グロービスMBAで教えている 交渉術の基本―――7つのストーリーで学ぶ世界標準のスキル

著者 :
  • ダイヤモンド社
3.59
  • (9)
  • (13)
  • (20)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 258
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478066942

作品紹介・あらすじ

7つのリアルなストーリーでわかりやすい!弱い立場でも負けない!アンカリング、フレーミング、BATNA、留保価値、ZOPA…価値創造型の定番スキルがこの1冊に!交渉を初めて学ぶ人、全容を確認したい人に対応。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 交渉というとずる賢く立ち回るような印象もあるが
    本書は交渉をもっとよいものとしてとらえている。

    そもそも交渉が発生するのは情報が非対称である時でしかない。
    つまり、互いに相手がどういう状況で何を求めているかの情報が完全に共有されている時、
    それは交渉ではなくて純粋な意思決定の場所になるだろう。

    立場の強弱に関係なく、交渉のテーブルにつくという時には
    情報の不均衡があるという前提が共有されている。
    もちろん、それはカサにかかっている場合もあるだろうが、
    立場が弱くとも相手の前提条件を転換させるような提案があれば
    単純に押し負けるわけではない。

    また、自らの前提条件も相手の情報を受けながら柔軟に対応することで
    当初想定されていた結末よりも、互いによりよい価値に近づくことがあることを本書は提示している。

    勝利条件の変更を考慮せずに勝ちに行こうとする交渉は
    騙し合いであり、それも交渉のひとつではあるが、
    本書が「基本」として据える「価値創造型交渉」こそは
    なにかと板挟みになりやすいビジネス上の交渉人たちに誇りをもたらすものだろう。

    >>
     交渉において、もしこの交渉が決裂したらどうなるか、自分はどう行動するか、相手はどう行動するかを、あらかじめ見極めておくことは極めて重要です。
     これは交渉に関する最も重要な古典的概念の一つで、BATNA(Best Alternative To Negotiated Agreementの略)と呼ばれています。直訳すれば「交渉で合意することに次ぐ最前の代替案」ということで、「交渉で合意が成立しない場合の最善の案」という意味です。(p.27)
    <<

    基本にして最重要ポイント。
    これは相手のBATNAを知るだけでなく、自分のものもきちんと把握できているかが問われる。

    >>
     多様な利害関係者の存在と彼らの間の力関係を整理する手法として、マッピングをしてみることをおすすめします。
     マッピングする際には「考えられる登場人物は全部書く」、つまり交渉を取り巻くさまざまな利害関係者たちを可能な限り書き込むようにしましょう。書き込むにあたっては、簡潔にそれぞれの立場を書き添えてもよいし、固有名詞だけでもかまいません。大切なのは「視野に入っている」ことです。(p.142)
    <<

     テーブルの前だけでは打開策のない場合に、見えていない利害関係者を想定すること。
    ここで立場を書かなくてもいいというのは、先入観をもってあたるべきではないからだろう。
    視野の広さと、柔軟さが必要だ。

  • 印象に残った言葉はBATNAとZOPA。これに価値創造型交渉をメインにしながら解説が進む。
    似たような本の内容を軽めに印象が強いが、ビジネスに特化した具体的なストーリーは面白かった。

  • 交渉の考え方やスタンスについて、ストーリーを基に分かりやすく学ぶことができる。それでいて、交渉術における重要な点を押さえている。

  • 書籍を直接読んだ訳ではなく、GLOBIS学び放題で下記を受講
    ・ネゴシエーションスキル(基本編)
    ・ネゴシエーションスキル(実践編)

  • ・交渉の基本と銘打たれているが、理論面は本書で充分
    ・実際の交渉場面でBATNAやアンカリング、フレーミングなど意識しつつ交渉方針を言語化していくべき
    ・結局、実践が超重要であり読んだだけで交渉が上手くなる訳ではないことに注意

  • 交渉者に大切な姿勢四つ、積極的な準備、高い目標、傾聴、誠実

    関係者とその関係者の利害の把握が大切→マッピングする。

    BATNA =交渉で合意が成立しない場合の最善の案
    留保価値=最低条件
    ZOPA=交渉を妥協する可能性のある範囲
    最初に提示するアンカーは目標値プラスαの数値とするのが良い

    交渉の際には認知バイアス、心理的バイアスに気をつける

    交渉する人が変わることで、これまであったアンカリングやフレーミングがなくなり、より良くなる可能性がある。

    バイアスの存在を知った上で、それにはまらない仕組みを作っておく

  • ハーバード流交渉術の後に交渉術のおさらい的に読んだ本。ハーバード流では交渉は公平でWinwinを目指せとあったが、ここでは弱い立場でも準備や相手の心を掴めば公平な立場で交渉が出来ると言うストーリーが描かれている。読みやすく良かったのだが、何となく堅く教科書的な印象でハーバード流と比較して物足りなさがあったので星4つ。

