ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる

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制作 : 上田 惇生 
  • ダイヤモンド社 (2002年5月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478190456

ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまるの感想・レビュー・書評

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  • ドラッカーって凄い! と素直に思いました。
    たとえば水産の養殖について、

     水産の養殖が現われた。一万年前に陸上で起こったように、海洋においても、採集と狩猟から農耕と牧畜の時代に入る。

    って書いてあって、言われてみればその通りなのですが、自分は鮪の養殖のニュースを見ても「これで、トロが安くなるかな」程度の見方しかできていませんでした。……つまり同じものを観ても局面の捕らえ方が広いんですね。

    それから、この本の中心テーマである「ネクスト・ソサエティ」についてですが、こんなことを語っていました。

     IT革命とは、実際には知識革命である。諸々のプロセスのルーティン化を可能にしたものも機械ではなかった。コンピュータは道具であり、口火であるにすぎなかった。ソフトとは仕事の再編である。知識の適用、特に体系的分析による仕事の再編である。鍵はエレクトロニクスではない。認識科学である。

    いや。まさに、その通り。

    多くのソフトウェア技術者に自分は「仕事の再編」をする役割なんだと認識させ、やる気を起こさせないとたとえインターネットなどの道具が増えてきても、いつまでたってもネクスト・ソサエティは来ないよなぁと思いました。

    日本に対するドラッカーの認識がちょっと面白かったので引用します。

     一六三七年に、日本は、ヨーロッパ以外の国ではもっとも貿易がさかんだったにもかかわらず、突然鎖国を決めた。半年で国を閉じた。混乱は大きかった。そして一八六七年に明治維新を行い、これまた一夜にして国を開いた。一九四五年には戦争に負けた。いまから一〇年前に突然ドル高がやってきたときには、ただちに生産拠点をコストの安いアジアに移した。華僑ともパートナーシップを結んだ。中国本土でもメーカーとしての地位を築いた。
     日本は劇的な転換が得意である。一定のコンセンサスが得られるや、ただちに転換する。今度の場合は、おそらく何らかの不祥事が大変化の口火となる。銀行の倒産がそれかもしれない。

    日本が劇的な転換が得意だなんて考えたこともなかったのですが、言われて見るとそういう国民性もあるよなぁ(農耕民族なので決まると一致団結してそっちへ行く)と思いました。

    今回のトヨタの件で、ソフトウェア品質の重要性が認識されて一気に流れが変わるといいなぁとひそかに思ったり……。

  • 面白かったので☆5つ。ただ2002年に書かれた著書なので、ITの未来展望などに古い感じはする。時代の流れや人口の増減に伴い次の社会がどのようになるであろうか、ということを踏まえ未来を見つめる手掛かりが書かれている。企業家精神No.1の国はアメリカだと思っていたが、実はお隣韓国だという事実を知って驚いた。韓国の次にアメリカであり、その次が台湾であるということらしい。考えてみると満更でもないということがわかる。また、中国の知識層の人口数は突出しているように考えられるが、その数は13億中の120万であり、大学数No.1を誇るアメリカとは比較にならないことを知った。アメリカの知識層はなんと1200万に上るらしい。この数字を見るとアメリカが世界一と言われていることに現実味を感じる。それと‘知識労働者は資本である’と書かれている点に感動する。労働者は資本であると言われていた時代があったと思うが、それは間違いだということをソ連崩壊が証明したと考える。

  • ドラッカーといえば『マネジメント』、というイメージが強いですが、
    実は、IT関係のことに触れた本も色々書いています。

    本書もその一冊で、IT産業の進歩を18世紀の産業革命と対比させて、様々な洞察を試みています。

    主張をひとことでいえば

    「IT技術の進歩の中で、本当のイノベーションと呼べる唯一のもの、それはe-コマースである!!!!!!」

    ということに集約できると思います。

    『マネジメント』のように、「ビジネスマンたるもの、こうあれ!」という雰囲気はまったくなく、
    ドラッガー先生による現代(60~90年代)のビジネスと歴史への洞察が展開されている本でした。

