化に基づくイノベーションについて述べた本


    ○この本を読んで興味深かった点・考えたこと
    ・デジタル化に基づいた、デジタルの特徴を加味したイノベーション理論の内容が書かれていて、今後適用される範囲が広がっていきそうだと思いました。複製が容易で距離も関係がなく、イニシャルコストの低いデジタルの世界だとどのようにアイデアが事業化されていくのか、どのようにヒットするのか、どのように衰退するのかが、機械などの従来の製品と比較して書かれていてイメージしやすかったです。

    ・つっこみどころが多く、本としての完成度は微妙かもしれませんが、伝えたい本筋であるデジタル化に基づくイノベーションについての一つの考え方として有用な内容だったと思います。

    ・グーグルマップの出現やスマートフォンの普及によって地図やナビの機械があっという間に衰退していったことでデジタルによるビッグバン・イノベーションの説明がされていました。ビッグバン・イノベーションの3つの特徴として、「枠にとらわれない戦略」「とめどない成長」「自由奔放な開発」が挙げられていました。特に「枠にとらわれない戦略」では、プレミアムな製品・低コスト・カスタマイゼーションなどの従来並立させることが困難であった戦略を同時に進めることができ、ポジショニング・ターゲッティング・セグメンティングなどをしなくても最初から総当たりでアプローチできることなどが挙げられ、従来との差が強調されていました。(第1章 ビッグバン・イノベーションとは何か)

    ・前章で挙げられた3つの特徴「枠にとらわれない戦略」「とめどない成長」「自由奔放な開発」を3つの経済学的な側面「製造コストの削減」「情報コストの削減」「実験コストの削減」に関連づけていました。利用できるプラットフォームの存在、クラウドファンディングなどによるスタートのサポート、インターネット経由の情報取得の容易さなどが、これらのコスト削減に繋がっているそうです。(第2章 ビッグバン・イノベーションの経済学)

    ・ビッグバン・イノベーションの4つのステージ「特異点」「ビッグバン」「ビッグクランチ」「エントロピー」について説明されていました。(第3章 シャークフィン)

    ・ビッグバン・イノベーションの最初のステージである特異点では、ビッグバン・イノベーションの第3の特徴である「自由奔放な開発」が活発に行われるそうです。何かが世に出そうでまだこれというヒット商品が出ていないような潜伏期のような時期をさしているのかなと思いました。このステージの3つのルールとして「『真実の語り手』の声に耳を傾ける」「市場に参入するタイミングをピンポイントで選ぶ」「一見ランダムな市場実験に着手する」が挙げられていました。「一見ランダムな市場実験に着手する」では、使える部品の組み合わせによる開発コスト・実験コストの低下で、予め様々なことを試すことができると書かれていて、確かにそうであればイニシャルコストの低下し、ベンチャー企業の参入が容易になりそうだなと思いました。(第4章 特異点)

    ・ビッグバン・イノベーションの第2のステージである「ビッグバン」では、成功した企業がひとり勝ちして、その業界の既存企業を含めて大いに巻き込んで業界を変革するそうです。このステージの3つのルールとして「『破滅的な成功のシグナル』を見逃さない」「『ひとり勝ち市場』で勝者になる」「『ブレットタイム』をつくる」が挙げられていました。「『破滅的な成功のシグナル』を見逃さない」で、想定以上の成功を収めてしまって体制が整わずに破綻する可能性、破綻しないまでも準備が整っていない性であっという間に通り過ぎてしまう可能性について触れられていました。(第5章 ビッグバン)

    ・ビッグバン・イノベーションの第3のステージである「ビッグクランチ」では、爆発的な成長の後で突然死に至るおそれがあるそうです。このステージの3つのルールとして「市場の飽和に先んじる」「負債化する前に資産を処分する」「リードしているあいだに撤退する」が挙げられていました。以前では市場が飽和するまでに数年から数十年かかっていたのが、数ヶ月で飽和することがあり、次のイノベーションを起こす手を打つか、撤退の準備をしておくことが重要だそうです。そのタイミングを見極めるのがシビアそうだなと思いました。(第6章 ビッグクランチ)

