経済学をめぐる巨匠たち (Kei BOOKS)

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著者 : 小室直樹
  • ダイヤモンド社 (2003年12月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478210451

経済学をめぐる巨匠たち (Kei BOOKS)の感想・レビュー・書評

  • 大変面白い本だった!経済学の素人であるわしでさえ理解することができた非常にわかりやすい本である。小室先生に脱帽!

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    役人が無能で、汚職ばかりしている国ではケインズ政策は作動しない。役人が勝手気儘に市場に干渉するようでは古典派の理論も機能しない。110
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    「疎外」とはずばり「社会現象には法則性が在る」という事である。その法則性は自然科学における諸法則と同様、人間にはどうする事もできない、と言っているのである。

    市場における価格形成にも法則性があり、人間が自由に操作したり、これを支配する事はできない――というのが「疎外」の本質である。113
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    ソ連を滅ぼした直接の原因は、未完工事とゼロ金利である。

    利子が発生しないから未払いが蔓延する。モノは作られず、仮に作られたとしてもまともに流通しない。116
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    ファシズムは、デモクラシーが極度に発展した地域に出現する。ドイツとイタリアで起きたが、米国では起きていない。136
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    企業者たる人材が絶えず現れてくる事が、資本主義経済が生き残るための条件である。つまり資本主義とは極めて存続し難い制度なのである。185
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    近代資本主義における私有財産に対する愛着は、元来大変なものであった。この凄まじい愛着こそが熱狂的な資本主義活動を生み、資本主義を発展させてきた。

    巨大企業の所有者が、単なる株券の所有者になりきる事に依って、巨大な財産も、それを所有する者に何の魅力も感じさせないものとなった。

    つまり、資本主義が隆盛の時代の財産権の所有者は「自分の」工場およびその支配のために、経済的、肉体的、あるいは政治的にたたかい、必要とあらばそれを枕に討ち死にしようとするほどの意志を持っていた。310
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  • 経済学の発展がどのようになされていったのかをスリリングに紹介した一冊。著者は在野の天才こと小室直樹。彼自信の言葉で経済学史について再構成・説明がなされているところが類書にはない点。おもしろかったので図書館で借りるまえに閲覧所ですぐに読み終えてしまった思い出がある。

  • 展示期間終了後の配架場所は、開架図書(3階) 請求記号:331.2//Ko69

  • 昨今議論となったTPPについて考えるときも、やはり経済学についての最低限の知識を持った上でないと、議論がかみ合わないことが多いように感じる。日本の高校までの授業でどこまで経済学を教えているか。日経新聞が普通に理解できる程度の内容を学ぶものはごく少数だろう。
    本書は、アダムスミスからリカード、マルクス、ケインズ、シュンペーターといった経済学の巨匠たちの理論をざっと紹介しつつ、経済学的思想のおおまかな歴史的流れを概観する。これだけでも、かなり経済学的発想のエッセンスは理解できるように感じる。最後に紹介されている日本の経済学者については、著者の個人的な思いが反映されたものだと思われるが、全体の流れからは少し浮いてしまっている感は否めない。

