不均衡進化論 (筑摩選書)

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著者 : 古澤満
  • 筑摩書房 (2010年10月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480015051

不均衡進化論 (筑摩選書)の感想・レビュー・書評

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  • ダーウィン進化論では説明がつかない、カンブリア爆発や現在の生命の多様性。その謎を見事に解き明かす、新進化論。それが「不均衡進化論」。

    本書で著者は「不均衡進化論」の「唯一にして最大のコンセプト」を「元本保証された多様性の創出」としています。

    ここで言う「元本保証」とは、ただ単に、変化のおおもとである「元本」を次世代に残すことを意味していません。不均衡進化論は「おおもとである元本はもちろん、そこから変化した”すべて”のDNAパターンを守る(次世代に残す)」しくみであることが特徴です。
    そして、この「保護のしくみ」と、「必要に応じて変異率を増減することができる多様性創出のしくみ」の両方を併せもつことで「元本保証された多様性の創出」を可能としています。

    科学的・具体的なしくみは、本書をご覧いただければと思いますが、著者の専門的な理解と、高く・適切な表現力が融合し、本書は素人の私でもすんなりと読み進めることができかつ、最先端の科学をとても分かり易く理解することができる良書です。

    さらに、著者はあえて、本書の最終章に「生命の美学」という章を配し、心の領域や人間社会の構造と生命科学との関連について、論じています。
    最終章に限らず、本書を読み進めていくと生命科学の最先端理論の話にもかかわらず、そのしくみや構造からは、われわれが日々身近に感じている様々な組織的なもの(社会構造や人間関係、自然体系そのものに加え、その体系的な難しさや美しさなど)との親和性を強く感じました。
    生命科学とわれわれの日常は、想像以上に密接に関連している。そう考えさせられ、われわれの日常にヒントを与えてくれる一冊です。

    【本書抜粋 著者】
    遺伝と進化はもともと正反対のベクトルをもった相容れない性質のもので、生物は保守と革新、不変と変化、正確さと曖昧さという本質的に矛盾する二つの性質を実現していかなければならない宿命にあります。
    (中略)一つの個体が、保守と革新(あるいは不変と変化)という、二つの相反する性質を同時に実現することは論理的にいって無理というものです。いくら頑張ってもこの問題を一つの個体で解決することは無理ですが、しかし、集団であれば、この矛盾を解決できます。
    ーーー

  • DNAには方向があるので、二重鎖を開いて複製を進めていく際、順方向のもの(連続鎖)はスンナリ複製が進むが、逆方向のもの(不連続鎖)の複製は、岡崎フラグメントという短い順方向の鎖をつなぎ合わせるという複雑な手順になる。そのため、不連続鎖はエラーが起こりやすい(突然変異が起こりやすい)。変異が連続鎖も不連続鎖も同じようにランダムに起こるというメカニズムに比べて、不連続鎖にのみエラーが集積するというメカニズムには利点が多いという。変異の少ない連続鎖の系譜が世代を経ても保たれる一方、不連続ー連続ー連続、、、のように変異が少なめのDNAから不連続ー不連続、、、のように極めて変異が大きいDNAまで、バラエティに富んだDNAがそろう事になり、進化を促進することになる。著者はこれを「元本保証された多様性」と呼ぶ。今のところ仮説に過ぎず、確認されてはいないようだが、なんとなく正しそうな説。

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生物は、遺伝子に偶然生じた突然変異によって進化する。だが、突然変異の多くは有害だ。偶然にまかせていては、進化どころか絶滅してしまうのではないか?この矛盾を解く鍵は、DNAが自己複製の際に見せる奇妙な不均衡にあった-。カンブリア爆発の謎から進化加速の可能性まで、生物進化の見方を劇的に覆す画期的な新理論。

不均衡進化論 (筑摩選書)はこんな本です

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