ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ (だいわ文庫)

著者 :
  • 大和書房
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本棚登録 : 749
感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479300663

作品紹介・あらすじ

「一人でこもって誰とも顔を合わせずに長い時間を過ごす。『分断されない、ひとまとまりの時間』をもつことが必要なのだとぼくは思います。一人でこもって過ごす時間こそが『価値』を生むからです」「『孤独』ということを、どこまで自分の中に呑み込んで、つきつめていけるか。その上で、どこまで風通しよく生きていけるか。それを目指していこう」"思想界の巨人"が普段着のことばで語る、もうひとつの社会とのかかわり方。

感想・レビュー・書評

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  • stayhomeも在宅勤務も、コロナ禍ではひきこもざるを得い状況になったからこそわかること…。ポジティブなひきこもりは、むしろ、人生には必要で。ひとり時間をもつことも必要で。このタイミングでであえてよかった本。

  • 引きこもりを問題としてしまうのは、それがいけないことだという固定観念であり、突き詰めれば社会の側にある問題なのではないか。たしかにそれが病的になったり、誰かの世話になって成り立っているものであるなら問題にはなるが、引きこもる時間、ひとりで考えを巡らせる時間は必要であることをよく感じた。まだまだ世界は外交的な人のためのものである。多様な人が生きやすい世界になることを願ってやまない。

  • ビレバンでジャケ買いしました。
    吉本さんは糸井さんの読み物でたまに出てきて気になっていた方でしたが、すとんと理解しやすい言葉で話してくださる方だなあ、と思いました。
    人間関係が嫌になっていた訳ではないけれど、新しい人と出会ったり、久しぶりの子と遊んでもらったり若干飽和状態であったので、今の時期に読んで良かったな、と思います。
    吉本ばななさんのお父さんだってことに驚いて、でも妙に納得でした。

  • ひきこもれ、
    というと社会に出てる人らに対しても
    ひきこもりを推奨しているようだが、
    そうではなく、ひきこもってもいいんだよ
    的なニュアンスだと思った。

    病気に関してはプロに任せるべきといいながら、
    自論を述べるあたりは少し矛盾を感じたし、
    ひきこもりの話から
    いつのまにか、死や戦争、老いの話まで
    だいぶ離れていった。

    私は単純に吉本さんがどう考えているかを
    読みたかったのでそれでも満足できたが、
    ひきこもりを研究してる人には
    少し畑違いな気もした。

    吉本さんの時代のひきこもりと
    現代のひきこもりでは
    少し意味や、もちろん価値観も違うんだろうなと思いながら読みました。

    個人的なあまり納得いかないパート
    ・偽の厳粛さに耐えられない子どもが不登校になる
    ・教師が生徒と向き合おうとするから生徒は迷惑する
    ・いじめる子どもと、いじめられる子ども どちらも心が傷ついている
    ・子どもの自殺は親の代理死である

  • 非常に面白く読むことが出来ました。
    なぜなら私も吉本氏と同じく、「ひきこもり傾向が極めて強い人間」だからです。
    今日も一日、ずっと本を読んで過ごしました。
    仕事以外では人と会う事はほとんどないです。
    1人暮らしなので、仕事以外ではほとんど誰とも話しません。
    休日に友人と会う事も極めて少ないです。
    そんな私の生活を肯定してくれるよな内容でした。

  •  いい話だな、と思った。
     20年前に出された本で、おそらく今よりも「ひきこもり」に対する風当たりは強かったはず。そんな中であえてひきこもりを擁護する吉本はまさに逆張りと言えるのだけれど、その逆張りも時間が経って、自然と頷きながら読めるようになっていた。
     コミュニケーション能力や社会性だけが絶対ではない。自分自身の価値を生むには、また自分だけの言葉を作るには、必ず一人でいる時間が必要。考えてみれば、当たり前の話だ。そして、今の若者たちはなんとなくそれを理解しているように思えるし、実際実践していると思う。
     ただ同時に、この本が出されてから20年経ち、社会に良い変化しかなかった、というわけではない。当然日本社会もさまざまな面で悪化していて、ひきこもりがいたとしてその社会復帰の問題や、そもそもひきこもっていない人たちまでもがまともな職を得られない環境ができあがっている。そういう意味で、読みながら、ふと吉本はまだ時代に対して楽観的であった(いや、ならざるをえなかった)と思ってしまった。
     しかし、引きこもりでもひとつのことを持続すること、社会に何かしらのビジョンを見出さなければならないという、彼の言葉は、現在でも十分な強度をもっているはずだ。
     だからこういった本は話半分、好きなところだけを頭に入れておいて、そのほかは有耶無耶なまま忘れることにしている。まさか吉本も自分の本を右から左まで丸暗記しろとは言わないだろう。そしてこの本の気に入った部分を、適宜頭の引き出しから取り出す能力を養うこと、引き出された言葉を自分なりに組み立てること。そしてこれらが、引きこもるあいだにするべき、自分自身の言葉の鍛錬なのだろう。

  • 絶賛社会生活に馴染めず引きこもっている今、たまたま見つけて即購入。

    自分にとっての人生の価値を見つめ直している、そんな時期なんだろうなと少し納得できた。

    個人的に
    一般社会の中で不登校的な生き方を貫くことが大事、という言葉がとても気に入っている。

    嫌でも社会や人とは関わらざるを得ないので、自分なりの関わり方を模索しようと思えるきっかけになりました。

  • 人と話すことが第一の言語だとすると、
    自分との対話をするのが、
    第二の言語であると作者言ってます。

    この第二の言語を通して自分の価値を広げていく。
    孤独や引きこもりは大人の言語を深め自分の価値を広げるために必要なのだとわかりました。

    しかしただ引きこもっていればいいと
    言うことではなく
    他者に違和感を持ちながらも学校に行くこと
    違和感を持ちつつも外と交わることに意味がある
    という話も心に残りました。

  • ・言語には2種類ある。他人に伝える言語と、自分にだけ通じれば良い言語。
    ・引きこもり、考え、得たものは「価値」と呼んで良い

  • 1924年生まれの著者は、自分の父母よりさらに10歳年長。ひきこもりは時代を超えて存在していた。ひきこもりを肯定的に表現した書名に惹かれた。しかし、21世紀の今、著者が言うようにひきこもりの人が深く考えて生活しているか? 昼夜が逆転し、ネットやゲームの世界に逃避する若者が多くはないか? 本書が、ひきこもっている人達が自立して生きる指針になってほしいと願う。

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著者プロフィール

1924年、東京・月島生まれ。詩人、文芸批評家、思想家。東京工業大学工学部電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。日本の戦後思想に大きな影響を与え「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。著書多数。2012年3月16日逝去。

「2023年 『吉本隆明全集33 1999-2001』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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