アナイス・ニンの日記 1931~34―ヘンリー・ミラーとパリで (ちくま文庫)

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制作 : 原 麗衣 
  • 筑摩書房 (1991年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (648ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480025272

アナイス・ニンの日記 1931~34―ヘンリー・ミラーとパリで (ちくま文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 2014年神保町ブックフェスティバルで購入。
    以前、河出書房新社から出ていたもののちくま文庫版。副題に『ヘンリー・ミラーとパリで』とある通り、1931年〜34年にかけて、ヘンリー・ミラーとパリで過ごした期間を記したもの。
    河出版の単行本も持っているので再読になるが、何度読んでもここまで赤裸々な日記を書いて、更にそれを公刊したことに驚く。アナイスにとって『日記』が如何に大きな存在であったかが窺える。

  • 日記は自分と対等に話せる友達。寝そべっていろんなことを書く。はじめは自分を捨てた父に見せるために書いたけど、今では親しい友達にも見せてる。みんな自分のことが書かれると喜ぶのに日記を書くことをやめさせようとする。日記は阿片のようなもので取りあげられるとイライラしてしまう。ヘンリー・ミラーとの出会いはアナイスを芸術家にした。成熟した女として最愛の父と再会するが、精神分析医ランク博士によって近親相姦的愛を乗り越えていく。美貌と知性を兼ね備え、コケットリーな彼女は男たちを虜にする。男にも女にも理想の女なのだ。

    ヘンリー・ミラーとの出会い、ヘンリーの妻ジェーン、芸術家仲間たち、精神分析医アランディ博士、ランク博士(ユングかと思ったが別人だった)、最愛の父…。パリで生まれ、アメリカで育ったアナイスがヘンリーと知り合ってからパリで暮らした3年間の記録は波乱に富んだ時代だったようだ。この時期に『近親相姦の家』、『たくらみの冬』を書いている。ヘンリー・ミラーもまたアナイスの助けによって『北回帰線』を書き上げる。これがアナイスの日記の第1巻で少女時代から晩年に至るまでの日記を出版したようだ。だれか訳してくれないかな。

    〈日常生活にはわたしは興味を感じない。強烈な瞬間だけを求めている。わたしは驚異的なものを追求するシュルレアリストに共鳴する。わたしはこんな瞬間が実在することを他の人びとに想起させるような作家になりたい。無限の時間、無限の意味、無窮の次元があることを証したいのだ。〉
    〈ジェーンは妖艶な肉体、色っぽい顔、セクシーな声によって悪と官能を呼びさます。彼女には破壊する力がある。わたしには創造する力がある。わたしたちは二つの対照的な力なのだ。お互いに対してはどんな影響をおよぼすのだろう?わたしはジェーンがわたしを破滅させてしまうと思った。〉
    〈わたしは詩人だ、だから感じたり見たりしなければならない。麻酔をかけられたくない。わたしはジェーンの美しさに酔っている、だが同時にそれを意識してもいるのだ。〉
    〈女同士の愛というのは、葛藤にかわる調和とナルシズムへの避難や逃避なのよ。男女の間の愛には抵抗と葛藤があるでしょう。ところが女同士だとお互いを裁かないの。同盟を結ぶのよ。それはある意味では自己愛ね。〉
    〈ジェーンのようにわたしも、炎と燃え、あらゆる体験に、退廃に、道徳の彼岸に、死に恐れずとびこむ力をもっている。白痴とナターシャのほうが、アベラールとエロイーズの自己否定よりも、わたしには重要なのだ。ただ一人の男あるいは女をあいすることは人生を制約する。十全に生きることとは、ヘンリーやジェーンのようにあらゆる方面に無意識的、本能的に生きることなのだ。理想主義は肉体と想像力の死だ。自由、まったき自由のほかはすべて死だ。〉
    〈彼女の話は、アルベルチーヌがプルーストにした話のように、一つ一つがジェーンの人生で起こった、明白にすることの不可能な出来事を解く秘密の鍵を含んでいるのだろうか?〉
    〈わたしと一緒に彼はプルーストの交響曲、ジイドの聡明さ、コクトーの幻想、ヴァレリーの沈黙、ランボーの啓示(イルミナシオン)を探求する。〉
    〈父はわたしが入浴している写真を撮るのが好きだった。いつも裸のわたしを撮りたがった。父の賞賛はすべてカメラを通して届くのだった。〉
    〈ヘンリーとわたしにはこの二重の自覚があって、完全に羽目をはずせるのはほんのときまだけだ。それだからこそわたしたちはランボーやトリスタン・ツァラ、ダダイズム、ブルトンといった詩人の狂気に惹かれるのかもしれない。
    シュルレアリストの自由な即興は意識の作りだす人工的な秩序や均整を打破する。混沌(カオス)には豊穣さがあるのだ。〉
    〈アランディはタローや錬金術や占星術を信じている。〉
    〈女性のマゾヒズムは男性のマゾヒズムとはちがう、とわたしは感じている。〉
    〈コクトーの『おそるべき子供たち』のように結婚したのだ。〉
    〈絵に描いたドリアン・グレイではなく、〉
    479
    ミルボー『拷問の庭』を読んだとき、その肉体的な残酷さと苦痛の極限に感銘を受けたのを覚えている。
    515
    日記の役割
    〈孝行娘、献身的な姉、愛人、庇護者、父が新しく見出した幻想、ヘンリーが必要とする万能の友、とわたしはあまりにも多くの役割を演じていたので〉

  • 非常に読みたい。

  • 家族、庭、美しい生活を「牢獄」と感じ、書く事によってしか逃れられないと綴るアナイス・ニン。芸術家、告白者、友人、母、姉、と、男性に対し大きすぎる程の母性を与える美貌で才気煥発の持ち主。既に無削除版の日記を先に読んでいたが、これは年代も重なり、そして、極私的な部分の記述(父親との近親相姦や複数同時愛人関係)、一番不可解に思ったのは、夫ヒューゴーについての記述が一切ない。まるで、お金持ちの独身女性の日記に読めて、無削除版とは訳者が違うせいもあるがまるで別物のようだった。他のアナイス・ニンの日記がもっと翻訳されればいいと思う。

  • この人、こんなことまで日記に書いちゃうんだと驚かされる。
    「日記」のはずなのに、なんでこんな小説みたいな人生なんだろう。

    私も小さい時から日記書いておけば、良かったかな。

  • 学生時代に読んでもっとも影響を受けたものだと思う。
    たぶん、無人島に持っていくならこの一冊。

    自分の欲を充たすという一点に関して、なんてこの人は貪欲なんだろう、こんなに貪欲でいいんだ、そのために人を傷つけたっていいんだ、っていう衝撃が、すごかった。
    自分の感情を正確に言葉にすることが彼女にとっての最高の欲求だったのだと思う。だから、なんにもエッチなことを書いていなくても文章そのものがものすごくお色気ムンムンすぎて時々困ってしまう。

  • 彼女にはこれを。彼氏にはヘンリ・ミラーの「北回帰線」を。全ての女子の必読書。

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アナイス・ニンの日記 1931~34―ヘンリー・ミラーとパリで (ちくま文庫)の作品紹介

出奔した父をとり戻すために、投函されない手紙として書きはじめられた日記は次第に自分自身が生きてゆくための常備薬になってゆく。自己とは何かを問いつづけ、自身に素直になろうとし、同時に女として成熟しようとする苦悩を綴った1931〜1934年、アナイスが20代後半の女ざかりを謳歌していた時期の記録。

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