ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478062579

感想・レビュー・書評

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  • 高度成長期に最適だった終身雇用モデルが崩壊した今日、あえて企業と社員の関係を「契約」に基づく”権利と義務の取引”から、「信頼」に基づく”互恵的な提携”に見直すことを提唱した一冊。

    特に変革期の企業に有効な人事戦略として、企業と社員が「お互いに」果たすべきミッションを明確化し、目標達成までの「コミットメント期間」を設定した上で、誠実な対話を通じた丁寧な相互フィードバックを繰り返すことで生まれる(もし社員が転職した場合でも続くような)長期的な信頼関係をベースに、社員の社外人脈や「卒業生」も含めた巨大なアライアンス・ネットワークを構築することにより、企業の変化に対する適応力が高められると主張する。

    Linkedin創業者である著者の知見が凝縮された本書は、社員は成果という価値を、企業は成長やキャリアという価値を、相互信頼に基づいて提供し合うという、フリーエージェント時代の雇用関係の理想を描いている。どんな企業でも実行可能とは限らないが、本書をもとに目の前の部下や上司との関係を少しでも見直すことは可能だろう。終身雇用を前提とした硬直的な人事制度が早晩弱みに転じることにも改めて気づかされる。

  • 自分が本当に良い働き方をしているかを考えるきっかけになる本。
    そして、会社は自分にとっていい環境かも考えられる。

    自分の仕事の出来栄え、業務内容、会社の環境など、何かに「ん?」となったときに読み返すと良いと思う。
    ただし、この書籍にあるような思考が企業側に前提としてなければ、アライアンスを意識するだけ損になりそうだ。

  • とりわけ、卒業生ネットワークは重要だと思う。企業にとっても個人にとっても魅力的である。

  • 人にとって一番幸せな企業について考えさせられる。
    元〇〇、と呼ばれるとブランド化する会社も、これからどんどん変わっていくだろう。OBOGコミュニティも巧みに利用するのも、日本の大企業でうまく使えたらいいな。
    リーダー向けの本なので、従業員の私にはちょっと早かったかも。

  • 最初この本を手にとったとき、これって一人ひとりの職務を明確にするという意味で欧米はもともとそうなんじゃないの?と思った。けどそうではなくて、日本はいわゆる就社、海外は職務ごとの契約という違いはあれど、どっちも結局のところは会社と従業員の間での契約、取引という意味では同じだったんだなということを知った。

    ここで言っているALLIANCEとは、契約や取引ではなくて、会社と従業員との関係をどう作るかということ。確かに契約というよりは関係づくりという意味で、会社と個人とがお互いに何を提供しあえるのか、どのくらいの期間で何を目指すのかを共に考えて対話していけるのは素晴らしいなと思った。

    そして卒業生のネットワークに関してかなりのページが割かれていた。個人からすると、どういうコミュニティに身を置くかというコミュニティ選びが、誰とどこで何をして働くかという仕事選びとイコールになってくるんだろうな。

  • ペイパルマフィアの一人、リード・ホフマン氏の著書。
    会社と個人の間にフラットで互恵的な信頼関係「アライアンス」が本書のテーマである。環境変化の速いシリコンバレーで成功する企業は長期的な信頼関係を築いており、アライアンスこそシリコンバレー最大の成功要因と捉えている。

    雇用関係をアライアンスだと考えると、自立したプレーヤー同士が互いにメリットを得ようと期間を決めて提携関係をなすことになる(いわゆるチームになるわけである)。結果的に強いビジネスと優れたキャリアを手に入れることにつながる。

    変化の時代の中では、企業にとって一番大事な社員の能力は起業家のように考え動く力であるという。人材のコモディティ化が進行し、起業家的存在は大変貴重である。リンクトインの面接では次のような質問をするという。「リンクトインで働いたら、その次はどんな仕事をしたい?」キャリアの踏み台のように自社を言うことができるだろうか。

    キャリアを設計する上でコミットメント期間という考え方がある。下記の3つのように分けられる。
    1.ローテーション型:一定の期間を決めて取り組む。
    2.変革型:ミッションやプロジェクトを完遂する。
    3.基盤型:終生の仕事として取り組む。

    キャリア上の目標やありたい姿の描き方。尊敬する人物を3人書き出す。尊敬できる点を3つ書き出す(合計9つ)。大切に思う順に1〜9までランク付けする。あら不思議、価値観リストが出来上がる。

