これから働き方はどう変わるのか: すべての人々が「社会起業家」となる時代

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  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478732663

作品紹介・あらすじ

立志、成長、共感、革新、創発、信念、伝承。社会起業家としての働き方「7つのスタイル」を紹介。

感想・レビュー・書評

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  • 仕事や働き方について壁にぶちあたっている人におすすめしたい1冊。なんのハウトゥもない。ただ、珠玉の言霊で、読者の迷いを吹っ切らせてくれる。例えば、↓こんな具合に。

    --

    仕事のプロフェッショナルは、仕事を通じて「能力」が磨かれることそのものを、喜びと感じるのであり、それを、仕事の報酬と考えているのです。

    --

    それは、むしろ、―つの夢や目標を一生懸命に追い求める熱い思いや、一つの志や使命感を大切にして歩もうとする純粋な気持ちが、その周りに生み出す「心の磁場」のようなものです。

    そして、その「心の磁場」のあるところには、かならず、人間同士の静かな「共感」が生まれてきます。

    そして、その静かな「共感」こそが、我々を深く結びつけてくれます。

    --

    社会起業家が身につけるべきは、「相手の共感を得る力」ではありません。

    では、何か。

    「相手に共感する力」です。

    --

    全力を尽くしてなお、敗北や失敗に直面したとき、そのとき、自分を支え得る思想を持っているか。

    --

    これらの引用を見て、何か感じるところがあれば、是非、本書を手に取ってください。

  • ”社内メルマガで紹介するために再読。あらためて、自分が求めているのはこういう働き方なんだと実感。いまいる場で「新しい社会の創発を促す」人になりたい

    <読書メモ>
    ★「生き残り」の思想から
     「働く喜び」の思想へ(p019)
    ・この仕事が、どれほど世の中のためになる仕事か。
     この仕事は、どれほど世の中を変えていける仕事か。(p032)
    ・このように、「能力」「仕事」「成長」という三つの報酬は、我々が、「自ら求めて得るべき報酬」なのです。
     しかし、これに対して「収入」や「地位」という二つの報酬は、「結果として得られる報酬」です。(p043)
    ・三つの報酬の得るべき順序(p055)
     これら三つの報酬のなかでは、
     まず何よりも「働き甲斐ある仕事」という報酬を求めることです。
    ★「社会起業家」の任務は、社会貢献の志を持って、社会が求める新しい商品やサービス、さらには新しい事業を生み出すことであり、そうした企業や組織、そして事業を自立させ、持続させていくことです。(p129)
    ★社会起業家の働き方の7つのスタイル(p150-151)
     第一のスタイル 立志 「良き社会」を実現しようとの「志」と「使命感」を持つ。
     第二のスタイル 成長 自分自身の「自己変革」と「人間成長」をめざす。
     第三のスタイル 共感 多くの人々との「共感」と「協働」を生み出す。
     第四のスタイル 革新 「現在の事業の革新」や「新しい事業の創造」を行う。
     第五のスタイル 創発 事業の革新や創造を通じて「社会の創発」を促す。
     第六のスタイル 信念 生涯にわたって「社会変革の歩み」を続ける。
     第七のスタイル 伝承 次の世代に「志」と「使命感」を伝えていく。
    ・人々に集まってもらい、動いてもらうためには、
     「志」と「使命感」を語る以外には、ないのです。
     そのため、社会起業家は、「志」と「使命感」を語る力を身につけ、
     「言葉の力」を身につけていくことができるのです。

