愛国・革命・民主:日本史から世界を考える (筑摩選書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480015778

感想・レビュー・書評

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  • 歴史

  • ☆日本の「特殊な」経験から普遍を考える。近代化の過程で、日本人は外国人は殺すが自国民はほとんど殺していない。 これが外国(例えば、フランス革命)との違い。(関連)歴史認識を問い直す 東郷

  • 2018/07/15

  • <目次>
    第1講 愛国 一
     1 【問題】なぜ「愛国」を論ずるのか
     2 【定義】ナショナリズムの基本モデルと副次モデル
     3 ナショナリズム形成の三局面ー東アジア三国
     4 分権体制からの出発ー日本
    第2講 愛国 二
     1 科挙体制からの出発ー中国
     2 歴史記憶の相互作用ー「忘れえぬ他者」
    第3講 革命 一
     1 【問題】明治維新の謎
     2 「復古」による「開化」−明治維新
     3 フランス革命
     4 革命の時間的表象ー「復古」「進歩」「世直り」
    第4講 革命 二
     1 変化理解の方法ー因果関係と複雑系
     2 秩序の生成と乱れー儀礼の機能
     3 秩序の再生と犠牲ー間接的経路への無意識侵入
    第5講 民主 一
     1 【問題】なぜ民主、あるいは政治的自由が必要なのか
     2 民主化への様々なアプローチ
     3 経路の多様性・様々なモジュール
     4 民主化の初期条件ー二歩の歴史的前提
    第6講 民主 二
     1 公論空間の創発ー幕末
     2 公論空間のビッグ・バンー明治初期
     3 公論空間の制度化ー明治中期
     4 比喩と教訓
    あとがき
     
    2013.09.19 HONZで見つける。
    2013.10.01 読書開始
    2013.10.06 読了

  • 【由来】
    ・Flipboardのhonzの紹介

    【期待したもの】
    ・明治維新と複雑系?

    【要約】


    【ノート】
    ・第3講まで読了

  • 明治維新は大規模なのになぜ犠牲が少なくて済んだのか?著者は過去に戻る(誰も反対できない原点に戻る)と間接戦略(段階を踏んで改革する)が理由と考える。日本の特殊な出来事ではなく、普遍性があるという。今後の中国の解放にも応用できるのではと示唆している。知的刺激にあふれる本。

  • 日本の幕末から維新にかけての激動の時代に、何が起点となり、相互作用しながら、革命に至ったかを理解することができる。様々な視点で本書は解説並びに説明しており、私の腹落ち度はとても高かったです。

  • 【目次】
    献辞 [002]
    目次 [003-006]
    はじめに [009-013]

    第1講 愛国 一 015
    1 【問題】なぜ「愛国」を論ずるのか 016
    政治的死者の内外差を調べる
    2 【定義】ナショナリズムの基本モデルと副次モデル 025
    特徴の共有では説明できない/定義してみると/アンダーソンとスミスの内部生成モデル/基本モデル――福島真人の境界生成モデル/第二のモデル――多層世界のなかの境界昇降
    3 ナショナリズム形成の三局面――東アジア三国  041
    日本/中国/朝鮮/スタートのずれ
    4 分権体制からの出発――日本 048
    初期条件/徳川公儀による国境形成/無意識化の境界形成――文字と話し言葉/政治運動と制度改革

    第2講 愛国 二 071
    1 科挙体制からの出発――中国 072
    初期条件/対外戦争が連続しても火がつかない/日清戦争による創発/「中国」実体観と「支那」分裂/移民の役割/改革と敵の造型/抗日戦争/政治統一後
    2 歴史記憶の相互作用――「忘れえぬ他者」 097
    本居宣長の「忘れえぬ他者」/「忘れえぬ他者」の非対称性――「中心」と「周辺」/両義性と複数性のダイナミズム/モデルの応用――歴史記憶への対処法

    第3講 革命 一 123
    1 【問題】明治維新の謎 124
    明治維新はなぜか世界比較に登場しない/維新でおきた変化は巨大だった/何が変わったのか――歴史のスナップショット/維新の原因は特定できない
    2 「復古」による「開化」――明治維新 136
    明治維新をどう訳すのか/「復古」の資料を読む(1)――古賀侗庵〔とうあん〕『海防臆測』/「復古」の資料を読む(2)――徳川家茂の改革宣言/「復古」の資料を読む(3)――王政復古の沙汰書
    3 フランス革命 149
    フランス革命のなかの「復古」/ナポレオンの古代ローマ
    4 革命の時間的表象――「復古」「進歩」「世直り」 155
    啓蒙思想と「進歩」/ルネサンスと「復古」/歴史を読む社会と「復古」/口頭伝承と世直り/「世直り」「復古」「進歩」/天皇はなぜ残ったのか

