- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480032478
感想・レビュー・書評
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作家としてだけでなく、文芸評論家としても超一流、というか、文藝を体内に取り込んだのに唖然とする。世界を理解するのではなく、世界に意味を与えていく文系の極地。三島にとっては小説(戯曲・詩歌も)の王道・宝庫の19世紀フランス~20世紀文学への思想的発展が滔々たる流れとして理解されていたらしい。その世界文学には天才でなければ一章を加えることはできない。短篇の切れ味はもとより、『近代能楽集』には、日本オリジナルな西欧理解がこめられている。/編者・鹿島が言うようにフランス文学理解のために必須。絶好の文庫オリジナルだ
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三島由紀夫を知る上で欠く事の出来ない1冊だと思う。。。
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三島自身が書いたものを、あれこれ編纂したもの。
貴重な文章がいろいろ。
三島自ら演出した文学座の「サロメ」に対する思いなど、仕事の幅の広さを改めて感じる。 -
美は道徳(神)と田打つされることによって人間主義の復興の範疇を逃れえぬ。超倫理性はヨーロッパにおいては精神に対する肉体の勝利を意味するにすぎないこと。
第二次大戦後に小説と現代史の関係がますます困難になった。 -
2009/8/14図書館で借りる
2009/8/16一度返却(出直してくるという意味で(笑))
この本は三島の読書遍歴を知るのに良いと思う。
子どもの頃に読んでいた本は、武井武雄の本、お伽噺、三重吉の世界童話集、千夜一夜物語/中島孤島訳、スピード太郎/平井房人などだったそうです。少年倶楽部時代には、吠える密林/南洋一郎を読んでいた。11、12歳ごろはサロメ/ワイルドを読み、その後、谷崎潤一郎を読んでいった。中学2,3年の頃、ラディゲ(クレエヴの奥方、アドルフ)を読み、ショックを受ける。このとき、フランス文学の真にフランス的なものにラディゲはつながっていたのだな、ということがわかってきたそうです。そして、戦後、フランス文学史や研究書をやたらに読み漁った。次に、古典時代に入る。古典作品は大鏡、王朝日記類、謡曲を読む。また、上田秋成が好きになる。そして、浄瑠璃をたくさん読んだ時代がある。大学に入り、森鴎外が好きになる。鴎外は三島のラディゲ熱を冷まし、それまで持っていなかったドイツ的な世界へ連れ出し、トーマス・マンに惹かれるようになる。そして今では、三島がいちばん好きな作家がトーマス・マンである。
章立て
第一章:ラディゲの系譜
レイモン・ラディゲ:
ラファイエット夫人:
コンスタン:
ラシーヌ:
ヴィクトル・ユゴー:
第二章:サドとデカダンス
マルキ・ド・サド:
デカダンス:
オスカー・ワイルド:
ランボー、ボードレール:
第三章:方法論の探究−十九世紀小説
バルザック、スタンダール:
フロベール:
プルースト:
第四章:批評家三島由紀夫−二十世紀小説
アラン・フゥルニエ:
モーリヤック:
ジッド:
カミュ:
ドリュ・ラ・ロッシェル:
ジュリアン・グラック:
ジョルジュ・バタイユ:
ジャン・ジュネ: -
12月19日購入。流し読み。
批評家としての三島も素晴らしい。ただ自分には内容が高度すぎて、ほとんど理解できなかった・・・
とりあえず仏文作品を読んでからいつか再読してみたい。ラディゲ、ユイスマン、サドあたりを -
こういうエポックはいいものです。