草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 (だいわ文庫 I 335-1)

著者 :
  • 大和書房
3.17
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本棚登録 : 184
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479306207

作品紹介・あらすじ

時は文政-。江戸の通油町にある本屋・草紙屋薬楽堂に戯作を持ちこんだのは、地味な三筋格子の着物を粋に着こなした、鉢野金魚。薬楽堂に居候する貧乏戯作者・本能寺無念とともに巻き込まれるのは、あやかしの仕業とも囁かれる怪事件-。個性豊かな面々が集う江戸の本屋を舞台に繰り広げられる丁々発止の会話と謎解きと、どこかせつない人間模様。読み心地満点の書き下ろし時代小説!

感想・レビュー・書評

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  • 日常の謎解き…なのかな⁇時間が起きて解決するんだけどまぁあんまりスッキリはしない。
    しかしながら、江戸時代の風習や言葉使い、当時の風景描写については細かく書かれていて、へぇ〜と勉強になった。
    出てくる登場人物もイキイキしていて、名前のセンスも良し☆金魚と書いてキントトなんて可愛らしい☆

  • 出版社と新刊書店と古本屋を兼ねていた江戸時代の本屋が舞台、謎を解くのは作家たちという江戸物ミステリー

    深刻な殺人や犯罪では無いので読後感が愉快なのが良いです
    登場人物たちのキャラ立ちも良く楽しめました

    登場人物たちに個性があって、そのどれもが時代背景をしっかり落とし込んで出来ているのが分かって、上滑りしない事に感激してしまった

    それなのに読み口が軽くて、江戸っ子会話もテンポ良く、声を出して笑える場面も多くて楽しかった

  • 時代小説の推理物… .
    毎回だけれど…時代小説って入り込むまでに時間がかかる… .

  • 「へぇ。そいつは面白い」

    【感想】
    ・雰囲気のいいお江戸ミステリ。
    ・あまり深刻に(今のところ)ならないのがいい。キャラたちの性格とポンポン飛び交う会話によるのでしょう。

    【一行目】
     冴え冴えとした月光が、裏庭に建つ二つの土蔵を照らしていた。

    【内容】
    ・舞台は江戸。ミステリ作家をめざす女、金魚(きんとと)は、書店がらみのふしぎな謎を解いていく。
    ・金魚をどこかで見たことがあると長右衛門は感じるが、その正体は?
    ・そこそこ売れてるが貧乏な作家、ワトソン役である無念の過去は?

    ▼簡単なメモ

    【上杉幸三郎/うえすぎ・こうざぶろう】駿河国池谷家中で北野勘兵衛の上役だった。
    【卯助/うすけ】岡っ引き。島田屋から袖の下をもらっている。
    【花魁】公的にはもう花魁という制度はないがいくつかの妓楼ではその習慣を残している。昼三(ちゅうさん)、附廻(つけまわし)、座敷持(ざしきもち)の三つの階級があり、昼三の中でも呼出昼三(よびだしちゅうさん)が最高位。梶ノ鞠はそれに位置する。
    【推当物/おしあてもの】金魚の造語らしい。今で言うミステリ。
    【織田野武長/おだの・たけなが】戯作者。本名は加藤権三郎。尾張藩士で定府の勤番侍。暇潰しで書いている小説がそこそこ売れている。
    【掛香/かけこう】梶ノ鞠の禿の一人。名は邪気を祓うために匂い袋を部屋に掛けたりすること。夏の季語。
    【梶ノ鞠/かじのまり】吉原の妓楼、松本屋の花魁。
    【北野貫兵衛/きたの・かんべえ】元武士で今は在野の国学者。駿河国池谷家中で忍をやっていた。
    【鼎逸道/かなえ・いつどう】絵師。東雲夕月と同時期に白澤屋に拾われた。
    【金魚/きんとと】鉢野金魚。主人公。粋な女。持ち込み原稿を携えて薬楽堂にやって来た。「お前ぇの戯作、まだ誰も読んじゃいねぇだろう」「あたしが読んでる」第一巻p.35。ふてぶてしいが自分の間違いを認めるのにやぶさかではない。長右衛門はどこかで彼女を見た気がするが思い出せない。雰囲気的には吉原の花魁だったんじゃなかろうかと思われるが? それなら客としてとか、摺物とかで見ている可能性もある。もっとも当時の絵でそれが誰を描いているのかわかるというのはぼく的には不可解なんやけど。
    【故山堂】書肆。武家の多い通りにある。古書売買に重点を置いている。
    【東雲夕月/しののめ・ゆうげつ】→夕月
    【島田屋】薬楽堂の二軒隣の呉服屋。主人の惣右衛門が薬楽堂の土地を欲しがっている。
    【白澤屋天下堂/しらさわやてんかどう】地本屋。「華之吉原 傾城揃踏/はなのよしわらけいせいそろいぶみ」という摺物を吉原とタイアップして花魁たちの、いわばブロマイドを比較的安価に発行した。
    【清之助/せいのすけ】薬楽堂の若き番頭。優男。ヤットウを学んでいて木刀を持つと人が変わるとよく言われる。ふだんは真面目だがおもしろそうなことには食いつく。
    【竹吉】薬楽堂の小僧。
    【出し看板】店の前に置く看板でごみ箱兼用。放り込まれた紙ごみは再生して使う。
    【巽屋短右衛門/たつまや・たんえもん】薬楽堂の主人。
    【巽屋長右衛門】薬楽堂の主人の父親。「巽屋」と呼ばれたら怒る。薬楽堂という名前がお気に入りのようだ。ご隠居と呼ばれたら怒る。「大旦那」と呼んでもらいたいらしい。さっぱりした性格のようだ。おもしろそうなこと大好き爺い。
    【常世/とこよ】元常世大夫。松本屋にいた。今はお歯黒溝の女郎。金魚の推当の師匠みたいなもの。
    【鉢野金魚/はちの・きんとと】→金魚
    【彦次郎/ひこじろう】吉原の四郎兵衛会所に詰めている若い衆。
    【他人事】「なに言ってんだい。他人事だから面白いんじゃないか――。それに、他人の方が物事の本質がよく見えるもんだよ」第一巻p.105
    【一ツ葉/ひとつは】梶ノ鞠の禿の一人。名は羊歯の一種で夏の季語。
    【ひょっとこ屋】無念行きつけの居酒屋。
    【舞台】時代は文政。徳川家斉の治世。江戸。
    【北斎】あの葛飾北斎。夕月に絵を見せた。
    【本多左門/ほんだ・さもん】北町奉行所の同心。島田屋から袖の下をもらっている。
    【本能寺無念/ほんのうじ・むねん】→無念
    【又一/またいち】白澤屋の主人。商売は成功しているが人間性は小物っぽい。
    【又兵衛】故山堂主人。屋号は藤田家。
    【松吉】薬楽堂の小僧。なんか怖いものを見た。
    【無念/無念】本能寺無念。わりと有名な戯作者だがそれでも生活は苦しく薬楽堂に居候している。むさ苦しい男。北条氏が鎌倉で執権政治を行っていた時代を舞台にした伝奇小説が得意。幽霊噺を一笑に付すあたりに限界がある。
    【薬楽堂/やくらくどう】草紙屋(地本屋)。まあ、街の本屋。施設はけっこうデカいがそれでも「うちは手狭だからよ」と言う。
    【夕月/ゆうげつ】東雲夕月。絵師。梶ノ鞠を描いていて行方不明になった。天狗に拐かされたというウワサも。
    【六兵衛】薬楽堂の隠居した元番頭。清之助の父。「面白いことはみんなで楽しむのがようございます」第一巻p.63。わりとノリノリの爺さんだ。

