グロービスMBAで教えている 交渉術の基本―――7つのストーリーで学ぶ世界標準のスキル
- ダイヤモンド社 (2016年6月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478066942
作品紹介・あらすじ
7つのリアルなストーリーでわかりやすい!弱い立場でも負けない!アンカリング、フレーミング、BATNA、留保価値、ZOPA…価値創造型の定番スキルがこの1冊に!交渉を初めて学ぶ人、全容を確認したい人に対応。
感想・レビュー・書評
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交渉というとずる賢く立ち回るような印象もあるが
本書は交渉をもっとよいものとしてとらえている。
そもそも交渉が発生するのは情報が非対称である時でしかない。
つまり、互いに相手がどういう状況で何を求めているかの情報が完全に共有されている時、
それは交渉ではなくて純粋な意思決定の場所になるだろう。
立場の強弱に関係なく、交渉のテーブルにつくという時には
情報の不均衡があるという前提が共有されている。
もちろん、それはカサにかかっている場合もあるだろうが、
立場が弱くとも相手の前提条件を転換させるような提案があれば
単純に押し負けるわけではない。
また、自らの前提条件も相手の情報を受けながら柔軟に対応することで
当初想定されていた結末よりも、互いによりよい価値に近づくことがあることを本書は提示している。
勝利条件の変更を考慮せずに勝ちに行こうとする交渉は
騙し合いであり、それも交渉のひとつではあるが、
本書が「基本」として据える「価値創造型交渉」こそは
なにかと板挟みになりやすいビジネス上の交渉人たちに誇りをもたらすものだろう。
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交渉において、もしこの交渉が決裂したらどうなるか、自分はどう行動するか、相手はどう行動するかを、あらかじめ見極めておくことは極めて重要です。
これは交渉に関する最も重要な古典的概念の一つで、BATNA(Best Alternative To Negotiated Agreementの略)と呼ばれています。直訳すれば「交渉で合意することに次ぐ最前の代替案」ということで、「交渉で合意が成立しない場合の最善の案」という意味です。(p.27)
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基本にして最重要ポイント。
これは相手のBATNAを知るだけでなく、自分のものもきちんと把握できているかが問われる。
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多様な利害関係者の存在と彼らの間の力関係を整理する手法として、マッピングをしてみることをおすすめします。
マッピングする際には「考えられる登場人物は全部書く」、つまり交渉を取り巻くさまざまな利害関係者たちを可能な限り書き込むようにしましょう。書き込むにあたっては、簡潔にそれぞれの立場を書き添えてもよいし、固有名詞だけでもかまいません。大切なのは「視野に入っている」ことです。(p.142)
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テーブルの前だけでは打開策のない場合に、見えていない利害関係者を想定すること。
ここで立場を書かなくてもいいというのは、先入観をもってあたるべきではないからだろう。
視野の広さと、柔軟さが必要だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
印象に残った言葉はBATNAとZOPA。これに価値創造型交渉をメインにしながら解説が進む。
似たような本の内容を軽めに印象が強いが、ビジネスに特化した具体的なストーリーは面白かった。 -
交渉の考え方やスタンスについて、ストーリーを基に分かりやすく学ぶことができる。それでいて、交渉術における重要な点を押さえている。
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書籍を直接読んだ訳ではなく、GLOBIS学び放題で下記を受講
・ネゴシエーションスキル(基本編)
・ネゴシエーションスキル(実践編) -
・交渉の基本と銘打たれているが、理論面は本書で充分
・実際の交渉場面でBATNAやアンカリング、フレーミングなど意識しつつ交渉方針を言語化していくべき
・結局、実践が超重要であり読んだだけで交渉が上手くなる訳ではないことに注意 -
交渉者に大切な姿勢四つ、積極的な準備、高い目標、傾聴、誠実
関係者とその関係者の利害の把握が大切→マッピングする。
BATNA =交渉で合意が成立しない場合の最善の案
留保価値=最低条件
ZOPA=交渉を妥協する可能性のある範囲
最初に提示するアンカーは目標値プラスαの数値とするのが良い
交渉の際には認知バイアス、心理的バイアスに気をつける
交渉する人が変わることで、これまであったアンカリングやフレーミングがなくなり、より良くなる可能性がある。
バイアスの存在を知った上で、それにはまらない仕組みを作っておく
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ハーバード流交渉術の後に交渉術のおさらい的に読んだ本。ハーバード流では交渉は公平でWinwinを目指せとあったが、ここでは弱い立場でも準備や相手の心を掴めば公平な立場で交渉が出来ると言うストーリーが描かれている。読みやすく良かったのだが、何となく堅く教科書的な印象でハーバード流と比較して物足りなさがあったので星4つ。
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グロービスお得意のケーススタディからの解説ではありますが、
著者が言うようにケースとなる交渉ストーリーは確かに日本企業に
ありがちな内容。
基本的な交渉術を知ってる人には真新しい点は
少ないが、交渉時のポイント整理にはよい本というか教材 -
BATRA
ZOPA
相手の利害を知る必要がある。
交渉とは、互いの価値を創造をする。
交渉した方が得かどうか。そしたら歩み寄れる余地がある。
論点のすれ違いをさけるには、相手の論点の背景を知る必要あり -
理屈と具体例のバランスがよくて、読み応えもある良書。
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相手に対して誠実に向き合い、信頼関係を作りながら、一緒に価値を創造していこうという姿勢が交渉を行う上で重要。何度も読み返したい。
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2017.01.09読了
目から鱗、ということはなかったが、今一度交渉における考え方や気を付けるべきことを自分自身の中で整理する上で役立つとは思った。
気づき
・一定の価値を分配しあう「価値分配型交渉」→お互いのパイの大きさを大きくしてから分配する「価値創造型交渉」
・交渉当事者にとって、交渉結果の損得よりも利害関係者への説明可能性のほうが重大な関心ごとであることも決してまれではない
・交渉の舞台を設計する。時間軸、場所、同席者、その交渉以外のやりとり(貸し借り、返報性)。交渉内容に直接関係するものではないため、しばしば軽視されがちだが、現実には交渉の進行に大きな影響を与える。
・アンカリング、枠付けの変換リフレーミング -
実際のビジネスの現場の事例が取り上げられており、活用方法がイメージしやすかった。状況把握がまずは重要だと感じる。
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ビジネスに於いての交渉に焦点を当てた本です。ビジネススクールで教えている交渉術だけあって、直ぐにでも使えそうで実用的なテクニックを身に着ける事が出来ます。ケーススタディーで始まり、その後に解説という流れもとても読み易いです。