人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?―――最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質

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著者 : 山本一成
  • ダイヤモンド社 (2017年5月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478102541

人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?―――最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質の感想・レビュー・書評

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  • 2017年4月についに現役名人を破った将棋ソフト「ポナンザ」の開発者が自ら将棋や碁の人工知能開発について書いた本。実際の先端を歩んできた開発者であり、その内容に信が置ける上に、非常に読みやすく書かれている。

    人口知能は、将棋界だけでなく、囲碁界でも躍進し、AlphaGoが2016年のイ・セドルに続き囲碁界の頂点に君臨するカ・ケツにも2017年5月に圧勝した。それまでは一線級の棋士にはまだまだコンピュータは勝てないだろうと思われていたものが、正に一瞬にして様相が変わり、もはや人間はコンピュータには勝てないだろうという認識が支配的になった。そういう意味でもこの1年は人口知能界にとって画期的な年であった。そして、この先もどんどん進化していくだろうと、多くの人が若干の不安をもって確信した年でもあった。

    ポナンザも開発当初はそのロジックをプログラマである著者が考えて組み込んで作ったものであった。そしてその当時のソフトでは全く人間には歯が立たなかった。人間のロジックを上手く言語化して計算可能な問題にすることができなかったのだ。その限界を変えたのが機械学習とディープラーニングだった。著者はこの技術について、計算不可能と思われていた問題が計算可能な問題になったと表現する。その表現は納得感が高い。さらにポナンザの開発経緯を辿って、強化学習の導入やコンピュータ自身による「評価」の調整方法などが説明されるが、非常に腹落ちしやすい形で説明される。AlphaGoが使ったモンテカルロ法の説明も非常にわかりやすかった。

    ポナンザの生みの親である著者が、ポナンザに負けたとき、自分の子供の成長に例えてその喜びを表現した。また一方、2013年にプロ棋士(佐藤四段)をポナンザが破ったときの記者会見のことをゾッとしたと表現した。しかし、現在では状況はずいぶんと変わった。ポナンザが新しい戦法を指すようになり、将棋界でもポナンザ流というものが出るようになったという。そしてついに名人が破れてもそれほど驚かれなかったし、佐藤名人自身もオフラインの対局でもほとんど勝てなかったと漏らすほどであった。現在、14歳の藤井四段がプロになってからの連勝を伸ばしているが、彼も将棋ソフトから大きな影響を受けて強くなっているのかもしれない。

    本書の中では、当然将棋が中心になるのだが、それだけでなく人口知能一般にも話が向けられる。人口知能については「解釈と性能のトレードオフ」、つまり性能を上げるほどなぜ性能が上がったのかわからなくなるというものである。それは将棋ソフト以外でもあてはまる原則だ。そこにはある種の倫理の問題が出てくるのではと指摘する。
    また、ディープラーニングの未来について「言葉」と「音声」と「画像」が大きな応用先であることは間違いないという。Googleの動きを見ていてもその通りで、音声認識率や翻訳の自然さ、Google Lensの話などますます精度があがることが期待できる。その先に何があるのかを考えなくてはならない。

    著者は、開発を経て、ときどきポナンザの指し手に意思を感じたり、目的を感じるようになったという。人口知能は「知能」を獲得したが、そのうちに「知性」まで獲得するようになるかもしれない。かつて、人口知能は人間の脳に近いやり方ではうまく行かないと言われていたが、それは道具立てが追いついていなかっただけで、今では人間の脳に近いほどうまくいくと言われている。人間の脳のメカニズムの解明にもつながっていくのではないか。

    とにかく将棋がわからない人にもお勧めの本のひとつ。そこいらの人口知能の解説本よりよほど本質がわかるような気がする。

  • 非常にわかりやすい文章なので人工知能について知りたい入門書としてオススメ。あと、著者の人工知能という存在に対する価値観が面白いと思った(あとで詳述)

  • IT業界に身におくため、ついAIをテクニカルにとらえてしまうが、本書を読み、山本さんの個人的な意見と踏まえつつも、客観的な考え方と将来見通し(予想)が参考になりました。

  • 将棋ソフトポナンザの作者の著書。

    知性=目的を設計できる能力
    知能=目的に向かう道を能力

    どんなに才能があっても、最初はやはりある先生について、その指示の通り学習(練習)をするのが近道。しかし世界最高を目指すなら先生の言うことを聞くだけ、教本を読むだけではダメ。自分で考え、試行錯誤し、先生や本の教えから離れる必要がある。
    そうしなければ先人を超えることはできない。

