シェイクスピア全集 (8) (ちくま文庫 し 10-8)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480033086

作品紹介・あらすじ

弟の姦計により、地位を奪われ、娘ミランダとともに孤島に流されたミラノ大公プロスペロー。歳月を経て秘術を身に付けた彼は、ある日魔法の力で嵐を起こす。彼を陥れた弟とナポリ王、王子を乗せた船は難破し、孤島へ。そこでミランダとナポリ王子は恋に落ち、プロスペローは妖精を操って公国を取り戻す。詩的音楽性と想象力に満ちた作品を、評価高まる新訳で。

感想・レビュー・書評

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  • 機動戦士ガンダム水星の魔女の第一クールが終わり、続きが気になりモヤモヤしている中で、本書がその元ネタになっているのかもしれないということを知り、読むことに。戯曲を読むのは初めてで、なかなか慣れなかった。きっと見落としてる内容もたくさんあるのだろう。

    ミラノの大公プロスペローがナポリ王と弟の策略によって娘と共に国を追われ、島に流される。長い年月を経て、魔法を身につけたプロスペローは、復讐をする。

    確かに水星の魔女の登場人物やストーリーに似ている。本書では、赦しが一つのテーマになっていると感じたが、アニメではそれがどうなるのか、さらに気になる。

    英語がわかれば、原文で読んで、また違った味わい方ができたのかもしれないが、それができないのが残念だ。

  • ちくま文庫版シェイクスピア全集第8巻。シェイクスピア単独の執筆としては最後の作品といわれる人気戯曲。

    ファンタジー色あふれる「赦しと再生」の物語。シンプルながら解放感のあるラストは魅力で、人気が高いのもうなずける。水星の魔女の元ネタとして噂になっているようで、全然知らなかった。1期は見たのだけど2期は見ていなくて……。いずれ見なければ。オルダス・ハクスリーの名作『すばらしい新世界』はここのセリフからだったか。本作の読後感から考えると、すさまじい皮肉だ。いちど筋書きを知ってしまったあとも、他の訳や、劇、映画など、何度でも触れたくなる作品。

    P151 ミランダ「ああ、不思議!
    こんなにきれいな生きものがこんなにたくさん。
    人間はなんて美しいのだろう。ああ、素晴らしい新世界、
    こういう人たちが住んでいるの!

  • 復讐と赦しが通底しているテーマなのだろう。悲劇的なシェイクスピア作品に比べれば読後の絶望感はない。ただしプロスペローはあれだけアロンゾーたちを恨んでいたのに最後はああなるのか。読み込みが足りない気もするので時間をおいてまた読むかもしれない。

    自分がのように振る舞える自信はないし、周りにもいないような気がする。

    最後に。エアリアルお疲れさまでした。

  • 前知識なしで手に取りました。
    マクベスやロミジュリのイメージで読んだので悲劇かと思いましたが、思いがけず赦しの物語だったので驚き、展開と構成に圧倒されました。

  • マーガレット・アトウッドの「獄中シェイクスピア劇団」の予習のために読んだ.
    裏切られ孤島に流れ着いたミラノ大公が,魔術を使って復讐を図る.
    シェークスピアは本作を最後にストラッドフォード・アポン・エイボンに隠居して筆を折ったらしい.
    巻末の訳者による本作に関する謎解きが秀逸.

