0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478029060

感想・レビュー・書評

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  • 「0ベース思考」とは、何とも堅苦しいタイトルですね。
    以前読んだ「ヤバイ経済学」の著者だと気が付かなかったらスルーしていました。

    原書のタイトルは、"THINK LIKE A FREAK"だから直訳すると「フリークのように考える」になります。
    フリークという言葉は日本人にはピンとこないから、フリークのように考えて「0ベース思考」にしたのでしょうか。

    タイトルの堅苦しさとは別にどこか遊び心があり、力を抜いて時々二タニタしながら楽しく読み進められました。

    コブラの大量発生に困り、コブラの皮を持ってきた人に懸賞金を出すことにした。
    これでコブラを減らすことができると思いきや、この懸賞金というインセンティブはとても効果があり、コブラの大量発生は加速した。
    懸賞金目当てでコブラの養殖業者が生まれたのだ。
    みたいな話が満載です。

    人は「操られている感」を覚えると反発したくなる。
    どんな問題も一発で解決できる魔法のやり方なんかない。
    ちょっと違うやり方で、もうちょっと真剣に、もうちょっと自由に考えようということ。
    この本には、どのように考えるかのヒントが沢山あります。

    高いワインは美味しいか?ワインの目隠し試飲実験でわかった優秀賞を貰う秘訣の話。
    ホットドッグの早食いで一気に昨年優勝者の倍の量の食べ方を考えた日本人(小林尊)の話。
    自らビーカー1杯のピロリ菌を飲んで胃潰瘍になることを実験したノーベル賞医師の話。
    他人のウ〇コを浣腸で注入し潰瘍性大腸炎を治療する話。

    聞く耳を持たない人を説得するには?物語を語るのがいい。この本がそうだと言って上記のような話をしたのだと最後の方でばらします。

    そして、最終章は「やめる」ということがテーマです。
    仕事でも勉強でも運動でも趣味でも何でも、「しない」ことと「やめる」ことを決めることは難しいと感じています。
    多くの人がやめるべきことを続けています。
    やめることは失敗を認めることになるからです。
    もう1つの要因が「サンクコスト」で、取り返しのつかない時間・お金・労力が無駄になることを避けようとあがくのです。
    いつ手を引くかの判断は、永遠の課題です。
    そして、さっさと安く失敗するのが理想だとも言っています。
    失敗に数千万ドルつぎ込む前に、数万ドルで終わりにできれば、ずっと多くの事をするチャンスができる。
    なるほど、やめることによって別の何かができると考えるのですね。

    やめた方がいい結果になる具体的な証拠はあるか?に対しては、
    達成不可能な目標を断念した人たちは、無理してやり続けている人たちより身体的、精神的に良い状態にあることがわかったそうです。
    やめなくて良かったこともありますが、やめて良かったと感じることも数多くありストレスから解放された記憶は残っています。

    「やめる」を「捨て去る」と言い換えると前向きな気持ちでいられていいようです。
    自分を押しとどめている一般通念を「捨て去る」と確かに世界が広がるように思えます。
    「いろんなことをやめた経験を重ねるうちに、何を捨て去り何を残すかを見極めることができるようになる」は、そのとおりでしょう。

    この本を読むと、自分の頭の固さを見透かされたような気分になるに違いありません。

  • 「ヤバい経済学」が面白かったので購入。みんあ「バイアス」にかかってませんか?

    ものごとを0ベースで考えられないのは、
    ①政治的、思想的、その他のバイアスのせいで、偏った先入観をもってしまいがちだから。どんなに聡明な人でも、新しい情報を積極的に取り入れて確かな現実感覚を磨くよりも、自分がもともともっている考えを裏付けるような情報ばかりを探そうとするから。
    ②みんなと同じことをするのは楽だから。
    ③たいていの人は忙しさにかまけて、考え直したり、ものごとをじっくりと考えることすらしなくなっているから。
    →人生を効率に生きるために、0ベース思考ばかりではいられないのは、理解に難くない。

    例えばホットドックを端から食べろだなんてルールはどこにもない。食べる前にソーセージとパンを割って見る?ソーセージとパンをばらしてみる?など。
    小林はコニ―アイランド大会の25と1/8本という世界記録を正当なものだと思わないようにした。スピードの決め手になる期間は心臓や肺ではなく、脳なのだ。
    →まぁホットドックの早食いを戦略的に考える人間がこれまでにいなかった、ということも大きいが、人に与えられたMaxに捉われないという考え方は重要。メールは24時間以内対応もその1つ。24時間というのは区切りが良いが、できるなら5分後には対応して驚かせたい。

    省エネのアンケートで、次の順にやるべき理由が挙げられたが、本当か…。
    1、環境保護になる
    2、社会のためになる
    3、お金の節約になる
    4、多くの人がやっている
    →人に体裁よく見せたいという見えないバイアスを誰しもが抱えているよね?

