災害弱者と情報弱者: 3・11後、何が見過ごされたのか (筑摩選書 47)

著者 :
  • 筑摩書房
3.22
  • (1)
  • (2)
  • (5)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 73
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480015464

作品紹介・あらすじ

東日本大震災・原発事故後、私たちはおびただしい量の情報に曝された。錯綜する情報は人びとの不信を誘発する一方、時間とともに被災者を置き去りにして移ろい、結果として社会的弱者を生み出していった。本書では、3・11後のマスメディアおよびインターネットの膨大な情報を精緻に解析、その偏りと格差、不平等を生み出す社会構造を明らかにし、「災害」と「情報」に対する新しい視座を提示する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99414788

  • 1 災害弱者ー3・11被害とその背景にある社会
    2 情報弱者ー震災をめぐる情報の格差
    3 震災後3か月間の情報多様性
    終 「私たちが持つべき視点」の獲得に向けて

  • 【配架場所】 図・3F開架
    【請求記号】 369.31||TA
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/156794

  • 限界があるとはいえ、ウェブメディアよりも新聞の方が多様であるという意外な調査結果が出ていることは興味深い。しかし、タイトルの災害弱者と情報弱者の実態にはあまり踏み込めていないように感じた。今後の調査に期待。

  • 震災後のメディアと住民のかかわりについて俯瞰できる。

    是正すべき情報格差と捉えるか、進化系統のちがいととらえるか
    情報格差=
    ① 個人の情報入手/利用環境の状況に付随する情報環境の格差
    高齢者、収入、東北は特に岩手
    被害格差、経済格とリンク
    情報格差は支援呼び込み格差にもつながった
    ② メディアに取り上げられる/関心を持たれる情報・トピックスをめぐる格差
    全体の傾向【メディアの部分的機能が失われていたことや分業化などさまざまな制約により被災地では総体として「情報の断片化」が起こっていた】
    ※平常時ならばメディアに流れる情報はバラバラながら重なり合っている(のりしろ):情報の統合困難な状態→口コミによりつなぎ合わせ
    「口コミ」:情報のつなぎ合わせ/関東では流言が悲劇をまねいた/口コミが最良かつ確実な情報であった!!
    「インターネット」:情報のつなぎ合わせ機能(とくにSNS、メールと電話も普通に2、3日+電池)震災直後から接続できる環境
    「石巻日日新聞」:震災後6日間にわたって手書きの壁新聞
    メディアの分業:仙台市の例
    河北新報-地元情報(ガソリンの残存状況、医療機関)
    全国紙東北支社−現地の情報を全国に向けて伝える+救援状況の状況(マクロな情報)
    ラジオ−震災後の利用率は一番高かった(51%)AM, 地元FM地域密着型の情報を不眠不休で伝える
    テレビ、ワンセグ(電気復旧(格差あり)後)-ローカル(地元情報)
    <ラジオで情報把握→テレビで実態を知る>
    あまりにも生々しい映像は被災者にとって辛いものになり見ていられなかったとするひとも

    全国報道
    地震→原発へ (津波は増減を繰り返しながら安定している)
    Kamada-kawai アルゴリズム
    ぬまでぃの論文
    原発によってほかのこと(地震、津波)がみえづらく
    →ブログ(kizashi.jp)にも影響
    地震・津波→原発事故→低線量被爆、内部被爆
    住民の意見形成:他のメディアからの強い影響、依存関係
    ☆ 情報多様性(CDI)の測定(Voakes 1996)
    ~情報コンテンツの種類。各コンテンツ種に含まれる情報量、全体の情報量
    ☆スピアマン順位相関係数(Spearman’s Rank Correlation Coefficient)

  •  タイトルで職場の本屋の平積みから購入。

     ちなみに、今いる庁舎が一緒に入っている厚生労働省の関係で、医療関係の本が多い。これも意外とマニヤックでおもしろい。この本は前の職場の本屋。随分、役人も仕事によって読む本が違う。

     意外だったこと。

    (1)情報の多様性という観点からは、新聞が一番がんばっていて、yahooニュースがその次、ツイッターは一番偏りがある。(p135)

     新聞は、世の中的には受けない情報であっても、無理して、両論を載せたりするが、yahooニュースやツイッタ-は、読者に読まれない記事はどんどん削除される。

    (2)震災報道の減り方は、新聞ががんばっていて、yahooがその次、ツイッターは最初に減っていった。yahooの分析では、震災報道が減っていって、読者は、芸能スポーツ報道に興味が移っていった。(p119)

     yahooの分析では、堅い情報は驚くほど読まれていないらしい。確かに、うちの嫁さんも結構yahooニュースで芸能のジャンルを読んでいる。情けないけどこれが日本の現実らしい。

     一般的な常識だけど、定量的に分析した点でおもしろかった点。

    (3)新聞報道の項目では、朝日と読売が似通っていて、その内容では、読売と日経が似通っている。(p144)

     常識的に朝日と読売は、一面で同じ原発の報道を扱いやすく、内容は朝日が脱原発で、読売と日経が原発の当面の活用をいうのだろうから、勘と合っている。

     このたぐいの本で、常識を裏付けるデータと知らなかった意外なデータとどっちが印象に残るだろうか。

     僕は圧倒的に後者だが、学術的には前者も重視されるのだろう。

     とにかく、さらっと読めました。

  • みんながみんなWebにアクセスできたわけではない。
    これからはそれが重要。インターネットでブログを書くアマチュアジャーナリストが多い

全8件中 1 - 8件を表示

田中幹人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×