100のモノが語る世界の歴史〈1〉文明の誕生 (筑摩選書)

  • 184人登録
  • 4.10評価
    • (13)
    • (10)
    • (6)
    • (2)
    • (0)
  • 15レビュー
制作 : Neil MacGregor  東郷 えりか 
  • 筑摩書房 (2012年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480015518

100のモノが語る世界の歴史〈1〉文明の誕生 (筑摩選書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 「泳ぐトナカイ」に衝撃。紀元前11000年前の人類が、マンモスの牙を使って作成した彫刻作品。単純に出来栄えに脱帽しました。実物見たら、もっと驚いたんだろうし感銘を受けたんだろうな、と思います。
    過去の人間をなめてはいかん。

    オーパーツを語るときに未来からの干渉が出てきますが、そんな人たちにはこの「泳ぐトナカイ」見せてやりたい。そして、過去をなめるなよ、と言ってやりたい。なんの理論もないけれどさ。そもそもオカルト方面の話なので、違う話なんですけどね。

  • モノ史

  • モノは言語で書かれた資料より雄弁かつ正直に歴史を語る。日本でも2015年に開催された展覧会の元ネタとなった、大英博物館がBBCと企画し2010年に放送されたラジオ番組、NHKでその中から30話分くらいを日本語化したのを聞いたがとても面白く、残りのモノたちの話も知りたくて手に取った本(英語がすらすらわかればラジオのほうもちろん聞きたいんですが)。第1巻は紀元前300年までの世界の歴史を30のモノから読み解く。ただの破片みたいな石斧とか、おもしろーいだけに見える稚拙な彫りものが何てたくさんのことを教えてくれることか。でもモノは全ての人に語りかけてくるわけではない。ことばを引き出すのは、モノに丹念に向き合う大英博物館の人たちだ(もしかしたらそこに「解釈」が入る危うさはあるかもしれない。遅れてると馬鹿にされていたヨーロッパ北部の話をするときはマクレガーさんの筆致がかばい気味な気もするし)。あと科学の進歩っていうのも重要だな。1巻で気に入ったエピソードは、全部おもしろいのだけど、「アイン・サクリの恋人たちの小像…これは考えすぎではないか」「ウルのスタンダード…実物を見たけど本当に美しい青だった。描かれた情景も上手い」「フラッド・タブレット…解読したジョージ・スミスって偽名っぽい」「パラカスの布…かわいいけどよく見ると怖い」「オクソスの二輪馬車の模型…かわいい」です。ほんといい企画です。

  • 博物館フェチで考古学ファンの私は、当然のことながら、大英博物館の展示物をして世界の「歴史」を語らせようとするこの企画に全面的に喝采を送りたい。同じような企画が日本の国立博物館にもあって然る可きだとも考える。ただし、事件史や人物史を想起させる歴史とは言わずに、人類史という可きだとは思うが。

    私の関心はご存知の通り、弥生時代後期である。よって、古代までの人類史に注目が行くので、それまでの関連遺物にだけ注目するのを許して頂きたい。

    どんな遺物にしても膨大な情報が詰まっているのだから、素晴らしい案内人を得れば、素晴らしい物語が紡ぎ出されるのは理の当然。

    先ず素晴らしいのは「オルドゥヴァイの手斧(タンザニア、120ー140万年前)」である。この手斧の形はあらゆる博物館で見ることができる。まさに100万年の超ロングセラーだ。しかもそれよりも40万年ぐらい前の人類最古の打製石器(オルドゥヴァイの石のチョッピング・トゥール)よりも遥かに美しい。「この手斧を作るには綿密な集中力と計画的な創造性が必要であり、それは我々の祖先の世の中に対する見方と彼らの脳の働きとに多大な進歩があったことを示唆している」(51p)この手斧を作る技術は、より良い衣食住を整え、世界に旅することを可能にした。暖かいサバンナからより寒い気候の中で生き延びることになっただろう。技術を可能にした会話力は、大きな社会を作っただろう。

    びっくりするのは14番目に登場した「ヒスイの斧(イングランド、BC4000-2000)」である。120万年間の間に形が変わっていないことだけではない。びっくりしたのはもちろん、磨製されているとか素材とかの加工技術の進化のことではない。それだけの進化ならば、120万年は長すぎる。これは使われた形跡がない。信仰の対象として持ってこられた。何処からか?ヒスイはその場所だけではなく、石そのものを特定する。イタリアのアルプス山脈の2400m級の山の上の巨礫を火力採掘法で剥ぎ取って出来たことを自ら証明した。しかも、数世紀に渡り、同じ石から採った兄弟石まで存在するのだ。信仰というものが、それほどまでに永い時と、長大な旅を作らせる力を持つことを、一つの遺物が証明するのである。なぜ、此処から?著者は言う。「おそらくその場所ならば、地上のわれわれの世界と神々のいる天空の領域との中間から石を採取できるからだろう」(140p)

