フランス人ママ記者、東京で子育てする

  • 大和書房
3.72
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479392767

作品紹介・あらすじ

キッチンに汚れた皿があっても、夫や子どもとキスする時間を惜しまないフランス人の幸せな子育て観とは-日本人マンガ家と結婚したフランス人ママ記者(AFP通信社)による日仏子育て比較エッセイ!

感想・レビュー・書評

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  • 妊娠中の検診の回数からワーママの割合まで、日本とフランスではこんなにもちがう!ということがたくさんあった。「日本がいい」「フランスがいい」ということではなくて、国によって人々の意識や政府の政策が異なるというだけの話。フランスはヨーロッパの中でも出生率が高く、女性の社会進出も進んでいる。出生率を上げるために、日本も女性の社会進出を後押しすればいいかといえば、一概にそうとも言いきれない。仕事上のキャリアか子育てかの二択を迫られるママたち、マタハラが横行する職場、子持ちの男性に長時間労働を強いる職場、子育てにお金がかかりすぎるからと産むのをセーブする若い世代、育児をしない夫など、少子化の理由を数え上げればキリがない。社会全体が妊婦や子育て世代に優しくないと、出生率は下がり続けるだろう。でも、妊婦になったことも子育てをしたこともない人々が、妊婦や子育て中の人々の気持ちを理解できるだろうか?

    昔、電車に乗っていたら、マタニティマークをカバンにつけている女性が立っていた。目の前の席に座っているひとはその女性が妊娠中であることに気づいているのかいないのか、譲る気配はない。その時、わたしは「妊婦さん、立ったままで大丈夫なんだ」と思った。でも自分が当事者になると、立っているだけでもしんどかった。おなかの目立たない時期はつわりで気持ち悪かったし、おなかが大きくなってからは身体が重たかった。マークやおなかを見て見ぬふりをされることも多かったし、目の前の席が空いたので座ろうとしたら、カバンを横からサッと置いて、澄まし顔で席についたオバサンもいた。
    だから諦めて、妊婦になったことのないひとは、妊婦生活がどれほどのものか知らないのだと思うことにした。なんで、マタニティマークのことを学校で習わないんだろう?車椅子体験はあるのに、妊婦体験はないんだろう?
    もちろん、席を譲ってくれる優しいひともたくさんいたし、職場ではキツい仕事を免除してもらった。子どもが生まれてから夫は育児に協力的だから、わたしはまだ恵まれているほう。二人目がほしいかと聞かれたらYESだ。じゃあ仕事は?諦める。子育てと仕事の両立はハードルが高すぎる。

    そう思っていた。でもカリンさんは言う。「親である人たちはみんな、自分が完璧でないことを認識し、負い目を感じてはいけない」。そうか、そうだったんだ。家事も育児も仕事も完璧にしようとしていた自分に気づいた。

  • 日本人男性と結婚し、日本で出産育児中のワーママのお話。
    フランス(ヨーロッパ)は子育て大国で日本よりよっぽど育てやすいのだろうなという幻想をいい感じに打ち砕いてくれます。産後8週とかそこそこに復職するってすごすぎ‼︎その代わり、産前のポストに戻れるケースは多いみたいだけど。。
    あとベビーシッター文化は日本にもっと普及してほしいとは思いつつよく知らない人に仕事中ずっと幼い子供をみてもらうのは怖いなとも思います。
    この本を読んで日本の保育園はサービスの質が高いのだとつくづく思いました。

    あとは母親だろうと一人の女性。子供優先にはならず、自分やパートナーとの時間を大切にするフランスの考え方は素敵。そんな風になりたいです。

  • 死の概念に取りつかれた本(『僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って』)を読んだ後、生の喜びに満ち溢れた本書を読んでホッとするワタクシよ。

    著者がジャーナリストなだけあって日仏良いところ/悪いところをソースを示した上で客観的に描写できるので、巷の子育てエッセイよりも俄然面白く、ときおり家族愛が文章に漏れ出てくるのが微笑ましい。

  • 本当に男女平等が実現できれば、今の日本に多い女性の上方婚(自分より学歴や年収が上の男性と結婚する)や男性の下方婚はなくなるだろうな、フランスやドイツなどの婚姻を書いたものを読むと、そう思う。
    まず相手が異性として魅力的であること。価値観が合い、家庭を協力して運営できること。それ以外はどうでもいいってことになるだろう。
    カリンさんは非常に優秀な人で、上昇志向も強い、所謂バリキャリなのだが、夫となる人に同じ要素を求めなかったのが幸せの秘訣ではないかと思う。
    じゃんぽ~る西さんのような男性の良さは、学歴や年収にこだわったら見えてこないだろう。(じゃんぽ~る西さんがすごい年収で高学歴だったら失礼なこと言ってごめんなさい。)
    実際、この本を読むと、じゃんぽ~る西の漫画がいかに面白く分かりやすく描かれているかよくわかる。
    逆にこの本だけでは、面白くないかもしれない。あくまで、じゃんぽ~る西の漫画とセットだから楽しめる感じ。つまり同じことを表現すれば、じゃんぽ~る西の方が上であり、それがカリンさんには魅力のひとつなのだろう。
    フランス人だから、愛がなくなれば、さっさと別れるだろうから、この二人がずっと夫婦でいるかはわからないが、彼らの幸せがどうやって成り立っているかを考えると、今の日本の夫婦に足りないものが見えてくる。
    女性の収入が男性より少ない、産休、育休を歓迎されない、家事育児は女性の仕事と思ってる人が多い、男性の労働時間が長く、家事育児をする時間・気力・体力がない、さらにはそれでもなんとかやれるでしょと社会が変わらない。日本のこういうところが改善されない限り、この二人のような夫婦はなかなか増えないだろう。少子化も進むだろう。
    じゃんぽ~る西の漫画とセットで政治家が読むといいかもしれない。

