歩いてまわる小さなソウル

著者 :
  • 大和書房
3.83
  • (1)
  • (3)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 42
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479782544

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 年末年始のソウル旅のレポートです。本の紹介は巻末にあります。

    2023年12月28日(木)晴れ 2日目

    仁寺洞で、2つ3つ用事がある。①一つは両替すること、②一つは安い宿を探すこと、③一つはキムチ博物館に行くこと。仁寺洞の様な観光地はあまり回りたくないが仕方ない。

    9時前に宿を出たのに、その全てで施設が開いてない。韓国という国はスロースタートなのである。ちょっとぐるぐるまわる。②安国駅前観光案内所は、9時半開店。ガイドはやはり日本語できなかったけど、その前に「安い宿なんて、そんなもんわからないわ」という反応。もう諦める。

    ②で仁寺洞観光地図をゲット。そしたら近くに公平都市遺跡展示館のパンフあり。朝鮮時代遺跡だけど、遺跡をそのまま保存していて、良さそう。いってみた。素晴らしい博物館だった。地下3階をまるまる遺跡保存展示館にしている。韓国は、新しければ新しいほど、見応えある博物館になる。

    ②の観光案内に1919年(日本の植民地化に反対する)3.1独立運動故地が載っていた。
    一つは独立宣言を作ったところみたい。独立宣言全文のプレートがあった。
    一つはスンドン教会。ここを拠点に活動家が動いていたらしい。
    すぐ近くにタプコル公園という宣言を発表して街中をデモ行進したことを記念する公園があるけど、その他で3.1関連地を見かけたのは、これが初めて。

    ③キムチ博物館に行く。準備段階で読んだ「ぶらり歩きソウルの博物館」に、古代の土器が展示されていると書いていたからだ。無かった。あれが「古代」ならば紛いもんだ。しかもキムチ試食ができるのがウリなのに、爪の先ほど少しで、食べれるのは普通のキムチ3種のみ。ボッタクリだね。まぁいいんだけどね。

    ①民間両替店が空港のそれよりもお得だというのはホントだった。3万円の両替で正味1万5千ウォンほど差があった。でもこれで、宿賃に全部「現金」を持っていかれたら、この両替をほとんど使ってしまう。どうしよう。

    もう一つ観光案内所があったので、ダメ元でもう一度聞く。ここも日本語ができなかったけど、お互い翻訳アプリを持っていて、細かい意思疎通ができた。よって、少し狭いけど、4.5万ウォンの宿が見つかった。しかもカードOKだって。これで、ほぼ現金の枯渇を心配しなくて済む。

    江南の崇実大学博物館に行く。13時前に着いた。のに、大学だから、安くて美味しそうな店がスズナリかと思いきや、全く食堂がない(後からわかったけど、反対側に若者の店があった)。探すこと20分、「サンドククス」という店でビビンククス(辛いソーメン)というものを頼んだ。おばちゃん一人で切り盛りしている小さな店。突き出しに出たスープがしっかり出汁が効いていて、もっとあっさりしたものを頼めばよかったと思う。

    崇実大学博物館は、比較的直ぐに見つかった。
    三階建ての立派な施設。行ってみて判明したのは、キリスト教系の大学校らしく、1階2階の展示物はキリスト教関係の歴史だった。3階に私の目指したものがあった。(以下ホームページの説明)
    代表的な遺物としては岩寺洞遺跡出土の大型櫛目文土器と伝忠南論山出土の多鈕細文鏡(国宝第141号)、そして全南霊岩出土の青銅器鋳型(国宝第231号)などがあるが、特に多鈕細文鏡と青銅器鋳型は韓国の青銅器の精巧さと製作技術の優秀性を端的に示すもので本博物館の目玉となっている。これ以外に葬玉などをはじめとする中原文化の色彩が色濃く反映された楽浪遺物もやはり他の博物館ではあまり見られない特徴的な遺物である。

    青銅器時代に移って、突然石鏃が大きくなる(戦争用?)ことや、純粋に鐘を鳴らすための青銅鐘があり、大型の鐘はやはりないということも興味深い。また青銅鏡も多数展示されていて、日本のような独特の模様(獣神鏡)は一切なかった。

    ‥‥その他興味深いところはいくつかあったので、下に降りた時にガードマンの人に「図録はないのか」聞いた。今回は翻訳アプリが大活躍した。しかしそれでも、向こうは勝手にしゃべるので少し苦労したが。
    以下主なやりとり。
    「いや、私の関心があるのは古代のみなんです」
    図録の展示場に連れて行ってくれる。研究本だけど、青銅器製作過程の本だったので、
    「これは売ってもらえますか?」
    「差し上げます」
    「いや、わるいです」
    どうやら上司となんか相談したらしい。一冊3キロぐらいありそうな440ページの上製本の大型図録を持ってくる。これも無料でくれるそうだ。
    「私は専門家ではないので、こんな立派な本は悪いです」
    全然構わないという。こんな分厚い本、あとあと困るのは目に見えているのだけど、本来図録はたくさん買って帰るつもりだったので、心が動いた。
    「こんな立派な本を無料で渡して、貴方は怒られませんか?」
    と聞いたのが、火に油を注いだのか、さらに英語の小さな総合図録と、クリアファイルセットも「プレゼントです」と言ってくれた。紙の手提げ袋も用意してくれた。クリアファイルは、伊藤博文暗殺で韓国では英雄の安重根の「書」のファイルである。私には嬉しかった。そういえば博物館には、彼の獄中からの書もいくつか展示されていた。みたらわかるが、彼はかなりの知識人なのである。
    結局、たぶん相当困るのはわかっていたけどもらって帰ってしまった。