  • 「弟の姦計により、地位を奪われ、娘ミランダとともに孤島に流されたミラノ大公プロスペロー。歳月を経て秘術を身に付けた彼は、ある日魔法の力で嵐を起こす。彼を陥れた弟とナポリ王、王子を乗せた船は難破し、孤島へ。そこでミランダとナポリ王子は恋に落ち、プロスペローは妖精を操って公国を取り戻す。詩的音楽性と想象力に満ちた作品を、評価高まる新訳で。」

  • 機動戦士ガンダム水星の魔女の元ネタ本?ということで読んでみる。
    シェイクスピアは前にリア王にチャレンジして挫折してたけど、今回は最後まで読めた。
    正しい読み方ではないのかもしれないけれど、さまざまなシーンでアニメが頭をよぎっておもしろく読めた。

    今回、新潮文庫版(夏の夜の夢・あらし)とちくま文庫版を比べてちくまを選んだのは、訳に対しての注釈がとても丁寧だったことと、良い意味で訳がシンプルだから余計な情報を入れずに自分で想像しながら読めると思ったから。そして大正解でした。
    新潮文庫版の方がカバーは好みだし夏の夜の夢も入っているし値段も安い。ちくま版に比べて訳の色が鮮やかなので、ちくま読了後こちらをさらに読んだら、また色々なシーンで違う感想が出てくるかも。

    いろいろ言いたいことはあるけれど、私はこれを読んで本作のエピローグがガンダムのプロスペラの最後と重なってしまった。テンペストのエピローグを読み、アニメを思い出し、彼女は周りによって赦されたのだな、と腑に落ちたのがなんだか感慨深かった。

    今回松岡和子さんの訳がとても素晴らしかったので、ちくま版の夏の夜の夢も読んでみようかな。

  • 晩年のロマンス劇▲地位を奪われ孤島に流されたミラノ大公、秘術を身に付け嵐を起こす。彼を陥れた弟とナポリ王、王子は難破し、孤島へ▼『水星の魔女』にMSキャリバーンが登場!元ネタのひとつらしく再読。漂着者を分断し、惑わす。無垢なるミランダと王子ファーディナンドは思惑通り恋に落ち。外部勢力と組もうとも無知なるキャリバンの反乱は、使役された妖精エアリアルの前には歯が立たぬ。女神乱舞の第四幕第一場が『嵐』の最高潮。圧巻の後『赦し』に至るのだが。魔法を失おうとも、すべては知恵あるプロスペロー掌の上なのか(1611年)

  • 久しぶりのシェイクスピア。最近気になる新書が出てこないので、買いためていたものを読んでいる。「テンペスト」はタイトルだけはよく知っているが話の内容はまったく知らなかった。妖精が出てきて魔法を使ったりしてちょっとしたファンタジーのようであった。表紙の概要を読んでいま気付いたが、主人公であるところのプロスペローは秘術を身につけていたわけだ。すべて妖精のエアリエルにやってもらっていたのだと思っていた。でもまあ、妖精とお話ができるようにはなって操っていたという点では秘術があると言えるわけか。あとがきなどを読むといろいろと解釈はあるようだけれど、きっと舞台で観るとちょっとドキドキする場面や美しい場面があり、最終的にはやっぱり正義が勝つという感じで楽しく観られることだろう。泣かされる場面はなかったように思うが。それにしても、いつものことながらシェイクスピアのお芝居の中ではすぐに恋に落ちる。会ってすぐ、もうあなたしかいないという感じになっている。僕なんかからするとそのあたりの気分はちょっと分かりかねる。それと、今回はだれ一人死ななかった。悪役も皆最後には許されている。まあそのあたりについては僕好みではあった。とにかく舞台で観てみたい。

  • 水星の魔女の元ネタと聞いて読みました。古典文学の地の文が苦手なんですが、こちらは脚本で書かれているのでサクサク読めました。

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著者プロフィール

イングランドの劇作家、詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。また彼ののこした膨大な著作は、初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている。
出生地はストラトフォード・アポン・エイヴォンで、1585年前後にロンドンに進出し、1592年には新進の劇作家として活躍した。1612年ごろに引退するまでの約20年間に、四大悲劇「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」をはじめ、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「夏の夜の夢」、「ジュリアス・シーザー」など多くの傑作を残した。「ヴィーナスとアドーニス」のような物語詩もあり、特に「ソネット集」は今日でも最高の詩編の一つと見なされている。

「2016年 『マクベス MACBETH』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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