イカロスの飛行 (ちくま文庫 く 9-1)

  • 筑摩書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480025050

感想・レビュー・書評

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  • 20ページも生きていないのに、約20年分の過去が既に用意されているのが小説の登場人物なのです。それに今後の運命だって、作者のペン一本で何もかも決められてしまうのだから、やってらんないよ、と嘆く気持ちはわからないでもない。
    書きかけの原稿から抜け出したイカロスは自由を求めて駆けずり回る。無能で有能な探偵が捜査にあたるよ。それを邪魔しては助ける小説家仲間。入り乱れる現実世界と小説世界。でも私は読者のままです。
    ところで、肝心なことを忘れてた。「イカロス」という名前のことだ。
    『ぼくにとっちゃ、未来は大空にあるんです。』
    誰か名前を書き換えてあげて!
    《2014.12.30》

  • 「地下鉄のザジ」のレーモン・クノーの不思議小説。
    シナリオのような戯曲のような、不思議な小説。

    LNの正体がとても面白いとおもいました。
    こんな思いつきが素敵。
    そしてサイゴ。
    なんだか悲しい終わりだけれど、そうでもない。
    イカロスという名前にふさわしい終わりというか。
    本の中から飛び出てきた主人公が、
    結局つけられたその名に相応しいエンディングを迎えるというのも。
    なんだなぁ。因果だなぁ。

  • 作中人物たちが小説の原稿から逃げ出した!

    著者が「小説」と言っているのだから小説なんだろうが、体裁はほぼ戯曲。
    物語の主人公が小説から逃げ出し、現実のパリを徘徊する。著者はそれを追跡する、さもないと小説の続きが書けないからだ。
    最初は一対一の追跡劇だが、イカロスにつられるように同業者の作品からも次々と作中人物が飛び出していく。

    もしかしたら、色々と深い読み方ができるのかもしれないが、個人的にはこれは単純に筋を楽しむファンタジーであるように思えた。特別面白いわけではないが、軽妙で滑稽味あふれる会話の連続で、楽しく読める事は間違いない。

    ★400レビュー到達★

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著者プロフィール

一九〇三年ル・アーヴル生まれ。パリ大学で哲学を学び、シュルレアリスム運動に参加。離脱後、三三年に「ヌーヴォ・ロマン」の先駆的作品となる処女作『はまむぎ』を刊行。五九年に『地下鉄のザジ』がベストセラーとなり、翌年、映画化され世界的に注目を集める。その後も六〇年に発足した潜在的文学工房「ウリポ」に参加するなど新たな文学表現の探究を続けた。その他の小説に『きびしい冬』『わが友ピエロ』『文体練習』『聖グラングラン祭』など、詩集に『百兆の詩篇』などがある。一九七六年没。

「2021年 『地下鉄のザジ 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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