意思決定のための「分析の技術」―最大の経営成果をあげる問題発見・解決の思考法 (戦略ブレーンBOOKS)
- ダイヤモンド社 (1998年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478372609
作品紹介・あらすじ
「分析」には確かな切り口と方法論がある。本書は、その整理・体系化を試みたものである。
感想・レビュー・書評
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20200430
マッキンゼーやベインアンドカンパニーのパートナーを務めた戦略コンサル界のレジェンドである。
本著の内容についても、分析の基本手法を述べているものだが、考える例示や数字を使った小例など、ハイレベルで全部咀嚼しきれなかった感がある。似たような方として大前研一氏が挙げられるが、この人たちに少しでも近づけるよう自分も成長しなくてはならない。
後氏が述べていた通り、自分で考えること・仮説を立てることは、鍛えれば鍛えるほど冴える。普段の考えで差がつく部分であるから、何よりもだれてしまう自分に負けないこと、考えて考え抜くことを意識して成長を続けたい。
//MEMO//
コンサル必見の書という。分析→戦略となるため、分析にもファクトだけではなく、全体の目的・論点に裏打ちされた仮説を検証し、示唆に富んでいる必要があろう。
どのような分析マインドや手法なのか学びたい。
①大きさを考える
=効果が高い領域を分析しなければ、改善効果も少ない
・パレートの法則
・感度分析
・クリティカルマス
②分けて考える
・MECE=足す、引く、掛ける
・多元の要素を考える→割り算で要素を一つ減らす
③比較して考える
・ギャップ分析→ウォーターフォール
・コストの比較→変動費、固定費
・シェアの比較→割り算、掛け算
・ソフト要素の比較
④変化・時系列を考える
・過去を分析しインプリシットストラテジーを意識する
⑤バラツキを考える
・法則性を発見する
・Will to manage
⑥過程・プロセスを考える
・プロセスを追って因果律を考える
・プロセスをMECEにする効果大
⑦ツリーで考える
・ロジックツリー
・イシューツリー
・業務/テーマツリー
・デシジョンツリー→期待効用と確率をかけて現在価値で割り引いて比較
⑧不確定・あやふやなものを考える
・信頼性のレベルによる情報の分類
・ロジックとフレームワーク
・プロセス
・多数の知恵を結集
⑨人の行動・ソフトの要素を考える
・枠組みの工夫
・事実を把握するための工夫
・あらゆる情報を動員する工夫
・データや情報を効果的に用いる工夫
・先人の知恵や諸学問分野の成果・学説等を活用する詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私が携わる「財務分析」「企業分析」の分野において、若い人(のみならずオジサン・オバサンも)は、エクセルを使った比率の分析や、PPMなどのフレームワークを使った分析は一応できる。
しかし、正しく使えているか、真実に迫っているか、というと???
この本には、コンサルタントの目線・アプローチ方法が経験に基づき紹介されており、どのような場面で各種分析手法が有効なのか、ということが示されている。 -
ロジカル・シンキングとしてはバーバラ・ミント著『考える技術・書く技術』が有名だが、その次に是非読んで欲しい本。「客観的に意思決定する」ことに焦点を絞りそのための分析技術をここまで公開しているのは凄い。筆者自身「ロジカル・シンキングは一朝一夕には成らず、かつ磨けば磨くほど光る」と語っているのでその自信の表れかもしれない。「本当の経営戦略」を示し戦略コンサルタントの力量を日本に知らしめたのは大前研一著『企業参謀』であるが、それに通じる風格を感じさせる。
分析の技術はざっくりいえば「影響度合い」「比較」「分解」「ばらつき」「仮定」「構造」「不確定」「人」であるが、それらがつまりはどういうことかが述べられており非常に勉強になる。すぐに身に付くものではないが日々訓練したいスキルである。 -
働いてから読まんとよくわからん感じだった
