仮想通貨革命---ビットコインは始まりにすぎない

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  • ダイヤモンド社
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  • / ISBN・EAN: 9784478028445

感想・レビュー・書評

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  • 通貨革命の影響は、通貨にとどまらない。その中核であるブロックチェーン技術は、より広範な応用範囲を持ち、さまざまな経済取引に拡張可能だからだ。
    金融資産の取引が、いまはない分散市場に移行する。
    新しい資産が作り出されて、所有権の概念が変わる。
    人々が自由意志で参加する世界政府が作られ、地球規模での直接民主制を実現できる???????? p.5
    すっごい。ワクワクする内容。仮想通貨は世界を変えてしまうのか?

    2018.3.3.再読
    この本を最初に読んだ時点から、暗号通貨をめぐる環境は目まぐるしく変化している。まさか暗号通貨が投機の対象になってバブルになり、それが弾けて暴落するなんて、初めてこの本を読んでる時点では考えてもなかった。
    だが、ブロックチェーン技術の有望な未来に変わりは無い。

    現在2018.3.3. bitcoinは1,203,594 JPYで、ココ最近では久しぶりに1,200,000をこえてる。でも、ETH、XRP、XEMとかは暴落したまま低迷してる。

    ロイターの報道によると
    2018年1月18日
    フランスのルメール経済・財務相は、3月にアルゼンチンで開催される主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議において、フランスとドイツが共同で仮想通貨ビットコインに対する規制を提案することを伝えた。両国は、ビットコインに関連するリスクを共同で分析したうえで規制案を作る。
    ビットコインは、2018年1月17日、2017年12月につけた史上最高値のほぼ半値にまで下落した。中国や韓国など、世界各国政府の規制強化への警戒が下落の一因。

    G20の開催日は?
    財務省のページによれば、3月19~20日。
    http://www.mof.go.jp/international_policy/convention/schedule/index.html

    2018年2月17日21:25
    Vitalik Buterin @VitalikButerin
    Reminder: cryptocurrencies are still a new and hyper-volatile asset class, and could drop to near-zero at any time. Don't put in more money than you can afford to lose. If you're trying to figure out where to store your life savings, traditional assets are still your safest bet.
    https://twitter.com/VitalikButerin/status/964838207215955969

    イーサリアムを開発した若き天才ヴィタリック・ブテリンは、2月17日のツイッターで「暗号通貨は、いつ価値がゼロになってもおかしくない、最も安全な投資先は今でも伝統的な資産だ」とツイートする。

    つまり、暗号通貨は、投機の対象にすべきでない、ということか?

    野口教授も、暗号通貨に関する一連の研究が、暗号通貨に肩入れする学者のポジショントークだと見なされないよう、自らは暗号通貨は所有せず、中立的な立場を保っている。

    2017年春に、日本で、仮想通貨法(改正資金決済法)が施行され、仮想通貨に対する法整備が進んだことをヴィタリック・ブテリンは、高く評価してる。
    「日本の仮想通貨への適応レヴェルは驚くべきものだ。ビットコインでの支払いに対応している企業が増えているのも知っているし、その状況はほかの多くの国よりも間違いなく進んでいる。」
    https://wired.jp/special/2017/vitalik-buterin/

    2018.3.9.パリ
    パリで3月9日に行われたイーサリアムコミュニティ会議に、ヴィタリックがサプライズで出席し、2017年8月から発表されたスケーリング解決のためのPlasmaに続く、Plasma Cashを発表した。
    Plasma Cashはヴィタリックと開発者のダン・ロビンソン、カール・フローチによって開発された。
    Plasmaをよりスケーラブルにし、一般ユーザーたちの必要動作環境を大幅に緩和する方法として提案された。
    Plasma Cashの特徴は
    ・Plasma coinを発行し、ユーザがトークンを容易に追跡できる
    ・取引所でハッキングが起こっても、ユーザーは資産を失わない
    Plasma Cashのシステムではユーザーの資金を直接扱うのではなく、取引所が注文書の機能を提供し、プラズマの契約を通じて、損失を保証できる。
    「取引所がハッキングされた時でも、ユーザーの資産が失われることはない」
    とヴィタリックは語った。
    すげーーーーー。
    まさに未来の通貨だーーーー。
    これまでの歴史上なかった、画期的な機能を装備した暗号通貨!
    これにより、良貨は悪貨を駆逐するだろう。
    素晴らしすぎる。

