ヒロシマ私の恋人 (ちくま文庫 て 3-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480024350

作品紹介・あらすじ

原子爆弾の惨害を正面にすえ、人間の愛欲の最も深い場所から戦争を批判するという困難な作業に挑み、全世界に衝撃を与えた映画『二十四時間の情事』の映画の母胎となったシナリオとダイアローグを収録した本書は不思議な魅力をたたえた作品となっている。

感想・レビュー・書評

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  • ヒロシマとフランス。
    互いに戦争によって傷を負った二人が出逢い、逢瀬を重ねる。

    トラウマについての本で言及されていたので読んでみた。

  • 恐怖を恐怖によって伝えるのではなく、ひとつの忘れがたい恋愛のなかに恐怖を刻み込むことによって、その恐怖を伝えるというこのテクストは、単なる反戦小説ではない。反戦思想では、「反戦」という道徳が絶対的な価値として君臨しており、あらゆるものはその秩序のうちに配置される。記憶することは善であり、忘却することは悪である。こうした見方から離れることができないかぎり、このテクストを読むことはできないと思う。また、映画もいいけれど、終盤のまさに言葉でしか描くことができない、キャラクターの別人化・二重化はテクストが表現できることの可能性を突き詰めている。デュラスのなかでも特に好きな作品。

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著者プロフィール

仏領インドシナのサイゴン近郊で生まれる。『太平洋の防波堤』で作家としての地歩を築き、『愛人(ラマン)』はゴンクール賞を受賞、世界的ベストセラーになる。脚本・原作の映画『ヒロシマ・モナムール(24時間の情事)』、『モデラート・カンタービレ(雨のしのび逢い)』、『かくも長き不在』は世界的にヒット。小説・脚本を兼ねた自作を映画化し、『インディア・ソング』、『トラック』など20本近くを監督。つねに新しい小説、映画、演劇の最前線にたつ。
第2次大戦中、ナチス占領下のパリでミッテラン等とともにレジスタンスに身を投じ、戦後も五月革命、ヴェイユ法(妊娠中絶法改正)成立でも前線にたち、20世紀フランスを確実に目に見える形で変えた〈行動する作家〉。

「2022年 『マルグリット・デュラスの食卓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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