  • 子気味よくさくさくよめた。
    シャキッとした金魚とちょいと頼りないけど真っ直ぐな感じの無念。2人の相性がよいことと、めちゃくちゃ悪人が出てこないので気持ちがささくれない。

    2020.8.16
    78

  • 久しぶりに、面白い物語に出会えた気がします!

    手にしたきっかけは、高田郁さんの推薦文のかかれた帯。平谷美樹さんは、はじめましての作家さんです。

    戯作者志願の金魚(きんとと)と、戯作で食べていくのがおっつかっつの、けっこうイケメン本能寺無念のいいコンビが、江戸で起こる不思議を気持ちよく解決していきます。
    あと、元御庭乃者(忍びとして情報収集をしていた)北野貫兵衛がいい仕事してます。このご仁もけっこう好きかも。とにかく主要人物のキャラがどれもいいです。

    金魚の過去には苦しくなるけれど、それを蹴り飛ばすほどの賢さや洞察力の鋭さとさばさばした性格が、とても好ましく、すべてを応援したくなります。
    快刀乱麻を断つごとくの謎解きに、わくわくが止まりません。誰も死なないのもいい。近頃、バッサバッサと斬ってく物を読んでますので、いい清涼剤になりました。

    また、江戸時代の出版事情を押し付けがましくない程度で教えてくれるところも、こちらの知識欲をほどよく満たしてくれて嬉しいポイント。

    続きも読みます。

  • 女戯作者見習いを中心に謎解きをする。主人公の金魚(きんとと)が可愛くていい。

  • 推当物(おしあてもの)の女戯作者が主人公。ミステリの元祖か?
    女郎が読書家とは知らなんだ。確かに教養がなきゃ上客の相手は務まらないわな。
    切見世に堕ちた常世姐さんが切ない。聡明な女が価値を持たない時代だったわな。

  • 金魚がこざっぱりしていて快活な所が良い。
    人々はそれぞれに抱えている物があったりするけど、事件はきっぱりと解決されるのですっきりした読み心地。

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著者プロフィール

1960年、岩手県生まれ。大阪芸術大学芸術学部を卒業後、2000年に『エンデュミオン エンデュミオン』(ハルキ・ノベルス)でデビュー。『エリ・エリ』(ハルキ文庫)で、第1回小松左京賞を受賞。14年には「風の王国」シリーズ(ハルキ時代小説文庫)で、第3回歴史時代作家クラブ賞・シリーズ賞を受賞。「採薬使佐平次」シリーズ、「江戸城 御掃除之者!」シリーズ、「よこやり清左衛門」シリーズ(ともに角川文庫)や「草紙屋薬楽堂ふしぎ始末」シリーズ(だいわ文庫)、など、多岐にわたるジャンルにて活躍している。

「2023年 『大一揆』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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