    1月30日
    2018年3月期第3四半期 SBIホールディングス決算説明会で、代表取締役社長・北尾吉孝は、コインチェックをこき下ろした。
    「コインチェックは本当に初歩的な問題。まったくナンセンス。最も腹が立つのは、システムにお金をかけるべきところを、CMにばかりお金をかけていたこと。こういう輩はカス中のカスだ」
    カス中のカス
    これを聞いた瞬間、オレは「まさにその通り!」と膝を叩いた。
    NEMをコールドウォレットにも移しておらず、マルチシグにもしてなかった。NEM財団もしきりにマルチシグを勧めていたのに。
    お客様の資産の安全確保を怠っておきながら、CMなんか流してる場合か?
    NEM盗難事件発覚後の、金曜日深夜の記者会見にようやく出てきた若い社長は、借りてきたサルが青褪めているみたいなオドオドした表情だった。ほとんど大学のサークルみたいなレベルの人たちがやってたのか。

    ホリエモンは
    2018年2月1日 17:10
    「北尾のカスがまたポジショントークをしておるな。おおかたコインチェックに投資しようと思ってたら断わられたとかそんなとこだろ。なんせサトシナカモトにあって暗号通貨の話をしてるとか言ってる法螺吹きだからな。」
    とツイートしてる。
    たしかに「サトシナカモトに会って暗号通貨の話をした」なんて、認知症か?

    2月27日
    SBIバーチャル・カレンシーズは、2月中に予定していた、一般ユーザー向け口座開設申し込み受け付けを延期すると発表した。
    理由は「セキュリティ対策などを強化するため」

    2017年12月
    SBIバーチャル・カレンシーズは中国などアジア全域で仮想通貨関連事業を展開するフオビー(Huobi)と提携で合意したと発表している。

    2018年2月9日
    イタリアの仮想通貨取引所 Bitgrail Srl は、日本時間の朝6時30分に仮想通貨Nano(XRB)の不正な取引があったことを自社ホームページにて発表。
    被害額は、17,000,000XRB と伝えられており、事件発生時のレートで換算すると
    約 212億円相当が盗まれてる。

    コインチェックの580億円盗難に比べると、212億円くらいちっちゃいと思えるけど、ふつうに考えたら、212億円盗まれるなんて大問題だ。

    2018年2月17日
    テックビューロ社が運営する国内取引所Zaif(ザイフ)で、システムエラーが発生し、一定期間中ビットコインの取引価格が0円になっていた。
    ユーザーは無料で大量のビットコインを購入し、エラーが解消されるまでの間に、20億枚のBTC(約2020兆円)を購入。

    エラー中に約21億BTCを手に入れた麵屋銀次氏は、自身の取引残高をTwitterで公開し、この事件が揉み消されたり隠滅されるのを防ぐためにyoutubeで自分の顔まで晒して状況を説明して拡散した。
    この大事件に対するZaif側の対応は、あまりにも遅過ぎ、信用は失われた。
    この事件で一番問題なのは、市場に出回っている発行枚数以上のビットコインが売られたこと。存在しないビットコインをZaifが売ったことは「ノミ行為」であり、商品取引方第212条でも禁止されているが、相対取引というルールのもと禁止に該当しないケースもある。税法や法律が整っていない仮想通貨にこれが適応されるかは不明。

    2018年2月20日
    lolとかいう名前からして笑える草コインのメイン開発者Cryptologyが逃亡し、約97%の大暴落。まさに laugh out loudly。このような詐欺コインは他にも山ほどある。

