私たちはどこまで資本主義に従うのか―――市場経済には「第3の柱」が必要である

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制作 : 池村 千秋 
  • ダイヤモンド社 (2015年12月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478065204

私たちはどこまで資本主義に従うのか―――市場経済には「第3の柱」が必要であるの感想・レビュー・書評

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  • 原題はrebalancing societyということで、政治と企業の牛耳る社会を、第三セクターNGOなどでバランスのとれた世界に変えていこうとの主張。
    確かに今の社会が資本主義に進み過ぎている感じは受けます。新しい見方を与えるという意味で本書はなかなか有用。
    しかし、第三セクターが本当に有効になることについてイメージが湧かなかった。また、個人としてどうすべきかということもよく分からなかった。
    企業のリーダーシップとして、独善的アプローチよりもコミュニティ重視がうまくいくということについてはなんとなく賛成である。

  • 2017

  • ヘンリー・ミンツバーグが、現代の社会構造について「バランス」を崩してしまっていると批判したもの。ミンツバーグがいうバランスとは、「政府セクター」「民間セクター」そして「多元セクター」の3つのセクターのバランスのことである。アメリカをはじめとする現代社会は、政府と地域コミュニティが弱体化し、私企業が強い影響力を持っており、バランスが失われている状態だという。一方、これに対して不満分子による革命は、別の形のバランスを欠いた社会に導くだけだとして退ける。

    現在の状況を考えても、1989年は資本主義の勝利ではなく、共産主義社会がそのアンバランスによって自ら崩れただけであるというのが著者の主張である。「共産主義は、人間が人間を搾取するシステムだ。資本主義は、その逆である」とはうまく言ったものである。営利企業である民間セクターだけが突出しても、共産主義のように政府セクターだけによって社会がコントロールされても社会もよくならないというミンツバーグが、この本でその重要性を強調するのが「多元セクター」であり、各セクターのバランスの回復である。邦題は『私たちはどこまで資本主義に従うのか』だが、原題の「Rebalancing Society」の方が、著者の全体の主張に合致している。

    「多元セクター」とは耳慣れない言葉だが、NPOやNGOなどがそこには含まれるセクターであると認識しておけばよいだろう。政府(public)と民間(private)に対して多元(plural)とpで始まる語を当てたというのもそのワードを使う理由でもあるが、ここに含まれるべき団体が非常に多様であるということもその大きな理由だ。また、個人指向のリーダーシップ、集団指向のシティズンシップに対して、協働指向のコミュニティシップを対置する。興味深いことにコミュニティシップについて、かつての日本企業を家族のような温かい雰囲気を持っていたが、非正規社員が増えて雇用の調整弁として扱われ、成果主義の導入が自分の業務範囲を超えて全体のために仕事をする習慣を失わせたと指摘する。

    資本主義社会の中で、民間セクターだけに任せてしまうと、負の外部性の悪影響や格差の拡大を抑止することができないというのが著者の思いだ。アメリカ先住民の酋長の「私たちは、先祖からこの地球を譲り受けたのではありません。私たちは未来の世代から地球を借り受けているのです」という言葉が印象に残る。年金のことに関わらず、私たちは、未来の世代を搾取してツケを残してよしとしていないだろうか。民主主義や資本主義の論理では、未来の世代に対する責任を果たすことができないのではないだろうか。

    『戦略サファリ』を書いたミンツバーグは、少しシニカルで知識を整理するのが得意な知識人であった。
    『マネジャーの仕事』や『マネージャの実像』を書いたミンツバーグは反MBAで現地現物を重視する人であった。
    あくまで自分の感想だけれども。
    本書のミンツバーグは、経済格差に反対し、NPOやNGO押しのリベラル人。これまでのミンツバーグの著作とはかなり色が異なっている印象を受けた。バランス重視なところは一貫しているが、それが著者の思考の特徴なのだと思う。

    自分としては、現地現物マネージャを称揚するミンツバーグの方により共感するのだけれども。



    ---
    『マネジャーの実像』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4822248364
    『マネジャーの仕事』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/456124218X

  • 薄いからさくさく読めるけどあんまり肌に合わなかった。
    政府でも産業界でもない多元セクター成長してくことがが必要なんだよ!って本の全部にわたってゆってるわけだけどそれだけっていうか、んーじゃあどうしたらいいねんという感じ。