  • グロービスお得意のケーススタディからの解説ではありますが、
    著者が言うようにケースとなる交渉ストーリーは確かに日本企業に
    ありがちな内容。
    基本的な交渉術を知ってる人には真新しい点は
    少ないが、交渉時のポイント整理にはよい本というか教材

  • BATRA
    ZOPA
    相手の利害を知る必要がある。
    交渉とは、互いの価値を創造をする。
    交渉した方が得かどうか。そしたら歩み寄れる余地がある。
    論点のすれ違いをさけるには、相手の論点の背景を知る必要あり

  • 理屈と具体例のバランスがよくて、読み応えもある良書。

  • 交渉に関する本。ストーリー仕立てになっていてわかりやすい。また基礎的な考え方が網羅されていて、基礎を身につけるのにオススメの一冊。

    <メモ>
    ・価値分配型交渉 一定の価値を分配し合う
     価値創造型交渉 お互いの得られるパイの大きさを大きくしてから分配する。
    ・交渉において相手の力が強い時、より強いBATNAをか初することで相手の言い値をけることができるようになる。
    ①受け入れられない合意を押し付けられないよう守りを固める→自らのBATNAを正確に意識する。
    ②できるだけ自分の利害を満足させるように手持ちのカードをフルに活用する。
    →自らのBATNAを積極的に開発する。すなわち、見込みのある代替案にさらに改良を加え、実際的な代替案とする。
    ここまでは飲める、これ以上は飲めないという判断の線引きを明確にしておく。
    ・立場が弱いと格の違いを感じ、ZOPAの中でも自分に不利な水準に目標値を置いてしまいがち。弱い立場の側ではいかに毅然として不用意な譲歩をしない姿勢を取れるか、いかに自信を持ってこうすることがあなたにも私にも有益であると信じるというメッセージを的確に発せられるかがポイント。
    ・交渉の基本概念を理解する。
     関係者 特に意思決定者は誰か
     利害関心 何のために交渉するのか
     価値 BATNA、留保価値、目標値、アンカー等それぞれの意味合いの違いを理解する。
    ・BATNAが交渉力を大きく左右する。相手のBATNAを読むことで目標値アンカーが変わってくる。
    ・交渉過程で状況の変化に伴いBATNAも変化した時、新たにZOPAが発生し、交渉妥結の可能性が生まれることがある。
    ・一つ一つの関心に対するvalueの違いがお互いにとっての価値創造につながりうる。
    ・相違の例 形式:実質 経済的側面:政治的側面 対内的側面:対外的側面 象徴的側面:実際的側面 
    ・価値の違いの発見を妨げる思い込み
    1相手の置かれた環境は自分と同じと思い込む(情報、合意への圧力)
    2解決策の選択肢となりうるものは自分の立場によって規定されていると思い込む
    3自分と相手で時間に対する感覚が同じと思い込む
    4論点は所与のものだと思い込む
    ・交渉のセットアップ
    1関係当事者の正しい見極め
    2利益の見極め
    3最善のノーディールオプションを分析してZOPAの有無と範囲を見極める
    4的確な順序付けと基本プロセスの選択
    ・膠着状態になったら、立場を離れて利害に集中した時に選択肢が絞られないか検討する。
    ・囚人のジレンマ状態の膠着を脱するには
     いまの状態が続くマイナス面、新しい解決策のプラス面、裏切った時のペナルティをいかに相手に納得させられるかがカギ。
    ・交渉の行方に影響を与える障害として、情報の非対称性の他に、認知バイアス、心理的バイアスがある。
    ・アンカリングやフレーミングなど、相手が交渉前、交渉中に触れる時のちょっとしたあやで、認知や解釈が方向付けられることがしばしば
    ・バイアスの存在を自覚した上で、あらかじめ深みにはまらない仕掛けを作っておく
    ・4ステップアプローチ
    1状況を客観的に捉える
    2相手の視点で考える
    3自分のミッションを明確化する
    4交渉を進め決着に導く
    ・感情が動く原因
    1価値理解 自分の考え方や行動に価値があるとされているか
    2つながり 敵として扱われているか仲間としてか
    3自律性 意思決定をする自由が尊重されているか
    4ステータス 自分の置かれた位置がふさわしいものと認められるか
    5役割 自分の役割と活動内容に満足できるか
    ・相手の規範を把握する
    1交渉者のそれまでの言動
    2交渉者の属性 年齢、社風、卒業校の校風、専攻
    3その他の行動観察 表情、反応
    ・舞台設計のチェック
    1十分な準備ができるか 交渉に入るまで時間的余裕、情報の入手可能性
    2冷静に思考できる環境があるか 力関係、時間的余裕
    3自由に言いたいことを言える環境か
    ・舞台設計に関してコントロール可能な変数
    1交渉の時間軸、タイミング
    2交渉の場所
    3同席者
    4使用言語
    5その交渉以外のやりとり
    ・交渉状況を把握するため、関係者の整理をマッピングで可視化を
    ・相手を見る時の客観的視点を自分の状況についても当てはめてみる
    ・感情面でのズレのがあれば、具体的な利害交渉の前に解決を図る。