    2018年3月7日
    バイナンスで、一部ユーザーの使っているシステム・トレードBOTが、フィッシングサイトでAPIを不正に抜かれたために、ハッカーがそれを利用してバイナンスで勝手にVIAというアルトコインを売買した。
    バイナンスは問題が発覚してすぐに全通貨の出金を停止。

    2018年3月8日7:57
    CZ (not giving crypto away)@cz_binance
    Binance has reversed all irregular trades. All deposit, trading and withdrawal are resumed. will write a more detailed account of what happened shortly. Interestingly, the hackers lost coins during this attempt. We will donate this to Binance Charity.
    バイナンスのCEOであるCZ氏がツイートした。
    不正取引は元に戻され、取引・預金・出金も再開。ハッカーはコインを盗めず、その分のコインは慈善団体にチャリティーとして寄付されることに。


    ・・・・とまあこのように、暗号通貨をめぐっては、日々、世界中からエキサイティングなニュースがドシドシ飛び込んでくる。ようするに暗号通貨をめぐる諸制度がまだゼンゼン整ってないせいで、想像を絶するようなヘンテコな事件が世界中で次々に起きている。
    こんなにワクワクすることってないよ。もう毎日ドキドキしてる。
    革命前夜だ。

    G20で暗号通貨がどのように規制されようと、マヌケな取引所からどれだけ暗号通貨が盗まれようと、ブロックチェーン革命は誰にも止められない。

    なぜなら、これは革命だからだ。


    改めて、野口教授の『仮想通貨革命』に戻ろう。
    001
    レボルーションという言葉は、もともとコペルニクスの著作の表題
    『天球の回転について』
    ラテン語De revolutionibus orbium coelestium
    英語On the Revolutions of the Heavenly Spheres
    にあるように天文学の用語であった。

    この言葉が意味するのは2つ。

    1.その運動が人間の力では押しとどめられないもの
    2.循環する周期運動であること

    政治的な文脈においても、レボルーションはこの意味で用いられてきた。
    002
    1789年7月14日夜
    バスティーユ監獄での国王軍敗北の知らせをヴェルサイユで受けた
    フランス国王ルイ16世は
    「これは反乱だ」
    と言った。
    リアンクール公爵は、直ちに王の誤りを訂正し
    「これは革命です」
    と言った。

    これは先にあげた1つめの意味
    「その運動が人間の力では押しとどめられないもの」

    同じことが通貨革命についても言える。

    2018年3月19日~20日 G20で暗号通貨をどのように規制したとしても、この動きを押しとどめることはできない。

    暗号通貨は、従来の通貨より勝れている。
    そして、「良貨は悪化を駆逐する」

    グレシャムの法則「悪貨は良貨を駆逐する」は、悪貨と良貨の交換比率が法律によって固定されている場合だけ。
    ハイエク『貨幣の非国有化』
    Denationalisation of Money Ⅵ.The Confusion about Gresham's Law

    両者の交換比率が変動するなら、良貨は迅速に悪化を駆逐する。

    005
    IT革命自体が、回帰的な性格を強く持っている。
    産業革命以前の世界、つまり、小規模な独立自営業者の経済への回帰である。
    「時代の偉大な循環が再び始まる」

    006
    ハイエクは、貨幣発行における政府の独占を廃止、銀行が独自の貨幣を発行する制度を提唱した。ここでは中央銀行は存在せず、各銀行が自ら発行する貨幣の量を調整する。それらの間で競争が起こり、優れた貨幣が生き残る。

    中央銀行がない世界こそ望ましいとハイエクは考えた。

    007
    ウェブ上にある、ウクライナの写真。
    街路に築かれたバリケードの写真。
    Ukrainian revolution ask for support in Bitcoin!
    (我々はビットコインの支援を必要とする)
    と書かれたポスターにビットコインのロゴとQRコードが示されている。
    バリケードには、犠牲者に掲げた花束が置かれている。

