大江戸観光 (ちくま文庫 す 2-6)

著者 :
  • 筑摩書房
3.45
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本棚登録 : 339
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480029294

感想・レビュー・書評

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  • 江戸の名所を巡るという内容ではない。筆者の江戸愛を記したエッセイである。印象に残ったのは、大奥では将軍はやりたい放題なのかと思っていたが、そうではなかったということ。参考図書としてあげられている本の多さに驚いた。1980年代に書かれた文章もあり、21世紀がちゃんとくるだろうかと心配されているのには、笑えた。

  • 久しぶりに師匠の著作を読む。が、いつもと雰囲気が違うと思ったら、師匠が20代の頃のものだった。春画を含めた性についての書きぶりや、江戸への思いの丈がどことなく尖がっている。タイトルからは想像できないディープな面を感じ満足で、本書で引用された書籍のいくつかを、早速注文してしまった。絶版になってしまった本もあり残念。あとがきの「そして今、手にしてくださっている方へ、(中略)お会いできてうれしいです。皆さん、どうか元気で長生きしてください。」に目が潤んだ。私も師匠にお会いできてうれしいです。

  • 20221016_【大江戸観光: 杉浦日向子 (ちくま文庫)】_BOOK_民俗学_江戸_文庫_ちくま文庫_杉浦日向子

  •  隔絶しているけれど確かに存在した時代(意訳)、という言葉が私自身の江戸に対する漠然としたイメージにピッタリはまった。

  • 日向子さんの愛を感じる。江戸は、粋があった時代なのだろう。だって平和だったのだから。

  • 杉浦さんの江戸案内は、別格です。
    もっと本格的にみっちり研究している方はたくさんいますし、本だって大量に出版されていますが、杉浦さんの江戸本は、絵がいいんですよねえ。

    文章じゃわかりにくいちょんまげの形いろいろ。
    大銀杏とはどんな形か、八丁堀風の髷の理由とか、知らなくてもどうでもいいようなことをちゃ~んと描いていてくれて、かゆいところに手が届くというか…ありがたい本です。

    通人と半可通と野暮の違いを絵と文で書いてあって、ほほう、そうか、と。
    江戸時代の不良の様子に、ふ~ん、結構格好いいじゃん、と。
    江戸娘の化粧法(きりりと粋な伊達女となまめかしいアダ女の2種類)に、へぇ~、と。

    ほんでもって杉浦さん、時代劇に対してモノ申しております。
    “クサイセリフ、現実から浮きあがった状況設定といった、うそっぽさの中に、ウズクようなオモシロさがある。今の時代劇は、皆この「変格オモシロ」です。
     私、コレも好きです。が変格たるもの、本格あっての存在価値なのだから、本格がなければ、ショーモナイ。”
    “正しいフィクションの体現が「フィクション本格」なのであります。「フィクション・虚構は、リアリティ・実在性により成立する」「リアリティなくしてフィクションは成立しない」と言い切ってしまいます。”

    うんうん。
    これ、時代劇じゃなくても言えると思う。
    荒唐無稽を面白くしているものは、説得力を背後にもっているからだ。
    じゃないと、しらけちゃうよねえ。

    江戸の生活になぜ惹かれるのか。
    杉浦さんはこう書いています。
    “歩く速度でものを見、考える。江戸時代の生活速度は、人間の機能にかなっていました。”

    私も歩く速度で生きたいと思っています。
    頑なになってはいけないと思うけれど、理解の範囲で生きたいと。
    手に余るものなら、もういらないかな。とか言ってスマホ…。

    杉浦日向子さん。
    もっと長く生きていて欲しかった。
    そして、もっとたくさんの江戸を紹介してほしかったです。

  • 江戸についてあれこれ思うことが綴られています。
    思うことであって江戸の文化の紹介とかではないので少々物足りない感じがしました。

  • 杉浦さんの文章ものでは初期のものらしい。
    掲載誌の性質に合わせていたところもあるのか、内容が「下がかり」だったり、テレビ時代劇や歌舞伎に苦言を呈していたり、歴史上のイケメンについて一般説を否定していたりと、結構バッサリやっている。これを書いた後大丈夫だったのかな、今だったらクレーム回避で読めないのではないかな、と思ったりした。

    JUNEや第三文明のように、その道の人が好きで手に取るような雑誌であったからこそ書けた部分もあっただろうし、1980年代中盤のエッセイが多いので、時代背景も鑑みて読むと面白いと思う。

    この種類の本のあとがきでは、著作者本人が編集者の名を挙げて礼を述べるのが通例だけど、杉浦さんはいつも読者にも挨拶の言葉を述べ「お会い出来てうれしいです」と記している事が多く、こちらこそありがとうございますと読み返す度に思ってしまう。

  • また読みたい。解説の井上章一も気になる。甲子夜話が久しぶりに読みたくなった。

  • 漫画が面白かったので借りてみたらエッセイ集でした。正直、文章はあまり感性に合いませんでした…。漫画の中の書き文字だと違和感が無いのに活字になると話し言葉にはものすごい違和感を感じます。多分、自分の年なんでしょう…

    と言う訳で色々面白い豆知識満載でしたがあまり頭には残らなかったです。でもそんな感じで読み流すのがちょうど良い感じなのかな、と思いました。でもやっぱりこの方は漫画の方が面白いな、と思いました。難病の為、漫画が描けなくなったと後で知りました。それにしてもテレビでも活躍されてたんですね…ご冥福をお祈りいたします。

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著者プロフィール

杉浦 日向子(すぎうら・ひなこ):1958年、東京生まれ。1980年、「通言室之梅」(「ガロ」)で漫画家としてデビュー。1984年、『合葬』で日本漫画家協会賞優秀賞受賞。1988年、『風流江戸雀』で文藝春秋漫画賞受賞。1993年に漫画家を引退し、江戸風俗研究家、文筆家として活動した。NHK「コメディーお江戸でござる」では解説を担当。主な漫画作品に『百日紅』(上・下)『ゑひもせす』『二つ枕』『YASUJI東京』『百物語』、エッセイ集に『江戸へようこそ』『大江戸観光』『うつくしく、やさしく、おろかなり』『一日江戸人』『杉浦日向子の食・道・楽』『吞々草子』等がある。2005年、没。

「2023年 『風流江戸雀/呑々まんが』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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