    ・ビッグバン・イノベーションの最後のステージである「エントロピー」では、製品ライフサイクルの衰退期のように、市場規模が推測し、かつビッグクランチのステージで脱出しなかったために容易に脱出することすらできないそうです。このステージの3つのルールとして「『ブラックホール』を逃れる」「他の企業の部品サプライヤーになる」「次の特異点を探す」が挙げられていました。「他の企業の部品サプライヤーになる」で、これまで最終顧客に製品を提供していた立場から、製品を市場に供給する企業に部品を供給する立場にシフトチェンジする策が挙げられていましたが、組み合わせによるイノベーションが、過去の技術に依存することを考えると、ビッグバン・イノベーションの流れでかなり有効な立ち位置であるようにも思えました。技術的なことはともかくとして、組織的な面でかなり難しそうだとは思いますが。(第7章 エントロピー)


    ○つっこみどころ
    ・副題が長すぎるなと思いました。内容には即していますが、もう少しコンパクトにできたのではと思います。

    ・「はじめに」で、イノベーションのジレンマが第2の波、ブルー・オーシャンが第3の波で、ビッグバン・イノベーションが第4の波だと書かれていましたが、イノベーションのジレンマとブルー・オーシャンを同列で考えているところ、イノベーションのジレンマが今では通用しないとしていることなど、かなり無理のある結論が出されているように感じました。この本で書かれているビッグバン・イノベーションは完全にデジタルに置き換えられるかデジタルに置き換えられた範囲が大部分を占めるようなものしか適用できない限定的なもので、製造の要素が大きい業界にはほとんど適用できない概念であるように思えました。デジタルに置き換えられる範囲が徐々に広がっていくというのは考えられますが、現在においてはまだ特定の業界の話だと思いました。

    ・3つの特徴、3つの側面など、並列に挙げられている要素で、大きく偏っているように思えるケース、例えば最初の1つに比べて残りの2つが同レベルとは思えないほど小さい扱いがされるようなケースが見られました。並列に要素を挙げる本を書く時のお作法に無理やり合わせたようなおざなり感があるように思えました。また、要素間の関連でもそれほど関連づけに意味を見いだせないパターンもありました。(例えば第2章の3つの特徴と3つの経済学的側面など)

    ・第3章のシャークフィンの事例として、ピンボールと家庭用ゲーム機の関係が事例として書かれていましたが、これはビッグバン・イノベーションよりもイノベーションのジレンマの事例ではないかと思いました。

    ・話のまとまりが弱く、様々なトピックを寄せ集めた本であるように思えました。

  • ■書名

    書名:ビッグバン・イノベーション――一夜にして爆発的成長から衰退に転じる超破壊的変化から生き延びよ
    著者:ラリー・ダウンズ、ポール・F・ヌーネス

    ■概要

    なぜシャープ、任天堂、ソニーは急激に衰退し、アマゾン、富士フ
    イルム、Airbnbは勝ち残ったのか?『イノベーションのジレンマ』
    『キャズム』『ブルー・オーシャン戦略』を超える新世代の経営戦略論。
    (amazon.co.jpより引用)

    ■気になった点

    なし

  • ハーバード・ビジネススクールのマイケル・ポーター教授による基本戦略「差別化」「低価格」「集中」をイノベーションの第1の波とすれば、レイトン・クリステンセン教授の「破壊的イノベーション」は第2の波、W・チャン・キムとレネ・モボルニュの「ブルーオーシャン戦略」は第3の波、そして、第4の波が「ビッグバン・イノベーション」である。
    ビッグバン・イノベーションでは、製品のライフサイクルは「ベル・カーブ」から「シャークフィン」になる。シャークフィンは、①特異点、②ビッグバン、③ビッグクランチ、④エントロピー、という4つのライフサイクルからなり、急速に商品が売れ、ひとり勝ちが起き、ピークを迎えた途端に需要が落ち、製品ライフサイクルは短命化する。
    ビッグバンイノベーションの世界を生き延びるために、各ライフサイクルで、以下のような行動を取る
    特異点では、
    ①「真実の語り手」の声に耳を傾ける
    ②市場に参入するタイミングをピンポイントで選ぶ
    ③一見ランダムな市場実験に着手する
    ビッグバンでは、
    ①「破滅的な成功のシグナル」を見逃さない
    ②「ひとり勝ち市場」で勝者になる
    ③「ブレッドタイム」をつくる
    ビッグクランチでは、
    ①市場の飽和に先んじる
    ②負債化する前に資産を処分する
    ③リードしているあいだに撤退する
    エントロピーでは、
    ①「ブラックホール」を逃れる
    ②他の企業の部品のサプライヤーになる
    ③次の特異点を目指す

