名画は嘘をつく (ビジュアルだいわ文庫)

著者 :
  • 大和書房
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感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479305101

感想・レビュー・書評

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  • 「西洋美術において、彫刻から絵画の時代となっていったのが、14世紀に始まったルネサンス時代です。絵画は、ある一定のメッセージを「伝える」という目的がありました。また、現代人の芸術に対する考えには、製作者の内面世界を表現することが当たり前なことであるといったものがあります。しかし、画家自身が個人的な世界観を表現するようになったのは、19世紀半ば以降のことなのです。作品のタイトルを画家自身がつけるようになったのも、このころからでした。したがって、伝統的な絵画が当時担っていた役割は、なかなか現代人には理解しづらいのが現状です。」
    「歴史的および社会的な要素が、造形的に表現されているのが西洋美術です。描かれている作品世界を「見る」だけでなく「読む」ことによって、目からうろこが落ちるように鮮明に絵画鑑賞ができるようになります。完成だけで鑑賞することは非常にもったいないのです。」
    「ルネサンス以降、ヨーロッパでは職人ではなく芸術家という地位が確立していきます。さらに、感性ではなく知性に訴えるのを「よし」とする伝統も確立していったのです。したがって、「感性」に訴えること自体を低く見なす古典主義が権威をふるう結果となりました。知性に訴えない工芸品は、芸術作品よりも格の低いものと見なされるようになったのです。」
    ながながと「はじめに」からを引用したが、以上のことがこの本の肝であろう。100点ほどの絵画を取り上げ、感性は鑑賞者にまかせて、知識の面での情報を教えてくれている。それによって、絵画の理解は一段と深まるのは間違いない。印象派によって、西洋美術はがらっと変わるのだが、それでもなお、それまでの西洋絵画の約束事は残っている。そのあたりの事情を別の本で調べてみるのも面白いだろう。

  • イタリアそしてオランダそしてフランスと名画の歴史の流れがありそうにも見える。イタリアはいわゆるルネッサンスである。オランダはプロテスタントの禁欲ってやつですか、商業主義ってやつですかそういうので、フランスになると個人の内面の表現みたいなものだろうか… ゴッホはオランダではあるが年代としてはけっこう後年で、また少し違ってくる。ピカソスペインでだいぶ後年のようだ。ゴーギャンも然りでこれをフランスとするか南洋とするかわからないだろう。

  • 豪華なフルカラー。解説はなかなかおもしろいけれど、読者側が基本的なことを理解している前提で話が進むのと、表面だけをなぞった浅めの解説が多いので物足りなく感じる。あと一歩深掘りしてくれればもう少し楽しめたかもしれない。

  • 学生生活でも世界史に触れる機会が少なく、芸術に疎かった。書店でこの本を少し読んだ際、「モナリザが世界一美しいと言われる理由」という文に惹かれて購入。

    名画と呼ばれる絵画はどこが凄いのかを少しながら知り、芸術について調べてみようと思わせてくれる本だった。

    芸術に関して精通している人なら、「そんなの常識だよ」と思うような内容なのかもしれないが、初心者の方には是非オススメしたい。 

  • フランスのテレビドラマ アート・オブ・クラム( 美術関係刑事物?)が好きです。

    p32クールベでーあの有名な「世界の起源」
    と文字で説明してますが、まだ印刷できないもどかしさを感じます。
    テレビでは、バッチリ写ってました。
    美術オンチの男性刑事が、二度見してました
    ルーブルで展示するまで130年かかった。と
    言ってました。

    絵画の話しは大好きです。

    ポンパドゥール夫人の「公認の寵姫」も役目があったんだ!
    マリー・アントワネットは、ルイ16世が公妾を置かなかったから、国民の憎悪を一身に背負ったなんて、知らなかった。

    デューラーの自画像の変容と宗教(カトリックとプロテスタント)の争いが影響してるとは、知らなかった。

    「知る」楽しみを与えてくれた本です。



  • 明日のゴッホ展に向けて〜

    絵画の背景知識を知ればもっと楽しめるなあ
    まだまだ知らないことばっかりです_φ(・_・

    ★3.0 2019/1/12

  • 西洋画は描かれているものによって様々な意味が込められていることがあり、知っていないと作品を深く読み解くことができません。
    それをわかりやすく解説したのがこの本です。
    全部カラーページなので絵を見るだけでも面白いです。

    「嘘」をテーマに絵画を紹介しているので、中には解説を読む前と読む後で印象が180度変わるものもあります。
    (想像上の生き物や風景画、モデルが美化された肖像画、風景画と思ったら実は風刺画など)

    私は美術館に行くときは感性で見ることが多いのですが、著者が「はじめに」のところで感性だけで見るのはもったいないと書いていたので、これを機に少しずつ学んでいこうと思いました。

    図書館スタッフ(学園前):うに

    ----------
    帝塚山大学図書館OPAC
    http://lib.tezukayama-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&category-book=1&category-mgz=1&materialid=2410006016

  • 名画の隠れた背景や画家の七癖を「読む」ことで、絵画を「観る」眼の鱗が剥がれ落ちる、そんな愉しい思いを味わえるビジュアル文庫です。▷叫びから身を守っている「ムンクの叫び」▷感情表現で色合を変えた「ゴッホのアルルの寝室」▷上流階級の理想の農民「ブリュ-ゲルの農民の饗宴」▷ナポレオンのプロパンダ絵画「アルプス超えするボナパルト」など全125作品もの裏話は、絵画鑑賞に絶好です。

  • ムンク「叫び」
    レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナリザ」
    ゴッホ「アルルの寝室」
    ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」
    マネ「フォリー・ベルジェールの酒場」
    ミケランジェロ「最後の審判」
    ドガ「舞台上のバレエの稽古」
    ミレー「落穂拾い」
    フェルメール「真珠の耳飾りの少女」
    など知ってる絵、中には実際に見た絵もあって、なかなか楽しめました。

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著者プロフィール

1966年生まれ。カリフォルニア大学バークレー校卒業。専攻は西洋美術史。ロンドン・サザビーズ美術教養講座にてWorks of Art修了。講演、セミナーなど開催多数。著書に、『名画の言い分』(ちくま文庫)、『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」』(ダイヤモンド社)、『名画は?をつく』シリーズ(ビジュアルだいわ文庫)などがある。

「2019年 『カラー新書 ゴッホとゴーギャン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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