建築探偵の冒険 東京篇 (ちくま文庫 ふ 7-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480023711

作品紹介・あらすじ

日本近代建築史の研究者たちが、ある日街を歩いていて由緒ある西洋館や古い街並を発見した。その娯しみに病みつきとなった人々が「東京建築探偵団」をつくり、都内を徘徊し、古い建物、変った建物を探し、記録する作業をはじめた。本書はこの探偵団の主唱者による東京の建物にまつわる面白い話の発掘記である。楽しく読みすすむうちに、世界に例のない構造をもつ東京という都市空間が鮮やかに見えてくる。稀有な東京論・都市論の本でもある。

感想・レビュー・書評

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  • 私が読んだのは、昭和61年発行の単行本。藤森さんが若い頃にしていた建築探偵業の総まとめ です。なにぶん、30年以上前の本なので、東京駅も改修前のものだし、今はもうない建物が多いのですが、個々の建築への観察力と文章が面白さに脱帽。

  • 著者が東京の街を歩き、近代日本建築史のさまざまな側面を示す建物を訪れた記録を、エッセイ調の文章でつづった本です。

    著者が案内人となって、復元工事前の東京駅の構内をめぐるツアーをおこなったり、皇居の周辺に現われる人びとを観察したり、兜町の歴史に渋沢栄一がどのようにかかわっていたのかを解説したり、さまざまなテーマがとりあげられており、興味深く読みました。

    とくに印象にのこっているのは、著者が「看板建築」と名づけた、壁に銅板やタイルを貼った建物についての考察でした。ふだん何気なく目にしている建物も、著者のような建築史にかんするさまざまな知識があれば、多くの発見があるということがわかります。歴史を学ぶことの面白さは、こうしたところにあるのかもしれないとあらためて感じさせられました。

  • 再読。前に読んだのはかなり前なので、ほぼ初見に近い。

  • 荒俣宏ブームで購入。建築にはとんと興味がないもので、主に写真を眺める。皇居の前でリンタクを営業してるのは驚いた。将来、誰かにあげたい本。 

  • 皇居を兜町を扱った章は楽しく読めた。軽薄体というべきか、文体がいかにもバブル期という感じ。

  • 『建築探偵術入門』から正しく本書を読む。前著は写真と建築物の説明で紙面が尽きた感があったが、本書はそれらの中から選りすぐりの物件をじっくり味わえた。そして、著者のユーモアあふれる文章に惹き付けられた。東京駅は、3階部分も復元されたが、じっくり見ると3階と2階のレンガの違いが分かって面白い。いま話題の渋沢栄一も、幕末の動乱期から三井、三菱との都市開発を巡る駆け引きまでのエピソードを知ると、俄然興味がわく。東京駅丸の内側の土地が三菱地所で占められた訳を知ることもできた。収穫多し。

  • 街を歩きながら素通りしていた建物たちに目を向けたくなる、楽しい観察記。看板建築の章が一番面白かった。今ではなくなってしまったものも多いと思うけど、うちの近所にもいくつか残されているので今度よく観察してみよう。
    聖路加病院も中に入ってみたくなった。チャペルや、床や壁を飾る図像を見てみたい。

  • 東京に残る近代建築に関するエッセイ。
    但し、かなり昔に書かれたものなので、本書に取り上げられている東京駅やステーションホテルは復元前のもの。
    流石に現在では事情が変わっているものが大半だろうが、それでも面白かった。

  • 本の序盤の、建築探偵の流儀みたいな章とか、看板建築についての話もさることながら、前半では、やはり東京駅(復原工事前)とか皇居とかの話は、個人的な関心からも惹き込まれる。東京駅では、旧ステーションホテルの客室窓からホーム(1番線)がみえた写真とかが、印象的。又、皇居はたしかに東京という都市においてその構造上大きな意味のある「穴」。逆にその他の大都市が物足りないのもそれゆえか。

    いずれ、建築を訪ね、ドラマに出会う行為の楽しさを、とても表している。

    後半にあっては、建築めぐりを通じて、マッカーサーとか、キリスト教について思いを巡らすにも面白いし、最終章(これは大作!)にあるような渋沢栄一の建築や都市への執念も興味深い。でもやはり、信濃町の(スリバチ状の地形のそばに建つ)「デ・ラランデ邸」をめぐる物語がエキサイティング。現在のオーナーや、あるいはデ・ラランデの親族の物語に出合っていく様子は、まさにドラマであり、ラストは涙さえ誘う。
    建築にしろ都市にしろ(土木にしろ川にしろ!)「人」にまつわるドラマに光を当てるという楽しみ方は、なるほど、あるよなぁ!

    いやはや、面白かった。

  • 請求記号:T-ふ 図書ID:B0005376

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著者プロフィール

1946年長野県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専攻は近代建築、都市計画史。東京大学名誉教授。現在、工学院大学教授。全国各地で近代建築の調査、研究にあたっている。86年、赤瀬川原平や南伸坊らと「路上観察学会」を発足。91年〈神長官守矢史料館〉で建築家としてデビュー。97年には、〈赤瀬川原平邸(ニラ・ハウス)〉で日本芸術大賞、2001年〈熊本県立農業大学校学生寮〉で日本建築学会賞を受賞。著書に『日本の近代建築』(岩波新書)、『建築探偵の冒険・東京篇』『アール・デコの館』(以上、ちくま文庫)、『天下無双の建築入門』『建築史的モンダイ』(以上、ちくま新書)、『人類と建築の歴史』(ちくまプリマー新書)、『藤森照信建築』(TOTO出版)などがある。

「2019年 『増補版 天下無双の建築学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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