  • ものすごく広いグローバル目線で書かれた内容。
    なので細かいミクロ的なことは書かれていません。
    日本のことを皮肉ったことも書いていますが、
    10年以上前から考えにあったかと思うと驚きです。

    翻訳担当している上田さんのことをドラッカーはリスペクトしているようですが、数回訳し直していたりしていて文章は読みやすかったです。

  • 社会の変化が企業にもたらすもの。理論より、以下のような判断、考えるための定規となるものが興味深かった。

    ・CEOにおなじみの役員ポストが二つある。一つは会計を統括するCFOである会計こそ最古の情報システムである。あらゆる意味で陳腐化しているにもかかわらず、理解できるなじみのものであるがゆえに、いまだに生きながらえている情報システムである。

    ・アメリカには1200万人の大学生がいる。中国の大学生は極めて優秀だが、12億の人口に対して150万人しかいない。アメリカでいうならば25万人しかいない勘定になる。

    ・会社が大きくなったとき、もっとも避けることが難しい罠は、「自分は何をしたいか、自分の役割は何か。」と考える事だ。必要なのは、「この段階で事業に必要なことは何か、自分はそれをできるか。」である。

    ・絶頂期のJ・P・モルガンはアメリカ経済全体が必要とする資金の四ヶ月分の資産を持っていた。今日ビル・ゲイツは当時のJ・P・モルガンの実質三倍の資産を持っている。個人としてはチンギス・ハン以来である。ところが、そのビル・ゲイツの400億ドルでさえ、今日のアメリカ経済をまかなえるのは一日だけである。

  • 「急激な変化と乱気流の時代にあっては、大きな流れそのものを機会としなければならない。その大きな流れは、ニュー・エコノミーではなく、ネクスト・ソサイエティの到来である。若年人口の減少、労働力人口の多様化、製造業の変身、企業とトップマネジメントの機能・構造・形態の変容である。この局面に応じた戦略なくして成功はありえない。」と語り、未来の事象の中で唯一予測可能なものが「人口」であることを本書の中で強調していました。

    その人口予測を強力な道具に、日本経済に関する誤った思い込みを払拭しようと活動しているのが、『デフレの正体』の著者/藻谷浩介さん。藻谷さんの話を聞くと必ず思い出すのが、ドラッカー氏のこの本です。

    本書は、日本人に向けた特別なメッセージも書かれ、類稀なる先見性と刺激に満ちた内容で、読者を飽きさせません。

  • Web2.0なるものが流行っているので、ふと何年かぶりに手に取りました。
    繰り返し書かれていることは、変化は予測できない、ということです。その上で、

    「変化を観察することである。...そして、それらの変化が本物の変化か、一時的な変化か、自分たちにとってチャンスかどうかを考えていくことである。見分け方は簡単である。本物の変化とは人が行うことであり、一時的な変化とは人が言うことである。話にばかり出てくるものは一時のものである。...
    誰もが変化に出会うと脅威かチャンスかを考える。脅威と見てしまうと、もうイノベーションは無理だ。...予期せぬことこそ最高のイノベーションのチャンスである。
    個々の事業にとっては、ほとんどの変化は意味がない。...しかし、それらの変化についてもマークしておく。...あらゆることを見ておくことが大切である。」(P.135)

    そういうことか、と今は考えています。Web2.0は流行(一時の変化)であるけれども、その中で確実に変化は起こっているということなんだ、と。それを見て記憶しておくべきだ、と。

    第IV部 第3章の日本について書かれた章(日本についての5つの謬説など)も固定観念とは全く違った視点での批評が行われていて目からウロコが落ちる感じです。
    人口構造の変化についての言及もこれからの日本にはとても重要なことを言っているような気がします。

