やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

  • ダイヤモンド社
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  • / ISBN・EAN: 9784478064801

作品紹介・あらすじ

2019年7月30日「Newsモーニングサテライト」の「リーダーの栞」にて新江ノ島水族館・堀一久社長が紹介して話題!
ハーバード×オックスフォード×マッキンゼーの心理学者が
「人生のあらゆる分野での成功に必要な最重要ファクター」をついに解明!
世界の「能力観」「教育観」を根底から変えた
話題の世界的ベストセラー!

ビジネスリーダー、エリート学者、オリンピック選手…
成功者の共通点は「才能」でも「IQ」でもなく
「グリット」(やり抜く力)だった!

バラク・オバマ、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ…
錚々たる権威がその重要性を語り、
米教育省が「最重要課題」として提唱する
「グリット」の秘密を初めて解き明かした一冊!

感想・レビュー・書評

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  • ペンシルバニア大学心理学教授の筆者は、「おまえは天才じゃない」と厳しく育てられましたが、別名「天才賞」とも言われる「マッカーサー賞」を受賞しました。その理由は、「人生でなにを成し遂げられるかは、生まれ持った「才能」よりも、「やり抜く力」(「情熱」と「粘り強さ」から成る)によって決まる可能性が高い」と突き止めたことでした。才能よりもグリット(やり抜く力)が重要であることを科学的に明らかにし、また、それは変化することも分かってきているということです。私は先にTEDスピーチで筆者の主張を聞き興味をもちましたが、本書ではその際の反響も紹介されています。

    ●Part1「やり抜く力」とは何か?なぜそれが重要なのか
    【第1章】「やり抜く力」の秘密
    米国陸軍士官学校やスペリングコンテスト等で最後まで残った人達は「やり抜く力」が強く、「外向性」「情緒の安定」「誠実性」等の他の非認知能力はそれほど関係のないことが分かった。
    【第2章】「才能」では成功できない
    1968年、研究者ゴルトンは偉業を成し遂げた人物は、稀有な「才能」、並外れた「熱意」、「努力を継続する力」をあわせもっていると述べている。才能自体は素晴らしいが、才能等の能力を測定するテストに今のところ完全なものはない。
    【第3章】努力と才能の「達成の方程式」
    偉業というのは、小さなことを一つずつ達成して、それを無数に積み重ねた成果である。「今日、必死にやる」より「明日、またトライする」。努力によって初めて才能はスキルになり、努力によってスキルが生かされ、様々なものを生み出すことができる。
    【第4章】あなたには「やり抜く力」はどれだけあるか?
    グリット・スケールの10の質問で、グリット・スコアが出せる。重要度の高い目標の達成のために、下位の目標を臨機応変に変えたり新しい方法に切り替えたりすることも必要。
    【第5章】「やり抜く力」は伸ばせる
    人間のあらゆる特徴は「遺伝子」と「経験」の両方に影響を受ける。年代別では、「やり抜く力」が最も強かったのは65歳以上の人で、最も弱かったのは20代。性格心理学でも「成熟の原則」という言葉がある。

    ●Part2「やり抜く力」を内側から伸ばす
    【第6章】「興味」を結び付ける
    長続きのためには情熱が必要だが、情熱は一発では人生に入ってこない。まずは、興味をもったことを楽しむことから始めるべき。
    【第7章】成功する「練習」の法則
    長時間取り組むより、どれだけ集中して質の高い取り組み(意図的な練習)を行ったかが重要。また、それは1日に3~5時間が限度。そして習慣化することが大切。
    【第8章】「目的」を見出す
    「やり抜く力」の強い人がもっている深い情熱は「興味」と「目的」によって支えられている。「目的」の中心概念は「自分たちのすることは、ほかの人々にとって重要な意味をもつ」ということ。ロールモデルも大切。
    【第9章】この「希望」が背中を押す
    人は変われる、成長できると信じている「成長思考」が大切で、子どもの頃の褒められ方が一生を左右することにもなる。逆境に強い脳を作るには、①「知能」や「才能」についての考え方をあらためる、②楽観的に考える練習をする、③人に助けを求める、ことが大切。

