仏像礼讃 (だいわ文庫)

著者 :
  • 大和書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479305378

作品紹介・あらすじ

仏教が伝来して以降、千数百年間、無数の人たちの手によって造り続けられてきた日本の仏像たち。なぜ仏像は日本人の心をとらえて放さないのか。どこまでも優しげな面貌、拝する者に畏れを抱かせずにおかない相貌…、一体なぜ、そのようなお姿をしているのか。「せんとくん」の生みの親が、各地の仏像を時代順に訪ねながら、その魅力にせまる。新しい拝観手引!国宝も秘仏もオールカラー90点。

感想・レビュー・書評

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  • 2018/4/30図書館本。文庫サイズで写真も多い。手に入れたい。★4

  •  東京藝術大学大学院文化財保存学保存修復彫刻研究室の教授であり,彫刻家でもある藪内佐斗司さんによるビジュアル仏像案内である.

     藪内さんといえば,NHKの番組「籔内佐斗司流 ほとけの履歴書――仏像のなぞを解きほぐす」でお顔を拝見したことがある.とても冷静な方だったとの印象がある.また,「せんとくん」の生みの親であることもこの本で知った.

     この本には,藪内さんが「ぜひ一生に一度はお目にかかりたい仏像」という基準で選択された仏像が90件,写真とともに掲載されている.写真は,仏像が製作された時代順に,飛鳥白鳳時代,奈良時代,平安時代前期,同中期,同後期,鎌倉時代,室町時代~江戸時代,明治時代~現代,に分けて掲載されている.そのため,まるで美術史の教科書であるかのように,仏像の時代的変遷を見て取ることもできる.各々の写真に添えられた藪内さんによる説明は,簡潔に事実が淡々と述べられ,過度に感傷的にならないため,とても読みやすい.

     個人的に最も印象的だったのは,鎌倉時代・興福寺東金堂・木造 維摩居士座像である.たまたま同時期に,釈徹宗著『なりきる すてる ととのえる』を読んでいたこともあり,写真を見た途端「この人であれば,こういうことを言いそうだ」という気がしたものである.

     「「仏像礼讃」を始める前に」と題された序章は,ごく簡単にまとめられた仏教教団史・仏教思想史,であり知識のおさらいにちょうど良い.また巻頭の「仏像世界の「名前」と「編成」の見方」もコンパクトな仏像概論である.

     『聖☆おにいさん』のファンの方であれば,登場人物が仏師によってどのように表現されたかが分かる本としても楽しめるだろう.

    2015.06

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著者プロフィール

1953年、大阪に生まれ。東京藝術大学・大学院で彫刻を学び同大学院保存修復研究室で、仏像の古典技法と保存修復の研究に従事し、経験をもとに彫刻表現を展開。
ブロンズを用いた屋外彫刻やマルチプルアートなども手がける。
「ART FOR THE PUBLIC」と呼ぶ公共空間に設置した作品は、全国に約100箇所を数える。
2004年からは、東京藝術大学大学院文化財保存学の教授として、文化財保護の人材育成と仏像修復にも従事。
2010年には「平城遷都1300年祭」の公式キャラクター・せんとくんのデザインを担当し、仮面舞踏集団「平成伎楽団」を結成、ますます活動の領域を広げている。

「2013年 『籔内佐斗司 やまとぢから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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