    何度か折に触れて読み返すべき本かもしれません。

  • 一言でいうと【未来の予言書】です。
    本書は主に2000年付近に書かれたレポートをまとめたものですが、今の世の中の動きをピタリと当てています。
    また最近のビジネス書でかかれている・知識労働の生産性の向上・組織の短命化・継続教育の必要性などがすべて書かれています。

    また驚かされるのがドラッカー氏の歴史の知識です。
    生産革命の頃の話や農業が一瞬で工業にとって代わられたことなど、豊富な歴史の知識から彼は未来を予測しています。

    未来を予想するには手元を丹念にみるより、今までの歴史を勉強するのが近道であると感じました。

    難解な部分もあり読みやすいわけではありませんが、一読しておくと危機感がもてると思います。

    【内容】

    (未来予想)
    製造業はこれからも伸びていく。しかし、雇用、特に肉体労働者の雇用は大幅に減少する。
    第二次大戦が終わった頃、アメリカの農業人口は全労働人口の25%だった。農業生産のGDPに占める割合は20%だった。今日ではそれぞれ3%と5%に過ぎない。
    製造業も似た道を歩んでいる。今日の農業ほどは落ち込まないが、1960年以降、生産量は伸びているにもかかわらず、対GNP比や雇用量では毎年1%から2%減少してきている。

    ビジネス史上初めてのこととして、販売とマーケティングと配達の三つが分離する。この50年間、主導権はメーカーから流通へ移ってきた。これが加速する。
    ~まだ流通はせっかく得た主導権をフルに発揮していない。しかし、すでに流通業者が独自ブランドをもつようになった。大メーカーの力あるブランドが減っている。

    (知識労働者に必要な能力)

    基本的な生産要素となるブレインパワー、つまり頭脳のコストが急速に上昇している。きわめて高額になっている。アメリカでは能力のある独創的な人たちの人件費が信じられないほど高くなった。ストックオプションなどいくらつけても、社員になるよりは独立して契約ベースで働くほうが、はるかに高額を得られるようになった。

    知識は急速に陳腐化する。したがって専門的な継続教育が成長分野となる。

    知識労働者にとって重要なことは
    第一に組織が何をしようとしており、どこへ行こうとしているかを知ることである。
    第二に、責任を与えられ、かつ自己実現することである。もっとも適したところに配置されることである。
    第三に、継続学習の機会をもつことである。そして、何よりも敬意を払われることである。彼ら自身よりも、むしろ彼らの専門分野が敬意を払われることである。

  • 言わずと知れた、ピーター・ドラッガーの著作。10年前に書かれたのにも関わらず、現在の金融危機に起こった現象(自動車メーカーの失墜、金融市場が起こす破滅、人口の減少が引き起こす労働市場の変化、などなど)を正確に言い当てており、あまりのその正確さに思わず驚愕の声を上げてしまったほど。本当に亡くなったのが惜しい現代思想家、オピニオンリーダーのひとり。世界の知恵がまたひとり失われた。ドラッガーを読まないといけないと思った。

  • 製造業の衰退を予見する著者。

    米国や欧州は、製造業の衰退の後、
    金融や新たなサービス産業により、国の繁栄を維持した。

    日本はどこにいくのか。


    知識労働者は、常に多くのストレスと競争に晒される、
    ゆえに、彼らは、若い頃に非競争的コミュニティを自ら作っておく必要がある。

    と彼は言う。

    知識社会において、会社は、安定と生活を営む場所ではありえない。
    著者は、NPOだと彼は言う。

    知識労働者の生産性を計る方法についても記述がある。

    強みが何か。どの様な強みを発揮できるか。

    何を期待してよいか、いつまでに結果を出してくれるか。

    そのためにはどの様な情報が必要か、どのような情報を出してくれるか。

    (ママ)だという。

    そして、今後は若年層ではなく、成人層にも一層の学びが求められるという。
    継続教育の必要性である。妙に納得してしまった。

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