    ●Part3「やり抜く力」を外側から伸ばす
    【第10章】「やり抜く力」を伸ばす効果的な方法
    「子供に厳しい要求をしながらも、支援を惜しまない育て方」が有効。「温かくも厳しく子どもの自主性を尊重する」親自身が、ロールモデルになるべき。
    【第11章】「課外活動」を絶対にすべし
    1年以上課外活動に参加することが望ましい。「どんな活動に取り組んだか」ではなく「何らかの進歩を遂げながら続けたか」が重要。人間の性格は幼少期でほぼ固まってしまいあとは変わらないという見解があったが、今は、幼年期を過ぎても変化することが明らかになっている。勤勉さは練習によって身に付けることができる。最低でも2年間は意図的な練習に取り組むことが必要。
    【第12章】まわりに「やり抜く力」を伸ばしてもらう
    「やり抜く力」の強い文化に身を置くと、まわりの価値観が「自分の信念」に変わる。また、些細なことにも最善を尽くすことも重要。
    【第13章】最後に
    人の性格は複数の特徴で成り立っており、多くの人は他人を評価する際に「道徳性」を重要視していることが分かっている。ただ、人生のマラソンで真に成功するためには「やり抜く力」が重要で、それが強いと幸福感も高い。自分自身が内側から、そして親や友人たちにサポートしてもらい外側から伸ばしていくことが必要。

  • タイトルどおり「やり抜く力」を身につけたくて手に取った。
    前半は「成功するには才能よりもやり抜く力が重要」ということを繰り返し説明している。「ちょっとしつこいなぁ」とも思ったが、事例や証拠が面白かった。
    問題は後半。「どうやったら他人をやる気にさせるか」ということの説明がずっと続く。つまり「親」「教育者」目線。自分がどうやってやり抜く力を身につけるのか、についてはほんのちょっと。なのでどちらかといえば期待外れ。それでも「社会に変化を起こす気持ちで行うことで「やり抜く力」が芽生える」という内容は刺さった。

  • 一流と言われる人たちは何がすごいかというと、
    才能もそうかもしれないがそれ以上にたゆまぬ努力の
    積み重ねにより才能を開花させたことである。
    このたゆまぬ努力、やり抜く力のことをGRITという。
     GRIT = 情熱 × 粘り強さ

    また、GRITがある人は幸福であるとの統計的結果もあり、
     GRITがある→やりたいことを実現出来る→幸せ
    といった流れが確立されている。

    このGRITは後天的に身につけられる能力らしく、
    独自でも他力でも身につけることは可能。
    GRITが無い人は実践してみてはどうだろうか?

    【勉強になったこと】
    ・大きな成功を収めた人に共通する特徴
     並外れて粘り強く、努力家である
     自分が何を求めているかを理解している

    ・偉業というのは、小さなことを一つずつ達成して、
     それを無数に積み重ねた成果のこと。

    ・才能とは、スキルが上達する速さであり、
     スキルは努力によって培われ、かつ培ったスキルは、
     努力によって生産的になる。

    ・取り組むべきことの優先順位を決めるための3段階方式
     1. 仕事の目標を25個、神に書き出す。
     2. 自分にとって何が重要かをよく考え、もっとも重要な
       5つの目標に丸をつける。
     3. 丸をつけなかった目標を目に焼き付ける。
       そしてそれらの目標には、今後は絶対に関わらない。

    ・やり抜く力を持つ人に共通する特徴
     1. 興味を持って取り組んでいる
      自分のやっていることを心から楽しんでいる
     2. 日々練習している
      昨日よりも上手になるようにと継続的に練習している
     3. 目的意識を感じている
      自分の仕事が周りにとって重要だと確信している
     4. 自分のやっていることに希望を持っている
      どんなに困難な状態になったとしても諦めない

    ・GRITを伸ばすアプローチとして、内側・外側から伸ばす
     方法がある。
      内側から伸ばす方法:
       自分でマインドセットして努力する方法
      外側から伸ばす方法:
       上司などメンターをつけてもらったり、
       環境を変えることで意識を変える方法