    第一巻では日本からは唯一「縄文の壺(BC5000)」が紹介される。人間のモノづくりの最大規模の躍進の一つとして、縄文時代に世界最古の「土器」が作られたことに言及される(1万6500年前)。日本では縄文土器といえば、先ずはその奇抜で美しい装飾について言及されるが、大英博物館はそこに関心は行かない。土器は調理法を改革する。日本はおそらく「スープ発祥の地、シチューの祖国」らしい。また、英国人は「ヨーロッパではこれまでずっと土器や陶器を作った人々は農耕民で、農耕を通じてのみ人間は一つの場所に定住することができたのだと考えてきました。農耕民ならば余剰食物を蓄えて、冬の間も生き延びられたからです。一年を通じて一つの場所に留まって初めて陶芸ができるようになる。なにしろ、土器は持って移動するには厄介な代物ですから。しかし日本の例はじつに興味深い」(103p)日本の地理的と世界気候変動の偶然がもたらした四季がはっきりした豊かな自然が、定住を可能にした。よって、日本は世界にかなり遅れて稲作文化を受容することになる。ところで、私見ではあるがその伝統が争いのない日本列島を実現したのだと私は思っている。1万5000年以上の伝統を、たった数千年間の間に覆してきたのが日本人ではある。しかし、この伝統はまだ生きている。と私は信じている。

    その他、最初の文明の特徴を表すラベルやら、科学と文学の始まりを表す粘土板やらパピルス、布や金貨や仮面や銅鈴に、面白い物語が内包しているのだが、それは是非読んで欲しい。私も第二巻までは紐解こうと決意した。
    2016年1月10日読了

  • 一夜一品読み進めれば、いわゆるbedtime readingにうってつけ。文字情報に頼らない100のモノが、それぞれの言語で雄弁に独自の物語を語ってくれる。
    そもそも、収蔵品のなかから100選んで世界中で特別展をして収益を上げようというのは、大英博物館の現館長である著者の発案による。最近、学者は経営者にもさせられるのだからたまらない。だが、彼のこの企画力が同館を未曾有の経営危機から救っているそうで。

  • これはいい。前置きの所だけでも読む価値がある。デューラーの犀の話がとてもいい。学問ってこういうものだよね、と思う。完璧に知ることは出来ないけれど、それに近づこうとすることが人を感動させたりする。
    高校の世界史の教科書や資料集を引っ張りだしてきて、触れられたモノの歴史を更に深く勉強するのは楽しかった。

  • 資料番号:011463684
    請求記号:209マ

  • 昔も今も作るものの形は非常によく似ている。
    ページが進むにつれ精巧で複雑さを増していくのが面白い。

  • 日経プラスワンに紹介された
    大英博物館の所蔵品を取り上げ
    世界史を振り返る

  • 大英博物館の世界中から集めた収蔵品の中から、異なった時代ごとに5つずつ合計100のものをピックアップし、人類誕生から現代までの人類史を語る、というBBCラジオ企画をまとめた本の第一弾。まず、一つの博物館だけでこれだけのものが集まっているというのがすごい。そして、今まで聞きかじってきた日本史や世界史をこうして俯瞰的に見るのがとても新鮮。
    日本の歴史は当たり前のものだと思って受け止めてきたけど、狩猟採集民族である縄文人が土器を作ることが世界的に見るととても特殊なことであるとは、意外だった!
    あと、イギリス人ならではの表現がおもしろい。縄文土器を「籠のようだ」とか、中国の銅鈴(銅鐸の起源とされるもの)を「カウベルのような形」とか。なるほどーと納得。

全15件中 1 - 10件を表示

ニール・マクレガーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
グレゴリー・デイ...
三浦 しをん
クリス・アンダー...
國分 功一郎
シーナ・アイエン...
有効な右矢印 無効な右矢印

100のモノが語る世界の歴史〈1〉文明の誕生 (筑摩選書)に関連するまとめ

100のモノが語る世界の歴史〈1〉文明の誕生 (筑摩選書)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

100のモノが語る世界の歴史〈1〉文明の誕生 (筑摩選書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

100のモノが語る世界の歴史〈1〉文明の誕生 (筑摩選書)を本棚に「積読」で登録しているひと

100のモノが語る世界の歴史〈1〉文明の誕生 (筑摩選書)の作品紹介

物には固有の来歴がある。その痕跡を子細に調べ、想像力を働かせると、そこから声なき者たちの声が、文字には残されることのなかったもう一つの歴史がよみがえる-。大英博物館の所蔵品から一〇〇点の精選。全大陸の可能な限りすべての文明社会からの逸品によって、黎明期から現代にいたる人類のあゆみをたどる。第1巻は、二〇〇万年前の簡素な道具を出発点に、ヒトがいかに人になり、文明を築いたかを見る。

100のモノが語る世界の歴史〈1〉文明の誕生 (筑摩選書)はこんな本です

ツイートする