     しかし、その「言葉の力」とは、
     決して、「流暢な弁舌」や「該博な知識」によるものではありません。
     それは、何よりも、「熱い思い」や「純粋な気持ち」に支えられたものです。
     そして、それがあるかぎり、たとえ訥々とした語りでも、
     そこには「言葉の力」が宿るのです。「言霊」が宿るのです。(p159)
    ・社会起業家が身につけるべきは、「相手の共感を得る力」ではありません。
     では、何か。
     「相手に共感する力」です。(p172-173)
     #む?、深いなぁ。たしかにその通りだ
    ・たとえ小さな一歩でも良いから、事業の革新や創造に取り組むということです。
     (略)
     ときに、それは、我々が日々取り組んでいる仕事の「小さな革新」でも良いのです。(p182)
    ★これからの時代に活動する社会起業家は、
     「社会変革」ということを考えるとき、
     「新しい社会を構築する」という機会論的な発想ではなく、
     「新しい社会の創発を促す」という生命論的な思想を身につけなければなりません。(p192)
    ・その「歩み」こそが、
     我々が、このささやかな人生を通じて、この社会に残し得る、
     最も素晴らしい「作品」であることを、
     知っているからです。(p205)
    ・いつか、かならずやってくる「良き社会」
     社会起業家は、
     その社会の「礎」になることを、
     静かな喜びとともに、覚悟しているのです。(p213)
    ・「社会起業家」としての働き方への変革(p216)
     一つの国の変革を、一つの社会の変革を、
     一握りの指導者たちが行う時代は、
     終わったからです。
     この国の変革は、誰よりも、
     我々一人ひとりの力によって
     成し遂げていかなければならない。”

  • 社会起業家のバイブル

  • おむすび会での活動も社会起業活動の一部だと認識できた。
    歩みを礎にできるように一歩ずつ前進していこう。

  • ■これから働き方

    A.仕事の報酬には、「収入」や「地位」という“目に見える報酬”と、「能力」「仕事」「成長」という“目に見えない報酬”がある。「働く喜び」を取り戻すためには、目に見えない3つの報酬こそを深く見つめなければならない。

    B.高度成長や組織の持続的拡大が終わった今、「収入・地位」は「ゼロサムの報酬」となり、一握りの勝者と圧倒的多数の敗者が生まれている。これからの時代は、決して敗者を生み出さない「プラスサムの報酬」を大切にすべきである。

  • 「社会起業家」という言葉が使われていますが、本書ではNPOなどをイメージさせる、私たちが普段使う意味(狭い意味)で用いているのではなく、「社会」は私企業、営利企業を含めた自分たちが生活し働く環境全体、「起業」は社内でネットなどを活用して新しい事業を興すことを含めた、非常に広い意味でとらえています。

    前半では働きがいを失った社会について述べています。本書の出版は2003年で、小泉改革のさなかにあたります。働き方という面では、小泉・竹中の構造改革により、多様な働き方が一般的になるなど一定の成果を上げた反面、新自由主義の台頭を許し、働く目的がもっぱら金銭や資本の追求となってしまった時期でもありました。
    自分が何のために働いているかというと、生活のためでもお金のためでもなく(もちろんある程度の報酬は必要ですが)、自分の手がけた製品やサービスを多くの方に使ってもらい、皆さんに喜んでもらいたいというのが第一にあります。誰しも同じような理想を持って働いていたと思うのですが、不況が長引くにつれて本来の働く目的を忘れ、わずかな報酬のために仕事をさせられているという考え方に陥ってはいないでしょうか。
    そもそも「働きがい」とは何なのか、自分自身にももう一度問いかけています。仕事の対価ではなく、仕事そのものに喜びを見いだしている状態、別の本の言葉でいえば「モチベーション3.0」でしょうか。それとも、仕事の成果としてできあがった製品やサービスで、お客様に喜んでいただけることでしょうか。あるいは、仕事を通してえられる経験、スキル、能力の向上を実感できることでしょうか。答えがこの中の1つとは限らないと思いますが、改めて考えてみたいと思います。

