古書カフェすみれ屋と悩める書店員 (だいわ文庫) (だいわ文庫 I 317-2)

著者 :
  • 大和書房
3.75
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  • (3)
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本棚登録 : 540
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479306443

作品紹介・あらすじ

「この本、買っていただけませんか?」「それってつまり-いまわたしが話した不可解さの答えがこのなかにあると?」すみれ屋の古書スペースを担当する紙野君がお客様に本を薦めるとき、きっと何かが起こる-。初デートの相手のつれない行動の理由も、見つからない問い合わせ本のタイトルも、恋人が別れを匂わせた原因も、…すべてのヒントと答えは本のなかにある!?日常ミステリー第2弾!大切な一歩を踏み出す誰かを応援する、スウィート&ビターな4つのミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • 本で謎を解き明かす日常の謎のミステリーですね。
    「古書カフェすみれ」シリーズ二冊目です。

    カフェの店主すみれさん三十七才と、古書の店主紙野君三十三才のお店で起きる人間模様。
    新たに、アルバイト森緒ほまりさん二十五才が加わり、物語は展開していく。

    相変わらず、里見さんの料理の描写には圧倒されてしまう。
    私の好きな、茨木のり子さんも外食で気に入った料理を見つけるとレシピを聞きだして、自宅で再現してしまうプロ顔負けの料理名人だったとの事です。
    里見さんも実際にご自分で、この本に出てくる料理をお作りになるのでしょうね。それくらい臨場感があふれています。
    アメリカのサンドイッチの知識が半端で無いですね。アメリカでの生活経験もあるのかな?とにかく、熱意が伝わってきます。外国の料理の知識もかなりのものです。
    グルメファンには垂涎のレシピですね。
    そして、本の謎解き、読んでみたくなる本が次から次に出てきます。読解力もここまで深く読めるものなのかと、私の読書力を赤面いましました。脱帽です。
    謎解きはスッキリと爽やかな、温かいハートフルミステリーですね。

    読みごたえあり、共感あり、感動あり、そしてほんのり恋心あり、心が踊るシリーズです。

  • <古書カフェすみれ屋>シリーズ第二作。

    『紙野君がお客様に本を薦めるとき、なにかが起こる』

    カフェに来た客の悩みを聞いた紙野が本を薦めるという形で事の真相を教えるという変則的ななぞ解きものになっているのだが、このシリーズが単なるなぞ解きではないのがその先。
    真相に気付いた当人が自分でその先の一歩に向けて解決策を導き出し動く。それこそが紙野の狙いなのだろう。
    人の心も性格も千差万別。同じ本でも受け止め方は人によって違うように、同じ真相でもその先の一歩が違えばその先の道も分かれていく。何が間違いで何が正しいかではなくて、その人それぞれの生き方を自身で納得した上で選んで進んで行ってねというメッセージなのだろう。
    作品ではどれもその選択や行動は良い結果を生んでいるが、必ずしもそうなるとは限らない。だが紙野がこうしろと言うのではなく自分で動いた結果なら受け入れられるはず。

    今回は紙野が薦める本も一味ちがっていた。
    例えば上手くいったと思っていた初デートの後、相手が連絡をくれなくなってしまったことで悩む女性には古典落語の『長屋の花見』を、新人書店員に人気でも仕事ぶりでも追い抜かれ嫉妬心に悩む後輩書店員にはデッサンの教本『脳の右側で描け』といった具合。
    一体どう繋がっているのかとワクワクしながら読んだ。

    紙野がいわゆる勿体ぶりの天才名探偵タイプならイラっとするところだが、彼もまた『自己懐疑にとらわれて臆病に』なったり『仕事の意義を見失いそうに』なったりした経験があるゆえの一歩引いたスタイルということで素直に受け止められる。

    また客が自身で真相に気付く間のワンクッションとして、すみれも同じ本を買って自分なりに真相を突き止めようとするシーンが入るのも良い。
    特にデッサン教本の話は私も絵心なしなので興味深い内容だった。

    さらに今回はすみれの得意分野である料理にもなぞ解きが向けられる。老人性うつ症状で悩む高齢女性のために『ジョーさんのハンバーガー』なるものを再現しようと奮闘するのだ。
    ここでも紙野はウディ・アレンの本でヒントを出す。一体どれだけ博識なのか。

    シリーズの変化としては、繁盛し続ける<すみれ屋>に将来カフェを開きたいという森緒ほまりが雇われることになる。これで紙野も少しは一息つけるかも。
    そしてすみれは初めて紙野の部屋に…と言っても色っぽいものではなく紙野が飼っている猫キビを見に行き、持参した手作りランチ(もちろん気合は入っている)を食べるという至って健全なもの。
    だが『自分ですべてをコントロールすることにこだわりすぎていた』すみれの考えや物の見方を変えさせてくれる紙野のことはますます尊敬し慕っているようだ。