  • 雑誌「ふらんす」の連載でおなじみカリンさん。こちらはタイトル通り「子育て」をメインにした、もう少し軽めの内容です。ベビーフードやオムツ替えゾーンなど、日仏を比較して楽しく解説されていて、ちょうどその年齢のお子さんがいる人には興味深い内容だと思います。

    カリンさんのお子さんが小学生になった頃、第2弾が出版されたら読んでみたいな〜。パリの幼稚園・小学校をちょびっとだけ親として経験した感じでは、そこそこ好印象でしたが、さて、カリンさんの判定や如何に!

    もちろん、べったり子育て話ばかりではなく、ジャーナリストとしての鋭い発言もあります。「企業活動に参加する女性の数が低ければ低いほど、一家庭あたりの給料は下がり、消費活動は抑えられ、経済活動自体が萎縮してしまう。要は、構造自体が悪循環に陥っているのだが、日本政府は過去20年間の演説や公約の内容とは裏腹に、ひとつも実績を上げてこなかった。(p151)」とか。イタタタ……。

    カリンさんが引用している言葉、「赤ちゃんこそが、お母さんを作ります」には、今さらながら「そうか!」と思いました。「育児は育自」というのは何か抵抗があったんですよね。「育児は育母」なら、納得。良い母になるか、毒母になるかは分からないけど、とにかく「母」にはなるわけです。

  • ジャーナリストなるまでのバイタリティすごい
    フランスと日本の子育て環境や親の姿勢の違い
    2015年出版、いまは職場環境とか少しは良くなってる部分と、結局国の施策としては大して変わってないむしろ悪化してるかもな部分とあるなぁと2022年

  • 子育てには縁のないワタクシですが、「システムD」はよろずに応用が効きそう。
    ところで、パリの街にトイレが少ないのは相変わらずらしい。若い時分でも結構難儀したのに、あー。……オリンピックまでには何とかしてくれないもんかなあ。

  • 今の時代の比較ができているうえ、学者が書いていないリポートなので実情もわかるし、体験なのでよりリアル。
    日本の夫婦のあり方や海外の婚姻関係などもみんながもっと知ってほしいことがかかれていると思う。革命なども超えてきたフランスと島国日本の過去から切り離されない人間性が、子育てしーんでもよくでている。
    東京愛に溢れたカリンさんのレポートのつづきがぜひ読みたい

  • フランスと日本の育児(主に幼児期)の違いがわかって楽しかった。
    筆者はとても頭のよく素直な方なので、一概に日本・フランス全てがいいと言わず、良いところ悪いところを色々と書かれた。
    良いところはいい、悪いところは悪いと考えて、お互いの良いところと悪いところを組み合わせれば良いと思った

  • 無痛分娩が当たり前の選択肢にあるのかと驚き。

    フランス人の夫婦生活の考え方に驚き。
    だから子供は別で寝かせるのか。
    子どもとの触れ合いは幸せ。
    だけど、触れ合うほど、どんどんママになっていく。
    夫との触れ合いは女性としての自分を確かめる場になる。
    ママでは自分も大切にしないと、どんどん心が狭くなっちゃうのかもしれないな。

  • 面白かったです

  • リアルな日本がわかるのかもしれない。
    自画自賛して高揚していてはいつまでたっても本質が見えないのかもしれない。
    ただただ政治のせいにしていてはいけない。

    しかし、私はこうはなりたくないと、
    著書のなかのような者にはならない。

  • じゃんぽーる西さんのフランス生活マンガと嫁はフランス人を読んで、面白くて、妻のカリンさんも本を書いてると知り、手に取る。フランスと日本、双方の出産、子育て、教育事情を知るカリンさんからの、どちらが一番!てことではなく、違いを比較しながら、この点はフランス、この点は日本がいいとあげて論じてくれてるところが丁寧に感じた。フランスのヌヌー(乳母)を雇うのがポピュラーな点、フランスにもあったベビーカー論争などは特に興味深く。西さんとの出会いが、"「パリで暮らす日本人の生活を漫画にしました。書店では品切れですけど、アマゾンなら1円で買えます」サラリーマンの格好をした漫画家に、初対面でこう言われた。"てのが、なかなかインパクトありました。また、銀座にある、パリのカフェを再現していると言う「オー・バカナル」にも興味を惹かれました。

  • 外人さんが日本で何々をする(その逆も)っていうのは好き。よその国の事知りたいし。
    出産事情、子育て事情なんて女性だと興味あり。
    作者が日本をとても好いてくれるのが嬉しい。
    日本とフランスのいい所、悪い所もハッキリと書いてくれるし。
    とても面白い内容でした。

  • パリが子育てしづらいというのは意外だった。その他は期待していたより面白くなかった。

  • 著者が漫画家じゃんぽ~る西の妻ということで、じゃんぽ~るつながりで読みました。
    フランスと日本の考え方の違いは相当にあるものの、どちらの文化にもいいところも悪いところもあることを認めて受け入れる姿勢が好印象でした。

    フランス人がどのように日本を感じるのかを客観的に書かれてあるのが興味深かったです。

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