  • 面白かった。
    経済学を勉強する際に、できるだけ早めに読むといいかも。

    学問に関して、その起源を考察することも、その歴史を学ぶことも、重要なことだなあ。

    残念なことに、それはしばしば軽視されるものだけれども。

  • (20090509〜20090516読了)
    1章:経済学を生んだ思想(トマス・ホップス&ジョン・ロック)
    ・市場は完全に自由にされ放任されたときにベストになる(レッセ・フェール)P21
    ・ホッブスの自然状態では、有限な資源を廻っての、「万人の万人に対する戦い」になる。即ち「人間は人間に対して狼である」にならざるを得ない。結論を一言で言えば「人間の自然状態は戦争である」。P22
    ・ロック・モデルの自然状態における人間は生命、身体、自由を所有している。故に、この人間が身体を自由に動かして得られた資源の増加はこの人の所有となる。P25
    2章:経済学の父は何を考えたのか(アダム・スミス)
    ・市場の自由に任せておけば、「最大多数の最大幸福、パレート最適」はおのずと達成される。P29
    ・古典派のマルクス「人口論」で、人口は幾何級数(等比級数)的に増えるが、食料は算術級数(等差級数)的にしか増えないと指摘。P31
    ・物の価値は、今は多くの人が迷わず「需要と供給」と答えるが、この理論が確立されるまでには随分時間がかかった。P33
    3章:最高の理論化が発見した国際経済学の原理(デビット・リカード)
    ・「比較優位説(比較生産費説)」は経済学における最大の発見。国際貿易においても自由市場(貿易)主義を実現すれば、貿易を行う双方にとって益となる、を理論的に証明。P39
    ・アダム・スミス、絶対優位の分業論・・・自分の得意な分野に特価した分業に依る生産拡大のメカニズム。P41
    ・セイの法則・・・市場に供給されたモノは必ず売れる−という驚くべき法則である。P43
    4章:快楽の最大化が正しい経済活動(ジェレミー・ベンサム)
    ・人間は将来の欲求を見通して行動できるだけではない。その効用、将来に亙る幸福の度合いにも正確に計算できる。P49
    ・日本人は膨大な金融資産を保有しているが、諸外国に比べると現金や利子が限りなくゼロに近い預貯金で、資産を持っている人が多い。一体何故か?「先が見えない=将来における幸福が計算できない」というのも現状では一因だろう。P50
    5章:マクロ経済学の誕生(ジョン・メイナード・ケインズ)
    ・人々の行動を決定するのは快楽と苦痛のバランスであり、且つ、快楽の効用を数値的に測定する事は可能である。P55
    ・最悪の判断より快・不快のバランスの方が重要であり、快楽(幸福)を最大化することが「正しい」行動である(ベンサム)。P56
    ・国家とは、自然人がそれぞれ自由に活動を展開する上で生じる様様な不便を解消する為、社会契約に依って作られたものである。国家は自由人である国民に奉仕するためにある。P59
    ・特殊な状況とは、古典派が理論の前提としているセイの法則が機能している状況である。P65
    ・ケインズの理論・・・「サプライ・オン・デマンド」・需要こそが供給を作り出す。一国の経済規模は国民総需要の大きさに依って決定される。幾ら供給を増やしても、需要以上にモノが売れる事はあり得ない。P66
    ・失業率を下げたければ、物価上昇をある程度容認する事に依って財政金融策を発動して景気刺激策を取ればよい。P70
    ・合理的期待形成仮説・・・人々は全ての利用可能な情報を利用することに依って正しい予測ができる。その上、全ての経済理論をも利用できる。P72
    ・参考:リカード「経済学と課税」の序文において、セイの販路法則を、極めて重要な法則と評価し、それを自分の経済学でも使用した。P94
    ・参考:森嶋通夫「思想としての近代経済学」中の「セイの法則」の記述を読んで理解すべし。P96
    ・セイの法則は、”常に”成り立つわけではない。供給過剰で景気が悪化した場合は、需要を意図的に創出する必要がある。P101
    ・セイの法則を信ずるのが古典派で、有効需要の原理を信ずるのがケインズ。P107
    6章:驚嘆すべきは資本主義(カール・マルクス)
    ・この世の経済、社会、歴史には、それを動かす一般法則が存在し、人間にはこの法則を操作する力などない。これこそが「疎外」の神髄であり、マルクスが遺した最大の業績である。P115
    ・日本の資本主義は張りぼてで”ロシアの悲劇”は決して他人事ではない。P117
    ・資本主義の精神とは?目的合理的な精神、?労働そのものを目的とし、救済の手段として尊重する精神、?利子・利潤を倫理的に正当化する精神。P123
    ・資本主義には必ず失業がでる、と指摘したのはマルクスだけである。P129
    ・市場における商品価値を正しく図るには、例えばプロの一時間は素人の50時間に相当する、といった「換算率」を用意しなければならない。P131
    7章:定説を覆した資本主義発生のメカニズム(マックス・ウェーバー)
    ・資本主義を歴史的、根本的に研究・分析するという大仕事を成し遂げた人物。P140
    ・日本は生産力が高すぎるから困っている、お金があり過ぎて困っているのである。お金が増えすぎて困っているにも関わらず、誰もお金を使おうとしない。P141
    ・目的合理的な精神は共産主義国においても不可欠なものである。共産主義下の経済は計画経済である。利潤計算ができなければ目的合理的な計画は立てられない。
    ・日本の受験戦争は、単なる学力競争ではない。僅か100年足らずで見事な階級制度を作り上げてしまった。志も良識もない官僚を大量生産することになってしまった。P160