    第三作も楽しみ。

    ※シリーズ作品
    ①「古書カフェすみれ屋と本のソムリエ」
      レビュー登録あり

  • 心に響くミステリーの第二弾。

    前作を上回るほどの料理に関する熱量が凄い。

    もちろん悩める人に勧める本のチョイスが憎いほど的確すぎてまたまた驚かされた。

    答え合わせをしてくれないと謎が解けないのは、もはや頭の回転が悪いのか…と少々落ち込むが。。

    もう一度読みたいと思ったのは「台所の音」

    • raindropsさん
      湖永さん、今晩は。
      このシリーズ、面白いですよね。最近第三弾が出ましたよ。
      湖永さん、今晩は。
      このシリーズ、面白いですよね。最近第三弾が出ましたよ。
      2021/11/26
    • 湖永さん
      こんばんは。
      そうなんですね。
      情報、ありがとうございます♪嬉しいです。
      こんばんは。
      そうなんですね。
      情報、ありがとうございます♪嬉しいです。
      2021/11/26
  • 【美味しい小説】
    本好きと食好きの両方を満足させてくれる小説の続編。
    今回も全て美味しそうで、紙野くんが教えてくれる本は全部読んでみたかった。
    いや、でも特にハンバーガーとホットドックの章は食欲促進半端なかった!!
    むしろ正解にたどり着く前の、バーベキューで作る炭火焼のパテを挟んだハンバーガー食べたい!
    あと、ビーフ100%のソーセージにチリコンカンたっぷりなチリドッグも食べたい(о´∀`о)
    ニューヨークフィリーズサンドイッチも、このシリーズで知って食べたいと挑んだけど、本場に近いチリドッグも探して食べに行こうかなぁぁぁ。
    あと、ほろ酔い姉さんの初恋の章もよかった。
    食べ物描写もだけど、オススメ本が落語の本だったの興味を惹きました。読みたいなぁ。
    グルメ小説と本屋小説のいいとこ取り、ややグルメ優勢。すみれさんと紙野くんの進展も気になりつつ、ほまりさんも良い子だから、今後の人間模様も楽しみです。
    この小説嫌いな本読みさんいる?!って聞きたくなるくらい、私個人のど真ん中小説です。

  • だいわ文庫というのがハウツーものとか多い文庫なんですかね。前作を読んで続きが読みたくて本屋さんを何軒も探してしまいました。もっと広くみんなに知ってもらいたい本です。
    ジョーさんのハンバーガーは知ってたのに思い至らなくて悔しかったです。お話の進め方が上手なのですかね。

  • 沢山の料理に対する描写、沢山の本について出てくる一冊。
    美味しい料理を食べたくなるし、もっと本を読みたくなる一冊。

  • 2作目も期待を裏切らない内容だった。
    すみれと紙野の恋模様も必見!!
    今回もお客さんの謎を実在する本を通して解決していく!!読んだことのある本が登場してすごく嬉しかった!!もう一回読み返してみよう♬
    赤毛のアンちゃんも出てます(o^^o)

    • もちっちさん
      アンちゃん(笑)赤毛のアンはうちの母の愛読書やわ!
      アンちゃん(笑)赤毛のアンはうちの母の愛読書やわ!
      2021/06/21
  • シリーズ2作目。大きな事件が起こるわけではなく、
    登場人物は概ねいい人で(好みはあるかもしれないけれど)
    優しく読める作品。

    ただ、続くと紙野君の老熟っぷりに、
    君は何歳だと聞きたくなってしまう。

    年齢的には大人なすみれさんと紙野君だけど、
    もうちょっとときめいてほしい気がする。

    あと、二人のお店であってほしかったので、
    バイトを雇うのはちょっとなぁと思ってしまった。
    私が嫉妬してどうする(笑)

    なので、
    紙野君の家に持っていったパン・シュープリーズが一番心に残った、
    食べたい!!

    誰か作って!私のために!

  • 氏の本は読んだことあったなぁと思って、手に取った。前も書店モノだったはず。というか、それと同じシリーズだとと勘違いしてた。全く違った(笑)

    謎解き役の彼はスーパーマンだなぁ。頭の中、どうなってんだろ。料理自体は謎解きの結果という感じではあるけれど、本と料理を謎がくっつけるという構造で、謎がある分だけより料理が美味しそう。

    この間、ワカコ酒をテレビでみて、そしてこの本を読んで、「いきつけ」って必要だよなぁとしみじみ思う。金沢時代も大阪時代もいきつけってあったのに、こっちに来てからなかなか難しい。悲しい。

    それにしても、2人はどうなるんだろうねぇ。

  • この小説に出てくる本が魅力的で、読みたい本が増えました。こういう出会いも楽しい。

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著者プロフィール

1969年、東京都生まれ。早稲田大学を卒業後、編集プロダクションに所属し、ライターとして映画、テレビドラマのノベライズを数多く執筆。2004年『獣のごとくひそやかに』で小説家デビュー。『彼女の知らない彼女』(新潮社)で第20回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。

「2017年 『小説L DK 柊聖’S ROOM』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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