- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784479392903
感想・レビュー・書評
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本書はご本人曰く、初の「文芸もの」。
「言葉」が隠蔽しようとしているものが何であるのかについて。
「言葉」に強いこだわりを持って、紹介された何篇かの詩や言葉。
「ここで取り上げた詩作品の素晴らしさを読者と共有できるだけでも、この本を著した甲斐がある」とまえがきにあったけれど、共感したり、「国境を越えた文体」に圧倒されたり。どれも思わず書きとめておきたくなるような18章だった。青年時代の平川さんにもお会いできたようで、嬉しかったので★★★★★詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者は"やさしい人"だと感じました(でも、本文中に関連させると"あなたがそう思っているだけ"といえちゃうのか?)。
「言葉」にいちいち引っ掛かる人は、とても労力を使っているんじゃないかと思います。とても疲れる。自分は、そんな人が好きですね。本書は詩を中心に「言葉」を論じますが、時事的なものとか、幅は広いです。 -
まだ自分にはここに書かれている詩たちを理解するのは難しい感じがした。
でも、「伝わらないところで言葉が鍛えられる」というのは、なんだか納得できるような気がした。 -
言葉は虚しいときもあるけど、それを経験しないとわからない切実なメッセージがある。
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「年を取るほど計画性がなく愚かな人間が愛おしく思える」
言葉がうまく通じないその分だけ、思いは通じるということもある これは本当にその通りだと思います… -
「理解できるものは理解し、理解の困難なものは、そのままのかたちに〜自分の理解の領域にないものを、ただちに許すべからざる異質なものとして拒むという態度をおとりにならないで下さい」
この言葉がすごく刺さった
また「天皇は言論という道具を奪われている」の一文にも動揺した
普段の生活で天皇陛下のことを考える機会になんてめったにないけど私たちと変わらない一個人なんだとハッとさせられた
言葉、大事にしようとすればするほど嘘っぽくなって心の内に感じてることと若干ずれてて表現できない露出できないことに悲しくなる
小池昌代のりんごのひとつの重さだけで「あのひと」の不在を表したことにぞくっとした
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読み終えて、言葉を鍛える ならば、本当に多く人が紡いだ言葉を読み、それを自分の中で咀嚼し、アウトプットし続けなければ…鍛えられるものではないなあと思いました。
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安保闘争の頃の詩人何人か オーデン 平成天皇 司馬遼太郎はナショナリズムとは何でないのかを語っているがでは愛国心とは? リービ英雄 羽田浦地図1984と小関智弘さん 鈴木志郎康 「完全にコントロール」の嘘 鮎川信夫 吉本隆明
「日本封建制の優生遺伝子」振り返ると半世紀前、封建的なものからどうやって自由を得るか、は切実で、ひょっとすると他の例えば「何で生計を立てるか」のような現実的なテーマ以前に差し迫ったことだったように思われる。封建的なもの、権威主義的家族主義などはかなり解消されたように見えても、その一番忌避したかった要素が実は少しずつ形を変えて、「都合の良い上下関係で解釈した他者との関係性の中で図々しくも設定した自分の価値」にすがるような、おぞましいものになっているのかもしれない。戦地で親友を亡くし、内地で枕元に焼夷弾落とされ、それでも生き残って戦後の社会を築いた世代にあった良質な深みを、コロナ後の社会はまた掘り下げてゆくしかないのかもしれない。 -
人類は言葉なんてなくても生きていけるが、様々な言葉を生み出し世界を分節していった。今我々に必要なのは言葉のもつ温かみなのかもしれない。