    8章:資本主義を発生させるダイナミズムとは(ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター)
    ・資本主義にとって持っても大切なものは、「革新」である。革新こそが資本主義の本懐。これが絶えてなくなれば、自由市場は活力を失い、資本主義は衰退して、遂には滅亡する。P168
    ・生産過程は生産的諸力の結合であり、?生産方法、?原料・半製品の供給源、?財貨、?販路、?組織である。
    ・資本主義は、その経済的成功ゆえに行き詰まり、失速するとシュンペーターは語った。また、創造的破壊を推進する資本主義のエートスが衰弱し、資本主義の屋台骨とも言える私有財産制と自由契約制が形骸化すれば、資本主義は衰弱し、やがてその終焉を迎える。P185
    9章:経済学を科学にした男(レオン・ワルラス)
    ・経済学は、「近代資本主義」だけを研究対象とし、近代資本主義における価値決定のメカニズムを解明する事を最大の目的としている。P188
    ・「純粋経済学要論」において展開した一般均衡理論を確立する事によって、経済を”科学する”道筋を拓いた。P189
    10章:「使える」経済分析ツール(ジョン・リチャード・ヒックス)
    ・全ての経済現象は−物価も、景気も、雇用も、みな相互に依存し、連関している。諸々の要因が相互nさ用紙、複雑に影響しあっているため、現象の原因と結果をリニア且つ、一方通行の関係として説明する事はできない。P198
    ・「総ては総てに依存する」という経済現象をはじめて科学的に説明したのはワルラスだが、ヒックス教授はこれを、より精緻な数学に書き換え、依存関係が生む波及効果−つまり1つの変化が相互連関の網の目を伝って全体に波及していく様子を数式に定着させた。P205
    11章:”馬”にでも分かる経済学(ポール・アンソニー・サムエルソン)
    ・サムエルソン博士こそケインズ解釈の第一人者である。P219
    ・加速度の原理がいかなるものかは、経済学の入門書として大ベストセラーとなった「経済学」にわかり易く解説されている。P220
    ・大事な事は何一つ省かず、正しくない単純化は避けて、基本原理を展開するということにほかならない。・・・体験と論理的分析と論争のテストに耐え抜いてきた総ての異なる経済学学派の概観を公正に提供する事言う事。P221
    ・ミクロ経済学では消費者と企業を経済の主体としているが、マクロ経済学は国民経済全体を分析の対象としている。ミクロ経済学の研究対象が各財の「価格」であるのに対して、マクロ経済学では総体としての「国民総生産」を研究する。P226
    ・現実が複雑であるからこそ極端に単純化したモデルからスタートし、徐々に変数を追加して複雑にしていく・モデルを使った分析とは、複雑に絡み合った相互連絡の糸を整理する始点なのだ。P229
    ・「ヘクシャー=オリーンの定理」・・・自由貿易が行われると、まず製品の価格が均一化されてゆく。更に交易が進むと、労働力・土地・資本といった生産要素の価格(賃貸率、地代、利子率)も均一化されていく。それは生産要素が国際的に移動しなくても−である。
    12章:日本に経済学の道を拓いた先駆者(高田保馬)
    ・参考、「経済学新講」P238
    ・「社会学は何歳になってもできるが、経済学の中でも特に数学的思考法によるものは若いうちでないと吸収できない。」P240
    ・現在の経済学は、価格の決定プロセスを「需要と供給が等しい所に決まる」として説明している。P241
    ・価格は需給の変化を敏感に反映して上下するが、売り手と買い手の「勢力」関係にも敏感に反応する。P242
    13章:日本が生んだ世界に誇れる経済学者(森嶋通夫)
    ・ヒックス教授の「価値と資本」とマスターすれば、それ以降の前進は容易である。次に、サムエルソン博士の「経済分析の基礎」を瞬時に読み、自らケインズ・モデルをも作成してみよ。P254
    ・「セイの法則」の本格的理解のためには、森嶋教授の著書「思想としての近代経済学」がベスト。P257
    14章:資本主義の探求に生涯を掛ける(大塚久雄)
    ・晩年の高田博士は、こう告白している。「私には、どうしても学説が理解しきれない学者が2人いる。ケインズとウェーバー。」P262
    ・参考、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」P265
    15章:私的所有権こそ資本主義の急所(川島武宜)
    ・日本の法律学に初めて社会科学としての方法論的な基礎を与えた川島法学が、近代基本主義の根本理論を語る上で欠かせないもの。P284
    ・占有と所有は全く別のものであるーという大原則を確立したのが、近代資本主義の私的所有権なのである。P287
    ・唯一無二の所有者が、占有者に邪魔される事なく絶対的な所有権を行使できなければ、企業は目的合理的な生産計画も販売計画も立てられない。P288
    ・残念ながら日本人の法意識は今もあまり変わっていない。絶対性も抽象性も、未だ厳密なものではない。P290
    ・近代資本主義における所有の絶対性は、主権の絶対性とパラレルになっている。主権と言う考え方も、近代になって初めて成立するものであるが、その特徴は、主権者は「国民の生命、自由、財産を全く自由に使用し、自由に収益さえもでき、自由に処分できて、何者の拘束をも受けない」事を表す。P293
    ・完全競争市場とは、?財(商品)の同質性、?需要者・供給者の多数性、?完全情報、?参入と退出の自由、の条件を持つ市場のことである。P302
    ・中国において商品の価格は、人間関係と社会事情によっても左右される。P304