    008
    この写真は、新しい政治運動の象徴だ。
    ロシアの大国主義に反対する人々は、世界のどこからでも、この写真にあるビットコインのQRコードに寄付を送ることによって、戦っている人々を支援できる。

    地球の裏側で起こっている革命運動に賛同して寄付することが、現実に、できるようになったのである。

    仮想通貨は、「東方三博士の来訪」を思わせる。
    仮想通貨は、IT革命の第三の贈り物だ。

    第1.パーソナルコンピューター
    第2.インターネット
    第3.暗号通貨

    024
    ビットコインの中心は「正しい」取引記録

    025
    ブロックチェーンには、ビットコインの過去の取引すべてが記載されている。
    しかもそれは正しい取引記録であり、改竄も、事実上できない。
    これが、ビットコインの中核的なアイディアだ。

    ブロックチェーンは公開されているので、コインを受け取った人は、その取引記録がブロックチェーンに記載されているかどうかをチェックできる。記載されていれば、自分が正当な保有者と認められたことになる。そして、それを他人に送金できる。

    033
    マウントゴックス破綻
    破綻したのは取引所であって、ビットコインではない。

    現在、マウントゴックスより、もっと大量のオルトコインが盗まれたけど、ダメだったのはコインチェックであって、暗号通貨ではない。

    039
    2013年12月初め1,000ドルを超えていたビットコインが、
    12月18日は600ドル程度になった。
    中国が金融機関のビットコイン関与を禁じたからである。これは、マウントゴックス破綻などとは比べ物にならない影響があった。

    040
    『ウォールストリートジャーナル』が報じた通り
    マウントゴックスは、これまでも、たびたび不正侵入や不具合、機能停止に見舞われていた。

    ビットコインの問題点
    ①ビットコインの取引は追跡できるが、現実の個人や企業に結びつけるのは難しい。報酬をビットコインで受け取れば、課税当局が把握できない可能性がある。違法取引やマネーロンダリングに使われても追跡できないおそれがある。もっとも、これはビットコイン固有の問題ではない。日銀券でも同じことだ。
    ②私設両替所など、関連サービスの信頼性が確保されていない。
     (マウントゴックス破綻やコインチェック事件がコレ)
    ③ドルや円との交換価値が乱高下する。

    041
    暗号通貨の報道についてマスメディアがやるべきこと

    ①現在の暗号通貨は、資産保有手段として用いるにはあまりにリスクが大きいことを人々に知らせる。
    同時に、送金手段としては優れた特性があり、マイクロペイメントや国際送金が飛躍的に容易になること、それは新しい経済活動を可能にし、新しい社会を開拓することを人々に教える。

    ②マウントゴックスやコインチェックのように、関連諸組織に問題があれば警告を発すること。

  • 会社でブロックチェーンについて調査しておいてほしいという依頼を受けて、手に取った本。
    社会的な影響についての切り口を主に期待していたが、ブロックチェーンの仕組みについても記載があり、暗号化や電子署名と、思っていた以上に情報が多く、勉強になりました。
    ブロックチェーンのテクノロジーそのものについては、Webで検索をするといろいろと出てくるのですが、一冊にまとまったものとして有益でした。
    仮想通貨革命という題名ですが、主になっているのは、なぜビットコインなのか?という点とその基盤テクノロジーのブロックチェーンの解説、世界中の金融機関がどう見ているか、社会的影響についてです。

    ビットコインについては、「通貨史上の大きな革命であり、全く新しい形の社会を形成する可能性を示した」とまで言っていて、ブロックチェーンという分散的に取引記録を保持することができるテクノロジーを使用し、偽造貨幣や二重取引を排除した正しい取引の記録ができ、改ざんも事実上できない。そして、このブロックチェーンの維持は、ボランティア活動ではなく、報酬を受け取れる仕組みがある点がビットコインの特徴となっていると。
    当初、仮想通貨を作ったとして、その運営は主体者や経過時間とともに脆弱になるだろうし、資金としての裏付けとなるものもない(仮想だけに)だろうと思っていたので、主体となる運営者がいないこと、ブロックチェーンの維持によって報酬が得られる仕組み、裏付けとなるアルゴリズムがわかったときは、なるほどなと。