    第4講 革命 二 177
    1 変化理解の方法――因果関係と複雑系 178
    法則とは何か――マルクスによる因果法則と経験的一般化の混同/因果的説明――必然と偶然の対概念は不要/因果法則が予測不可能性を生む――ローレンツの決定論カオス/秩序の生成と崩壊――金子邦彦のカオス結合系/金子・安富の共依存的生滅系
    2 秩序の生成と乱れ――儀礼の機能 202
    徳川初期の安定化政策/変化の吸収と安定――役割分業/ノイズの混入――尊王思想/外交政策の硬直化――「鎖国」/乱れの発生と悪循環の増幅/乱れが開く新たな可能性
    3 秩序の再生と犠牲――間接的経路への無意識侵入 220
    間接的アプローチ――最終局面/間接的経路へのはまり込み(1)――幕末の第一局面/間接的経路へのはまり込み(2)――公儀から王政復古へ/王政復古以後――意識的応用へ/世界への意味

    第5講 民主 一 233
    1 【問題】なぜ民主、あるいは政治的自由が必要なのか 235
    政治的自由なき繁栄は他人ごとか/西洋モデルの押しつけは有効か/政治的自由は必須なのか/「自由」な政治は「決定」ができるのか/とりあえずのヒント
    2 民主化への様々なアプローチ 247
    政治制度からのアプローチとその限界/コミュニケーションのあり方/メディアの問題/経済利害と政党組織
    3 経路の多様性・様々なモジュール 258
    「官」・「民」・「国」/多様な経路への配慮/モジュールの状況的投入/伝統への訴求
    4 民主化の初期条件――日本の歴史的前提 266
    初期条件――中国・朝鮮と比べた不利/初期条件(1)――「官」内部の決定手続き/阿波徳島の藍専売/手続きの専制――ボトム・アップのメリットとデメリット/初期条件(2)――「民」のなかの文芸的公共圏/学塾の討論文化とナショナル・ネットワーク/文芸から政治への転写

    第6講 民主 二 287
    1 公論空間の創発――幕末 289
    (1) 政府のイニシアティブ①
    対外政策の諮問/大大名の政権疎外と参加願望/大大名の幕政参加構想
    (2) 政府の分裂
    (3) 政治参加の拡大
    尊王運動と公儀運動/「王政」「公儀」政体へ
    (4) 公論と暴力との親和性と空間の閉鎖性
    公論と暴力/閉じた公論空間
    2 公論空間のビッグ・バン――明治初期 306
    (1) 政府のイニシアティブ②
    五箇条誓文と「政体」/人材登用・会議・建白奨励
    (2) 公衆を造るメディアの輸入――新聞と演説会
    新聞の定期刊行と政論/同一紙面での公論/演説会とジャーナリズム
    (3) 公論の暴力との訣別
    3 公論空間の制度化――明治中期 319
    (1) 「民」からの政治運動
    娯楽としての演説会/「愛国」のレトリック
    (2) 「官」側の忍耐と譲歩――政府の分裂と「歴史への見栄」
    (3) 立憲制による「官」「民」の妥協
    「君」の位置づけ/暴力の抑制と「敗者」の復活
    4 比較と教訓 328
    上からと下からのイニシアティブ/ナショナリズムの二義的機能/暴力の放棄/代議制と独立司法権/公論の慣習/国境をまたぐ公論

    あとがき(二〇一三年七月 三谷 博) [347-349]

  • 経済雑誌のおすすめ。

    いろいろ興味深いことが書いてあった。
    江戸時代、様々な地方で村人が芝居を、
    上方の言葉や江戸言葉の台詞で奉納したため、
    バイリンガルとなり、
    江戸末期に向けて都の言葉を理解できる人が増えたとか、
    戦国時代の末期、武士が京都に上ったため、
    それ以降の上方の丁寧語が江戸のエリートの標準語になったとか。

    でも、どうもしっくりこない。
    腑に落ちないというか。
    途中でカオス結合系や、間接的経路の無意識侵入といった理解不能な言葉や考え方がでてきたせいか。
    たぶん、明治維新についての基礎固めをしてから、
    もっと読み込めば、面白い本なのだと思う。

    中国の民主化のためには、
    欧米と同じ経緯やモデルではだめで、
    日本が王政復古を見つけ出したように、
    中国の歴史・伝統を参照することが必要だ、
    という意見には共感できた。

  • 講義録を文字起こししたものなので、なにより非常にわかりやすく書かれている。論理が追えないところが1つあったぐらいである。こういう平易に書かれていて、内容のある本というのは素晴らしい。

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著者プロフィール

跡見学園女子大学文学部教授/東京大学名誉教授

「2020年 『日本史のなかの「普遍」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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