  • 経済学部にも関わらず、経済史に関する知識があまりにも無かったので試しに読んで見ました。

    あまり自分の得意な文章ではなくて、記述の重複が何度か見られたところが気になりましたが、内容は割とわかりやすく、すんなり読むことが出来ました。
     これを期に、3年までにはもう少し経済史にも手を染めてみようかと。

  • あ〜おもしろかったぁ。線を引きながらじっくりと読みました。経済学を学んでいる人なら「必ず」読まなければならない一冊です。「できれば」とか、「一読に値する」とかそういうレベルではなく、「必ず」です。そもそも経済学の根底に功利主義や哲学があることを知らなければ経済学を知っているとは言えません。

  • 知的な刺激をいつも与えてくれる小室さんの本。初めて読んだ経済分野の本。

  • 経済学はなぜ誕生したのか?そしてどのように発展してきたのか?を教えてくれる。小室直樹という人の本は広く深い。駄目院生にも理解できる文章で書かれている。しばらくはこの人の書いた本を軸に読書生活をしていこうと思った。(2006/5/08読了)

  • 経済とは何かを知るための本。数式を使った教科書とは違ってそもそも経済学とは何かを言葉によって説明している。

    数式になる前には必ず言葉による思考過程があるわけで、教科書にどんと数式を載せられても試験プロ以外はおもしろくない。それはあくまで結果であってそこに至る過程や歴史的背景は載っていないからである。ケインズやマルクスが登場した時代背景を知るならば彼らが現実とどう向き合い戦ったが理解できる。現実無くしてその上にある学問は意味をなさない。
    新古典派が幅を利かせているが、そもそも何故その考え方が生まれたのかが知りたい人にお勧めである。

  • 最近の経済学の事情は極めて怪しいけど、読みやすい経済学史、巨匠の逸話の読み物として。

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