    グーグル画像管理アプリなど 人間の判断を元とした大量のデータと関連文を収集して学習している。人間の倫理観をも学習する。インターネットを含む全ての世界でできるだけいい人でいること。

  • 図書館で借りた。空恐ろしい未来かな

  • 知性>知能(探索+評価)
    知性; 目的を設計できる能力
    知能; 目的に向かう道を探す能力

    アルファ碁
    13層、192個のチャネル/層
    19*19*192*13
    CPU; 1202個
    GPU; 176個
    3つの画像; 白、黒、ブランク
    DQN; Deep Q-Network
    過学習を防ぐ技術; ドロップアウト

    碁は評価方法が見つからなかった。

  • ・知性=目的を設計できる能力
    ・知能=目的に向かう道を探す能力
    ・ただし、目的までの距離が大きいときは、人間は適切な中間の目的を設計する。これが必要になる。
    ・人間は「指数的な成長」を直感的に理解できない。追いつかれたと思ったら、一瞬ではるか先まで行かれてしまう。

  • 「人工知能はどのようにして「名人」を越えたのか?」
    佐藤将棋名人に勝った将棋ソフト「ポナンザ」を開発した山本准教授が初めて書いた本である。ポナンザの他、囲碁のα碁についてもいろいろと解説している。
    まず、コンピューターは記憶と計算しかできないと言うことから話を始めている。至極もっともであるが忘れがちである。
    そして、ソフトが何をどう計算するかを決めており、ソフトを作るに当たっては将棋の局面の評価が難しいと言うことである。
    当初は人間がすべて局面評価を記述するというような方法をとっていたが、すべての曲面を合理的に評価することはできず、行き詰まってしまう。
    そこで、人間の考え方を記述、理解することはやめて機械学習によりプロ棋士のデータを学習し局面評価のパラメータを調整していって開発を進めたと言うことである。なお、ディープラーニングはα碁で一躍有名になったが、機械学習のひとつの方法であると言うことだ。
    ポナンザは機械学習を進めるに当たり機械同士で対戦させて勝った方のパラメーターを採用するという方法をとっているが、なぜそのパラメーターを調整すると勝つようになるのかは明確に説明できないようで、著者曰く黒魔術化していると言っている。
    また、α碁は盤面を画像認識としてディープラーニングを使い成功を収めたが、将棋はコマの位置と機能の関連性が問題なのでもちろん評価方法が違い、差し手の探索方法も違うようだ。
    面白かったのは人間とコンピューターの差し手の読み方である。コンピューターは決められた手順でモンテカルロ法などを使って差し手を決めて評価しているようだが、人間は物語性を持って差し手を読んでいると言うことに大きな違いがあるようだ。
    本書は将棋という面から人工知能の仕組みを垣間見ることができる。
    しかし、まだまだ知性(強いAI)に至るまでは相当な時間がかかるような気がするが、著者はコンピューターは指数関数的に学習・進歩しており、追いつかれたと思うやいなや遙か先まで到達していると指摘していることに若干の不安を感じざるを得ない。

  • 2017/11/17:読了
     面白かった。
     将棋「ポナンザ」。
     囲碁「アルファ碁」。
     機械学習。
     ニューラルネットワークの層を深くしたからディープラーニング。
    <ドロップアウト:黒魔術>
     ほっておくと、丸暗記。丸暗記だと未知の問題に対応できない。この状態を過学習という。
     過学習は、防がなくてはならない。
     丸暗記でなく、特徴を抽出で学習するのが良い。
     ディープラーニングで学習中に、ニューロンをランダムにドロップアウトさせる。どういう仕組みか分からないが、これにより、必死になって特徴を抽出しようとする。
     ドロップアウトは、ディープラーニングの数ある黒魔術のうちの1つ。
    <マルチモーダル>
     自由度の高い入力・出力の設計。入力が音声で、出力が音声に適した画像ということも。
    <学習>
     ・教師あり学習
     ・教師なし学習
     ・強化学習
      教師を必要としない。未知の環境であってもコンピューターが投機的に調べて、結果をフィードバックすることで学習する。フィードバックを繰り返すことで、「評価」が「強化」されるから、強化学習。

  • 分かりやすい!

    人工知能は確かにすごいけど、すごいのは目的を与えられた時に最短でその目的を達成するスキル。
    逆に言うとまだ「何を目的にすればいいか」はできない。それが知性。それができるのが人間なんだな、と。いや、人間にも出来てるか分からんけど笑

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