    社会的な影響としては、安全性と送金コストの安さが注目されており、現状では現金の送金コストが2~3%となるケースや、固定額で高額になるケースへの適用で、これがほぼタダになる点、デジタルコンテンツの販売での直接収入、等。

    eコマースについては、2012年で個人家計消費300兆円のうち、3%程度しかない理由の一つは、カード決済にかかる店舗側コストが原因と分析しているが、この領域も仮想通貨によって、広がるとみている。ビットコインに限定すると、決済までにブロックチェーンの制約から決済まで約10分待つことが課題。

    国際送金では、貿易決済通貨としての利用をあげ、信用状決済の手数料、銀行送金の送金手数料、為替スプレッドなどがほぼゼロになるが、現実通貨との変動比率などに課題はある。ここの市場は、全世界貿易量が約1500兆円あり、銀行手数料が4%と考えると60兆円、この一割がビットコインに移行されると銀行の収入は6兆円失われることになる等のインパクトがあると。

    ブロックチェーンについては、取引の履歴をまとめてブロックを生成する仕組みとそれらがP2Pで行われるうえで、課題となるビザンチン将軍問題についての解説がある。
    当初、ブロックを生成する仕組みがよくわからず、ビザンチン将軍問題?という感じであったが、要は、P2Pに参加している全ノードで同じ処理している(ブロックを作っている)はずの状況で、誰を信じていいのかの確証が得られるようにするため(不正を防ぐための仕組みとして)、ある特定のノードだけがブロックを作れないようにするために、キーとなるナンスを特定するための膨大な計算(ナンス自体はランダムに生成するところから宝くじに似てる)を全部のノードに課すことがこの仕組みの特徴ということがわかった。ナンスがわかったら他のノードに同報して、検算をしてもらい、正しければブロックを確定。
    ブロック間はハッシュ値でつないでいくため、改ざんするとブロックがチェーンにならない。ブロック生成の際の計算時にナンスはただ一つとは限らないため複数のナンス値が出た場合ブロックが同時に生成され枝分かれするが、その枝は次やその次のブロックが生成され、長い枝が採用され、短い枝は捨てられる等、理解が進んだ。
    ただ、仕組みを理解してみると、本書の中でのビザンチン将軍問題の解決策としてこの仕組み社会問題まで広げて展開するのは大胆な気もする。

    ビットコインに続くものとしては、リップルが紹介されているが、これは、ビットコインのP2P特有の不特定多数参加、プルーフオブワークが要らないという点で、既存金融機関になじみそう。コインの代わりにIOU(借用書)を使いながらも、手数料の仕組みとしてリップルズという物も用意されているようだ。

    とにかく、本書は、ブロックチェーンが流行りだした今、何度も読み返して、理解が進むとさらに理解が深まる情報が提供されている。2016年も何度か読み返すことになると思う。

  • 仮想通貨が未来を変えると断言!
    まぁ今ならそれほど珍しい言説ではないけど、ちょっと待ってほしい。この本が発刊されたのは2014年6月なんです。
    3年半前ですよ!
    未来予測がバッチリ当たっているし、ビットコインは始まりにすぎないことを、この時点で断言してるのスゴい。
    ただ情報は古め。最新の本と合わせて読みたいし、預言者として価値あり。

  • ビットコインの仕組みや社会に与える影響について書かれた本。2014年の本だが、2017年に読んだ今でも十分に通用する内容。

  • 仮想通貨virtual currencyの過程、仕組み、影響について書かれている本。

    3年前の2014年に初版発行であるが、現実として、日本でも仮想通貨が乱立してきて一般的にも少しづつ利用が進み始めている。
    仮想通貨により、海外送金、少額取引などの手数料が格段にダウンするため、ビジネスの在り方が変わる革命になりうる。電話の登場、IT革命、などに続き、仮想通貨革命。

