坂口安吾全集〈13〉 (ちくま文庫)

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  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480024732

感想・レビュー・書評

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  • 捕物帖上巻ででてきた、あのお侠なお嬢、好きだったのに下巻は全く出番なしで残念。(つーか、下巻では海舟先生も出番少なくなってるので、ちょっとお約束の形式から外れ気味に…)
    「ロッテナム美人術」は後味がなんともいえず、印象深い。こういう持って行き方もあるんだなぁと。

    このシリーズ読んで、自分は「紳士探偵属性」がツボだと気づきました。(神津恭介とか、明智小五郎とかね)貴族探偵でも執事探偵でもなく、紳士探偵イチオシ。ステキ。
    あー、あとやっぱり、この明治という時代設定が大好き。現代舞台の作品ほどリアリティがなく、でも今の時代と通じる部分もあり。ある意味ファンタジー世界扱いなんですよな。(ホームズ時代のロンドンも同じ感覚)

  • 安吾捕物帖後半戦。こちらの収録作から段々構成に変化が。
    事件と捜査パートが膨らんでいって海舟の出番が削られてしまう…これは海舟センセー好きには寂しいものがある。

    で、問題は「ロッテナム美人術」。収録作中一番の異色作で、キョトンとするような結末が待っております。一応ポーズとしては探偵小説=読者との推理ゲーム、暇つぶしのパズルであるという極端なミステリ観を持っていた安吾がこういう作品を書くのだから面白い。検索して見つけた論文にあったのがこの結末に安吾の実生活における「競輪事件」の影響を見るという指摘で、安吾自身の伝記面も好きな自分としては目から鱗。それを投影してしまうとこの結末、俄然ぐっと来ますなあ。

    都筑道夫は安吾捕物帖を評価していたけど、この定型を持った作品が徐々に崩れていって実験的に―というのは『退職刑事』の流れのようでちょっと興味深いところかもしれない。まあ安吾捕物の方はこの後また正調ミステリ路線に戻ってしまうんだけどね。でもシリーズキャラの存在がどんどん希薄になっていき、最終作では新十郎のみの登場になるのはどういうことなのか…

    ところで「赤罠」。一読して海外の某有名短編とトリック一緒じゃん!と思ったら安吾のが早かった、さすが安吾さんや。

    さて再読もしたし「UN-GO」楽しみですね…(不安)

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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