じゃじゃ馬馴らし シェイクスピア全集20 (ちくま文庫)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480033208

作品紹介・あらすじ

ヴェローナの熱血紳士ペトルーチオは、パドヴァの大金持ちのじゃじゃ馬娘、舌鋒鋭いキャタリーナをあの手この手で口説き落とし、結婚にこぎつける。そしてじゃじゃ馬の「調教」に乗り出すのだが…。キャタリーナの妹ビアンカとその求婚者たちを交えながらくんずほぐれつの舌戦を繰り広げる軽快な喜劇。

感想・レビュー・書評

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  • ちくま文庫版シェイクスピア全集第20巻。強情で口の悪いじゃじゃ馬娘に求婚した男の講じた方策とは……?

    とある姉妹の結婚をめぐるドタバタ劇。求婚者たちの計略が入り乱れる筋書きは素直に面白いが、本作には気になる点が二つある。

    1,劇中劇という構造になっているのは何故か。その意味は?
    2,本作のテーマは現代の観客にどう受け止められているか。

    冒頭で劇を鑑賞するという形になっていたはずなのに、最後はそのまま本編の物語が終わってしまい、劇を見ていたはずの男が出てこないのが謎。これ何の意味があるの?いろいろと考察はあるのだろうけど、とりあえずはわからないまま。

    じゃじゃ馬として煙たがられていた姉娘が、結婚して旦那に修正され、淑女としての演説をかますところまで成長する、というのが本作のキモなのだろう。最後の姿は映画でいえば「ローマの休日」を思わせるような迫力がある。しかしこれ、フェミニズム的にどうなのか。女性としてあるべき姿、というものが価値観として固まっていた当時には美しい物語だったのかもしれないが、現代においてはかなり問題を感じる内容だ。これもたくさん意見や考察がありそう。ちらっとWikipediaをのぞいただけでもかなりの情報があるので、機会があれば調べてみるかな。

  • 現代ならモラハラで訴えられそう…というのは置いといて、強気な女性ほど圧に弱いもの、お淑やかで内気に見える女性が結婚後豹変することもある、当時の人たちも「そうそう」と頷きながら観ていたのかも、と思うと笑えてくる。女に頭が上がらないのは古今東西同じか。

  • 学生の頃にお芝居で観た記憶が朧げにあり、
    懐かしく手に取る。
    しかし私が観たのはミュージカルの『キスミーケイト』だった。
    このたび『じゃじゃ馬馴らし』を通して読むことで、
    キスミーケイトの面白さも更新された。

    豹変したケイトの最後の長台詞が逆に怖い……
    「夫に従順な妻」に「馴らす」過程は今でいうDVで、
    最後の最後の台詞にもある通り、
    果たして誰にとってもハッピーエンドなのか?という所あり。
    それが面白さなのかも。
    「ぺトルーチオ、絶対数年後に
    キャタリーナに背中刺されるよね。」と
    本作を貸した友人と大いに盛り上がった。

    訳者の苦労話、とても興味深かった。
    文字通り一言一句の調整!

  • じゃじゃ馬馴らし シェイクスピア全集20回20巻 (ちくま文庫)
    (和書)2010年11月22日 15:24
    筑摩書房 2010年8月9日


    新潮文庫の福田恒存翻訳を読んだことはあった。シェイクスピアの作品で読んだ中ではあまり好きな作品ではなかった。しかし今回読んでみてそれなりに楽しめた。

    松岡和子翻訳作品は20巻ということで順調に翻訳が進んでいるように思える。

    気になったのが、松岡和子翻訳を読んでいると資本・ネーション・国家で国民文学として前者自体を形成し強化しているものとしてあるものが、その起源を明確にしないで、それ自体に十分な批判でせずに前提にしているように感じることがある。確かに注解など読めて参考にはなるがそこが気になった。

  • Original title:The Taming of the Shrew.
    Author:William Shakespeare.
    Christopher Slyが鍵掛屋なのに領主になったと夢の様な気分を味わったまま演劇"The Taming of the Shrew"が始まります。
    この演劇は決して品が良いとは言えません。
    嫁に迎えたい女性に対して調教させるからです。
    男性の物事の考え方の水準が低くて粗暴で、良い気分にはなれません。
    常に自分の考えを物怖せずに言うKatherinaは、
    物語の終わりで夫Petruchioに付き従う態度を見せ、
    言動も大人しくなり非常に残念でなりません。
    彼女は最後まで彼女らしくあって欲しかったです…。
    逆に彼女の妹Biancaは姉とは逆で終わりは口汚くなります。
    この演劇ではこの姉妹が夫に嫁ぎましたが、両組共に離婚しそうな予感がしました…。

  • 2017年20冊目。

    シェイクスピア作品は史劇のスケールにも驚愕するが、喜劇の面白さも素晴らしい。
    「間違いの喜劇」といいこの作品といい、変装も交えた人物間の勘違い騒動の楽しさが秀逸。
    こちらも巻頭の人物紹介を何度も見直しながらなんとか混乱しないようについていくのに必死。
    アンジャッシュのコントを見ているかのよう(笑)
    解説にもあったが、手なずけられたキャタリーナが語る女性の役割論については、現代で考えたら炎上物。
    この辺りも、当時の時代との違いを感じる。
    スライという人物がこの「じゃじゃ馬馴らし」という劇を鑑賞している、つまり「劇中劇」として進行していたはずだったが、
    終わった時に「そういえばスライは?」と、自分自身もすっかり劇に夢中になって忘れていた。

  • 2組のカップルの駆け引き。

  • 映画も併せて。

    うわー、すごいmale chauvinismだ。

    vulgerだけど面白い。

  • 蜷川さんり舞台「じゃじゃ馬馴らし」(市川亀治郎、筧利夫、山本裕典、月川悠貴、他)を観て読んだ作品。

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著者プロフィール

イングランドの劇作家、詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。また彼ののこした膨大な著作は、初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている。
出生地はストラトフォード・アポン・エイヴォンで、1585年前後にロンドンに進出し、1592年には新進の劇作家として活躍した。1612年ごろに引退するまでの約20年間に、四大悲劇「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」をはじめ、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「夏の夜の夢」、「ジュリアス・シーザー」など多くの傑作を残した。「ヴィーナスとアドーニス」のような物語詩もあり、特に「ソネット集」は今日でも最高の詩編の一つと見なされている。

「2016年 『マクベス MACBETH』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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