中島敦全集 (3) (ちくま文庫 な 14-3)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480027535

感想・レビュー・書評

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  • 遺稿の北方行は漱石ばりのどろどろした人間の内面が描かれていて、山月記や李陵のようなピリッとしたイメージとはだいぶ距離があって作者の幅が伺われる。夭折はいかにも残念。

  • ラスト三巻目。
    33歳で亡くなった、その年に「名人伝」やら「李陵」といった作品を書き上げた中島敦、すごすぎるなー。
    考えても仕方ないけど、生きていたら、どんな世界が開かれていたんだろうか。

    「弟子」にしても「李陵」にしても、ストーリーを追っていると、孔子や蘇武といった、まさに王道主人公然の人物がいる。
    それに比べると、子路や李陵はやはり欠けている。
    けれど、欠けた部分に葛藤し、諦め、それを本性と受け入れていく姿が愛おしい。
    「山月記」においては、李徴にも袁傪にも、なんとなく共感し損ねるのは何故だろう。
    「名人伝」に至っては、最早人に非ずの域に達してしまうしなぁ……。

    「李陵」は死後、周囲の人によって付けられたタイトルで、もしかしたら「漠北悲歌」になっていたかもしれない、と。
    うーん。「李陵」の方が確かに良い気がする。

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    出荷元
    フルタク(古本宅配買取センター)

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/745669

  • 生誕100年だそうである。「独特の香気」が確かにある。古代中国に題材をとった小説は有名だが「北方行」のような近代的、うじうじっぽい小説も面白い。

  • 青空文庫にて「プウルの傍で」のみ読了。中島敦はこれまで「文字禍」とか中国ものしか読んでいなかったので、青春の甘酸っぱさを帯びた私小説のような本作は意外すぎて、些か面食らいながらも「ああこういうのも書けるのね」とどうにか納得して読み終えた感じ。

  • 日野啓三の解説、誉めすぎてるくらいなのに全文同意してしまう、すばらしかったです。
    カフカの変身を最初に(原文で)読んだ文豪…もう頭良すぎて開かれ過ぎていて、怖い。天才って言い方、本当陳腐になるわ。

  • 日記や書簡に触れると、その漢語朝の文体から伝わってくるとは違った中島敦さんが見えてきます。

  • 「名人伝」
    意識に於いて捉えている内はそれを極めたことにはならぬ、寓話として面白い。

    「北方行」
    役所での手続きなど事務的な作業を厭う実際的な能力を欠いた三造に見る己の姿に苦笑。

    「プウルの傍で」
    青年へと移り変わりつつある少年の日の姿を描く自伝的短編、同輩に対する見栄と自尊心、親への未だ独立に到らざる反抗、体内より湧き出でる衝動的力動、性愛への憧憬と臆病、力へと疎外されながらも肉体的に非力な男としての屈辱、少年期を過ぎた全ての「男」が辿ってきた姿である。

    「無題」
    戦前の女学校教師という或る意味で中間的な階層にある者たちの、自己の――知的社会的双方の意味での――位置付けに対する屈折した意識が興味深い。それにしても、当時の教職者は、衒学的であろうとする意味でも、相応のインテリだ。

  • 孔子に仕えた弟子・子路の物語。
    あくまで真っ直ぐに生きようとする彼の姿は、作者が伝えたかった生きる姿なのかもしれない、と思った。またその真っ直ぐさは世間で通らないことも、作者は知っていたのだろう。

    高校の国語の知識を覚えていれば楽に読めます。

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著者プロフィール

東京都生まれ。1926年、第一高等学校へ入学し、校友会雑誌に「下田の女」他習作を発表。1930年に東京帝国大学国文科に入学。卒業後、横浜高等女学校勤務を経て、南洋庁国語編修書記の職に就き、現地パラオへ赴く。1942年3月に日本へ帰国。その年の『文學界2月号』に「山月記」「文字禍」が掲載。そして、5月号に掲載された「光と風と夢」が芥川賞候補になる。同年、喘息発作が激しくなり、11月入院。12月に逝去。

「2021年 『かめれおん日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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