さすらいのジェニー

  • 大和書房
4.29
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本棚登録 : 194
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479520269

感想・レビュー・書評

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  • 人間の男の子が猫になって冒険する話。
    面白かった。
    20ページくらいの章に分かれていて読みやすかった。
    挿絵が結構あってそれもまた良かった。
    猫ちゃんかわいい。
    作者は本当に猫が好きなんだなあと思った。
    ただ猫になったのは主人公の夢だったのか、それとも本当にジェニーは存在していたのか、
    気になる終わり方ではあった。
    他の訳で出ているがこっちの方が評価が高そうだったのでこっちを読んだ。
    古い本なのでわからない言葉がいくつもあった。

  • 新潮文庫版の方が売れているが、矢川澄子さんの訳が好きなのでこちらを読む。
    こちらは挿絵があって、なかなか良く、誰が描いたんだろうと見たら建石修志!幻想文学じゃん!
    彼が挿絵と表紙を描いていると知らない人多いんじゃないかな。
    挿絵はいいのだけど、表紙絵は良くない。何故かって、まず第一に、ジェニーはキジトラ白なんだよ。茶トラじゃないんだ。顔と胸が白い、肉球は黒いって書いてあるじゃん!走る姿は焦げ茶色って。猫が好きでない人にはトラネコとあるなら、茶トラでもキジトラでもサバトラでもよいのだろうけど、猫好きには大きな違いで、本当に残念だ。そして第二に、トラネコの縞の入り方が実際と違うんだ。よく見て描けばこんなことにはならないのだが、トラネコってこんな感じでしょくらいで上手い人は描けちゃう。猫に興味無いのがわかってしまう。第三に、この表紙の猫がなんだか可愛くないというか不気味なのは、泣いてるからじゃない。顔が、長すぎなんだ。縦に。猫はもっと上下の長さが短い。シャム猫などマズルが長い猫でも、これ程長くない。特に額が広すぎる。まるで人間に毛を生やして猫耳をつけたみたいだ。ジェニーは女性を擬猫化したんだから、という言い訳は成り立つけど、不気味すぎる。
    表紙に関しては新潮文庫の方が文章で描かれた猫に近い。

    しかし、内容は良かった。この作品は理想的な女性を描いたものだと言う人が多いし、実際こういう女性は(特に男性にとって)理想的なのかもしれない。ジェニーとルルはデイヴィッド・コパフィールドのアグネスとドーラみたいだと思った。ワガママな天然美少女に振り回されて、やっと本当に大切な女性に気づく、みたいな。男の身勝手。
    がしかし、猫好きとしては、やっぱり猫として読みたい。そしてそういう面もまた確実にあるのだ。猫の見返りを期待しない愛情の深さ、愛する人に裏切られた悲しみ、それでいて恨んだりしない潔さ。虚栄心もあるし、必要とあれば演技もする(ただしもっと食べたい時とかにするだけで、悪質ではない)。
    猫が気持ちのいいとき、フミフミするのは授乳の時の名残りだとはしっているけど、こんな表現にやられる。
    「ひもじさも渇きも消えうせ、おそろしさもいらだちもしずまって、ああ、ピーター、あのときの気持ち、あんなにうっとりするような、あんなにぬくぬくした気分ってあるかしら、—そう、それこそしあわせそのものなの。けっしてわすれられるものですか、おかあさんといっしょにすごしたあのときのこと。そのしあわせな感じが一生のこっていてね。そしてずっと時がたってあたしたちがすっかりおとなになってからでも、なにかほんとにしあわせなことがあると、てのひらや爪があのときと同じに動きだすの。生まれてはじめての、いちばんしあわせなときのことを思い出してね。」(P143)ああ、こんな気持ちなのね、そうだよね、と思い、乳飲み子なのに母猫から離す(挙句捨てる)人間許すまじと思う。
    ジェニーがバフから捨てられる時の気持ちなんかもね、捨て猫ってきっとこう感じてるよね、ってグッとくる。こういう書き方がギャリコは上手いんだな。

    見たところは取り立ててどこも特別ではないけれど、猫(あえて女性とは言わない)の素晴らしさが詰まった猫ジェニー。あなたのこと、忘れない。

  • 唐十郎さんのお芝居を見て、原作を読んでみた。児童文学の範疇かと思うが、冒険活劇と、少年の成長物語で、読みやすく面白かった?

  • ネコのことをよく理解している人だなあと思いました。読み応えがありました。
    人はいつの間にか、別の人生をこうやって体験しているのかも知れないとも思いました。

    質感のある児童文学でした。でも子供の頃に読んだら、もしかしたら半分も理解できなかったかも知れません。

  • 少年の冒険譚。

    彼女のために命も顧みず海に飛び込むのに、他の女性にのぼせ上がったり・・・男性、ですね。

    だからこそ、彼によりそうヒロインが愛らしい。

  • 新潮文庫の方も良かったが、矢川さんの訳も良い。なめらかですんなり入ってくる。
    主人公のジェニーは可愛らしいヒロインだ。

  • ジェニーに習っていったら
    自分も立派なネコになれそうな( ´艸`)

    人間よりも冒険的な物語にひきこまれました
    後半は、人間的な心理描写も

    古沢安二郎訳と読み比べて
    どっちをメインにしようか迷ったけど
    矢川澄子訳が、断然よかったと思います!

    かどのえいこさんおススメ本

  • 高校以来の再読。この小説は本当に良い。号泣した。美しいジェニーにまた会いたい。

  • 85点。猫好きにはたまらない。矢川澄子の訳も素晴らしい。
    字が細かくて今の中高生には薦め辛いのが難点。
    (つづきはまた今度)

  • 私には矢川澄子さんの訳が読みやすく感じた。

    友人にすすめられて読んで以来、手放せない1冊になりました。

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著者プロフィール

1897年、ニューヨーク生まれ。コロンビア大学卒。デイリー・ニューズ社でスポーツ編集者、コラムニスト、編集長補佐として活躍。退社後、英デボンシャーのサルコムの丘で家を買い、グレートデーン犬と23匹の猫と暮らす。1941年に第二次世界大戦を題材とした『スノーグース』が世界的なベストセラーとなる。1944年にアメリカ軍の従軍記者に。その後モナコで暮らし、海釣りを愛した。生涯40冊以上の本を書いたが、そのうち4冊がミセス・ハリスの物語だった。1976年没。

「2023年 『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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