遺伝子は、変えられる。――あなたの人生を根本から変えるエピジェネティクスの真実

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478028261

感想・レビュー・書評

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  • タイトルの「遺伝子は、変えられる」は、若干、強引な印象です。

    遺伝子(DNA)について、以前は「完全に固定されたもので、一生を通じて変わらないもの」(環境からなどの影響により、突然変異が起こることはあるとしても)と捉えられていました。
    が、遺伝子の中には、何かをきっかけとして、スイッチがオンになったりオフになったりする部分もたくさんあり、この本では、そのことを「遺伝子は、変えられる」と言っています。
    ちなみに、一卵性双生児に差が出るのは、環境の差異によるスイッチのオン・オフの違いの影響も大きいようです。
    また、スイッチのオン・オフは、次の世代(子の世代)と、その次の世代(孫の世代)には遺伝することがあることがわかってきているようです。

    それから、この本では、遺伝子の個性について、かなり丁寧に述べられています。
    薬の効き方や適切な治療法などが人によって異なるのは、遺伝子の個性の影響、といった形で説明されています(これまでは、体質の違い、という説明をされることが多かったと思いますが、さらに突っ込んで、体質の原因となる遺伝子に着目することができる、ということかと)。
    しかも、現在は、個人の遺伝子の解析技術も進んできているので、今後の投薬や治療は、遺伝子の個性に合わせた形で行われる可能性が高まってきています。
    そうなると、治せる病気が増えることにはなりますが、これまでは知られていなかった病気が見つかることもあり、「遺伝子解析が進むならば、どんな病気も治せるようになる」とはいかないようです。
    ヒトの遺伝子は、あまり多様性がないとは言われていますが、それでも、80億人いれば、80億パターンあるわけで、それらをすべて調べつくすのは、今はまだ難しいようです(将来的なことはわかりませんが)。

    この本では、遺伝子の突然変異を中心に、いろんな事例が紹介されていますが、個人的には、「性染色体がXXなのに男になるケースが、10億分の1ぐらいある」という話が、とても印象に残りました。
    かなりレアな話なので、高校以下の教科書に載ることはないと思いますが、今後の生殖医療を考える上では、かなり興味深い事象ではないかと思っています。

  • 私たちの体を作るための設計図である遺伝子。けれど、私達の生活は遺伝子だけで決められているわけではない。

    遺伝子によって継承されたものを「発現させるか」どうかを司っているエピジェネティクス。そして、さらにそのエピジェネティクスも世代を超えて継承されるとか!?

    詳細な科学的なことは難しくてよくわからなかったけれど、この本では、いろいろな症例を紹介しながらわかりやすく書いてくれている。

    ゲノム研究によって明らかになってきつつある遺伝子と病気の関係。今後も、次々に新しいことがわかっていくんでしょう。そして、私達が、病気になる前に、自分がかかる可能性がある病気を知り、その発現率を変えることができるようになっていくのかも知れません。乳がんを予防するために健康な乳房を切除したアンジェリーナ・ジョリーのように…。

    なんだか嬉しいような、怖いような…。


    いろいろな話が書かれていましたが、興味を引かれたのは、著者の遺伝子研究者さんは、人の顔を見るだけで、その人が持っている遺伝子の型や罹患しやすい病気などがわかっちゃうという話。研究すればするほど、日常生活では生きづらかったりするんじゃないかしら…。


    ちなみに、邦題は「遺伝子は変えられる」ですが、遺伝子を変えるのではなく、遺伝子から引き継がれたものの「発現率」を変えることができる、という話。生活習慣や食事によって。でも、遺伝子は人それぞれ。巷に溢れている「健康法」が、すべての人に当てはまるわけではないこと、時として「健康法」が逆に病気の発現率を高めてしまうこともあることに要注意。個人的には「テレビの情報を鵜呑みにしない!」を教訓にしたい。

  • 2022/08/18 読了

  • 遺伝子✖️発現確率で人のあり方が変わるという話。遺伝子も変わるし、発現するしないもどんな生活をするかで変わると。結局、起点は遺伝子なので、自分の遺伝子を知ることは猶予だし知りたいとも思うが、一方で怖い。特に困ってないので手に余る情報。選民的になるのが社会的な問題になりそうだが、アメリカに住む人は大変だなと思った。

  • 遺伝情報って、持って生まれたままの固定でないことはエピジェネティクスが教えてくれたが、そんな悠長なものじゃない!
    日々の食生活や運動習慣が反映され、かつ、そのまま影響が持続する。原題は「Inheritance」。

  • 生き物の生物的性質は遺伝子が支配する、結局、遺伝子には逆らえない。そう考えていたが、どうもそんな単純ではないようだ。
    遺伝子自体がダイナミックに変化して、我々の行動に影響を与え、遺伝もまた我々の行動から影響されるという。
    著者は現役のお医者さんであり、ノンフィクション作家でもあるという。専門的な内容ながら、例えを豊富にテンポよく綴るのは、その経歴ゆえであろう。
    患者や病気、また医学に対しても、著者の真摯で謙虚な姿勢もまた素晴らしい。

著者プロフィール

■シャロン・モアレム(Sharon Moalem MD, PhD)
受賞歴のある科学者、内科医、そしてノンフィクション作家で、研究と著作を通じ、医学、遺伝学、歴史、生物学をブレンドするという新しく魅力的な方法によって、人間の身体が機能する仕組みを説いている。ニューヨークのマウント・サイナイ医学大学院にて医学を修め、神経遺伝学、進化医学、人間生理学において博士号を取得。その科学的な研究は、「スーパーバグ」すなわち薬が効かない多剤耐性微生物に対する画期的な抗生物質「シデロシリン」の発見につながった。また、バイオテクノロジーやヒトの健康に関する特許を世界中で 25件以上取得していて、バイオテクノロジー企業2社の共同創設者でもある。もともとはアルツハイマー病による祖父の死と遺伝病の関係を疑ったことをきっかけに医学研究の道に進んだ人物で、同病の遺伝的関係の新発見で知られるようになった。希少疾患や遺伝病への深い洞察は、本書においても大きく活かされている。

「2020年 『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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