シェイクスピア全集 18 (ちくま文庫 し 10-18)

  • 筑摩書房
4.04
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480033185

作品紹介・あらすじ

シチリア王レオンティーズは妻のハーマイオニと親友のボヘミア王ポリクシニーズの不義を疑い嫉妬に狂う。しかし侍女ポーライナから王妃の死の知らせが届き、後悔と悲嘆にくれる。時は移り、十六年後一同は再会、驚くべき真実が明かされる。人間の再生と和解をテーマにしたシェイクスピア晩年の代表的ロマンス劇。

感想・レビュー・書評

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  • ちくま文庫版シェイクスピア全集第18巻。シチリア王リオンティーズは妻と親友の不義を疑い王女を捨ててしまう。

    いつもの、嫉妬で狂ってしまう勘違いとドロドロの昼ドラ展開からスタート。そこから舞台を16年後にとばして貴種流離譚なやつ。なんとも既視感が強いが、まとめかたがうまいのでぐんぐん引き込まれる。シェイクスピアの戯曲は、悲劇や喜劇と事前に分けられているように、全滅エンドか大団円かみたいな、わりと両極端な話が多い印象がある。本作は喜劇でありロマンス劇ともいわれ、素敵なエンディングを迎える読後感の良い物語だった。まぁちょっと強引なところもあるけれど、そこはツッコまないで楽しんでおく(笑)。男の嫉妬は醜いなぁという教訓も大事。

  • 戯曲は、取っ掛かりと言うか、導入イメージと登場人物を確り把握すればその世界に没入できる点で、小説よりダイビング妙味があると感じてます。
    松岡和子さんがシェイクスピア全作品翻訳完了を機会に、一念発起、ポツポツ集め始めた作品集、あと4冊でコンプリートだけど、古典新訳文庫も混ざってます。訳者によって読みやすさもあるけど、ちくま文庫の松岡さんシリーズは、下部余白に注釈があって、気になった箇所はすぐ参照できるので好きです。離れた注釈ってなかなか参照しないけど、しっかり参照してる人多いのかなあ?
    今回は冬物語。シチリア王とボヘミア王の親友間に起きたハーマイオニー王妃不義密通嫌疑を端に発したロマンス劇。まあ面白いんだけどもツッコミどころ満載で、ある意味で破綻しまくりの驚愕作品。観劇したことないけど、シチリア王のマヂ切れはじめ、派手な展開に関する評価は、実際に芝居を観るのと本を読むだけなのとは大きな違いなんだろうと思う。
    時間軸も動く作品なだけに、ドラマ性は強い。

  • 「シチリア王レオンティーズは妻のハーマイオニと親友のボヘミア王ポリクシニーズの不義を疑い嫉妬に狂う。しかし侍女ポーライナから王妃の死の知らせが届き、後悔と悲嘆にくれる。時は移り、十六年後一同は再会、驚くべき真実が明かされる。人間の再生と和解をテーマにしたシェイクスピア晩年の代表的ロマンス劇。」

  • ハーマイオニーは結局生きていたのか?ちなみに「ハリーポッター」シリーズのハーマイオニーはこの「冬物語」から取られたそう

  • 物語の登場人物として読むより、観客となって舞台を観ていると思いながら読むほうが、戯曲の意味と効果を味わえるだろう。

  • シェイクスピア8作品目。初めてかもしれない。先がどうなるか気になりながら読んだのは。嫉妬にはじまる物語。妻が美しすぎるのかもしれない。親友との間の関係を疑う。その小さな疑いの芽が、一気に大きく花咲く。もうとどめを知らない。そのために人が死ぬ。自分の子どもも、そしてその妻までもが死んでしまう。そこでやっと気が付く。自分の間違いに。遅すぎる。その後、一生反省して過ごすことになる。ところが、最後に現れる妻そっくりの、しかも歳を取ってしわも多くなった妻そっくりの彫刻はいったい何なのか。実は隠れてひっそり生きていたというのか。ハーマイオニよ。そして、自分の幼い娘。死んだと思っていたその子はちゃんと美しい女性に成長していた。そして、親友の息子と恋をしていた。ところで、このパーディタと名付けられた娘は本当にシチリア王の子なのか。一瞬、ボヘミア王の子どもであるということばを見たような気がするのだが。やはり寝取られていたかと思ったのだが。そうだとすると、ボヘミアの王子とは異母兄妹の関係。ということで、僕は途中からこれは「赤いシリーズ」(百恵ちゃんの)ではないか、と思いながら読んだのです。だから先が気になった。けれど、最後まで何の種明かしもなかった。

  • シェイクスピア劇でおなじみ、
    激しい思い込みを起点とした悲劇。

    アンティゴナスが可哀想…。

    ハーマイオニの彫像が16年の歳月を経た姿で作られたこと、
    それを以て彫刻家の優れたわざと言われていることが
    上手いなと感じた。

    「信じる力を目覚めさせて」の台詞、とても良い!!
    「ご信仰」から「信じる力」としたとのこと、
    ぐっと身近に感じる訳になったと思う。拍手。

    自然な流れで舞台から観客に訴えかける台詞も好き。

  • 冬物語―シェイクスピア全集〈18〉 (ちくま文庫)
    (和書)2009年10月05日 19:32
    W. シェイクスピア 筑摩書房 2009年1月7日


    理不尽な嫉妬によって引き起こされる。時間の流れの不可逆性・・その超越性としての命がけの飛躍が抉られているように感じた。

  • 劇中の経過した時間だけで言へば最もスケールの長い劇ではないだらうか。
    悲劇のやうな、喜劇のやうな、人間模様はふとしたことからどちらにも簡単に転びうる。自分の信じたことに従ふ。あるひは信じたひとのことばに従ふ。ふとした情報の行き違ひ。連絡ミス。さうした簡単なことでも人間の生き様は簡単に悲劇にも、そして喜劇にもなつてしまふ。
    晩年に近いこの作品は、さうした単純な悲劇も喜劇も書けなくなつてきた頃の作品だ。台本としてみる限りでは、仲のよかつた王ふたりに嫉妬の亀裂が入つてしまふところは確かに唐突な感じがするが、おそらく劇として見た時、ハーマイオニの演技如何にかなり依存する部分なのだらう。また、認証の使ひ方もかなり工夫して違ひを出してゐるところからも、たとへどんなに仲のよい過去があつたとしても、むしろ仲のよい過去があつたからこそ、嫉妬の炎が焼き尽くしたのではないだらうか。
    また、今回は道化の役回りが他作品と異なる感じがする。愚かさの中に、愚かさ故の真実を余すところなく発揮する道化ではなく、言はれるがまま振り回されるだけの道化といふのは初めてだつた。羊飼ひの息子としての設定がある以上、どのやうに、彼の服飾を作り上げるかはかなり悩ましいところではないだらうか。
    新潮文庫では出ていない作品を取り扱つてゐるちくま文庫版であるが、日本での公演記録だけでなく、作品の解説がもつと充実してゐれば…と思ふ。当時この劇がどのやうに受け容れられたのか。作品の下地となつた伝承や物語、台本による差異など、脚注だけでは非常に少ない。ボヘミアに海があることについて、どのやうにその地理的な矛盾を解消するのか。当時はそれでよくても、今同じ様に演出することは難しい。それをどのやうにして劇化していつたのか。もう少し掘り下げてほしいと感じてしまつた。

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