  • 相手に対して誠実に向き合い、信頼関係を作りながら、一緒に価値を創造していこうという姿勢が交渉を行う上で重要。何度も読み返したい。

  • 以前読み漁った交渉術関連本を、一度体系的に整理したく、グロービスならと期待して購入。

    感想。
    体系的に整理してくれた。ロジャーフィッシャー本の引用多いし、目新しいことを記載しているわけではないけど、理解を助けてくれるキラーワードが多かった。

    備忘録。
    ・一方の要求がもう一方の譲歩になる関係を、ゼロサム状況という。
    ・ゼロサム状況の中である一定の価値を、分配しあう交渉を価値分配型交渉という。
    ・双方が得られる価値の合計を最大化する、互いのパイを最大化することを目指す交渉を、価値創造型交渉という。
    ・交渉とは、「相手をうまく言い負かす」「うまく出し抜く」ことではない。交渉を問題解決のために行う共同作業と捉えたい。
    ・何のために交渉するのか。関係者の利害や関心を理解することがポイント。
    ・BATNAとZOPA。
    BATNA=交渉で合意が成立しない場合の最善の案。
    留保価値=これを下回れば絶対に妥結しないという最低条件。通常はBATNA=留保価値。
    ZOPA=双方の留保価値の間。
    ・BATNAの具体化、BATNAの改良がポイント。
    ・価値創造型交渉のポイント。利害関係は複数存在するかもしれないとい切り口。
    ・交渉妥結を阻む障害、認知バイアスと心理バイアス。
    ・認知バイアス=交渉の状況について当事者から見える世界が実は偏っていること。
    ・心理的バイアス=合理的判断を妨げる心理の動き。
    ①勝とうとするバイアス=目の前の相手に勝ちたい/負けたくない。相手が自分より優れた発言をしていることが安らかではない。
    ②自分を飾るバイアス=最初の判断/意見や成功体験を崩さない、埋没費用重要視、自分の意見に都合の良い情報に偏る。
    ・バイアスから完全に逃れることは難しい。先ずは自分がバイアスにかかっていないかに注意する。また、留保価値に到達さえすれば自分は負けて良いと思うと良い。
    ・バイアスをうまく使う。先に情報を提供し、課題を示し、意思表示していくとそれごアンカーとなり、枠づけになる。

  • 2017.01.09読了
    目から鱗、ということはなかったが、今一度交渉における考え方や気を付けるべきことを自分自身の中で整理する上で役立つとは思った。

    気づき
    ・一定の価値を分配しあう「価値分配型交渉」→お互いのパイの大きさを大きくしてから分配する「価値創造型交渉」
    ・交渉当事者にとって、交渉結果の損得よりも利害関係者への説明可能性のほうが重大な関心ごとであることも決してまれではない
    ・交渉の舞台を設計する。時間軸、場所、同席者、その交渉以外のやりとり(貸し借り、返報性)。交渉内容に直接関係するものではないため、しばしば軽視されがちだが、現実には交渉の進行に大きな影響を与える。
    ・アンカリング、枠付けの変換リフレーミング

  • 実際のビジネスの現場の事例が取り上げられており、活用方法がイメージしやすかった。状況把握がまずは重要だと感じる。

  • ビジネスに於いての交渉に焦点を当てた本です。ビジネススクールで教えている交渉術だけあって、直ぐにでも使えそうで実用的なテクニックを身に着ける事が出来ます。ケーススタディーで始まり、その後に解説という流れもとても読み易いです。

全17件中 1 - 17件を表示

著者プロフィール

グロービス
1992年の設立以来、「経営に関する『ヒト』『カネ』『チエ』の生態系を創り、社会の創造と変革を行う」ことをビジョンに掲げ、各種事業を展開している。グロービスには以下の事業がある。
●学校法人グロービス経営大学院
・日本語(東京、大阪、名古屋、仙台、福岡、オンライン)
・英語(東京、オンライン)
●グロービス・エグゼクティブ・スクール
●グロービス・マネジメント・スクール
●企業内研修/法人向け人材育成サービス
(日本、中国、シンガポール、タイ、米国、欧州)
●出版/電子出版
●GLOBIS知見録/GLOBIS Insights(オウンドメディア)
●GLOBIS学び放題/GLOBIS Unlimited(定額制動画学習サービス)
●グロービス・キャピタル・パートナーズ(ベンチャーキャピタル事業)




「2023年 『入社1年目から差がつく ロジカル・アウトプット練習帳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

グロービスの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×