    このような技術革新は、既存事業を喰って新しい事業が出てくることを示しており、危機感と可能性を把握し、行動することが大切だと感じた。

  • 仮想通貨革命

    7/19の一橋フォーラムの予習として。ビットコインとは何かということやビットコインが何をもたらすかということが書いてある。筆者が強調していることは、ビットコインとは送金に強みを持つもので、資金の保存・保有には向かないというものだ。マウントゴックスというビットコインの運営会社が破たんしたことで巨額の損失を被った人がいるが、その人たちは、そもそもビットコインの性質が保存や投機に向かないことを知らなかったゆえの失敗だとしている。マウントゴックス破綻により、ビットコインに関する注目度は下火になっているが、筆者はビットコインの可能性について過小評価されているという。
    岩井克人の貨幣論や平川克美の路地裏資本主義でも述べられていたが、貨幣の本質とは「情報」であり「記号」である。物質的なお金というものは仮象に過ぎず、ビットコインはその本質をついている。だからこそ、送金は本来、情報の処理で可能になる。ビットコインを用いることで国際送金の為に今まで用いられた仕組みやコストが削減される。しかし、人間が紙幣や硬貨を使っているのは、情報の処理だけでは信用が仕切れないからであり、そのような情報の処理技術に高度な信頼を担保する技術がブロックチェーンなのである。情報をブロックとして生成し、チェーン状に連ねて遡及的に変更できないような記録を残せば、改竄が出来ず、単なる情報の処理で送金や決済が可能になる。このブロックチェーン技術の応用はビットコインにとどまらず、自動車や賃貸などの所有権の管理にも応用され、煩雑な書類手続きなしで安全に所有権を移すことが出来る。所有権の管理が電子化され、簡易化されれば、担保として今まで扱うことのできなかったものまで担保になり、借り入れが出来る可能性が高くなる。現代の経済の仕組みとして、人々は送金や為替、証券などはそれぞれ既存の会社の信用と集中管理への対価として手数料を払っている。ビットコインやブロックチェーンは、集中管理の壁をやぶり、分散型かつ分権的に取引を中抜きすることで、広範な可能性やビジネスチャンスを生むと共に、既存の企業群に対して大きな打撃を与える。筆者はこの集中的な管理システムは近代の産物であり、それ以前、つまり中世の商人たちは分権的なシステムで運営していたため、現代においてもその実現は可能であると確信している

  • 仮想通過を含めたブロックチェーン技術の解説にとどまらず、現在の経済システム含めた社会基盤の抱える課題を踏まえたうえで、それに与える影響と、日本が進むべき方向が、コンパクトにまとめられている好著。

  • 難しくて理解しきれていない部分も多々あるのだけど、ブロックチェーンはお金のやり取りだけでなく社会の仕組みそのものに大きな影響を与えうるものだ、ということは捉えられた、と思う。

    ビットコインじゃないけど、ケニアのエムペサの話は印象に残っている。お金は銀行のATMで引き出すものだと思っていたけど、ATMの普及よりも携帯の方が速かった、だからそこに送金のシステムを組み込んだ。

    お金というものの概念、あるいはもっと広い視野でいうと取引記録や情報管理などの仕組みがどう変わるか、そしてそこに人間の理解と意識がどこまで追いつけるか…楽しみだなぁと思う。

  • 新技術のどの要素が、これまでの通貨の使われ方を本質的に変える可能性があるのかを大枠で掴める。私には難しくて理解できない部分もあり。

  • なかなかわかりやすい。色々読み飛ばしても、ビットコインのことを知るには良い本。

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著者プロフィール

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業。64年大蔵省入省。72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て2017年9月より早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター顧問。専攻はファイナンス理論、日本経済論。ベストセラー多数。Twitterアカウント:@yukionoguchi10

「2023年 『「超」整理手帳 スケジュール・シート スタンダード2024』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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