    後半は(本書で言う広い意味での)社会起業が必要となる理由と、将来の社会のあり方について。本書出版の時点では、バブル崩壊以降の「失われた10年」と構造改革の結果、投資家や株主が力を持ち、企業で働く人間は立場をさらに弱くしてきていました。その後、日本ではライブドア事件、米国ではリーマン・ショックが発生し、行き過ぎた新自由主義に修正を迫られるようになっています。
    その結果、何が残ったか。働く目的がすべて失われ、働きがいも取り戻すことができず、仕事の意味について思考停止してしまった人が多くなってしまったように思います。リーマン・ショック後に「ニューノーマル」という概念が現れ、市民の生活は金銭的な部分でレベルを下げました。その代わりに得たものがあるのかどうか、あるならそれは何なのか、ここがまだ明確になっておらず、「以前のような好景気は期待できないから生活レベルを下げる」という守りの方向に入り、成長する意志を失ったようにも感じられます。

    これからの社会は、社会起業とは異なる方向に進むのかもしれませんが、自分の生活をどうしていきたいのか、このまま何もしないで年老いていくのを待つだけが人生なのか、今一度考え、自分なりの答えを出し、行動したいと思います。

  • ★良い仕事を残す

    皆さんは【報酬】というと何を思い浮かべますか?
    大体の人は収入もしくは昇進なんかを答えるのではないでしょうか。
    私も同じことを聞かれたら真っ先にお金だと答えるでしょう。辞書を引いても「労働の対価として与えられる金銭や物品」と書かれていますし・・。
    しかしこの本ではそれら目に見える金銭的なご褒美ではなく、目に見えない仕事の報酬があることを教えてくれています。それが「能力」「仕事」「成長」の3つの報酬です。私たちは働き甲斐ある「仕事」に出会うことでスキルやテクニックといった職業人としての「能力」が磨かれ、また自然と人間的「成長」もそこから得られるそうです。私は報酬といっても結果の後についてくる収入という目に見える報酬に目を奪われていたことに気づかされました。これから社会に出ていく人、また既に社会人として働いている人にも自ら得るべき報酬に目を向け、自分の仕事に喜び、誇りを今以上に持つことができたら日本の社会も明るく活気づくのではないかと思います。

    しかしながら今の仕事に満足していない人、その仕事にやりがいを見いだせない人に誇りを持ってと言ったところでその日から目を輝かせて仕事に没頭出来るとは思いませんし、意識を変えるのはそう簡単なことではありません。そして働き甲斐のある仕事に巡り合うというのは案外難しいものです。そこで本書では今の時代のニーズに合った、とっておきの働き方が紹介されています。それが社会貢献に目を向けた社会起業家への道です。起業家といってもベンチャー起業のように多額の費用を投資しオフィスを構える必要はこれからの時代にはいりません。なぜならばネット時代の到来によりパソコン1台とネットワークが接続された環境さえあれば事業を起こす準備は整ってしまうのです。あとは自分の意欲と社会に発信するという使命さえあれば事業はいつでも起こせるのです。そこに加えて事業の目的を人のため自然のためなど決して自分のためではなく尽くすことで社会に貢献するのです。人間は生まれてから死ぬまで人と支え助け合いながら成長をしていきます。人との出会い、別れを経験し年を重ねていく中で人間は他人の喜びを自分の生きる糧としているそうです。その幸せを職業に生かしなおかつ活躍の場を自分で作れたら・・なんて考えたらわくわくしませんか?そして自分の考えに賛同してくれる仲間が集まったら素敵だと思いませんか?

  • <図書館で借りた>

    ・働く とは はた(傍)+らく(楽)=傍が楽になる・役に立つ
    ・機械論パラダイム → 生命論パラダイム
     生命論パラダイム=自己組織性,創造性
     (この件、「ワールドカフェをやろう」でもみた)
    ・野心(己一人,小さな自我の芽生え) → 志(己一人では成し遂げられない,大我)
    ・ 営利活動でも社会貢献活動。逆に非営利は事業性を意識しないと持続性ある社会貢献にならない。

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著者プロフィール

シンクタンク・ソフィアバンク代表

「2023年 『能力を磨く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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