  • 爆発的に成長するビジネスモデルについての話。
    『はじめに』からして、スマートフォンのすごさがよく分かる。いろんな物がスマホによって犠牲になってきたんだなと。ここに、携帯ゲーム機も含めていいかもしれないと思った。
    ただ、正直、ムーアの法則が今でも機能しているかというと、頷けない。5年前とくらべても明らかにパソコンの価格が高くなっている気がしてならない(当時は円高だったというのが理由らしいけど、それを踏まえても高く感じる)。
    ところで、翻訳本で時々見るカルチャーショックだけど、アメリカのエアコンの価格は1997時点で299ドルらしい(この書き方だと、いまでもこれぐらいか安いぐらいなのだろう)。日本のエアコンってもっと高いイメージがあるのだけど、何でこんなに安いんだ……。
    なお、台湾のファミリーマートではスマホの写真データからコーヒーのラテアートを行う『レッツカフェ』というものがあるんだとか。なぜ、日本に導入しないんだ……。
    後、iPodの誕生は東芝が開発した1.8インチのHDDがあったからということを初めて知った。なんだかんだあるけど、シャープも東芝も技術力はあるんだよなぁ。どうしてあんなことに……。
    ところで、uDrawというゲーム機用のペンタブレットを初めて知ったのだけど、日本未発売なのだろうか。いろいろ応用が聞きそうな気がするのだけれども。と思ったけど、Wii Uはコントローラーがペンタブレットみたいなものだから、必要ないか。
    AOLの加入者が未だに多い理由が悲しかった。ほとんどの人は必要ないはずなのだけど、解約してないだけらしい。まずいだろそれ。

  • ありがちな現在進行形の経営解説書。
    今のイノベーションの内容は、既存技術の組み合わせであり、またその評価はWebで一瞬で広まる。その結果、需要が一瞬で顕在化、また供給も比較的容易である。しかし需要の急増には耐えられず、売り逃してしまい、あるいは後出しで供給してももうトレンドは変化してしまって、在庫の山となり損失となるという結末が頻発する。
    規制業種はイノベーションに弱いが、規制自体は参入障壁になるので、既存プレイヤーはこれを利用してイノベーションの浸透に対する時間稼ぎをするのが良いというのはこの本の唯一の良い提言。
    なので気をつけろという経営書。

  • 【ビッグバン・イノベーション】

    A.ビッグバン・イノベーションとは、「安定した事業を、の数カ月か、時にはほんの数日で破壊する新たなタイプのイノベーション」のことである。

    B.ビッグバン・イノベーションをもたらした原因の1 つは、IT革命である。「性能と価格の両方が倍々で改善する」指数関数的技術が、破壊的製品やサービスを生んだ。

    C.ビッグバン・イノベーションは、次の3 つのコスト低減によって、産業組織や競争、戦略を本質的に変える。
    1.製造コストの低減:指数関数的技術がコストを低減させることで、高品質の製品を低価格で提供できるようになる。
    2.情報コストの低減:インターネットで多くの情報を得られるようになった消費者が、「とめどない成長」を促す。
    3.実験コストの低減:既存の部品を再利用するという、安価でリスクの少ない方法で、自由奔放な開発を行う。

    D.今や消費者が、情報不足のまま製品やサービスを購入することはない。自分が購入を考えている製品を、友人や好みの合う消費者がどう思っているのか、その本音を知りたければ、ソーシャルメディアやレビューサイトを見ればすぐにわかる。
    よって、不完全な製品に高い金額を支払わされるリスクは減った。また、製品の特徴や購入のタイミングがわからないために、買うかどうかという決断に無駄な時間を費やすリスクも減った。このように、ほぼ完全な情報が簡単に手に入ること。それが、爆発的な売れ行きの背景にある。

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