    3時過ぎ。大学前のマクドナルドで、次の行く場所を検討したら、ソウル大学入口駅までは約30分でいけそうと判明。行ってみよう。ところが、入口駅からいくらあるけどもソウル大学の表示がない。そこで初めて地図で確認したら、駅からバスで10分ぐらいかかる所だった。もはや間に合わない。失敗の巻。

    ウルチロ4街まで帰って、鄭さんおすすめの「見た目は小さな雑貨屋だけど、居酒屋にも変身する店」シュポに挑戦しようとした。一見飲み屋ではないけど地元の人が飲みに集まってくる場所、‥‥やはり敷居が高くてとうとう入れなかった。そのあと鍾路まで戻る。

    鄭さんお勧めヘンボックチブ(幸福店)に入る。「1人です」と言っても、どうぞどうぞと言ってくれて、とっても嬉しい。テンジャチゲ(味噌鍋)と、光化門マッコリが売り切れだったのでチンジユマッコリにする。結果、あっさりしていて、飲み干してしまった。副菜のキムチ3皿がつく。白菜キムチ、大根細切りキムチと海藻キムチである。海藻キムチが1番美味しく結局お代わりした。基本的に副菜はお代わりできる。テジャンチゲは、ワタリガニとコマク(灰貝)とニンニクの出汁が出ていてとっても美味しかった。「孤独のグルメ」ならば、ここでもう一品追加する所なんだろうが、私は健康上できない。

    隣の二人組がずっと1人だけ喋っている。昨日もそうだった。韓国の居酒屋では、3人組、2人組では、1人が一方的に喋って、1人が時どき合いの手を入れるというのが、普通なのかな。その中で、何回も何回も「イルボン」「イルボネ」と、もう何十回(もしかしたら百回)言葉が出てくる。これは多分「日本」ということではない。「1番」ということだ。

    早めに宿に入ってテレビを見ながら寝てしまう。深夜映画はやはりソル・ギョングとかの大御所俳優の作品が流れていた。

    歩数 22988
    キムチ博物館4500、昼食7000、マクドナルド2000、パン1700、夕食11000、宿賃40000
    計 56200

    「歩いてまわる小さなソウル」鈴木ちひろ 大和書房
    2012年発行

    日本や韓国を行ったり来たりしながら、インテリアや雑貨、ファッションやグルメなど、韓国のかわいい&美味しい情報を紹介してきた人。当然私の感性とは合わず、旅の前に図書館で借りたけど、持っていかなかった。

    • kuma0504さん
      なおなおさん、
      日本の価値観とは違いますよね。こんなところが旅の面白いところです。
      安重根記念館はソウルタワーの横にあり、そこには彼の書が何...
      なおなおさん、
      日本の価値観とは違いますよね。こんなところが旅の面白いところです。
      安重根記念館はソウルタワーの横にあり、そこには彼の書が何枚も展示されています(全部漢文です)。
      確か、どこか他の博物館にも彼の書が展示されていた記憶もあります。この博物館にあるのは、彼が獄中から送った書です。ちょっと今手元にないので、内容までは検討できませんが、韓国民にとっては、何もできなかった朝鮮王族、日清戦争の端緒となった朝鮮王妃の殺害、またはその直後の農民戦争での数万人の惨殺の責任を伊藤博文にとらすこと、初めていち知識人が公に行動に移すことで、朝鮮民族のプライドをギリギリ保った、日本の敗戦までなんとか持ち続けたという「国民意識の感謝」があるのではないか?

      テロという方法が、私も正しいとは思いませんが、では何ができたのかは答えることができません。
      2024/01/05
    • aoi-soraさん
      くまさん、お帰りなさい!!
      1日目のレポートも読ませて頂きました。
      久しぶりの韓国を楽しんでいる様子が目に浮かぶようで、こちらまでワクドキで...
      くまさん、お帰りなさい!!
      1日目のレポートも読ませて頂きました。
      久しぶりの韓国を楽しんでいる様子が目に浮かぶようで、こちらまでワクドキです^⁠_⁠^

      “3人組、2人組では1人が一方的に喋って、1人が時々合いの手を入れる”
      という、くまさんの人間観察が面白いですwww

      それにしても翻訳アプリって、スゴイですね。
      2024/01/05
    • kuma0504さん
      aoi−soraさん、こんばんは。

      ホントは、ちゃんと韓国語を聞き取って、彼らが何を喋っているのか、一人で飯を食べながら(一人メシはたいて...
      aoi−soraさん、こんばんは。

      ホントは、ちゃんと韓国語を聞き取って、彼らが何を喋っているのか、一人で飯を食べながら(一人メシはたいてい私だけ)聞き取りたいぐらいです。それほどに彼らの話す声は大きい(๏Y๏)。ハッ、翻訳アプリで聴き取り翻訳すれば良かったのか!

      いつ外国人と話す機会があるかわからないので、絶対翻訳アプリを使いこなす練習はしておいた方がいいですよ!これから書きますが、韓国人は普通にそれをやっています!
      2024/01/05

鈴木ちひろの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×