- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480024497
感想・レビュー・書評
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吊るし上げられた誰かに責任を背負わせて全て終わったかのように思うのは、幻想であり盲目的に過ぎるのだと思った。
こんなことに世界は労力を使っていたのかと思うと、読んだ後、虚しくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ブックマーク」83号でも紹介されていた伝記マンガ。よんだからあげるーと送られてきたのを、ありがたくよむ。同封の手紙には、「水木しげるが書いているのがいいなぁーと思う」と書いてあった。私がもらった文庫の初版が1990年(私の手元にきたのは、2014年の31刷り!)で、そもそもは週刊のマンガ雑誌に1971年に連載され、1972年に単行本になったらしい。
画家になる希望をもっていたヒットラーが夢破れて…という話は知っていたが、「これほどドイツ人を熱狂させ史上まれな独裁者となったアドルフ・ヒットラーとはいったいどんな人間だったのだろうか…」(p.22)というところを追求してマンガはすすむ。
ウィーンへ出てきた若きヒットラーは、人一倍自尊心が強く、自分がおもしろくないことがあるとしばしば狂暴な発作を起こす人物として描かれている。「本人は死ぬまで芸術的画家のつもりでいた」(p.33)という。
巻末には、マンガ執筆に際して参照したという書物が多数並んでいる。「ヒットラーとはいったいどんな人間だったのだろうか」を知りたいと思った人は、水木以前にもたくさんいるのだなあと思う。
ちょうどこの伝記マンガをよんだあと、文庫になって間もない『ヒトラーのウィーン』を見かけて、買って読んだ。こちらは画家になろうと17歳でウィーンを訪れ、22歳まで過ごしたヒトラーの若き日の5年余りを描いたもので、水木マンガの1~2章と重なる。
"青年期のヒトラーを友人が描いた絵"が掲載されていて、それをみると、水木マンガが描く若いヒットラーとよく似ている。マンガでヒットラーといえば、手塚治虫の『アドルフに告ぐ』を、もう20年くらい前によんだことがあるが、あまりに昔すぎて、サッパリ内容を忘れてしまっている。このマンガをよんだはずの同居人も思い出せないというので、図書館でマンガを一揃い借りてきた。
(3/6了) -
ヒトラーという人のしたことは決して肯定できるものではないが、意志によって人間が成し遂げられることに限界はないと感じた。ある種のカリスマ性と人心掌握術には感心する。
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ヒトラーを語るにあたっていろいろ足りないところは当然あるが、大変要領よくまとまっている。
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手塚先生と違った側面で楽しめます。
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ヒトラーを産んだ社会が悪いのか、民主主義のもと彼を選んだ大衆が悪いのか…
ラストは痛烈な言葉で締めくくられます。 -
他の方が書かれているように、ヒトラーの人間像が決して肯定的ではないものの比較的人間臭く描かれている。
漫画映えするであろうであろう、2000人を前にした初めのころの演説の場面がモノローグでさらっと流されてしまったのはもったいない。
水木しげるらしく終盤まで淡々と進んで行く。盛りあがりに欠けるとも言える。しかし、廃墟となったドイツが描写される最後の"ドイツ国民への贈り物"の場面には、怖気とも異なる、心の底からの衝撃を受けた。ここは流石に巨匠の技量だろう。 -
辛い
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・アドルフヒットラーの生涯を水木しげる氏が描いた漫画。
・アウシュビッツ収容所やホロコーストに関する記述をガッツリ割愛してヒットラーの内面や人間性の記述にページを割いている印象で、強弁で勇猛という側面以外、弱さや人間らしさを史実に則って描いているのが斬新であった。でも一番肝要な部分が抜け落ちている感は否めなかった。
・人類史の最大の悲劇とも言えるドイツの、ヒットラーの愚行ももとを辿れば幼少期のトラウマや孤独、自尊心の強さ、思い込みの激しさから来ていたことが理解できたという意味で一読の価値がある。