    ・目的達成のためのアプローチ
     1. ある一点に的を絞って、ストレッチ目標を設定する
     2. しっかりと集中して、目標達成を目指す
     3. 改善すべき点がわかったら、すんなり出来るまで繰り返す

    ・ストレッチ目標に向けて努力し続けるのは苦しい。
     だからこそ、強制的に時間を取るといった強制力が必要。
     習慣化させてしまえば、苦にはならない。

    ・そもそも最初から他者のために役立つ目的を立てる必要は
     全くない。まずは個人的な興味からスタートして、真剣に
     取り組んでいくなかで人の役に立つ目的を見つけるのがよい。

    ・人は成長思考と固定思考の両方を持ち合わせており、
     成長思考の割合が大きくなればなるほどGRITは高い。
      成長思考:
       チャンスと周囲のサポートに恵まれれ、
       かつ努力すれば自分の能力を伸ばせる
      固定思考:
       人生には浮き沈みがあるだけで、
       そもそも人の能力というのは生まれ持ったもの。
     成長思考の人は、挫折を味わったとしても
     アプローチを変えれば乗り越えられるはずと解釈する。

    ・困難にぶつかり躊躇している人に対して、
     きっと困難を克服できると応援しても意味がない。
     そもそも乗り越える経験があるかないかなので、
     アドバイスをするのはよいが応援は意味がない。

    ・目的達成のためには、目的に向かってやるべきタスクを
     洗い出し、それを体系化して最初に取り組むべきタスクを
     選定するところからスタートする。
     このとき、取り組みやすいタスクから着手するのがよい。
     途中クリア出来ないタスクがあった場合は、
     タスクを変えるか止めてしまうといった判断をして、
     目的達成に向けた歩みを止めないこと。

    ・環境によって人は変わる。
     GRITをつけたければ、GRITのある人たちと関わるのがよい。
     やり抜く力の強い人たちに囲まれていると、
     同調性によって自分も自然とそうなるもの。

    ・GRITを組織として身につけるためには、
      1. みんな一つはハードなことに挑戦する
      2. 区切りの良いところで諦めてやめてもよい
      3. ハードなことを自分で選択する
     といったルールを設けて取り組むのがよい。
     また、上記を達成出来るよう十分なサポート体制を組むこと。

  • 挫折した後の「継続」が極めて重要
    できたらできたで努力をやめることもありますよね。
    一つと結果が出た後にどういった行動を取るかでやり抜く力があるかわかると思います。
    進歩の妨げになるのは途中で止めること。
    継続は力なり。

    「情熱」と「粘り強さ」を持つ人が結果を出す
    結局のところ「しつこいねん」って言われるくらい「こだわる」ことができるかやと思います。
    極めたいって思えたら情熱を持って粘り強く対応できると思います。

    「才能」では成功できない
    本書も才能を否定してるんやないんです。
    才能は要ります。
    別に天賦の才能が必要やっていうんじゃなくて普通に記憶ができて読み書きパソコンができるとか。
    記憶力ひとつとってもすぐに覚える人もおったらもひとつな人もいます。
    でも障害なく記憶できる才能があるならあとは度量のレベルやってことやと思います。

    「才能」とは「努力」によって「スキル」が上達する速さのこと
    「達成」は習得した「スキル」を活用することによって表れる「成果」のこと
    才能×努力=スキル
    スキル×努力=達成
    と定義されてます。
    僕はこの2つの努力は質が違うけどどっちも大切やって思ってます。
    やっぱり努力が2つ出てくるのもミソやと思います。
    努力できない人は達成できないんですよね。

    「意図的な練習」を続ける
    「どれだけ長時間取り組んだか」だけでなく
    「どれだけ集中して質の高い取り組みをおこなったか」が大事とあります。
    ①ある一点に的を絞ってストレッチ目標(高めの目標)を設定する
    ②しっかりと集中して努力を惜しまずにストレッチ目標の達成を目指す
    ③改善すべき点がわかったあとはうまくできるまで何度も繰り返し練習する。
    長時間かけるのは③のところなんですよね。
    闇雲に時間をかけても無意味やということです。
    ただ本書にもあるように「意図的な練習」は辛いんですよね。
    その辛いことができるようになるのは
    「努力の結果が出たことによる高揚感がクセになる」
    「困難なことに挑戦するのが好きな人たちもいる」
    ということなんやと思います。
    小さな目標を設定してクリアしていくことを体験していく。
    これが高揚感や好きになっていくということなんかなと思います。