    スマイル・トレインがうまくいった理由は、
    ①目新しさ:これが最初で最後のお願いです、なんていう人は今までいなかった。
    ②素直さ:郵便物に何度も寄付のお願いがくることをうんざりしているだろうということを認めた。
    ③コントロール:寄付者にある程度の自由度を与えた。
    →シンプルに言うと、相手の本当の関心事を抑えて、相手に主導権を与えること。人は「操られている感」を覚えると反発したくなる。

    男子トイレを綺麗に使ってほしい?「きれいに使いましょう」の張り紙もいいけれど、小便器にハエの絵を描いて、後は的に命中させようとする男の本能に任せておけばいい。
    →何かの目標がどんなに大切かを諭すよりも、さりげない後押しで、相手をそっとつつく方が良い。

    「お悩みですか?ときに人生には、大きな決断を迫られて、どうすればいいのかわからないことがあります。あらゆる角度から考えつくしたのに、どう考えても何が正しい決断なのかわからない。そうなったら、どんな決断をしてもコイン投げで決めるのと変わりません。」

  • 昔から著者のファン。本書も期待をまったく裏切ることなく、自由な発想で思いがけない諸々の指摘をしている。
    ホットドッグ早食いの裏にそんな緻密な考えがあったとはねー。

    難を言えば、タイトルが悪い。
    そのへんのビジネス書と間違う人がすごい多いんじゃないかな。
    まあビジネス書と思ってうっかり買った人が、うまいこと著者のファンになってくれればいいんだけど。

  • タイトルが自己啓発本っぽいけど、実際はそんな本ではない。ヤバイ経済学の著者が、フリークのように発想するにはどうしたらいいか?を書いた本。一筋縄ではいかない。
    PKでは実は真ん中に蹴ると成功確率が高いが、誰も蹴らないのは、そこに自分の利益があるからだ。でもそのタブーを突いたらどうなるのか。それがフリーク。知らない、わからないというほうが見えてくる、できることがある。ゲームのルールを書き換え、根本の原因を考える。誰も考えない小さな問題を、子どものように考える。インセンティブよりも関係の枠組みを変える。相手を尊重し、物語を使って相手を説得する。そして何よりも、止めることを恐れない。それは失敗ではなく袋小路の発見なのだ。

  • 先入観をもたずに、まっさらで対応しろということをいっています。
    ゼロベースって、やっぱり外人の思考なのでしょうか。

  • この本は世の中にある政治、犯罪、環境、詐欺、恋愛、スポーツ等にあるさまざまな問題とそれに対する斬新でユニークな解決方法を紹介し、そこから問題に対するベストな考え方を教えてくれる本!

    まず、難問を解決するためにこの本の著者が何度も言っているのが、『フリークになれ』ということ。
    フリークとは、物事に関して熱狂的、簡単に言うとオタクとかマニアって意味。
    一般的な人とフリークの考えはかなり違っていて、それをホットドック大食い選手権で優勝した日本人、偶然から潰瘍を治すきっかけを発見した医者、エルサレムの第一神殿を築いたソロモン王、などなどのすごい思考を持った人たちを元に所謂フリーク的な考え方について紹介してあった!
    著者2人はこの考え方を元にイギリスのテロ対策に協力したりしてて、その協力の仕方もあっと驚くような感じで面白かった笑

    結局、一番すごい考え方してるんはこの考え方を導き出した著者の2人やと思った笑

    あと、この人らが問題解決に一番効果的やと言ってるのが『庭に雑草を引っこ抜かせる方法』
    やねんけど、これだけやったら意味わからんと思うねんけど、ほんまにユニークで頭良い方法やから是非読んでほしい

  • 「0ベース思考とは」といった解説はほぼなく様々な実例からどのように考えることで成功を得たのかを「0ベース思考」をもとに説明する形を取っている。押し付けがなく読み手の受け取りに任せられているので気楽に読め、エピソードも入ってきやすかった。とても読みやすい一冊。