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元マッキンゼーの後正武さんによる分析の技術。初版発行は1998年なので扱っている事例や図表はやや古いけれど、分析の手法自体は今でも古びていない。その意味で普遍性のある方法論を扱った著作と言えるだろう。
何より印象的なのは、まえがきのウフィツィ美術館で出会った画学生の話。彼によればルネサンス絵画は絵を描く技術に満ちているという。絵の細部を分割して筆使いや色の重ね方などを捉えていくことでその絵の豊穣さが理解できる。それ以来、著者は絵の見方が変わったという。
著者によれば経営者として必要になる分析の技法というのも同じであって、何となく事象を眺めるのではなく、方法論をもって分割して捉えることでより深く理解できるようになる。そのための主要な方法論を紹介したのが本書という位置付け。
大きさ、分ける、比較する、変化・時系列、バラツキ、過程・プロセス、ツリー、不確定・あやふや、人の行動・ソフトと、考えられる手法は概ね取り上げられていると思う。
一読したからといって使いこなせるようになるわけではないので、実践して慣れていくしかないのだが、実践後に立ち戻り、再確認するといった使い方がいいんじゃないだろうか。 -
分析の教科書。
分析とは何かから、分析の体系をわかりやすくまとめてある1冊。
新たに出会った問題に対し、分析すると言ってもどう始めればいいのかわからない、うまく分析が出来ない場合に一度立ち戻りたい1冊。
・分析は正しい認識、判断により、正しい対応をするために行う(勘や情緒に頼らない)
・大きさを考える、分けて考える、比較して考える、時系列に考える
・派生としてバラツキで考える、プロセスで考える、ツリーで考える -
元コンサルタントの著者による、「分析」のための参考書。分析に関するテクニックやフレームワークの紹介だけではなく、分析に望むスタンスや枠組みの設定などにも紙幅が裂かれており、これが類書との相違点かと思う。
20年以上前の本ではあるがそのロジックは色褪せず今読んでも多くの示唆を与えてくれる。この20年間でビジネス界では色々なスキルやフレームワークが流行って廃れていったが、その根底に普遍的に流れるものは確かに存在し、本著はそれを抽出した一冊かと思う。
中には少し難解な論理もあるが、丁寧に読んでいけば理解できるようになっている。非常に良書。 -
【選読理由】
内定先からの課題図書の一冊。
【感想】
この本が1998年発行の本ということもあり、もしかすると一部分では、見当違いなことが書かれているかもしれないということを念頭において読んだ。結論からいうと、全ての内容が現在でも変わらず有用であると思われたので、この本に関しては発行年を気にする必要はないと感じている。特に昨今のビジネス書等に関しては、1つの分野について狭く深く記述されている書籍が多いように感じているが、この書籍は「分析」という抽象度の高い事柄に関して、リッチな図表とともに非常に具体度の高い内容で記述されているため、分析という事柄の全体感を掴むにはもってこいの一冊だと言える。
本書では、「分析」は一つの技術であるという立場をとり、筆者は分析の基本を「大きさを考える」「分けて考える」「比較して考える」「時系列を考える」の4つであると捉えている。
中でも、私は「大きさを考える」ということがとても大切な概念であるにも関わらず、つい忘れてしまっている時(人)がある(居る)と思うので、興味深いパートであった。
また、先にも触れたが本書の1つの特徴は豊富な図表(質・量ともに)である。ある事柄について解説するごとに、それに対応する図表がミニケーススタディとして掲載されるため、抽象的な概念の具体的なイメージの想起に役立つ。これは、読むに時間がかかり時に疲れるかもしれないが、しっかり読むことで身になる感覚が持てた。
【印象に残った箇所】
P12; オーダー・オブ・マグニチュード=何事によらず、内部論理の緻密さや形式的な整合性を論ずる前に、全体としての大きさの程度、施策の利きの程度をおおまかに把握して、まず重要度の判定をし、そのうえで重要度の順に応じて、あるいは大きなところのみ手をつける、という考え方である。 -
本書では、問題を特定する際の考え方に関するポイントが書かれている。切り口としては、大きさ・分ける・比較・時系列のバリエーションがあり、さらに各ポイントのふるい分けのテクニックとしてバラツキ、プロセス、ツリー化がある。それらを技術として実践で意図的に使えると良い。