    「まわりにやり抜く力を伸ばしてもらう」
    やり抜く力はもちろん自分自身で鍛えていく必要があります。
    ただ所属するチームや組織がやり抜く力を高いレベルで維持する集団であるなら。
    それは抜群の環境になります。
    僕は一番小さな組織は家族やと思ってます。
    その家族がグリットの文化を持ってないなら子供にとって不幸かなと思います。
    ただそれが即子どもの貧困が連鎖するというものではなくて学校やクラブといった所属するチームで変わることもできると思います。
    僕はそんな集団を地域に作っていきたいです。

  • GRIT「やり抜く力」とは「情熱」と「粘り強さ」の2つの要素から成る。

    読みたくて購入してから、長きにわたり積読として本棚に入ったままになっていた一冊をようやく読むことが出来ました。

    誰かが何かを成し遂げた時に、あの人は「才能」があるからと言ってしまうのは簡単で、その言葉で自分には出来ない事の逃げ口上としている。

    先ずはこんな大切な事に気づかせて貰いました。

    ◎自分がラクだから、一流の人を神格化する

    ◎才能×努力=スキル、スキル×努力=達成

    ◎やり抜く力=情熱+粘り強さ

    ◎情熱=自分の最も重要な目標に対して、興味を持ち続け、ひたむきに取り組む事

    ◎粘り強さ=困難や挫折を味わっても諦めずに努力すること

    ◎なんでも必死に頑張ることは意味がない

    ◎メガ成功者はカイゼンを行い続ける

    ◎時間よりどう練習するかが重要

    ◎習慣化する

    ◎重要な目標の社会的な意義を考える

    ◎楽観的に考える

    ◎課外活動は絶対にすべし

    ◎やり抜く力の強い集団の一員になる


    説明
    内容紹介
    ★大反響! 30万部突破! 世界一話題の空前のベストセラー、ついに日本上陸!
    ★「最後の1行まで読者を飽きさせない」と朝日新聞書評で異例の絶賛!
    ★HONZビジネス書グランプリ2017第1位! (ビジネススキル部門)
    ★Amazonランキング大賞2017第2位(趣味・実用・自己啓発部門)
    ★2017年年間ベストセラーランキング第4位(ビジネス部門。トーハン、日販調べ)
    ★日本の人事部「HRアワード2017」最優秀賞(書籍部門)
    ★ビジネス書大賞2017読者賞!
    ★DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書2016第2位!
    ★2016年翻訳者・編集者・エージェントおすすめの「今年の3冊」第2位!
    ★読売新聞、日経新聞、産経新聞、週刊新潮、週刊朝日、NHK「スーパープレゼンテーション」、TBS系「王様のブランチ」他、メディアで続々紹介!
    ★テレビで話題! 「グリット・スケール」であなたの「やり抜く力」がわかる!
    ★人生の成功を決定づける「非認知能力」が大幅に伸びる!

    ハーバード×オックスフォード×マッキンゼーの心理学者が
    「人生のあらゆる分野での成功に必要な最重要ファクター」をついに解明!
    世界の「能力観」「教育観」を根底から変えた
    話題の世界的ベストセラー!

    ビジネスリーダー、エリート学者、オリンピック選手…
    成功者の共通点は「才能」でも「IQ」でもなく
    「グリット」(やり抜く力)だった!

    バラク・オバマ、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ…
    錚々たる権威がその重要性を語り、
    米教育省が「最重要課題」として提唱する
    「グリット」の秘密を初めて解き明かした一冊!