    たぶん(周りの方々のレビュー等を拝見する限り)えらいひとなんだろうけど、抽象的でひたすら怒ってるねーという印象。太字になっているから読みやすいっちゃ読みやすいし、こんなに頻繁に太字使うって中身の薄いのを隠すためなんじゃとか邪推しちゃうし、ふむむ。

  • ここ数年、資本主義の行き詰まりによる格差拡大が社会を不安定にしつつあるとして、多くの人達が解決策に関する持論を著すようになってきている。
    ピケティ、コトラー、スティグリッツしかり、日本でも原丈人氏の公益資本主義の主張や水野和夫氏の「資本主義の終焉と歴史の危機」と言う本の内容など、様々な論が出てきている。
    未読のコトラーやスティグリッツもいずれはと思っているのだが、分量的に軽そうなのと、経済学者ではなく経営学者が書いたところに興味がわき、ミンツバーグのこの本から読んでみた。

    本書の主張は至って素直だ。
    政府セクター、民間セクター間のバランスが崩れ、民間が強くなった結果、富める人はますます富み、社会の格差が拡大してしまった。
    企業の利益追求に任せてバランスは自動的に取れるようになるという新自由主義的考え方は、利益追求が強くて成功する者に多く恩恵をもたらす仕組みだった。
    一般的に追求されていた経済学理論が核としてきた考え方である「経済人」は、強欲が好ましく、所得権は不可侵で、市場に任せておけば万事うまく行き、政府のことは疑ってかかる人間のことであり、まさしく特に現在のアメリカで主流の考え方である。
    これ自体がナンセンスであるという。

    これを修正するには、多元セクター、第三のセクターである非営利部門を強くして三者間のバランスを取らなければならない、ということ。
    第一のセクターである政府が社会を支配するのは共産主義、第二セクターである民間が支配するのは貪欲な資本主義、そして多元セクターである非営利・コミュニティが支配するのはときの政治的帰結はポピュリズムだそうで、重要なのはあくまで三者のバランスなのである。

    抜本的な刷新は多元セクターから現状に抗議する社会運動(ソーシャル・ムーブメント)と、現状改善に取り組む社会事業(ソーシャル・イニシアチブ)から出発すべきとしている。その他数々の改革を進めるとともに、経済成長の基準についても考え方を変える必要があり、量ではなく質で図れと言うのだが提案は余り具体的ではない。

    提案としては以上のようにシンプルだが、ミンツバーグらしい辛辣な指摘で、今の社会における矛盾点を次々に指摘しているところは、ある意味で溜飲を下げる気もするところ。
    他に読んだ資本主義賞味期限切れの本も、どれもが政府・民間企業以外の新しい動きが解決策に繋がるとしているということは、どうやら新しい社会の在り方の本質らしい。
    もう少し新しい主張を読み砕いて見る必要がありそう。

  • ■書名

    書名:私たちはどこまで資本主義に従うのか―――市場経済には「第3の柱」が必要である
    著者:ヘンリー・ミンツバーグ

    ■概要

    企業と政府だけでは社会の問題は解決できない。経営学の巨匠が示
    す新たな経済社会とは?
    (From amazon)

    ■気になった点

    なし

  • ミンツバーグが説く政府・民間に次ぐ第三の柱、多元セクター。政府と民間の二項対立ではなく、そこに多元セクターであるコミュニティ等が成立することが資本主義・市場経済が活性化すると主張する。経営学者であるミンツバーグから見た経済学という印象を持った。

  • 企業と政府だけでは社会の問題は解決できない。経営学の巨匠・ミンツバーグが、視野を社会全体に広げて語る。

    はじめに 社会問題を解決するのは誰か
    第1章 アンバランスの勝利
    第2章 資源をしぼり取らずに、知恵をしぼる
    第3章 バランスの取れた社会に必要な「第三の柱」
    第4章 抜本的刷新
    第5章 問題を抱えた世界におけるあなたと私と私たち
    終章 アンバランスへの不満と変革への提言
    補章 コミュニティシップ:社会を変える第三の力

  • 平積み

  • 最近のアングロサクソン型資本主義、反証型の本の中では内容の充実した1冊。

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