グローバル化と中小企業 (筑摩選書)

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著者 : 中沢孝夫
  • 筑摩書房 (2012年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480015358

グローバル化と中小企業 (筑摩選書)の感想・レビュー・書評

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  • JMOOC OpenLearning, Japan「グローバルマネジメント(入門)」Week4参考文献。

  • 中小企業の海外進出について。

  • お勉強に適している

  •  本書は、一般的にいわれている日本製造業の「空洞化」という認識に真っ向から反対している「反空洞化論」であると思った。いわゆる日本の製造業の空洞化が進行しているとの経団連などの主張に対し、ではなぜ円高が進行するのだろうとの違和感をつねづね感じていたが、本書を読んでその誤りがわかった思いがした。
     本書では、日本のおかれている現状は空洞化ではなく、「日本のものづくりの変化と、東アジアという広がりで協力しあう国と地域で日本の中小企業の技術や技能が新しい意味と役割を獲得しつつあることの実証である」としている。
     「東アジア諸国を国ごとに捉えるよりもひとつの地域として考える」とした視点は説得力がある。それは「空洞化」ではなく、産業構造をめぐる諸条件の変化であり、それへの対応を適切にできている中小企業は大きく発展しているというのだ。
     本書のもうひとつの視点は、具体的な中小企業の活動への徹底した現場調査だ。迫力ある具体的な調査は、説得力があると共に興味深いと感じた。
     また本書で指摘している「歴史経路依存性」の概念も興味深かった。それぞれの国の歴史の経路からその後の途上国からの離陸・近代化する条件の考察は説得力があると感じた。
     ただ、本書はもっと「日本の製造業の空洞化」という世間の主流の主張をもっと徹底して批判し、それを覆す主張をしてもよかったのではないのかとも感じた。本書は、海外で活躍する中小企業を足で取材した良書であると思う。

  • 気になったフレーズを抜粋。


    ●日本人事(労務行政研究所)
    1999年の調査の時は進出にあたってのトヨタの周到さ、ということが印象として残ったのだが、吉木氏の報告を読んでいると、結構舞台裏は中小企業並みの「ドサクサ」だったということになる。
    確かに仕事の多くは、無我夢中でその場のことを間に合わせることによって、うまくいったり、いかなかったりしながら進み、「後になって苦労が笑い話」になるのかもしれないのだ

    ●3人の大企業のホワイトカラーの事例を見ると、
    「あらかじめ知っていた」あるいは「教えられていた」という仕事はない。
    じぶんでぶつかって、自分で対処方法を考えるのが仕事である、という事実がはっきりとわかる。


    Will やりたいこと
    Can できること
    Must やらねばならぬこと


    絶えず広がっているのがmust
    Mustをたくさん経験することが、canの領域を広げ、そのことがwillという目標を明確にすることにつながる

    職場人生とはmustの連続である。
    大切なことはmustに飛び込み、それを経験し、canにつなげる潜在能力である。
    人は誰でも保守的だ。新しいことに取り組むのはしんどい。慣れた場所はラクだ。しかしそれで人生が広がるのか


    ●大事なことは、目の前にある仕事に全力で取り組み、
    「必要なのは目の前に次々と訪れる状況を受け入れ、自身がとり得る最高の対応を重ね、成果・失敗から学び続けることなのだ」と述べているのも、納得がいく。

  • 日本の中小企業の底力をもってすれば、グローバル化の世界で十分戦えるので積極的に飛び出していく気概を持つべき、という主張。恐れているだけでは何も生まれないといいう点ではその通りだと思います。ただし、やっぱり冷静な事業検証が必要なのではと思ってしまうのは自分が管理屋さん思考だからかなぁ。

  • 「飛び込んでいく勇気を持つこと」が大事。生のアジアを知る貴重な意見。

  • 参考になった点
    ・中小企業が海外赴任者に求められる資質、海外進出に必要な事項、中小企業に求められることが整理できた。
    疑問に思った点
    ・個別企業の成功事例から「海外進出をした企業は、国内事業も延ばす」との結論を導いており、失敗事例を取り上げないで良いのか?と思った。

    海外赴任者に必要な事項
    ・知らない場所に飛び込んで行く勇気
    ・相手に伝えるべき経験知を持っている
    ・タフな精神
    ・現地の言葉を覚える意思
    とあった。私はこれに「健康」と「帯同する家族の理解」を加えたいと思います。聞き取り調査や他の文献からの引用に頼って論じており、著者自身の経験談がなく物足りない感じが正直しました。

  • アメリカのメーカーが標準化された部品を集めて組み合わせるタイプの商品軍の設計、開発をして、すり合わせが必要な重要部品は日本頼み、労働力の大量動員部分は台湾企業にアウトソーシングし、台湾企業の労働力は中国から調達するという東アジアのネットワークにアメリカも参入している。人、もの、金、情報の相互依存と相互交流の進化と深化は過去の概念や切り口、あるいは国際比較の方法論では読み解くことができない事態を発生させている。

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グローバル化と中小企業 (筑摩選書)の作品紹介

景気の低迷や超円高により、いまや中小企業もグローバル化を生き延びようと海外への進出を加速している。企業の海外進出が進むと日本は空洞化する、という危機論が必ず出てくる。だが、それは本当だろうか。日本の製造業は、規模の大小を問わず、代替のきかない開発力と技術力の優位性で、国内競争を勝ち抜いてきた。それは海外でも同様で、海外進出した企業ほど、国内でも成長している。本書は東アジア諸国への進出を果たした中小企業の現場をレポートし、グローバル化に真に必要な要件を検証する。

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