    ★誰でもどんな分野でも一流になれる最強・最速のメソッド

    著者はハーバード大で神経生物学を学び、
    マッキンゼーのコンサルタント職を経て公立中学の教員となり、
    オックスフォード大で修士号(神経科学)、
    ペンシルベニア大学大学院で博士号(心理学)を取り、
    「グリット」の研究によってノーベル賞に匹敵する
    マッカーサー賞(天才賞)を受賞した、
    世界最注目の研究者、アンジェラ・ダックワース教授。

    ◎「やり抜く力」を測定するテスト
    ◎「やり抜く力」を伸ばす効果的な方法とは<?/b>
    ◎「やり抜く力」が強くなる環境とは<?/b>
    ◎一流の人が共通して行っている「当たり前のこと」とは<?/b>
    ◎「今日、必死にやる」より「明日、またトライする」
    ◎この仕組みが「逆境に強い脳」をつくる
    ◎「ものすごくがんばる」のは「やり抜く力」とは違う
    ◎子どものころの「ほめられ方」が一生を左右する
    ◎「2年以上」「頻繁な活動」をした子は将来の収入が高い
    ◎「やさしい育て方」と「厳しい育て方」はどちらがいいか<?/b>
    ◎「賢明な育て方」診断テスト

    人生のすべての成功に最も重要な能力であるグリットを
    「自ら伸ばす具体的な方法」、そして、
    「子どもやまわりの人間のグリットを伸ばす効果的な方法」を
    満載した本書、何をおいてもぜひ読んでほしい珠玉の書だ。
    メディア掲載レビューほか
    成功するには「IQ」より「グリット」 やり抜く力の大切さを伝えて28万部

    大きな成果を出した人の多くは、必ずしも才能に恵まれていたわけではない。成功するために大切なのは、優れた資質よりも「情熱」と「粘り強さ」――すなわち「グリット(GRIT)」=「やり抜く力」なのだ。

    そんなシンプルで力強い命題を、心理学のさまざまな理論を元に、多角的に検証した本が大ヒット中だ。

    「グリットという言葉は数年前から、著者の学術論文を通じて、アメリカの教育に関心のある人には広く知られていたんです」(担当編集者の三浦岳さん)

    IQ(知能指数)のような数字が、進学や就職において日本以上に重視されてきたアメリカ社会。その傾向に著者の論文は一石を投じ、幅広く支持された。オバマ大統領(当時)の演説にもたびたび「グリット」という単語が登場したほどだ。本書の原著も、昨年の刊行直後から当然のごとく全米で話題に。しかし日本の社会にはもともと、努力を高く評価する傾向があった。人によっては本書の議論は、古色蒼然としたものに見えるかもしれない。

    「たしかに邦訳の刊行前はその点が不安でした。しかしズバズバと科学的根拠を挙げながらグリットを伸ばす方法を論じる内容が新鮮に受け止められたようです。ただの『オヤジの説教』のように思われなくてよかったです(笑)」(三浦さん)

    いまさら努力の価値を語られても……そんな風に斜に構えている人こそ、チェックしてみてはいかがか。

    評者:前田 久

    (週刊文春 2017.04.20号掲載)

    継続こそが力なり

    米国内では「天才賞」とも称されるマッカーサー賞を3年前に受賞したペンシルベニア大学心理学教授、アンジェラ・ダックワース。彼女がその研究成果をまとめた『やり抜く力』はこう主張する。 どの分野であれ、人々が成功して偉業を達成するには、「才能」よりも「やり抜く力」が重要である──もともと才能があって努力すれば、他人よりも早くスキルが身につく。しかし、そこで終わってしまえば、達成はない。身についたスキルでさらに努力を続けて初めて、目標は達成される。成功には「才能」の優劣よりも努力の継続、つまり、「やり抜く力」が決定的な影響を及ぼすのだ。 この「やり抜く力」は「情熱」と「粘り強さ」という要素でできているらしい。自分にとって最も重要と定めた目標に対して不変の興味を抱きながら粘り強く取り組む「情熱」と、困難や挫折に負けずに努力を続ける「粘り強さ」がそろっていれば、誰もが目標を成し遂げられるとダックワースは説く。その上で、「やり抜く力」を伸ばす方法を詳しく紹介する後半は本書の美点であり、教育界、ビジネス界、スポーツ界だけでなく、子育てに悩む親をはじめ、多くの一般読者に評価される理由となっている。 継続は力なり、と昔からいう。ダックワースの結論をこれに倣ってまとめれば、継続こそが力なり、となる。……彼女の研究の集大成を読み進め、最後にあった「天才」の定義を目にしたとき、私はイチロー選手のことを思って納得した。 〈「天才」とは「自分の全存在をかけて、たゆまぬ努力によって卓越性を究めること」〉

    評者:長薗安浩

    (週刊朝日 掲載)
    出版社からのコメント
    【本書の構成】

    [PART1]「やり抜く力(グリット)」とは何か? なぜそれが重要なのか?

