シェイクスピア全集 (10) ヴェニスの商人 (ちくま文庫)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480033109

作品紹介・あらすじ

もし借金が返せなければ、その体から1ポンドの肉を切りとらせろ-。ユダヤ人の金貸しシャイロックが要求した証文が現実となった。ヴェニスの法廷が下した驚くべき判決とは?そして裁判官の正体は?商業都市ヴェニスとロマンティックな愛の都市ベルモントを舞台に、お金とセックスの陰喩をちりばめて繰り広げられる喜劇。

感想・レビュー・書評

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  • 『ヴェニスの商人』読み比べの3冊目。
    他のシェイクスピア作品を今後どのシリーズで読むのが自分には合っていそうか、ということを確かめているところ。
    本書は訳は読みやすいが、字が小さめ。
    ページの下部に注釈があり多少解釈の助けにはなるが、私の場合、読書眼鏡プラス虫眼鏡を必要とした。
    本文だけでは全く理解できない事柄が注釈されていて有難いのだが、(聖書やギリシャ神話について多少書籍を読んで齧っているのに)さっぱりわからない。
    ギリシャ(ローマ)神話だけでなく、キリスト教の聖書の内容もこんなに沢山含まれているということは本書の注釈の存在で初めて知ったので、今までの本には「キリスト教」のタグ付けはしていなかった。

    翻訳者の力量には関係なく、原文の言葉遊びは日本語では伝わらないのは相変わらず仕方のないことと思う。
    また、そもそもシェイクスピアが間違えているのか、400年の間に誰かが間違えてきたのか、はたまたシェイクスピアが「わざと」間違えているのか否かも(私には)わからない表現を翻訳するのも大変な作業だろう。
    更に本書の訳者は、人称代名詞you /thouの訳し方に苦慮された様子があとがきに書かれている。

    『ヴェニスの商人』2冊目でも本書でも、下ネタというか性的なことが書かれている点は、こうしてシェイクスピアを初めてまともに読む前の私は知らなかったことだ。
    私にとっては意外であり新鮮に感じたことだが、これはシェイクスピア作品に精通している読者にとっては当たり前の特徴なのだろうか?

  • うーん、僕にはこれは、いじめてきたユダヤ人に仕返しされているお話としか読めなかった。それなのに最後にはこのユダヤ人は、男装の法学博士にやりこめられて、ぐうの音も出ない。あわれである。さらに、このヴェニスの商人の船は沈没してはおらず、結局ぼろもうけである。商人側に立てばめでたしめでたしなのだが、ユダヤ人の立場で見ると何とも気の毒なお話である。ユダヤ人がどうしてこうもいじめられなければならなかったのか、その歴史的背景はまた内田先生の本でも読んで勉強し直さないといけない。さて、それにしてもこの男装である。2人の女性が男装をしてやってくる。自分のフィアンセである。どうして気付かないのか。もうこれが不思議でならない。お芝居だからのお約束事か。シェイクスピアの時代であったとしても、こんなことが本当に起こり得たのか。それとも芝居の中だけの話なのか。男装しなければ話をさせてももらえなかったということか。女性のままではだれも話を聞いてくれなかったのか。そしてもう1つのエピソード。結婚相手を選ぶのに、運にまかせるということ。3つの箱の中から正しいものを選んだ人を夫とする。それが父親の遺言?いったいどういうことか。とは言え、結局は気に入っている人に決まってしまう。(解説を読んで分かったのだけれど、どうも音楽か何かで正しい箱を教えていたらしい。そうなのかなあ。全く気付かなかった。)それと、毎度おなじみの道化。その役割は何なのか。ちょっとググってみると、これだけでもかなり大きなテーマになりそうだ。歴史的背景を知らないと読みとれないなあ。「源氏物語」を読むと、1000年前でもみな同じ人間だなあと思えることが多かったが、シェイクスピアは、時間的にも空間的にもずれているからか知れないが、なかなか事情が呑み込めないことが多い。全集9作品目。読むのには慣れてきたが、まだまだ時代になじむことができていない。

  • ちくま文庫版シェイクスピア全集第10巻。商業都市ヴェニスと架空の都市ベルモントを舞台に金と愛の取引を描く。

    短いにも関わらず、いくつもの要素が混みいった構成になっていて、非常に密度が高い。商人のアントーニオが窮地に陥る「人肉裁判」がメインに思えるが、シャイロックを通してユダヤ教徒とキリスト教徒の関係性の問題が描かれていたり、「金銀銅の箱選び」や指輪のやり取りで結婚や夫婦関係の問題を扱っていたりなど、奥が深くて一読では消化不良となった。裁判の痛快さと喜劇の余韻を味わったあとは、何度も読み込んだり、他の解説や考察などに触れて思索を必要とする作品だと思う。しかしこの奥さんはちょっと恐いかもなぁ(汗)。

  • どうしてアントーニオは肉の証文に合意したのか?どうしてポーシャはだらしないバサーニオを気に入ったのか?解説にもあるが人間何がどうなるのか分からない代物。

  • 非常に面白かった。
    ユダヤ人に対する偏見が凄いが。

  • ハムレット、ロミオとジュリエットに続いてシェイクスピアちゃんと読み3冊目。これが今のところ1番おもしろくて読みごたえがあった。

    契約・法・金の怖さ、友情のありがたさ、ユダヤ人の気の毒さ、等々、普遍的テーマだからこそ、400年も前に作られた物語が今も読み継がれているのだとおもう。

    また時々、読みかえしてみたい。

  • さすがにシェイクスピア作品だけあって、非常におもしろかった。とくに「人肉裁判」の場面は白眉で、こういうロジックがあるのかと関心すらさせられた。しかし、いっぽうでたんなる喜劇としてみれない部分があることも事実である。シャイロックが一転窮地に追い込まれるシーンは、たしかに快哉を叫びたくなるし、実際舞台で観たら痛快このうえないと思う。しかし、人種差別的な要素も含まれており、シャイロックに対する同情の余地もすくなくない。たんなる喜劇とは違った深みがあり、そこもまたやはりシェイクスピアが書いた作品なのだと感じさせられる。喜劇をたんなる喜劇にしないところが、文学の文学たる所以なのだろう。

  • あまりにも有名な作品です。登場人物の中では、やはりシャイロックが際立っています。ユダヤ人ゆえに迫害されるシャイロックの姿には、哀れさを感じました。

  • 肉を担保に金を貸りた人間と、貸したユダヤ人の金貸しの物語。金貸しシャイロックの訴えは、現代の世においては人種差別という問題を呼び覚ます。ハッピーエンドのように見えて、その裏には何か釈然としない問題をはらんでいる素晴らしい作品。

  • ユダヤ人が超極悪人に描かれてるのが印象的だった。
    ところどころに下ネタ。

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