私の音楽談義 (ちくま文庫 あ 13-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480025258

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  • リズムやハーモニー、楽器の種類などにかんする音楽の基礎知識を、軽妙な文章で解説している本です。

    著者は本書のほかに『音楽の基礎』(岩波新書)を刊行しており、おなじ縦書きのスタイルで音楽にかんする基礎知識を解説しています。ただし『音楽の基礎』が、本書よりもうすこし一般的な「楽典」に近い内容となっているのに対して、本書ではかなりざっくばらんな調子で音楽にかんするよもやま話がつづられており、肩が凝らずに読むことのできる内容になっています。

    著者は音楽にまつわるさまざまな権威をとり払わなければならないといい、音楽をたのしむためにはむずかしい知識は必要ではないと主張します。楽譜を読めないからといって音楽がたのしめないわけではなく、また楽譜が読めるからといってそのことがかならずしも音楽の完全な理解を保証するものでもありません。著者は、音楽にまとわりついている権威主義を排することで、専門家と一般の人びとの断絶を解消し、われわれが日々の暮らしのなかで、よりいっそう音楽をたのしむことができるようになることをめざすべきだと論じています。

  • 音楽談義、リズム談義、旋律談義、ハアモニィ談義、形式談義、楽器談義…といった章立てで語られる。芸術における異種交配は、そう手軽にゆくものではない、音楽はまず時間の芸術で、リズムは時間に秩序を与えるから何よりも優先、などの考え。◆別宮貞雄「音楽はその本質において歌と踊りから離れられぬものだ。十二音音楽から電子音楽に至る現代音楽の一つの系列は、この本質にそむくものだ」p.140◆ハチャトゥリアン「まず、旋律、なによりも旋律」「旋律は音楽の魂である。しかも旋律は、民族性をもっともよく表現する」p.77◆あたりが印象に。エピソードとしては、吹雪の中の陸軍軍楽隊としての行進、ある作曲家の自分の作品とはアカのようなもの、創っているときはともにすごしているのに、ひとたび身体から離れてしまえば…あたりがおもしろかった。最もグロテスクな打楽器---ラマ教のダコルという振太鼓の共鳴胴は、一対の未婚の男女の頭蓋骨でつくられます…には、そんなものがあるのか、と。

  • 芥川也寸志氏の音楽談義。
    「彼の音楽が気に食わなかったら堂々と否定すればよろしい。その名声やら肩書きやらに妥協する必要は爪のアカほどもありはしない。演奏家を特権扱いするばかばかしさは今更説明するまでもないでしょう(※作中より抜粋)」という書きっぷりに、父の血を感じたわ〜〜♪
    読みやすい文体で、音楽の技法などをわかりやすく説明しているので、クラシック初心者向けでもあります。

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