    第1章:「やり抜く力」の秘密
    なぜ、彼らはそこまでがんばれるのか?
    第2章:「才能」では成功できない
    「成功する者」と「失敗する者」を分けるもの
    第3章:努力と才能の「達成の方程式」
    一流の人がしている当たり前のこと
    第4章:あなたには「やり抜く力」がどれだけあるか?
    「情熱」と「粘り強さ」がわかるテスト
    第5章:「やり抜く力」は伸ばせる
    自分をつくる「遺伝子と経験のミックス」

    [PART2]「やり抜く力」を内側から伸ばす

    第6章:「興味」を結びつける
    情熱を抱き、没頭する技術
    第7章:成功する「練習」の法則
    やってもムダな方法、やっただけ成果の出る方法
    第8章:「目的」を見出す
    鉄人は必ず「他者」を目的にする
    第9章:この「希望」が背中を押す
    「もう一度立ち上がれる」考え方をつくる

    [PART3]「やり抜く力」を外側から伸ばす

    第10章:「やり抜く力」を伸ばす効果的な方法
    科学では「賢明な子育て」の答えは出ている
    第11章:「課外活動」を絶対にすべし
    「1年以上継続」と「進歩経験」の衝撃的な効果
    第12章:まわりに「やり抜く力」を伸ばしてもらう
    人が大きく変わる「もっとも確実な条件」
    第13章:最後に
    人生のマラソンで真に成功する
    内容(「BOOK」データベースより)
    ハーバード×オックスフォード×マッキンゼーの心理学者がついに解明、世界騒然!ビジネスリーダー、エリート学者、オリンピック選手…成功者の共通点は「才能」ではなく「グリット」だった!誰でもどんな分野でも一流になれる最強・最速のメソッド!
    著者について
    アンジェラ・ダックワース(Angela Duckworth, Ph.D.)
    ペンシルベニア大学心理学教授。近年、アメリカの教育界で重要視されている「グリット」(やり抜く力)研究の第一人者。2013年、マッカーサー賞(別名:天才賞)受賞。教育界、ビジネス界、スポーツ界のみならず、ホワイトハウス、世界銀行、経済協力開発機構(OECD)、米国陸軍士官学校など、幅広い分野のリーダーたちから「やり抜く力」を伸ばすためのアドバイスを求められ、助言や講演を行っている。
    ハーバード大学(神経生物学専攻)を優秀な成績で卒業後、教育NPOの設立・運営に携わり、オックスフォード大学で修士号を取得(神経科学)。マッキンゼーの経営コンサルタント職を経て、公立中学校の数学の教員となる。その後、心理科学の知見によって子どもたちのしなやかな成長を手助けすることを志し、ペンシルベニア大学大学院で博士号(心理学)を取得し、心理学者となる。子どもの性格形成に関する科学と実践の発展を使命とするNPO「性格研究所」の創設者・科学部長でもある。
    ダックワース教授の研究は、多数の学術専門誌のほか、「ニューヨーク・タイムズ」「フォーブス」「タイム」をはじめ一般紙誌でも広く採り上げられている。長年の研究成果をまとめた本書は、2016年5月の刊行直後から「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラー上位にランクイン。たちまち異例のベストセラーとなり、「CBSニュース」をはじめテレビ等で大きく報じられた。TED トーク「成功のカギは、やり抜く力」の視聴回数は900万回を超える。夫とふたりの10代の娘とともにペンシルベニア州フィラデルフィア市に在住。

