劇画ヒットラー (ちくま文庫)

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著者 : 水木しげる
  • 筑摩書房 (1990年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480024497

劇画ヒットラー (ちくま文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 水木しげるさんのマンガ本です。1971年に「週刊漫画サンデー」(実業之日本社)という雑誌に連載したものだそうです。
    ヒットラーの伝記ですね。水木しげるさんらしい、不思議な魅力ある本でした。

    今、ナチスドイツ絡みの翻訳小説を読んでいます。
    それを読むうちに、「ナチス/ヒットラーについての基本的なモノゴトをちょっと改めて知りたいなあ」と思いました。
    第二次世界大戦史、みたいなことで言うと、ガッツリ記憶に残るような本を読んだことって、あんまりなかったんです。
    と、いう訳で一時その小説を中断して、コレを読みました。

    「劇画ヒットラー」、ちくま文庫の薄い一冊です。あっという間に読めます。
    だから、網羅している訳じゃないんですね。むしろ、ポンポン飛んでいきます。お話は。気持ちいいくらいに。
    ヒットラーが子供の時代は無いし、ユダヤ人大量虐殺についても細部はありません。
    でも、不遇時代の性格みたいなものは良く見えます。無名の存在から、有能な兵士、そしてある種の社会運動家になっていくあたりも良く判る。
    その頃のドイツの世の中の感じも、そこはやっぱりビジュアルで見えるし、感じます。
    そして、いくつか、なるほどなあ、と思ったのは、
    「ヒットラーとナチスのドイツ内の政権基盤が、盤石だった訳ではない。むしろ、盤石にするために戦争を続けていったんだなあ」
    ということとか。
    「潜在的なことはともかく、イギリス侵攻作戦の挫折、そしてレニングラードの攻防戦で負けたあたりから、もう滅亡は匂っていたんだなあ」
    ということとか。

    水木しげるさんの描く、どこか不安なヒットラーの表情が、印象に残りました。
    不遇ゆえの餓えと怒り、不幸ゆえの強烈な自己正当化、担ぎ上げられ駆け上っていく中での恍惚と不安。
    男女関係のいびつさと歪み、それゆえのストイックさと純粋さ。
    急成長組織の内側のもろさ、めちゃくちゃさ。そこにのっかるしかない、ヒットラーさん。
    ヒットラーのカリスマに乗っかって成り上がったナチスは、ヒットラーさんが裸の王様になってブレーキが効かなくなったときに、ブレーキを踏むことができない。
    ものすごい割り切った省略の中で、そんなことが手触りとして残ります。

    恐らく資料写真などを駆使して描かれるビジュアルの中に、水木しげるさんの作家性が気負わず乗せられています。
    意外に名著。僕は面白かったです。

  • ちょうど旬の巨匠水木しげるが描くヒトラーの半生。伝説上の極悪人ではなく1個の人間ヒトラーとして味のある漫画となっている。
    こんなにコミカルで情けないヒトラー像もめずらしく面白かった。
    但し、ヒトラーの歴史的に非道な面や戦争指導におけるミスジャッジ、それに最終局面が先細りになっていて、ヒトラーの全体像を描けたかというと疑問が残る。あえて残虐性を捨象したのと、ヒトラー自身の視点に絞ったと推測はできるのだが、勘違いする人もでるのではないだろうか。
    とはいえ、こうした視点で描かれた作品がよい意味で新鮮であり、味わいのある絵が心に残り、大いに引き込まれる作品になっている。

  • 水木しげるの描くヒットラーはいつもうつろな表情で、どうしてこんなうだつのあがらぬ青年がいつのまにか独裁者へ、と狐につままれたような、しかし現実はこういうものなのかもしれないとふしぎに納得させられる話だった。

  • 人間臭いヒットラーを感じることができる。

  • 劇画とはあるが、しっかりとした内容で、ヒットラーの狂気性と共に、したたかさがよく描かれていると思う。

    過去を振り返って、何故理知的なドイツ国民があの様な狂気的独裁者に率いられてしまったのかという話があるが、ヒットラーには、当時ドイツが必要としていた交渉力、明るい未来を描け、それを国民に分かりやすく説明出来る能力が備わっていたのだろう。

    経済が良くなると支持率は下がり、逆に経済が悪くなると上がる中で、第一次世界大戦後、連合軍から押し付けられた負の遺産でボロボロになっていたドイツにあって具体的絵を描いて見せる事の出来たのがヒットラーであった。自演自作で不安を煽り、それを解決する事により支持を得るというのも典型的な手法である。

    日本国民として、どんなに苦しい時にあっても感情に流されるのではなく、理性的に判断できる精神力と判断力を養っておきたい。

  • サクサク読めるヒットラー入門書。
    最後のページで帯のコピー通り「ズドン」と来ます。

  • ヒトラーの人となりを知るには、最適な作品。
    戦争体験者である水木しげるが描いているというのも興味深い。

    独裁者としてステレオタイプで語られることが多い
    ヒトラーであるが、本作品では、
    それなりに多面的に描かれているように思う。

  • 水木しげるが描く意味が大きな作品か。

  • 「長いあいだありがとう。
    これは毒薬ですが、使いたかったら使ってください。
    もっといいおくりものができないで残念だ。」

    これが、ヒットラーがドイツ国民に贈った「千年帝国」だったのである……。

     * * *

    不安に追い立てられたであろうアドルフを描くのに、水木しげるの画風はぴったり。

  • ヒトラーという人のしたことは決して肯定できるものではないが、意志によって人間が成し遂げられることに限界はないと感じた。ある種のカリスマ性と人心掌握術には感心する。

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