  • イギリスの国民健康保険が無料である事に、個人的にその恩恵に預かった体験のある首相候補のキャメロンに、思考実験として、「イギリスの全国民が、生きているあいだ、すきな乗り物をなんでも無料でもらえるとしたら?」なんて、ふっかける所は、イカレテルw

    この本は、いくつものお話から成っている。これもあえてこういう作りにしたとの事だ。

    3章の「問題を正しくとらえ直す」で、出てくるのは、大食いチャンピオンのk氏。まわりの出場者の戦略が画一なことに気がつき、様々な策を考えて実行した。「もっとたくさん食べるにはどうする?」ではなく、「食べやすくするにはどうしたらいい?」という、問いの立て方と実験、フィードバックの収集から、結果を出した。

    アメリカ黒人の心疾患の多い原因は、奴隷制時代にアフリカから連れてこられるさいの選別が原因か?とか、胃潰瘍になる人は細菌が原因とか。
    慈善団体の寄付の仕組みに「これっきり」を導入した話。これは、関係の枠組みを変えた事による効果。「金銭的枠組み」、「敵対的枠組み」、「友好的枠組み」、「協調的枠組み」、「権威主義的枠組み」この枠組みを巧妙にすり替える事で結果を出している話。
    「環境汚染を防ぐ作戦が、汚染を拡大させる」は、インセンティブの付け方を間違えたせいで、汚染物質を大量に作らせてしまった話。これは、コブラ効果と言うらしい。

    個人的には、「庭に雑草を引っこ抜かせる方法」が好き。

    デイビッド・リー・ロス(ヴァン・ヘイレン)のボーカリストの話には、彼らのコンサートの契約書には、53ページもの付帯事項があって、そこにm&m’sのチョコに茶色があってはならないというものがあって、もし入っていたらめちゃくちゃ暴れた話の裏は、細かい事項を読んでいないプロモーターの不備で、ステージ上の事故で誰かが死んだりすることが無いようにしたかったらしい。更に、この罠がばれないようにしていたらしいという。

    “ナイジェリア”の詐欺の話と疑陽性を極限まで減らす話は、詐欺師が餌をまいた時に、確実に食べる奴だけを見つけるために、餌をよりインチキ臭くしているというのは、新鮮だった。手の込んだトリックじゃない手法で引っかかる人を、探し出す。詐欺を撃退するために、わざと引っかかるチャットボットを使うのは、この本が出るタイミングの2014年とかだとかなりはやい取組だったんじゃないか??
    この手法を裏返して、テロリストをあぶり出すのは複数の情報を絡めた手のこんだやり方だった。
    「聞く耳を持たない人を説得するには?」では、モーセの十戒をダビデ王とナタンの物語を使っている。

    著者のスティーブン・レヴィットの「経済学とは、「世の中が実際にどうなっているのかを明らかにする学問」であり、「根本的にはインセンティブの研究だ」という言葉は、刺さった。
    訳者の櫻井氏があとがきで、「彼(レヴィット)の原点はルールを破ることの楽しさを教えてくれたユニークな教育法(エレベーターを一緒に逆走する親)にあるようだ」と指摘している。

    「フリーコノミクスが新しいのは何より、誰も考えたことのない斬新な「問い」の立て方と、ここにカギが隠されてそうだという鋭い嗅覚や目の付けどころなのだ」と言うのも、”根本的な物を探究する”と”ルールを破る”という思考がベースになっているのかな。

  • 群集心理インセンティブが一番人を動かせる。
    続いて金銭的、社会的、道徳的の順。

  • ホットドッグをもっとたくさん食べるにはどうすればいい?
    どうしたらもっとホットドッグが食べやすくなるか?

著者プロフィール

スティーヴン・レヴィット
シカゴ大学経済学部教授
シカゴ大学経済学部ウィリアム・オグデン特別功労教授。シカゴ価格理論ベッカー・センター理事。ハーヴァード大学で学士号を、マサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号を取得。1997年以来、シカゴ大学で教鞭をとる。2004年、40歳以下の優秀なアメリカ人経済学者に贈られるジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞。2006年には、『タイム』誌の「世界で最も影響力がある100人」の1人に選ばれる。共著に『ヤバい経済学』『超ヤバい経済学』があり、人気ブログ「Freakonomics(ヤバい経済学)」を共同で執筆している。

「2018年 『レヴィット ミクロ経済学 発展編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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