    神崎朗子(かんざき・あきこ)
    翻訳家。上智大学文学部英文学科卒業。おもな訳書に『スタンフォードの自分を変える教室』『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』『フランス人は10着しか服を持たない』『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』(以上、大和書房)などがある。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    ダックワース,アンジェラ
    ペンシルベニア大学心理学部教授。近年、アメリカの教育界で重要視されている「グリット」(やり抜く力)研究の第一人者。2013年、マッカーサー賞(別名「天才賞」)受賞。教育界、ビジネス界、スポーツ界のみならず、ホワイトハウス、世界銀行、経済協力開発機構(OECD)、米国陸軍士官学校など、幅広い分野のリーダーたちから「やり抜く力」を伸ばすためのアドバイスを求められ、助言や講演を行っている。ハーバード大学(神経生物学専攻)を優秀な成績で卒業後、マッキンゼーの経営コンサルタント職を経て、公立中学校の数学の教員となる

    神崎/朗子
    翻訳家。上智大学文学部英文学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 物事の成功は才能や遺伝だけで決まるのではなくGRIT(やり抜く力)が重要な要素になる。

    1万時間の法則は有名ですが、ポイントは時間だけでなく質という面。

    この本ではこれを「意図的な練習」と言っていますが、その説明を読むとまさに!と思わず膝を叩いてしまいそうなぐらい納得です。

    「才能×努力=スキル→スキル×努力=達成」

    この法則も非常に簡潔でありながら本質を捉えており、これが理解出来ると上達の近道が見えてきます。

    読めば読むほど今までもやもやとした部分がすっきりと腑に落ちていきます。

    非常に面白くためになる本でした。

    とてもおすすめです。

  • 絶対もっと簡潔に書けただろう、の一言。
    あまりにも遠回し、かつ結果が推測できる研究ばかりですごくつまらなかった。挙句の果てには犬を実験に使うだなんて、犬を飼っている身からすると一気にテンションが下がった。

    TEDで観たときはすごく興味深かったので、期待していただけにとても残念。

    無論、いずれも何か発見があればまだマシなのだが、特になかった。後半の親として子供のやり抜く力を育てるコツは少しタメになった、でも長すぎる。

    この本の内容すべてを否定するつもりはないので、もし読むとしたらYoutubeのまとめ動画や記事をお勧めする。

  • 成功の定義は人それぞれという前提で、学力等の能力の有無に関わらず「やり抜く力」があれば成功を手に入れられる可能性が高まる。様々な研究結果に裏付けられたこの事実は私のような凡人には希望の光である一方で、その「やり抜く力」を鍛えるのが難しい。私の経験として、やり抜く力ってある種ネガティブな感情から生まれる執着心が駆り立てる力なんじゃないかなとも思うので、自分を適度に追い詰める環境に身を置き続けないといけないなぁと思った。

  • 洋書の特徴だろうが、例え話や実例がとてつもなく長く多い

    読むのに相当疲れるし、延々と同じ話を繰り返す


    しかし、伝えたいことは大切なことばかり


    要約してるYouTubeを見れば事足りる

  • 【気になった場所】

    やり抜く力=情熱+粘り強さ
    →人生で何かを成し遂げるには、生まれ持った才能よりも、情熱と粘り強さで決まる可能性が高い

    才能と努力の方程式
    ・才能×努力=スキル
    ・スキル×努力=達成

    今日必死にやるより、明日またトライする

    ものすごく頑張る≠やり抜く力

    やり抜く力を磨く要素
    =興味+練習+目的+希望

    人は興味をいつの間にか抱いている
    ・将来何をしたいか子どもの頃に分からない
    ・外の世界と関わる中で見つかる
    ・見つけた興味を長い時間をかけ掘り下げる
    ・興味を持ち続けるのに周りの励ましが必要

    ジェスベゾスの育て方
    →子どもにどんな才能があるか注意して見る
    →その才能に合わせた教育をする
    →わからなくてもいい、大事なのは聴くこと

    興味の見つけ方
    ・好き嫌いをはっきりさせ積み上げていく
    ・とりあえず良いと思ったことをやってみる
    ・うまくいかない場合は、取り消しても良い

    意図的な練習の法則
    ・ある一点に的を絞り、高い目標を設定する
    ・集中して、その目標の達成を目指す
    ・改善点が分かれば、繰り返し練習する

    意図的な練習は1日3-5時間が限界

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