天才脳を鍛える3・4・5歳教育 ~就学前にやるべき「久保田式学習法」~

著者 :
  • 大和書房
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 13
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479920373

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 三つ子の魂百までとかよく言うが,これは神話であり,三歳前後で脳の成長・発達が劇的に変わるとか,特殊な変化が起こるとかいったことは脳科学の世界では報告されておらず,科学的な根拠はない。
    とはいえ,三歳までの子育てが脳にとって大事なこともまた事実である。しかし,三歳までが五歳よりも大事と言うわけではなく,本書では,そんな三歳から五歳までの子供の成長を手助けするにはどういったことに留意すべきかを記している。

    脳を働らかせる時に必要な神経回路の元となるニューロン(神経細胞)は妊娠6ヶ月頃から作られ始め,ニューロン同士が繋がることで神経回路ができ,脳が働くようになる。このニューロン同士をつなぐ繋ぎ目がシナプスであり,シナプスは誕生直後から増え始め,生後八ヶ月から三歳ぐらいの間に密度が最大になる。シナプスは増やすだけではだめで,脳に刺激を与え,体の様々な部位を動かさなければ神経回路は繋がらない。二歳から三歳半頃までは,感覚刺激に対する反応が非常に良くなるため,この時期に適切な感覚刺激を与えないと,反応が鈍かったり,刺激をうまく受け入れられなくなるという。誕生から三歳までの時期は,とにかく適正な刺激を与え,脳の容量を増やし,神経回路をつなぐことが必要なのである。

    三歳から先は脳はどのように変化するのだろうか。ニューロンやシナプスは今までのように劇的に増えることはない。これからは,神経回路をより蜜にすることが必要となる。さまざまなことが無駄なく,スムーズに行えるようにしていく訓練を毎日行うことが必要だ。この訓練が学習であり,絵を描き,本を読み,歌を歌い,指先を使う,外で体を使って遊ぶことが何より重要になる。本書ではこれらのことを学習と呼び,よく行う事が必要な学習について,以下の9つをあげている。

    1.規則正しい生活習慣:生きるために最も大切なのは,脳が正常に機能すること。そのためには一定のリズムで生活出来ることが必要だ。毎日決まった時間に起き,食事をし,勉強をし,寝ることが大切。

    2.歌う・踊る・演奏する:聴くことは,見る事,考えることより軽視されがちだが,聴力を鍛えないと,聞いたことが理解出来ない,理解するのに時間がかかって,コミュニケーションがうまく出来なくなる。そのため,歌って・踊って・演奏し,脳の広い領域を使いつつ,聴く力を養うことが必要だ。

    3.絵を描く:5本の指を一本ずつ自分の思うように動かせるように,道具を上手に使い,新運動野という領域を鍛えることが必要だ。これはピアノを弾くことによっても同様に鍛えられる。

    4.数字・文字を覚える:言葉だけ出なく,生活の知恵を増やすため,数字や文字に興味をわかせていくことが必要だ。まずは,好きな字や数字から無理せず少しずつやってみよう。

    5.絵本を読む:ストーリーによって考え,想像する力を伸ばす。ここでは文字を読ませる必要はなく,絵を見ることで,知識を増やし,世の中のものに興味を持たせることが重要だ。絵本の中に書いてある絵と,実際にそれを街の中で見つけながら,知識を増やして行くことが良い。

    6.外遊び:手・足・体を使って脳を鍛える。特に走ることが重要だ。走るためには,バランス,方向,タイミングが必要かつ,瞬時瞬時に判断することが必要であり,脳を鍛えるのに非常に効果的である。ボールを投げることも,走る事と同様に,どのくらいの力で,どの方向にといったように前頭前野が判断するため,脳と指先を鍛えることが出来る。

    7.グループで遊ぶ:友達を通して,知識や経験を増やす。早い時期から友達を作り,楽しく活動できるようになった方が,その場で得られる知識や経験の量が増え,脳をより発達させることが出来る。そのためにも,なるべく多くの子供がいる環境に慣れさせ,そのなかで自分の居場所を見つけ,どんな子とでも会話が出来,一緒に遊べるようにしていく必要がある。

    8.自分のことは自分でする:どこに何があるかを覚えさせ,きちんとした習慣を付けることが必要。習慣にするには,置き場所を決め,自分で片付け,そして,出すようにする必要がある。帽子やかばんなどは,幼稚園に行くようになると,いろんな準備をしなければならなくなる。靴をそろえる,ハンガーにかけるなど,親が見本を見せながら覚えさせて行く。

    9.衛生習慣を身に付ける:外に出て,たくさんの人と触れ合うと,病気にかかりやすくもなる。病気にかかると,学習が遅れることになる。健康維持や予防対策もこの時期からきっちりと身につける。マナーや健康に関する基本的なことを覚えさせておく必要がある。

    これら9つの学習について,ステップ1,2,3と徐々に上げていけるよう,例示しながら分かりやすく説明している。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1932年、大阪生まれ。京都大学名誉教授、医学博士。1957年に東京大学医学部卒業後、同大学院に進学。当時、脳研究の第一人者であった時実利彦教授に師事し、脳神経生理学を学ぶ。大学院3年目に米国・オレゴン州立医科大学に留学。J・M・ブルックハルト教授のもとで、脳科学における世界最先端の研究に従事。帰国後、東京大学大学院を経て、1967年に京都大学霊長類研究所神経生理研究部門助教授に就任。1973年、同教授に就任し、同研究所所長を歴任する。1996年、定年により退官、同大学名誉教授に就任。その後、日本福祉大学情報社会科学部教授、同大学院教授を経て、2007年より国際医学技術専門学校副校長に就任、現在に至る。特定医療法人大道会・森之宮病院顧問。日立製作所中央研究所(旧基礎研究所)顧問。ブレインサイエンス振興財団理事。2011年、瑞宝中授章受章。
朝4時半起きで仕事をする「朝活」を50年以上実践。ジョギングは30年以上、毎日続けている。
著書に「天才脳を鍛える3・4・5歳教育」(大和書房)、「あなたの脳が9割変わる! 超「朝活」法」(ダイヤモンド社)など多数。

「2016年 『くぼた式0ヵ月~12ヵ月の 脳を鍛える育児ダイアリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

久保田競の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×