    ー以下、メモー
    日本でもアルムナイ(企業の卒業生)制度が一部のトップ企業で見られる。
    起業が毎日のように目に触れるようになり、フリーランスや自由な働き方が広がりを見せている。優秀な人材が様々なキャリアを選択する中で企業がどう関わりをもつか、考えていく必要がある。
    今の会社はローテーション型/基盤型を提供しているが、自分は変革型がマッチしていると思う。
    会社と個人、そしてマネジャーとの関係を考え直す良いきっかけとなった。

  • かいつまむと、つまりは、会社をうまくいかせるためには、会社も労働者もともに高めあっていく姿勢でいることが大事で、会社も労働者もお互いにきちんと両者のことを考えあってやっていこうというんです。よくあるように、会社が労働者へ一方的に「会社に対して尽くせ」というのではなくて、会社の方も、会社に力を使ってくれるぶん、あなた個人のキャリアアップのために力を使いましょうということ。それが、職場をいろいろ変えていきながら生活するスタイルの現代にもっともふさわしいとの結論なんですね。さてさて、中盤からは、「人脈はとても大事」という論説になっていきます。人脈を開拓せよ、そのための経費は会社が持つようにしていこう、というように。ただそこで、「人脈」を拡大するとして、知り合った他人を道具のように思っちゃいけないでしょうね。本書では、どういう人を知っているかは、どういうことを知っているかに匹敵するくらい重要だと述べています。だから、人的ネットワークを構築せよといい、会社のOBたちとも繋がりを切るなという。読んでいると、会社第一というか、会社の役にすごく立つのだから、そのために人的ネットワークを活かしていこうと読めもするのだけれど、本当にそのネットワークを維持し良好な関係を結んでいくならば、人は他人に敬意をもち、かつ大事にしなきゃいけない。つまり、本書の内容を下で支えているのは、人を大切にという考えに行き着くと思った。本書のサブタイトルに、「人と企業が信頼で結ばれる」とあるように、他人を自分の利益としてとらえるのではなく、そこも、「信頼で結ばれる」なんだろうということですね。そうでも考えないとちょっと浅薄です。広い人脈を持っていると言われれば、すべてドライな関係なのかなあと想像してしまう。なかなか他人を思いやりながら多くの人々と繋がるのは難しいですから。もしくは、調子のいいタイプなのだろうと想像してしまう。いい顔はするが、自分の身を切らないかなと。僕みたいな、ビジネスマンじゃない、比較的内向的で運命的なものの影響も大きかったため人脈の広くない人に言わせれば「人脈」という言葉のイメージってそうなります。「人脈、人脈」と言っている人を見ればそういうタイプばかりだったとも言える。自分の利益になるかばかりで人を見るのはどうかなと。だから、本書の内容にそういった補足は必要だったかなと思います。人脈を拡げ、維持することに大切なのは、他人への敬意を関係の底に持ち、あたたかみを失わないことなんじゃないか、ということですね。ま、でも、親友だとかではなくあくまで「知り合い」という人脈でしょうから、そこまで力を入れなくてもいいかもしれない。他人を道具と思わないこと、くらいで。

  • ・ 「この社員はいずれやめるだろう」と認識することが、実は相手から信頼を得るベストの方法であり、それゆえ優れた人材に会社にとどまろうと思わせるような関係を育てるベストの方法でもあるのだ
    ・ コミットメント期間は5年が望ましい。1年目で、目的を果たすのに重要な背景事情が理解できるようになる。2年目は、変革を実現し、自分のやった仕事だとはっきり示すための時期だ。3年目から5年目にかけては、自分の生み出した変革を根付かせ発展させていく時期。もしくは、期待通りに物事が進まなかった場合は、方向転換をするための時期だ
    ・ ローテーション型は会社に規模拡大をもたらす
    ・ 変革型は適応力を与えてくれる
    ・ 基盤型は会社に継続性をもたらす
    ・ 整合性を目指すには、「企業の目標とか置換」と「社員のキャリア目標と価値観」との間にある共通点を、マネジャーが意識的に探して明示しなければならない
    ・ 社外に存在する優れた頭脳は社内より多い
    ・ 会社は、社員に仕事上のネットワークを広げる機会をつくって、彼らのキャリアを一変させるサポートをする。社員は、自分のネットワークを使って会社を変革する手助けをする
    ・ ペイパルはネットワークから価値ポイントの情報収集をした

  • こういう社会を作りたい

  • このタイミングで改めて『ALLIANCE』を再読。今後は一つの会社に属するのではなく、複数のチームを股にかけながら、プロジェクト単位で仕事を回し、ポートフォリオを組んでいくのが当たり前の社会となっていくと個人的には思っているし、自分も実践していこうと思っている。そんな働き方の兆しを先取りするLinkedinのリード・ホフマンらがしたためた本著で思考の整理を。

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